相続弁護士 ドットコム
月間サイト訪問者数
690万人以上
登録弁護士
28,000人以上
相続税
更新日:2026/09/02

未支給年金とは?誰が受け取れる?手続き・税金を解説

監修者
高山弥生
東京都>中央区
VSG相続税理士法人
高山弥生
未支給年金とは?誰が受け取れる?手続き・税金を解説
親や配偶者が亡くなったあと、「受け取っていない年金はどうなるの?」と気になっていませんか。未支給年金とは、亡くなった人に支払われるはずだった年金のうち、まだ受け取れていなかった分のことです。じつは相続財産とは別のあつかいで、相続放棄をしても受け取れます。この記事では、未支給年金を受け取れる人、請求の手続きや必要書類、期限、そして気になる税金までを、はじめての方にもわかりやすく解説します。
相続税申告に強い税理士を手間なく探せます!ご相談ください!

未支給年金とは|後払いのしくみで生じるお金

年金は偶数月15日に前2か月分が後払いされ、9月20日に死亡した場合は10月に支給される8月分と9月分が未支給年金になる流れの図

未支給年金とは、亡くなった人に支払われるはずだった年金のうち、亡くなるまでに受け取れていなかった分のことです。

年金は「後払い」のしくみになっています。偶数月(2月・4月・6月…)の15日に、その前の2か月分がまとめて振り込まれる決まりです。

たとえば9月に亡くなった場合、8月分・9月分の年金はまだ振り込まれていないことが多く、その分が未支給年金になります。年金を受け取っていた人が亡くなると、ほとんどのケースで未支給年金が生じます

ただし、年金を受け取り始める前に亡くなった場合など、そもそも支払うべき年金がないときは未支給年金は生じません。

死亡した月の分まで受け取れる(日割りはされない)

年金は、受け取っていた人が亡くなった月の分まで支給されます。月の途中で亡くなっても日割りにはならず、その月の1か月分がまるごと対象です。

たとえば9月2日に亡くなっても、9月30日に亡くなっても、9月分の年金は同じように受け取れます。

「遺族年金」とは別のお金

似た言葉に遺族年金がありますが、これは別物です。未支給年金は「亡くなった人がもらうはずだった"過去の分"」、遺族年金は「残された家族のために"これから"支払われるお金」です。

この記事で扱うのは、前者の未支給年金です。

未支給年金は相続財産ではない|相続放棄・遺産分割との関係

ここが未支給年金でいちばん誤解されやすいところです。結論から言うと、未支給年金は亡くなった人の相続財産には含まれません

受け取る遺族の「固有の権利」というあつかい

未支給年金は、法律で決められた一定の遺族が「自身の権利」として受け取るお金です。最高裁判所も、未支給年金は遺族に直接与えられた権利であり、相続財産には含まれないと判断しています。

亡くなった人から"引き継ぐ"のではなく、遺族が"もともと持っている"権利として受け取る、というイメージです。

遺産分割の対象にならない

相続財産ではないため、遺産分割協議で分け方を話し合う必要はありません。請求した遺族が、そのまま受け取れます。

そのため、ほかの相続人の同意がなくても、条件を満たす遺族が単独で請求できます。

相続財産の範囲そのものを整理しておきたい方は、あわせて次の記事も参考になります。

相続放棄をしても受け取れる

未支給年金は相続財産ではないので、相続放棄をしても未支給年金は受け取れます。借金などのために相続放棄を選んでも、未支給年金だけは遺族が受け取れる、ということです。

相続放棄とは、プラスの財産も借金も、いっさい引き継がない手続きをいいます。相続放棄そのものの流れは、次の記事でくわしく解説しています。

ただし、一つ大きな注意点があります。未支給年金の"請求"は問題ありませんが、亡くなった人名義の口座からお金を引き出して使うと、相続財産を処分したとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります(民法921条)。

実際に、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にも、「相続放棄をする前に未支給年金を請求してしまい、単純承認(相続を認めたこと)になるのか不安」という相談が寄せられています。

Q
相続放棄前の未支給年金請求は単純承認したことになるのか?
相談者の疑問
被相続人 女性 88歳。配偶者及び子ども無し。兄弟6人。 両親は他界。 相続人は、弟、兄弟の子供達(他の兄弟は既に他界)です。 この度、私の祖父の姉に当たる人が亡くなりました。 配偶者も子どもも両親も、いないため相続人は兄弟及び甥と姪になります。 甥と姪の所在はわかりません。 兄弟で唯一生存している弟(祖父)は、家庭裁判所に相続放棄の申請をして受理されました。 ここまでは良いのですが、相続放棄の申請をする前に未支給年金の請求と、電話などの解約手続きを行ってしまったようです。 相続放棄をする前だったので、民生委員の方に言われるがまま請求したそうなのですが、この場合相続放棄の申請か受理されていても単純承認したと見做されるのでしょうか。 (年金自体はまだ入金されていませんが、入金されたら別に保管しておくと本人は言っていました。 葬式費用等も祖父が支払っているので、年金が入ってきたらそこから精算するつもりのようです。)
弁護士の回答
森田 英樹 弁護士
> 仮に全員が相続放棄した場合、誰が家庭裁判所へ相続財産管理人の選定手続きを行うのでしょうか? ・・・相続放棄した方が相続財産管理人選任申立てを義務はなく 債権者などの申し立てを待たれればよいと思います。
すべての回答を見る

たとえば、口座にすでに振り込まれていた年金や預金を葬儀費用にあてる、といった行為です。未支給年金は「年金事務所に請求して受け取る」ものなので、故人の口座には手をつけないようにしましょう。

なお、相続放棄をして未支給年金を受け取っても、その未支給年金を故人の借金の返済にあてる義務はありません。あくまで受け取った遺族自身のお金として使えます。

未支給年金を請求できる人|生計同一の遺族と請求順位

未支給年金は、誰でも受け取れるわけではありません。受け取れるのは、亡くなった人と生計を同じくしていた遺族に限られます。

「生計を同じくしていた」とはどういう状態か

「生計を同じくしていた」とは、簡単にいえば生活のお財布が一緒だったという関係です。同居していた家族は基本的にこれにあたります。

別居していても、あきらめる必要はありません。単身赴任や施設への入所、仕送りをしていた場合など、経済的なつながりがあれば「生計同一」と認められることがあります。

たとえば、次のようなケースは生計同一と認められる可能性があります。

  • 亡くなった人と同居していた
  • 別居だが、生活費の仕送りや援助をしていた
  • 親が老人ホームに入所し、あなたが施設費用や生活費を負担していた
  • 単身赴任で住まいは別だが、家計は一つだった

別世帯だった場合は、仕送りの記録などをもとに「生計同一関係に関する申立書」を提出して請求します。

請求できる遺族の順位

未支給年金を請求できる遺族の優先順位を、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他3親等内の親族の順に上から並べ、上位者がいれば下位者は請求できないことを示した図 このファイルの閲覧者にはコメントや提案も表示されます

未支給年金を請求できる遺族には、次の順位があります。上の順位の人がいる場合、下の順位の人は請求できません。

  • 1. 配偶者
  • 2. 子
  • 3. 父母
  • 4. 孫
  • 5. 祖父母
  • 6. 兄弟姉妹
  • 7. 上記以外の3親等内の親族(甥・姪、おじ・おばなど)

この順位は、亡くなった人と生活のつながりが深い人から順に受け取れるようにする趣旨です。上位の人が請求できるのに手続きをしないと、下位の人はそのままでは受け取れません。家族のなかで誰が請求するかを早めに決めておくとスムーズです。

同じ順位の人が複数いる場合

子が2人いるなど、同じ順位の人が複数いるときは、そのうちの1人が代表して全員分を請求します。1人に支給されれば、全員に支給されたものとしてあつかわれます。

受け取れる遺族がいないとき

生計を同じくしていた遺族が誰もいない場合、未支給年金は受け取れません。この場合、未支給分は支給されず、国庫に入ります。

未支給年金はいくら受け取れる?

受け取れる金額は、亡くなった月と、直前の支給日からの経過月数で決まります。基本は「まだ振り込まれていない月の分」の合計です。

亡くなった月によって受け取れる月数が変わる

年金は偶数月の15日に前2か月分が支払われます。そのため、亡くなった月によって未支給となる月数(1〜3か月分)が変わります。目安は次のとおりです。

亡くなった時期

未支給となる月数の目安

偶数月の前半(支給日前)に亡くなった

3か月分

偶数月の後半(支給日後)に亡くなった

1か月分

奇数月に亡くなった

2か月分

たとえば9月(奇数月)の20日に亡くなった場合、10月15日に支払われるはずだった8月分・9月分(2か月分)が未支給年金になります。

繰下げ受給をしていた場合の考え方

年金の受け取りを遅らせる「繰下げ受給」を選び、まだ一度も年金を受け取らずに亡くなった場合でも、未支給年金は請求できます。

ただし請求できるのは、65歳時点で本来受け取れた年金額をもとに計算した分です。繰下げによる増額分は反映されない点に注意しましょう。

未支給年金の請求手続き|必要書類・請求先・期限

未支給年金は、遺族が自分で請求しないと受け取れません。大まかな流れは次のとおりです。

  • 1. 自分が請求できる遺族か(順位・生計同一)を確認する
  • 2. 必要書類を準備する
  • 3. 年金事務所・街角の年金相談センターに請求書を提出する
  • 4. 審査を経て、指定した口座に振り込まれる

請求先はどこか

公的年金(国民年金・厚生年金)の未支給年金は、年金事務所または街角の年金相談センターで請求します。

企業年金やiDeCoなどの私的年金は、加入していた基金や保険会社など、それぞれの窓口に確認が必要です。

請求に必要な書類

公的年金の未支給年金を請求するときの主な必要書類は、次のとおりです。

  • 未支給年金・未支払給付金請求書(日本年金機構の様式)
  • 亡くなった人の年金証書
  • 亡くなった人と請求する人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 生計を同じくしていたことがわかる書類(住民票の除票、請求者の世帯全員の住民票など)
  • 受け取りを希望する金融機関の通帳など
  • 別世帯だった場合は「生計同一関係に関する申立書」

請求先や状況によって必要書類が変わることがあるため、事前に年金事務所へ確認しておくと安心です。

相続税申告に強い税理士を手間なく探せます!ご相談ください!

年金受給権者死亡届は必要か

年金を受け取っていた人が亡くなると、本来は「年金受給権者死亡届」の提出が必要です。ただし、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば、この死亡届は原則として提出不要です。

ここで間違いやすいのが、死亡届が不要でも未支給年金の請求は自動では行われないという点です。お金を受け取るには、遺族が自分で未支給年金の請求書を出す必要があります。

請求期限は5年(過ぎると時効で消滅)

未支給年金の請求には期限があります。受給権者の年金の支払日の翌月の初日から5年で時効になり、それを過ぎると受け取れなくなります。

気づいたら、なるべく早めに手続きを進めましょう。

請求から振り込みまでの期間

請求してから実際に振り込まれるまでには、数か月程度かかることがあります。時期には幅があるため、急ぐ場合は年金事務所に見込みを確認しましょう。

一般的には、先に「未支給年金決定通知書」などが届き、そのあと指定口座に振り込まれます。書類に不備があるとさらに時間がかかるため、記入漏れや添付書類の不足がないか確認してから提出しましょう。

未支給年金にかかる税金|相続税と所得税

未支給年金は一時所得として所得税の対象で相続税はかからず年間50万円の特別控除がある一方、私的年金の遺族給付はみなし相続財産として相続税の対象になる場合があり500万円かける法定相続人の数の非課税枠があることを振り分けた図

未支給年金を受け取ると、税金が気になります。ポイントは、相続税はかからないが、所得税の対象にはなるという点です。

相続税はかからない

未支給年金は相続財産ではないため、相続税の課税対象にはなりません

「年金だから相続税がかかるのでは」と心配される方もいますが、公的年金の未支給年金についてはその心配は不要です。

受取人の一時所得として所得税の対象になる

受け取った未支給年金は、受け取った遺族の一時所得としてあつかわれ、所得税・住民税の対象になります。一時所得とは、宝くじの当せん金のように、一時的・臨時的に得た所得のことです。

一時所得には年間50万円の特別控除があります。その年のほかの一時所得と合わせて50万円を超えなければ、所得はゼロになり、確定申告は不要です。

たとえば未支給年金が40万円だけなら、50万円の特別控除の範囲内なので申告は不要です。

一方、未支給年金40万円に加えて、生命保険の満期保険金など他の一時所得が30万円あり合計70万円になった場合は、50万円を超えた20万円が対象になります。さらにその2分の1の10万円を、ほかの所得と合わせて申告します。

未支給年金だけで50万円を超えるケースは多くないため、実際には申告が不要な場合がほとんどです。

被相続人の準確定申告とは別物

相続があると、亡くなった人自身の所得を申告する準確定申告が必要になる場合があります。これは、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に行うもので、遺族が受け取る未支給年金(一時所得)とは別の手続きです。

私的年金の未支給分にかかる税金

ここまでは公的年金(国民年金・厚生年金)の話でした。企業年金やiDeCoなどの私的年金は、税金のあつかいが変わります。

企業年金・iDeCo・企業型DC

確定給付企業年金や、確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の加入者が亡くなり、遺族が死亡一時金などを受け取る場合、そのお金はみなし相続財産として相続税の対象になります。

確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の死亡一時金は、死亡後3年以内に受け取りが確定すれば死亡退職金として相続税の対象、3年を過ぎてからなら受け取った遺族の一時所得(所得税)の対象になります。5年を経過すると受給権が消滅します。

個人年金保険

生命保険会社の個人年金保険も、亡くなった人が保険料を負担していた場合、相続税の対象となります。死亡退職金・遺族一時金として相続税がかかる場合の非課税枠

私的年金からの死亡一時金が死亡退職金としてあつかわれる場合、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使えることがあります。

みなし相続財産や非課税枠のしくみは、次の記事でくわしく解説しています。


私的年金は種類ごとに課税のあつかいが細かく分かれます。金額が大きくなりそうなときは、税理士に確認しておくと安心です。

未支給年金に関するよくある質問

内縁・事実婚の相手でも請求できる?

公的年金の未支給年金は、事実婚(内縁)の配偶者でも請求できる場合があります。戸籍上の婚姻がなくても、生計を同じくしていた事実が認められれば対象になり得ます。

この場合は、生計同一を示す書類などが必要になります。判断がむずかしいときは、年金事務所に相談しましょう。

なお、事実婚のパートナーが「遺族年金」を受け取れるかどうかは、より厳しく判断されます。未支給年金と遺族年金では要件が異なる点も覚えておきましょう。

年金をもらいすぎていた場合は返す必要がある?

死亡の連絡が遅れると、亡くなった月の翌月以降の年金まで振り込まれてしまうことがあります。このもらいすぎた分は返還が必要です。

後日、日本年金機構から返納の案内が届くので、その指示に従って手続きします。未支給年金(受け取ってよい分)と、返す必要のある過払い分は別物なので、混同しないようにしましょう。

あとで請求されて慌てないよう、亡くなったことは早めに年金事務所へ連絡しておくと安心です。

死亡後に「支給漏れ年金」が見つかったら?

年金記録の誤りなどで、本来支払われるべき年金が支払われていなかった「支給漏れ年金」が、亡くなったあとに見つかることがあります。

この場合も、未支給年金と同じように、生計を同じくしていた遺族が請求して受け取れます。

まとめ

未支給年金は、亡くなった人が受け取るはずだった年金の未受給分で、生計を同じくしていた遺族が受け取れます。

相続財産ではないため相続放棄をしても受け取れ、相続税もかかりません。受け取った分は一時所得ですが、50万円の特別控除の範囲なら申告は不要です。

請求期限は5年です。もらい忘れないよう、早めに年金事務所で手続きしましょう。

とくに借金があって相続放棄を考えている場合は、注意が必要です。未支給年金の請求はできても、故人の口座のお金に手をつけると相続放棄ができなくなることがあります。

判断に迷うときや、相続放棄と未支給年金の受け取りをどう進めればよいか不安なときは、専門家に相談し、あなたのケースで何に気をつければよいかを確認しておきましょう。

この記事をシェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事の監修者
高山弥生
東京都>中央区
VSG相続税理士法人
高山弥生(東京地方税理士会所属)
相続税に関するコラム
北海道・東北
青森県/
岩手県/
福島県
中部
三重県/
山梨県/
長野県/
福井県
中国・四国
九州・沖縄
長崎県/
熊本県/
佐賀県/