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更新日:2026/10/07

相続手続きを自分でやる|期限・窓口の早見表と依頼の境目

監修者
堀田善之
堀田法律特許税務事務所
堀田善之
相続手続きを自分でやる|期限・窓口の早見表と依頼の境目
親が亡くなり、「費用を抑えて相続手続きを自分で進めたいけれど、何から始めればいい?」と迷う人は少なくありません。この記事では、やること・期限・窓口を早見表にまとめ、自分でできるかの判定と専門家に頼む境目を、弁護士ドットコムに寄せられた相続手続きの相談999件もふまえて解説します。
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相続手続きは自分でできる?まず判断しよう

相続手続きは、専門家に頼まず自分で進めることも十分に可能です。ただし、すべての人に向いているわけではありません。まずは、自分のケースが「自分でできる」タイプか「専門家に頼んだほうがよい」タイプかを見極めることが、遠回りを避ける第一歩になります。

自分でできるケース

次のような場合は、自分で手続きを進めやすいといえます。

  • 相続人が少なく、関係が良好(話し合いがまとまりやすい)
  • 財産が預貯金中心でシンプル(金額や内容を把握しやすい)
  • 不動産がない、または1か所だけ
  • 相続税がかからない見込み(基礎控除の範囲内)
  • 期限まで時間に余裕があり、平日に動ける時間も取れる

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。借金や葬式費用を差し引くなどした遺産の額(課税価格)がこれ以下なら、原則として相続税はかかりません。

自分でやるメリット・デメリット

自分で進める前に、良い点と大変な点の両方を知っておきましょう。

比べること

自分でやる

専門家に頼む

費用はどれくらい?

書類の取得費などの実費だけ

実費に報酬が加わる

手間と時間は?

書類集めから申請まで自分で動く

大部分を任せられる

ミスのリスクは?

漏れがあるとやり直しになる

専門家が確認してくれる

平日に動ける?

役所や金融機関へ行く日が要る

動く日を減らせる

どんな人に向く?

相続人が少なく財産がシンプルな人

もめている・財産が複雑な人

自分でやる最大のメリットは、専門家への報酬を節約できることです。財産の内容を自分で把握でき、手続きの知識が身につく点も利点です。一方で、手間と時間が大きくかかり、ミスや漏れがあるとやり直しになるリスクがあります。

5つの質問で自分に向くか確かめる

相続人同士でもめている場合は弁護士に相談し、もめていない場合は相続人が数人で連絡が取れるか、不動産が0か所または1か所か、遺産が相続税の基礎控除以下か、遺言書がないか公正証書遺言かの4つを確認し、すべてはいなら自分で進められる、いいえが1個か2個なら一部だけ専門家に頼む、いいえが3個以上なら専門家への依頼を検討する、という判定のフローの図

次の5つの質問に「はい」か「いいえ」で答えてみましょう。「いいえ」が多いほど、専門家の力を借りたほうが安全です。

  • 相続人は数人程度で、全員と連絡が取れる
  • 相続人同士でもめていない
  • 遺言書がない、または公正証書遺言がある
  • 不動産がない、または1か所だけ
  • 遺産の額が相続税の基礎控除以下に収まりそう

5つとも「はい」なら自分で進めやすく、「いいえ」が1〜2個なら、その部分だけ専門家に頼む「一部依頼」も考えましょう。

相続人同士でもめている場合は、ほかの答えにかかわらず、早めに弁護士へ相談しましょう。

相続手続きの全体像|やること・期限・窓口の早見表

相続手続きとひと口にいっても、内容は多岐にわたります。「何を・いつまでに・どこへ」を1枚で押さえておくと、期限切れを防げます。

やることと期限の早見表

死亡から7日以内に市区町村役場へ死亡届、厚生年金は10日以内・国民年金は14日以内に年金事務所へ受給停止の届出、14日以内に市区町村役場で健康保険などの手続き、3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄・限定承認、4か月以内に税務署へ準確定申告、10か月以内に税務署へ相続税の申告・納付、3年以内に法務局へ相続登記を行う、という相続手続きの期限のタイムラインの図

自分で進める人が押さえておきたい主な手続きは、次のとおりです。

手続き

いつまでに・どこへ

自分でできる?

死亡届の提出

死亡を知った日から7日以内(国外は3か月)・市区町村役場

できる(葬儀社が代行することも多い)

年金の受給停止

厚生年金は10日、国民年金は14日以内・年金事務所

できる

健康保険の資格喪失・世帯主の変更

14日以内・市区町村役場

できる

相続放棄・限定承認

相続の開始を知った時から3か月以内・家庭裁判所

相続放棄はできる/限定承認は難しい

準確定申告

相続の開始を知った日の翌日から4か月以内・税務署

所得が単純ならできる

相続税の申告・納付

相続の開始を知った日の翌日から10か月以内・税務署

財産が複雑なら税理士向き

相続登記

相続の開始と取得を知った日から3年以内・法務局

不動産が1〜2件ならできる

預貯金の解約・名義変更

期限なし・各金融機関

できる

年金は、日本年金機構にマイナンバーが登録されていれば、原則として年金受給権者死亡届の提出を省略できます。登録の状況によっては届出が必要なため、年金事務所に確認しましょう。2024年4月1日より前の相続で、同日までに不動産の取得を知っていた場合の相続登記は、2027年3月31日が期限です。

死亡直後にやること(7日〜14日以内)

亡くなった直後は、相続そのものよりも先に済ませる届出があります。

死亡届、年金の受給停止、健康保険の資格喪失・世帯主の変更が該当し、期限は早見表の上3行のとおりです。

これらは葬儀と並行して進めることが多く、慌ただしい時期です。まずは目の前の届出から片づけましょう。

死亡届の出し方と、その後に続く手続きは次の記事で確認できます。

落ち着いてから進める手続き

葬儀などが一段落したら、相続そのものの手続きに入ります。

  • 遺言書の有無の確認
  • 相続人の調査(戸籍集め)
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議・協議書の作成
  • 預貯金の解約、名義変更、相続登記、必要なら相続税申告

このうち期限があるのは、相続放棄・準確定申告・相続税申告・相続登記の4つです。順番は、次の「自分でやるときの流れ」で説明します。

期限を過ぎるとどうなるか

自分で進めるうえで最も怖いのが、期限切れです。主な期限を過ぎたときの影響は次のとおりです。

  • 相続放棄・限定承認(3か月):過ぎると、原則として借金も含めて相続したことになる
  • 準確定申告(4か月)・相続税(10か月):延滞税や無申告加算税がかかることがある
  • 相続登記(3年):正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になる

3か月以内に判断できそうにないときは、期間内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます。相続税の申告は、遺産分割がまとまっていなくても期限までに必要です。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、「事情があって話を進められず、相続放棄や単純承認を決める3か月の期限を過ぎてしまいそう」という相談が寄せられています。

Q
【相続】単純承認や相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎてしまいそうな場合の対応について
相談者の疑問
こんばんは。 相続に関しまして、1点教えてください。 単純承認や相続放棄の期限である、「死亡の事実を知ってから3ヶ月」という期限を過ぎてしまいそうな場合の対応について教えてください。 理由は、ここでは書き込めないのですが、強行して話を進めらない状況となっております。 ■期限を延長する方法はありますでしょうか? ■必要な物(書類・申請 等)はありますでしょうか? ■期限の延期が承認される理由やされない理由はありますでしょうか? その他、注意事項などがありましたら、教えていただきますようお願いいたします。
弁護士の回答
山口 弥生 弁護士
続人が,自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお,相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には,相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより,家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。 第915条 〔承認・放棄の期間〕 相続人は、自己のために相続の開始があつたことを知つた時から3箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。但し、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によつて、家庭裁判所において、これを伸長することができる。
すべての回答を見る

3か月の数え方と、期間を延ばす手続きは次の記事で詳しく解説しています。

亡くなった人に所得があった場合の準確定申告は、こちらで確認できます。

相続税の申告期限を過ぎたときのペナルティは、次の記事で確認できます。

相続登記の義務化の対象や過料については、こちらをご覧ください。

ほかの手続きも含めた期限の一覧は、次の記事にまとまっています。

手続き先ごとの窓口と持ち物

市区町村役場では死亡届・健康保険・戸籍の請求、年金事務所では年金の受給停止と未支給年金の請求、金融機関では預貯金の解約、法務局では相続登記と法定相続情報一覧図の申出、税務署では準確定申告と相続税の申告、家庭裁判所では相続放棄と遺言書の検認を行うことと、郵送やオンラインで手続きできる窓口を示した窓口マップの図

自分で進めるときに気になるのが、平日にどこへ行けばよいかです。窓口ごとに手続きをまとめておくと、1回の訪問で済ませやすくなります。

市区町村役場でする手続き

死亡届、健康保険の資格喪失、世帯主の変更などを行います。相続人を確定するための戸籍謄本も、ここで取り寄せます。

戸籍謄本は郵送でも請求でき、本籍地が遠くても最寄りの役場でまとめて請求できる「広域交付」もあります。広域交付を使えるのは本人・配偶者・父母や子などに限られ、兄弟姉妹の戸籍は請求できません。

年金事務所でする手続き

年金を受けていた人が亡くなったら、受給を止める届出をします。亡くなった月までの年金で受け取っていない分(未支給年金)は、生計を同じくしていた遺族が請求できます。

年金証書や戸籍謄本、請求する人の口座がわかるものなどが必要です。

未支給年金を誰が受け取れるかは、次の記事で確認できます。

法務局・金融機関でする手続き

法務局では、不動産の相続登記を申請します。登記はオンラインや郵送でも申請でき、平日に窓口へ行かずに済ませることもできます。

法務局では、戸籍の束の代わりに使える「法定相続情報一覧図」の写しを無料で交付してもらえます。

金融機関では、預貯金の解約や名義変更を行います。口座は亡くなったことを伝えると凍結され、手続きの方法や必要書類は金融機関ごとに異なるため、事前に案内を確認しましょう。

法定相続情報一覧図の作り方と使える場面は、こちらで解説しています。

口座が凍結されたときの解除の流れは、次の記事で確認できます。

税務署・家庭裁判所でする手続き

税務署では、準確定申告と相続税の申告を行います。相続税の申告書は、亡くなった人の住所地を管轄する税務署に出します。e-Taxや郵送でも提出できます。

家庭裁判所では、相続放棄や限定承認の申述、自筆の遺言書の検認を行います。申立先は亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で、相続放棄の申述書は郵送でも提出できます。

相続税の申告を自分でできるかの目安は、次の記事で確認できます。

相続手続きを自分でやるときの流れ

ここからは、相続手続きを自分で進める場合の流れを、順番に見ていきます。基本的にこの順番どおりに進めれば、大きな抜け漏れを防げます。各手続きの詳しい進め方は、それぞれの記事で確認しましょう。

遺言書の有無を確認する

最初にすべきは、遺言書があるかどうかの確認です。遺言書があれば、原則としてその内容に沿って分けることになり、その後の流れが変わります。

自筆の遺言書を見つけても、勝手に開封してはいけません。公正証書遺言と、法務局で保管されている自筆証書遺言以外は、家庭裁判所で検認(遺言書の内容や状態を確認してもらう手続き)が必要です。

検認の申し立て方と、その後の流れは次の記事で確認できます。

相続人を調査する(戸籍を集める)

次に、誰が相続人なのかを確定させます。そのために、亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍をすべて集め、相続人を漏れなく確認します。相続人を1人でも見落とすと、あとで遺産分割をやり直すことになりかねません。

自分が相続人にあたるか、範囲や順位を整理したい場合はこちらが参考になります。

相続財産を調査する

続いて、プラスの財産とマイナスの財産の両方を調べます。預貯金・不動産・有価証券などの資産に加え、借金や保証債務などのマイナスの財産も必ず確認しましょう。借金の有無は、相続放棄を検討するうえで重要な判断材料になります。

財産の調べ方を財産の種類ごとに知りたい方は、次の記事をご覧ください。

相続放棄・限定承認を検討する

財産の全体像が見えたら、そのまま相続するか、放棄するかを判断します。借金が明らかに多いなら、財産も借金もいっさい引き継がない相続放棄という方法があります。

プラスかマイナスかはっきりしない場合は、プラスの財産の範囲内でだけ借金を引き継ぐ限定承認も選べます。ただし、限定承認は相続人全員で共同して申し立てる必要があります。期限は、どちらも前の早見表のとおり3か月です。

相続放棄の進め方は、こちらで詳しく解説しています。

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遺産分割協議をして協議書を作る

相続することを決めたら、相続人全員で誰が何を取得するかを話し合います。これを遺産分割協議といい、全員の合意ができたら遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名・押印(実印)します。相続人が1人でも欠けた協議は無効になるため注意しましょう。

協議書の具体的な書き方やひな形は、こちらの記事で詳しく確認できます。

協議書と一緒にそろえる印鑑証明書などは、次の記事で確認できます。

必要書類をそろえる

相続手続きでは、どの手続きでも共通して必要になる書類があります。代表的なのは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本、住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書です。

戸籍は、法定相続情報一覧図を作っておくと、何度も戸籍の束を出さずに済みます。手続きごとに求められる書類は異なるため、提出先ごとに確認しましょう。

書類の種類や取り寄せ方法は、こちらで詳しく解説しています。

名義変更・相続登記・相続税申告をする

分け方が決まったら、財産ごとに名義変更を進めます。預貯金は解約・払い戻し、不動産は法務局で相続登記を行います。相続税がかかる場合は、税務署への申告・納付も必要です。

不動産の名義変更(相続登記)を自分でやる方法は、こちらが参考になります。

自分でやる場合にかかる費用と日数

自分でやる場合の実費

自分で進める場合、専門家への報酬はかかりませんが、書類の取得費用や登記の税金などの実費は必要です。主な目安は次のとおりです(2026年9月時点)。

項目

費用の目安

戸籍謄本

1通450円

除籍・改製原戸籍謄本

1通750円

住民票・印鑑証明書

1通300円程度

登記事項証明書

1通490〜600円(請求方法で異なる)

相続登記の登録免許税

課税標準額(固定資産税評価額)×0.4%

法定相続情報一覧図の写し

無料

不動産がなければ、実費は戸籍などの取得費が中心です。不動産がある場合は、課税標準額に比例する登録免許税が大きな出費になります。

専門家に頼むと費用はどう変わる?

専門家に頼むと、上の実費に報酬が加わります。報酬は依頼先と頼む範囲で大きく変わるため、「どの手続きを任せるか」を決めてから見積もりを取りましょう。

自分でできる部分は自分で進め、難しい手続きだけを頼めば、費用を抑えられます。

依頼先ごとの費用相場と、費用を安く抑える方法は次の記事で解説しています。

弁護士に頼む場合の費用は、こちらで掲載事務所のデータとあわせて確認できます。

トータルでかかる期間と平日に窓口へ行く場面

かかる期間はケースによって大きく変わります。戸籍の収集と、相続人全員の署名・押印をそろえる工程に、特に時間がかかりやすい点を押さえておきましょう。

平日に時間が取れない人は、郵送やオンラインで済む手続きを先に進めると効率的です。

  • 郵送・オンラインでできる:戸籍謄本の請求、相続登記の申請、相続税の申告、相続放棄の申述書の提出
  • 窓口に行く場面が多い:死亡直後の役所の届出、金融機関の手続き(金融機関によって郵送に対応)

期限のある手続きは、郵送の往復にかかる日数も見込んで早めに動きましょう。

自分で進めるのが難しいときの依頼先

次のような場合は、はじめから専門家に相談したほうが安全です。

  • 相続人が多い・疎遠・すでにもめている
  • 不動産が複数あり、評価や分け方が複雑
  • 借金があり、相続放棄や限定承認を検討している
  • 相続税の申告が必要になりそう(期限内に正確な計算が必要)
  • 戸籍の収集が複雑(代襲相続・数次相続・前婚の子がいる など)

依頼先は、困っている内容で決まります。もめごとや交渉は弁護士、相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士が中心です。相続人同士の交渉を本人の代わりに引き受けられるのは、原則として弁護士だけです。

【データで見る】弁護士が入った相続トラブルの4割超は「協議」で解決している

弁護士ドットコムが保有する、相続弁護士ドットコムの掲載事務所の解決事例1,212件を解決方法で分けると、協議(話し合い)が514件(42%)と最も多く、調停が279件(23%)、審判が155件(13%)、訴訟が142件(12%)でした。

弁護士に依頼しても、裁判所の手続きに進まず話し合いで決着するケースが少なくありません(集計:弁護士ドットコムが保有する解決事例1,212件、2026年9月時点・当社調べ)。

話が通じない相続人がいて手続きが進まず、弁護士に頼むべきか調停を起こすべきか迷っている、という相談も「みんなの法律相談」に寄せられています。

Q
相続手続きが進まない場合の対応策は?
相談者の疑問
【相談の背景】 一人暮らしをしていた父が死亡し(母とは一年前に死別)、相続を行わなくてはならない。相続手続きを行うにあたり、姉は社会的通念が通じず、相続の手続きが進まない場合の対応。 相続人の構成は、 学校卒業後、家事手伝いで両親と同居後に生活保護を受けて一人暮らしをの姉(社会人経験無し)、社会人で一人暮らしの妹。 母の相続が行われず2次相続が発生している状態。 【質問1】 マンションの名義変更と相続について、しなくてもいいじゃんと発言します。管理費や固定資産税の話をすると考えると答えて黙ってしまい、相続が進みません。このような人物にはどのように対処すればよいのでしょうか 【質問2】 預貯金、株券の調査のため金融機関に口座有無を確認しますが、その過程で口座が凍結されます。姉に伝えても回答と許可は得られないと思いますが連絡と許可の両方が必要でしょうか。凍結時の懸念を質問3に記します。 【質問3】 遺産にマンションがあります。姉が勝手に寝泊まりし家の物を消費しています。管理費と光熱費は毎月、亡くなった父の口座から引き落しです。口座を凍結してよいか、相続完了までの管理費等の費用はだれが払うのか? 【質問4】 今後も話が通じない姉を相手に相続を進める自身は無いため、どのようにするのが良いのか困っています。弁護士を立てるにしても、自身の代理人としてなのか、調停役としてが良いのか。弁護士でよいのか?
弁護士の回答
岡田 晃朝 弁護士
【質問1】 マンションの名義変更と相続について、しなくてもいいじゃんと発言します。管理費や固定資産税の話をすると考えると答えて黙ってしまい、相続が進みません。このような人物にはどのように対処すればよいのでしょうか 話し合いができないのであれば遺産分割の調停をするか、固定資産税や管理費の請求に対して、相手に請求書面を送って対応するように伝えてみて、相手が考え直すか様子を見るかでしょうか。 【質問2】 預貯金、株券の調査のため金融機関に口座有無を確認しますが、その過程で口座が凍結されます。姉に伝えても回答と許可は得られないと思いますが連絡と許可の両方が必要でしょうか。凍結時の懸念を質問3に記します。 凍結は一人でもなくなったことの連絡をすればされますので、早急にされればよいでしょう。 解除するときは相続人全員でないとできません。 【質問3】 遺産にマンションがあります。姉が勝手に寝泊まりし家の物を消費しています。管理費と光熱費は毎月、亡くなった父の口座から引き落しです。口座を凍結してよいか、相続完了までの管理費等の費用はだれが払うのか? 凍結しても、引き落としはできることがあります。 そうでない場合は誰かが一時は建て替えて、最終は清算でしょう。 【質問4】 今後も話が通じない姉を相手に相続を進める自身は無いため、どのようにするのが良いのか困っています。弁護士を立てるにしても、自身の代理人としてなのか、調停役としてが良いのか。弁護士でよいのか? 弁護士は中立で間には入れませんし、話をしない人にはどうしようもありません。 家庭裁判所で調停を起こすしかないでしょう。 これを無視すれば、審判決定と解決に進むと思います(場合によっては、その後に共有分割など時間がかかることがありますが、それでも前には進みます。)。 また、そうやって毎月調停に呼ばれるうちに、相手の態度も変わってくることがあります。
すべての回答を見る

弁護士・司法書士・税理士のどこに相談すればよいかは、次の記事で違いを比べています。

手続きの代行をまとめて頼みたい場合の依頼先の選び方は、こちらで確認できます。

相続手続きを自分でやる場合の注意点

最後に、自分で進めるときにつまずきやすいポイントを押さえておきましょう。

途中で専門家に頼むと費用が二重になることも

「まず自分でやってみて、難しければ頼もう」と考える方は多いですが、途中まで進めた書類を作り直すことになり、かえって費用や時間がかさむ場合があります。複雑だと感じたら、早い段階で相談するほうが結果的に得なこともあります。

相続人・財産の調査漏れはやり直しになる

後から相続人や財産が見つかると、遺産分割協議をやり直すことになりかねません。戸籍は出生までさかのぼって集め、財産は借金も含めて漏れなく調べることが、やり直しを防ぐ最大のコツです。

自分でやるか迷ったら無料相談で判断する

「自分でできそうか判断がつかない」というときは、無料相談を活用しましょう。自分でできる部分と頼むべき部分を切り分けるだけでも、その後の進め方がぐっと楽になります。

【データで見る】掲載事務所の6割超が初回相談を無料にしている

相続弁護士ドットコムの掲載事務所の料金表681件のうち、初回相談を無料としている事務所は432件(63%)でした。

自分で進めるか決める前に、無料の初回相談で「どこまで自分でできるか」を確認しておくと安心です(集計:相続弁護士ドットコムの掲載事務所の料金表681件、2026年9月時点・当社調べ)。

相続手続きを自分でやることに関するよくある質問

【データで見る】相続手続きの相談で最も多いのは「書類・戸籍」

相続手続きの相談で最も多いのは書類・戸籍

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、相続手続きに関する相談が999件寄せられています。内容を分けると、必要書類・戸籍が244件と最も多く、次いで専門家への依頼・費用が194件でした。

相続人の非協力・連絡がつかないが121件、期限・放置が121件、その他が319件と続きます。自分で進める人がつまずきやすいのは、書類集めと相続人との調整です(2021年4月1日〜2026年7月8日に投稿された相談。当社調べ、n=999)。

Q. 戸籍が足りないと言われたらどうすればいいですか?

A. 足りないと言われた戸籍を、今ある戸籍の記載からさかのぼって取り寄せます。結婚や転籍、戸籍の作り直し(改製)のたびに新しい戸籍ができるため、出生までつながっていないことがよくあります。

どの戸籍が不足しているかは、指摘した提出先や、戸籍を請求する役場の窓口で確認しましょう。

法務局に書類を出したところ、父の出生から婚姻までの戸籍と、先に亡くなった兄の戸籍が足りないと言われた、という相談も「みんなの法律相談」に寄せられています。

Q
相続に必要な書類について
相談者の疑問
【相談の背景】 相続に必要な戸籍関係の書類についてです。 父が他界し、相続手続きを自分でする予定です。 家族は ・父(被相続人) ・母 (平成7年他界) ・兄 (平成15年他界) ・義理姉(兄の妻)健在 ・甥(兄の子)代襲相続人に  なるが相続放棄手続き済み ・姉 相続放棄手続き済み ・自分 相続人予定 となります。 今回必要書類を揃え、法務局へ書類を出しましたが、法務局より父の出生から婚姻までの戸籍、父より兄が先に亡くなっていて兄の全部事項証明書の前の戸籍が不足していると連絡ありました。 その場では手元に書類の控えがなく確認出来なかったのですが、 今回父の改正原戸籍、全部事項証明書、 兄の改正原戸籍(父の改正原戸籍と同じ書類)、全部事項証明書を提出しています。 【質問1】 他にどのような戸籍が必要という事なのでしょうか? 戸籍でも種類があるため、よく分からず質問致しました。 【質問2】 通常兄の戸籍関係の取得には戸籍に入ってる方だけが申請可能だと思うのですが、今回のように相続手続きで必要な場合は私でも第三者請求で取得できるのでしょうか?
弁護士の回答
新 康平 弁護士
お困りのことかと思いますので、一般的なお話で回答させて頂きます。 なお、より詳細について相談したいということなら、お住まいのお近くの弁護士にぜひご相談なさってください。 まず、お父様の出生から死亡までの戸籍についてですが、現在わかっているものからたどっていくことが可能です。 ⑴ 父の除籍謄本(横書きの新しいもの) ⑵ 父の原戸籍(改製される前の横書きのもので、結婚した際に編製されているもの) ⑶ 祖父の原戸籍(お父様が結婚する前に入っていた戸籍:多くの方は平成の改製前のものですので、縦書きのタイプです) さらに、お父様やお祖父様が転籍などをされている場合は、転籍される前の戸籍も順に辿っていかなければなりません。 恐らく、相談者様が提出された父の原戸籍というのは、お父様が結婚してから編製されたものではないでしょうか?そうなりますと、お父様の出生時点での戸籍ではありませんので、お祖父様の代の戸籍までさかのぼる必要があるかと思います。 次に、お兄様の現在事項証明(恐らく除籍謄本だと思われますが…)の更に前の戸籍となりますと、恐らくお父様の戸籍で足りるはずです。 ただし、お兄様が改製前に結婚している場合、お兄様についても現在の横書きの戸籍の他に、改製前原戸籍(縦書きのタイプ)があろうかと思いますので、一度戸籍の担当窓口に相談なさってみてもいいかもしれません。
すべての回答を見る

出生から死亡までの戸籍を集める手順は、次の記事で解説しています。

Q. 相続人が遠方にいても自分で進められますか?

A. 進められます。遺産分割協議は全員が集まらなくても、電話や郵送で内容を確認し合い、全員が合意すれば成立します。

協議書は郵送で回して署名・押印してもらい、印鑑証明書も同封してもらいます。連絡がつかない相続人がいる場合は、自分だけで進めるのは難しいため、専門家に相談しましょう。

Q. 手続きの途中で相続人が亡くなったらどうなりますか?

A. 亡くなった相続人の立場を、その人の相続人が引き継ぎます。これを数次相続といい、遺産分割協議には引き継いだ人全員の参加が必要です。

前の相続の名義変更をしないまま次の相続が起きると、協議書を相続ごとに作ることになり、必要な戸籍も増えます。放置するほど手続きが複雑になるため、早めに名義変更まで済ませましょう。

父名義の実家の名義変更をしないうちに母が亡くなり、2代分の手続きが必要になった、という相談も「みんなの法律相談」に見られます。

Q
2代にわたる相続手続きについて
相談者の疑問
母が亡くなり相続手続きをしています。 相続人は姉妹2人です。 2年前に父が亡くなった時に両親が住んでいる父名義の実家を妹が相続しましたが、不動産の名義変更の期限がないとのことで、手続きをしないまま母が亡くなり現在も父名義のままです。 実家の評価額から考えて、今回の母の財産(預貯金のみ)は全額姉が相続することで話がまとまっています。 銀行には相続人が2人いるのに、姉1人が全額相続するために何か手続きが必要でしょうか。 この機会に妹も実家の名義変更をしようとしていますがどのような手続きが必要でしょうか。 必要な書類は何でしょうか。 尚、父の時も今回も相続税納付の必要がない額です。 以上、よろしくお願いいたします。
弁護士の回答
石井 康晶 弁護士
父の遺産分割協議書と母の遺産分割協議書をそれぞれ作る必要があります。 預金を引き出すだけなら全員の実印を押した書類(銀行からもらう)を提出すれば可能なので母の分の協議書は必須ではありませんが、不動産の名義を換えるには父分の協議書が要ります。
すべての回答を見る

数次相続で必要になる手続きと注意点は、次の記事で確認できます。

まとめ

相続手続きは、相続人が少なく財産がシンプルなケースなら自分でも進められます。まずは5つの質問で、自分で進めるか一部を頼むかを判断しましょう。

自分で進める場合は、早見表で「何を・いつまでに・どこへ」を確認し、3か月・4か月・10か月・3年という期限を意識しながら、遺言書の確認から名義変更まで順番に進めましょう。郵送やオンラインで済む手続きを活用すれば、平日に窓口へ行く回数も減らせます。

相続人同士でもめているとき、相続放棄や相続税申告の期限が迫っているとき、戸籍の収集や財産の調査が複雑なときは、早めに専門家の力を借りましょう。

手続きを途中で止めて作り直すと、かえって時間も費用もかさみます。まずは弁護士への初回相談で、自分でできる範囲と、相続人との話し合いや期限内の手続きなど任せたほうがよい部分を切り分けてもらうと安心です。

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この記事の監修者
堀田善之
堀田法律特許税務事務所
堀田善之(大阪弁護士会)
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