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遺産相続
更新日:2026/06/24

名義人の死亡で銀行口座が凍結される? 銀行の相続手続きを詳しく解説

監修者
大津郁雄
千葉県>柏市
柏パートナー法律事務所
大津郁雄
名義人の死亡で銀行口座が凍結される? 銀行の相続手続きを詳しく解説
ご家族が亡くなってしまうと、名義人となっている銀行口座はどうなるのでしょうか? 原則として、名義人が亡くなると銀行に連絡をする必要があり、その連絡を行った時点で、銀行口座は凍結されます。 口座凍結に備えて、あらかじめ準備を整えておきましょう。この記事では、名義人の死亡により銀行口座が凍結されるタイミング、凍結解除の手続き、お金が必要な場合の対処法などを解説します。
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死亡した人の銀行口座はいつ凍結されるのか?

銀行口座の名義人が死亡した場合、死亡の旨を銀行に連絡した時点で口座が凍結されます。 銀行側では、口座名義人の生死を積極的に調査することはありません。

したがって、口座名義人の死後も銀行口座が自動的に凍結されるわけではなく、遺族の連絡等を待って凍結されることになります

銀行口座が凍結されるとできなくなること

名義人が亡くなったことを銀行が知ると、相続財産の保全のために下記の対応を取ります。基本的に相続手続きが終了するまで凍結されます。

入出金ができなくなる

名義人の死亡によって銀行口座が凍結されると、原則としてその口座を用いた入出金ができなくなります。 たとえば、通帳やキャッシュカードを用いてお金を預け入れたり、引き出したりすることはできません。

口座振り込みや引き落としもできなくなる

不動産の賃料や振り込みも、入金に当たるため受け付けられなくなります。また、ライフライン・携帯電話・クレジットカードなどの利用料金の引き落としも、出金に当たるためできなくなります。

口座凍結解除の手続きの流れ

口座凍結を解除するためには、銀行に申請して相続手続きを行う必要があります。

口座凍結を解除するための相続手続きの流れは、大まかに以下のとおりです。

  • 銀行口座を探す
  • 銀行に死亡の旨を連絡する
  • 預貯金を相続する人を決める
  • 相続手続きを申請し、預貯金の払い戻しを受ける

銀行口座を探す

まずは、亡くなった被相続人の銀行口座を探す必要があります。 被相続人の生前に聞いていた口座に加えて、そのほかにも口座が存在しないかどうかを確認しましょう。全店照会ができる金融機関もあるので、適宜活用して漏れなく調査することが大切です。

銀行に死亡の旨を連絡する

被相続人の口座がある銀行に対して、被相続人が死亡したことを連絡します。銀行に死亡の旨を連絡した時点で口座は凍結されるので、その前に必要な準備を整えておきましょう。

預貯金を相続する人を決める

銀行に相続手続きを申請する前に、預貯金を誰が相続するかを決める必要があります。 遺言書があれば、原則としてその内容に従って預貯金を分けることになります。公証役場や法務局にも照会を行って、遺言書の存在を見落とさないように注意しましょう。

相続する人が遺言書で指定されていない預貯金については、相続人が遺産分割協議を行って分け方を決めます。他の遺産を含めた分割方法について合意できたら、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成しましょう。

関連記事:遺産分割協議書の書き方・文例集【ひな形つき】

遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判を通じて、預貯金を含めた遺産の分け方を決めることになります。

相続手続きを申請し、預貯金の払い戻しを受ける

遺言書または遺産分割によって決まった分け方に従い、銀行に対して預貯金の相続手続きを申請します。後述する申請書類を銀行に提出しましょう。

銀行における審査および手続きが完了すると、被相続人の預貯金が相続人等に対して払い戻されます。

口座凍結解除までに必要な日数

前述の通りの手順で書類提出が済んでから、長くても2〜3週間程度で口座凍結解除の手続きが完了します。

口座凍結解除に必要な費用

口座凍結解除の手続き自体には銀行に支払う手数料などの費用はかかりません。しかし、次項で解説する必要書類を取得する費用が発生します。

  • 戸籍謄本類:1通あたり450円または750円
  • 印鑑証明書:1通あたり300〜400円 ※自治体、取得方法によって異なります

口座凍結解除の手続きの必要書類

被相続人口座の凍結を解除して預貯金の払い戻しを受けるには、銀行の相続手続きが完了しなければなりません。

銀行に対して相続手続きを申請する際は、遺言書の有無、相続人の人数、銀行によって異なりますが、主に以下の書類を提出する必要があります。具体的な申請書類の内容や書き方については、申請先の銀行にご確認ください。

遺言書に基づいて預貯金を相続する場合の申請書類

遺言書がある場合は、下記の書類が必要となります。遺言執行者がいる場合は、必要書類が変わりますので注意が必要です。

  • 遺言書(原本)
  • 家庭裁判所の検認済証明書 ※公正証書遺言または遺言書保管所で保管された自筆証書遺言については不要
  • 口座名義人と法定相続人を確認できる戸籍謄本類 ※法定相続情報一覧図の写しで代用可能
  • 預貯金を相続する人の印鑑証明書
  • 遺言執行者の印鑑証明書 ※遺言執行者がいる場合のみ
  • 通帳
  • キャッシュカード など

遺産分割に基づいて預貯金を相続する場合の申請書類

遺言書がない場合は、相続人の人数によって必要書類の内容が異なります。相続人が1人の場合は、遺産分割協議自体が行われないので、遺産分割協議書は不要です。また相続人が複数の場合は、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書が必要になります。

  • 遺産分割協議書、調停調書または審判書(原本)※相続人が1人の場合は不要
  • 口座名義人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類 ※法定相続情報一覧図の写しで代用可能
  • 法定相続人を確認できる戸籍謄本類 ※法定相続情報一覧図の写しで代用可能
  • 法定相続人全員の印鑑証明書
  • 通帳
  • キャッシュカード など

口座凍結前にお金を引き出すとどうなる?

被相続人の死亡を銀行に連絡する前であれば、まだ口座は凍結されないので、相続人などがお金を引き出すこともできます。

ただし、被相続人の預貯金は相続財産であるため、他の相続人の承諾を得ずに引き出すことは避けるべきです。

勝手に引き出すと、後で使い込みを疑われてトラブルに発展しかねません。必ずあらかじめ、他の相続人全員から書面等による承諾を取得しましょう

他の相続人全員の承諾を得た上でお金を引き出す場合には、そのお金の使途や保管方法を明確化することが大切です。使う場合は領収書などを保存し、使わずに保管する場合は自分の財産から分別して管理しましょう。

なお、今後相続放棄をする予定がある場合や、すでに相続放棄をした場合は、被相続人の預貯金を引き出してはいけません。法定単純承認が成立して、相続放棄が認められなくなり、または相続放棄が無効になるおそれがあります(民法921条)。

詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせてお読みください。


関連記事:相続放棄後にしてはいけないこと3選、弁護士に相談すべきケースも解説

口座凍結後にお金が必要な場合の対処法

被相続人口座が凍結された後、被相続人の預貯金を引き出す必要が生じた場合には、民法上の払い戻し制度を利用することが考えられます。

各相続人は、次の1および2の範囲内に限り、銀行に対して単独で被相続人の預貯金の払い戻しを請求できます(民法909条の2)。この請求によって払い戻しを受けた預貯金は、遺産分割によって取得したものとみなされます。

  • 口座ごとの上限額
    相続開始時の預金額×1/3×払い戻しを受ける相続人の法定相続分
  • 金融機関ごとの上限額
    150万円

口座凍結に備えて生前にしておくべき準備

被相続人の死亡を銀行に連絡して口座が凍結される前に、相続人は以下の準備を行いましょう。

  • 相続人全員の同意の下、必要なお金を引き出す
  • 受取口座・引き落とし口座を変更する

相続人全員の同意の下、必要なお金を引き出す

葬儀費用や当面の生活費などとして、被相続人の預貯金を用いる必要があると分かっている場合は、口座凍結前にあらかじめ引き出しておきましょう

その際、後にトラブルが生じることを防ぐため、書面等によって相続人全員の同意を取得することをおすすめします。

受取口座・引き落とし口座を変更する

口座凍結後は入出金ができなくなるため、被相続人口座が受取口座または引き落とし口座に指定されている場合は、あらかじめ口座変更を行う必要があります。

たとえば不動産の賃料の受け取り、ライフライン・携帯電話・クレジットカードの引き落としなどについて、設定されている口座を確認した上で、必要に応じて変更手続きを行いましょう。

まとめ

銀行に対して被相続人の死亡を連絡すると、口座が凍結されて入出金ができなくなります。

口座凍結を解除するためには、原則として相続手続きを完了しなければなりません。ただし、相続人は民法に基づき、一定額を上限として単独で預貯金の払い戻しを請求できます。

銀行の相続手続きについては、弁護士に依頼して一任することも可能です。その他の相続手続きについても、弁護士に一括して任せることができます。

相続手続きについて分からないことがある方は、弁護士にご相談ください。


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この記事の監修者
大津郁雄
千葉県>柏市
柏パートナー法律事務所
大津郁雄(千葉県弁護士会)
慶應義塾大学法学部卒業、一橋大学大学院修了。2009年に弁護士登録後、千葉県弁護士会松戸支部の消費者問題委員会委員長などを歴任した。相続分野では、遺産分割や遺留分侵害額請求、遺言、相続放棄など多岐にわたる相談に対応。依頼者の要望や意思を尊重し、円滑かつ円満な解決に向けた丁寧で親身なサポートを信条としている。心の支えになれるよう誠実に向き合う姿勢が特徴。不動産を含む複雑な相続問題も、法的観点から的確にアドバイスを行う。登録番号40119(千葉県弁護士会)
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