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遺言
更新日:2026/06/02

遺言書の検認とは?手続きや期限、検認が終わったらすることを解説

監修者
関根 翔
東京都>豊島区
池袋副都心法律事務所
関根 翔
遺言書の検認とは?手続きや期限、検認が終わったらすることを解説
遺言書は、遺言書保管所で保管されている自筆証書遺言と公正証書遺言を除き、相続発生後に「検認」を受ける必要があります。この記事では遺言書の検認について、目的・手続き・期限・検認が終わった後の流れなどを解説します。
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遺言書の検認とは

遺言書の検認とは

遺言書の「検認」とは、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の内容を明確化して偽造・変造を防止するための手続きです。

遺言書の検認の目的

遺言書の検認の目的は、以下の2点です。

1.相続人に対して遺言の存在と内容を知らせること

検認の申立てを受理した家庭裁判所は、すべての相続人に対して検認期日を通知します。

申立人以外の相続人の出席は任意ですが、少なくとも検認期日の通知によって遺言書の存在を知ることができ、出席すればその内容も確認できます。

2.遺言書の内容を明確化して偽造・変造を防止すること

検認期日においては、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など、その時点における遺言書の内容が確認されます。

万が一、後から偽造や変造が行われても、検認された遺言書と内容が異なる場合は、偽造・変造の事実を証明しやすくなります。

なお検認手続きにおいては、遺言書の有効性についての判断は行われません。検認が完了したとしても、訴訟などを通じて遺言無効を主張することはできます。

遺言書の種類

遺言書の種類

遺言書の検認手続きについて正しく理解するためには、まず、法律で認められている遺言書にはどのような種類があるのかを知っておく必要があります。

日本の民法では主に「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類が規定されており、それぞれ作成の方法や保管の仕組みが大きく異なります。

どの種類の遺言書であるかによって、後に必要となる家庭裁判所での検認手続きの有無が決まるため、まずは手元にある、あるいは作成を検討している遺言書がどの形式に該当するかを確認しましょう。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付、氏名を自筆し、押印することで作成する最も簡便な遺言書です。

証人を立てる必要がなく、誰にも知られずに作成できる手軽さがある一方で、形式の不備で無効になったり、死後に発見されなかったりするリスクも孕んでいます。

自筆証書遺言において検認の要否を分けるポイントは、その「保管場所」にあります。

自宅の金庫や仏壇、あるいは信頼できる知人に預けていたような場合には、家庭裁判所での検認が必須となります。

ただし、近年始まった「法務局の遺言書保管制度」を利用して法務局に預けていた場合に限り、公正証書遺言と同様に検認手続きが不要となる特例が設けられています

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が公証役場へ出向き、公証人に遺言の内容を口頭で伝え、それを公証人が文章にまとめる形で作成される遺言書です。

作成の際には2人以上の証人の立ち会いが必要であり、完成した遺言書の原本は公証役場で厳重に保管されます。

この形式の最大の特徴は、公的機関が作成と保管に関与しているため、偽造や変造、隠匿のリスクが極めて低い点にあります。法的な有効性についても公証人が確認しているため、内容が不明確で無効になるおそれもほとんどありません。

そのため、相続が開始された後、家庭裁判所での検認手続きを経ることなく、すぐに預貯金の払い戻しや不動産の名義変更といった具体的な相続手続きを進めることができます

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られたくない場合に利用される特殊な形式です。

遺言者が署名・押印した遺言書を封印し、公証役場に持ち込んで、公証人と証人の前で「自分の遺言書である」ことを証明してもらうことで成立します。

この形式は、遺言書の「存在」が公証役場で証明されますが、中身については公証人も確認しないため、内容の不備といったリスクは自筆証書遺言と同様に残ります。また、遺言書は遺言者本人が持ち帰って保管するため、相続開始後に発見された際には、家庭裁判所での検認手続きが必ず必要となります。

封印のある遺言書を家庭裁判所外で勝手に開封することは法律で禁じられているため、取り扱いには最も注意が必要です

検認が必要な遺言書・不要な遺言書

遺言書については、原則として家庭裁判所の検認が必要です(民法1004条1項)。

ただし例外的に、遺言書保管所で保管されている自筆証書遺言と公正証書遺言については検認が不要とされています(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条、民法1004条2項)。

<検認が必要な遺言書>

  • 遺言書保管所で保管されていない自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言
  • 特別の方式によって作成された遺言(危急時遺言、伝染病隔離者の遺言、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言)

<検認が不要な遺言書>

  • 遺言書保管所で保管されている自筆証書遺言
  • 公正証書遺言

封印のある遺言書の開封について

検認手続きとは別に、封印のある遺言書については、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できません(民法1004条3項)。

封印が必須である秘密証書遺言だけでなく、自筆証書遺言が任意に封印されている場合にも、家庭裁判所における開封が必要になります。

遺言書の検認等を怠った場合のペナルティ

家庭裁判所における検認・開封が必要な遺言書について、以下の違反行為をした者は「5万円以下の過料」に処されることがあります(民法1005条)。

  • 遺言者の保管者(いない場合は、遺言書を発見した相続人)が、相続の開始を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認を請求しなかった場合
  • 検認を経ずに遺言書を執行した場合
  • 家庭裁判所外において遺言書を開封した場合

遺言書の検認の手続き

遺言書の検認手続きの流れ

遺言書の検認手続きは、以下の流れで進行します。

検認の申立て

遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に対して、遺言書の検認を申し立てます

申立てに当たっては、申立書(800円分の収入印紙を貼付)と連絡用の郵便切手、戸籍謄本類を提出します。必要な戸籍謄本類については、裁判所ウェブサイトをご参照ください。

検認期日の通知

裁判所が相続人に対して、検認期日を通知します。

検認期日

裁判所において遺言書の検認が行われます。

申立人の出席は必須ですが、それ以外の相続人の出席は任意です。申立人は遺言書と印鑑、さらに担当者から指示されたものを持参します。

申立人は遺言書を提出し、出席した相続人の立会いの下、裁判官が遺言書を検認します。封印がある遺言書については、開封した上で検認が行われます。

検認済証明書の申請

検認の終了後、家庭裁判所に検認済証明書の発行を申請します。遺言書1通につき150円分の収入印紙と、申立人の印鑑が必要です。

検認済証明書は、遺言執行に当たって名義変更等の手続きを行う際に必要となります。

遺言書の検認にかかる期間

遺言書の検認の申立てから検認期日までの期間は、おおむね1か月から2か月程度が標準的です。検認期日自体は1回で終了します。

申立て前の準備(戸籍謄本類の取得など)の期間を合わせると、遺言書を発見してから検認が完了するまでには、2か月から3か月程度の期間を要することが多いです。

遺言書の検認に期限はあるのか?

遺言書の検認に明確な期限はありませんが、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は「遅滞なく」検認を請求しなければならないとされています(民法1004条1項)。

また、検認が必要な遺言書は、検認が完了しなければ執行できません。相続財産の活用の側面からも、遺言書の検認は速やかに申し立てなければなりません。

遺言書の検認が終わった後の手続きの流れ

遺言書の検認が終わった後は、遺言執行の手続きに移ります。

遺言執行は、遺言書で指定された遺言執行者が行います。遺言書で遺言執行者が指定されていない場合は、家庭裁判所に遺言執行者を選任するよう申し立てることができます。

なお、遺言執行者がいない場合でも、遺産の名義変更や相続手続については、相続人全員の協力により行うことができます。

具体的には、遺言書の内容に従い、以下の手続きを行うことになります。

  • 遺産の名義変更・相続手続き
  • 認知の届出
  • 推定相続人の廃除・取消しの申立て

また、遺言書により未成年後見人が指定されている場合は、指定された者が就任を認める場合は、指定された者本人が未成年後見人の届出をする必要があります。

遺産の名義変更・相続手続き

各遺産を、遺言書に記載された相続人または受遺者に移転します。

現金や一般的な動産については相続人または受遺者に交付すればよいですが、財産の種類によっては名義変更等の手続きが必要となります。

たとえば不動産については相続登記、預貯金や有価証券については金融機関での相続手続きが必要です。

認知の届出

遺言では、婚姻外で生まれた子(=非嫡出子)を認知することができます(民法781条2項)。

遺言による認知が行われた場合、遺言者もしくは認知される子の本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場に認知届を提出しなければなりません。

未成年後見人の届出

遺言者が生前に親権を行っていた未成年者については、遺言によって未成年後見人を指定できます(民法839条1項)。

遺言によって未成年後見人の指定が行われた場合、未成年者の本籍地または後見人の所在地の市区町村役場に未成年者の後見届を提出しなければなりません。

推定相続人の廃除・取消しの申立て

被相続人に対する虐待・重大な侮辱その他の著しい非行があった推定相続人については、遺言によって廃除(=相続権を失わせること)の意思表示ができます(民法893条)。

また、すでに廃除となった者につき、遺言によって廃除の取消しの意思表示をすることも可能です(民法894条2項)。

遺言で推定相続人の廃除または廃除の取消しの意思表示がなされた場合は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に対して、意思表示の内容に従った申立てをしなければなりません。

まとめ

遺言書の保管者または発見者は、原則として遺言書の検認を請求しなければなりません。ただし例外的に、遺言書保管所で保管されている自筆証書遺言と、公正証書遺言については検認不要とされています。

検認が必要な遺言書は、検認が完了しないと執行できません。相続財産の活用が遅れてしまわないように、速やかに遺言書の検認を申し立てましょう。

遺言書の検認手続きについて分からないことがあれば、家庭裁判所の担当者に確認するか、または弁護士にご相談ください。

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この記事の監修者
関根 翔
東京都>豊島区
池袋副都心法律事務所
関根 翔(東京弁護士会)
東京弁護士会所属。相続問題は複雑な法理論を必要とし、また、事実関係が複雑であり、収集すべき証拠も多くなる傾向にあります。当事務所では、手間を惜しまず綿密な計画を事前に立て、迅速に行動することをモットーとしています。
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