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相続人調査
更新日:2026/09/30

相続人調査は誰に頼む?自分でやる手順と依頼費用の相場

監修者
馬場亨二
東京都>港区
馬場亨二法律事務所
馬場亨二
相続人調査は誰に頼む?自分でやる手順と依頼費用の相場
「銀行から戸籍を全部そろえるよう言われたけれど、自分で集められる?誰かに頼むべき?」——相続人調査とは、亡くなった人の戸籍をたどって、誰が相続人になるかを確定する作業です。自分でやる手順と費用、専門家に頼む目安を、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」の相談230件もふまえて解説します。
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相続人調査とは?

相続人調査とは、被相続人(亡くなった人)の戸籍謄本などを収集し、法律上の相続人を確定するための手続きです。遺産分割や相続登記などの相続手続きを進めるためには、まず誰が相続人であるかを明確にしなければなりません。

はじめに、この記事の結論をまとめます。

  • 配偶者と子だけが相続人で、転籍(本籍の移動)が少ないなら、自分で調べられることが多いです。
  • 兄弟姉妹が相続人になる・前の配偶者との子がいる・連絡がとれない相続人がいるときは、専門家に頼んだほうが確実です。
  • 費用は自分なら戸籍の手数料が中心、弁護士に頼むなら相続弁護士ドットコム掲載事務所では5万5,000円の設定が最多です。

なぜ相続人調査が必要なのか?目的を解説

一見すると家族構成は把握できているように思えるかもしれません。しかし、被相続人に離婚歴があり前妻との間に子どもがいたケースや、養子縁組をしていたケース、認知した子どもがいたケースなどでは、想定していなかった人が相続人となることがあります。

また、相続人は家族の認識だけで判断できるものではありません。金融機関での預貯金の解約や不動産の相続登記などの手続きでは、戸籍謄本によって相続人であることを証明する必要があります。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、法律上の相続人を確認しなければなりません。

民法では、配偶者に加え、子ども、直系尊属(父母など)、兄弟姉妹の順に相続人となることが定められています(民法887条〜890条)。相続人調査は、こうした法律上の相続関係を客観的に確認し、適切な相続手続きを進めるための重要な作業です。

相続人調査をしないリスク

相続人調査を行わないまま相続手続きを進めると、後から大きなトラブルに発展するおそれがあります。

遺産分割協議が無効になる可能性がある

遺産分割協議は、原則として相続人全員が参加して行わなければなりません。たとえば、戸籍を確認していなかったために前妻との間の子どもや認知した子どもの存在が後から判明した場合、その人を除外して行った遺産分割協議は無効となる可能性があります。

遺産分割協議が無効になれば、相続人全員で改めて協議をやり直さなければなりません。すでに相続財産を分配していた場合には、再度調整が必要となり、相続人同士のトラブルに発展することもあります。

相続登記や預貯金の解約ができない

不動産の相続登記や金融機関での預貯金の解約手続きでは、相続人を証明するための戸籍謄本類の提出が必要となります。家族の認識だけでは相続人であることを証明できず、手続きを進めることはできません。

亡くなった人の口座が凍結されたときの解除の流れや、手続き中の当面のお金の作り方は、次の記事でくわしく確認できます。

相続手続きの期限に間に合わなくなることがある

相続人調査が長引いたときに特に注意が必要なのが、相続放棄や限定承認(相続した財産の範囲内でだけ借金を返す方法)の期限です。これらの手続きは、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行わなければなりません。

相続人が確定していない状態では、誰が相続放棄を行うべきか、誰が相続手続きを進めるべきかを判断しにくくなります。その結果、必要な調査や検討が間に合わず、期限を過ぎてしまうケースもあります。

期限を過ぎると、原則として単純承認したものとみなされ、被相続人の借金なども含めて相続することになります。また、相続税の申告・納付期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。相続開始後は、できるだけ早く相続人調査に着手しましょう。

相続放棄や相続税申告など、ほかの手続きの期限と全体の流れは、次の記事で一覧にしています。

相続人調査は誰に頼む?自分でやる場合と専門家の違い

士業ごとの対応範囲と費用目安の比較表

相続人調査は自分で行うこともできますが、戸籍収集に時間がかかるケースや、相続人同士のトラブルが予想されるケースでは専門家への依頼を検討するとよいでしょう。相続人調査を依頼できる主な専門家には、弁護士、司法書士、行政書士があります。

行政書士・司法書士・弁護士に頼めることの違い

戸籍を集めて相続人を確定する作業そのものは、どの専門家に頼んでもできます。違いは、調べ終わったあとに何を任せられるかです。

頼み先

任せられること

向いている人

自分で調べる

戸籍の請求・読み取り・相続関係説明図の作成

配偶者と子だけが相続人で、転籍が少ない人

行政書士

戸籍の収集、遺産分割協議書などの書類作成

相続人の間に争いがなく、書類づくりを任せたい人

司法書士

戸籍の収集、相続登記、法定相続情報一覧図の申出

不動産の名義変更まで任せたい人

弁護士

戸籍の収集に加え、相続人との交渉や調停・審判の代理

連絡がとれない・もめそうな相続人がいる人

相続税の申告が必要な場合は、税理士に依頼すると調査と申告をあわせて任せられます。

司法書士と行政書士は、書類作成やコンサルティングはできますが、相続人間の交渉や債権者との交渉を代理することができません。つまり、調査は完了しても、その後にもめた場合や借金発覚時には、交渉や調停の代理が必要になった時点で弁護士に依頼し直すことになります(ただし、認定司法書士は140万円以下の事件に限り簡易裁判所での訴訟代理が可能)。

相続人調査に限らず、相続全体の相談先の選び方は、次の記事で士業ごとに比べています。

相続人調査にかかる費用の目安

自分で調べる場合、かかるのは主に戸籍の手数料です。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本と改製原戸籍(かいせいげんこせき)謄本は1通750円で、本籍地以外の窓口で取る広域交付でも同じ金額です。

通数は結婚・転籍の回数や相続人の人数で変わり、郵送なら定額小為替と切手代もかかります。

【データで見る】弁護士に相続人調査だけを頼む費用は「5万5,000円」が最多

相続弁護士ドットコム掲載事務所の料金表681件のうち、相続人調査を単体で頼むときの料金を示していたのは26件でした。最も多いのは5万5,000円で14件(約54%)、次いで11万円が9件で、中央値は5万5,000円でした。

戸籍の手数料などの実費は別にかかり、相続人の人数や戸籍の通数に応じて加算する事務所もあります(各事務所が記載した最低額を集計。2026年9月時点・当社調べ、n=26)。

調査だけでなく、遺産分割の交渉まで弁護士に頼む場合の費用は、次の記事で相場を確認できます。

戸籍の取得以外も含めた相続手続き全体の費用と、安く抑える方法は、次の記事で確認できます。

専門家に頼んだほうがよいケース

次のどれかに当てはまるときは、自分で進めると相続人の見落としや手続きの停滞が起きやすくなります。

  • 兄弟姉妹が相続人になる(亡くなった人の父母の出生から死亡までの戸籍も必要になり、通数が増えます)
  • 前の配偶者との子、養子、認知した子がいる
  • 亡くなった人より先に亡くなった子がいる、または相続手続きの途中で相続人が亡くなった
  • 海外に住んでいる相続人がいる
  • 住所がわからない、連絡しても返事がない相続人がいる
  • 遺産の分け方でもめそうな相続人がいる

兄弟姉妹の戸籍も相続手続きのためなら理由を示して請求できますが、窓口で断られることもあります。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、「両親の相続で兄弟の戸籍が必要と言われたが、役所で取れないと断られ、兄弟とも音信不通で困っている」という相談が寄せられています。

Q
相続にための兄弟の戸籍取得方法
相談者の疑問
【相談の背景】 父母が亡くなり土地や財産の相続手続きのために残り2人の兄弟の戸籍も必要と言われましたが、役所では兄弟分は直系でないので取れないと言われました。連絡も兄弟とは音信不通な状態で困っています。弁護士とかなるべくお願いしたくありません。 【質問1】 この場合権利行使として兄弟の戸籍謄本を取る方法は何かないのでしょうか?
弁護士の回答
神保 壽之 弁護士
本来は、権利の行使を目的とした戸籍謄本の第三者請求として交付請求ができると思われます。ただし、役所の窓口が、理解していないということがあります。 下記リンク先の総務省の資料(PDFファイル)は、類似の事例で参考になると思います。 もし交付請求しても断られるようなら、担当者に下記のリンク先の資料を見せてみてはどうでしょうか。 https://www.soumu.go.jp/main_content/000281523.pdf
すべての回答を見る

相続人調査のやり方と手順

次に実際の相続人調査のやり方と手順を解説します。

①亡くなった方の「出生から死亡まで」の戸籍謄本を集める

この作業は、想像以上に手間がかかります。特に亡くなった人が何度も転籍している場合、連続性を保ったまま複数の役所から戸籍を取得する必要があります。

戸籍謄本を取得するプロセスは以下の通りです。まず、亡くなった人の最後の本籍地、もしくは最寄りの役所で取得します。窓口で「出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得したい」と伝えてください。

本籍地が複数ある場合、各地の役所に1通ずつ請求する必要があります。郵送での請求も可能ですが、返送に時間がかかるため、足を運べるなら窓口での取得が確実です。手数料は1通450円または750円で、費用の全体は前述のとおりです。

出生から死亡まで途切れずに集めるコツや、請求書の書き方は、次の記事でくわしく解説しています。

戸籍広域交付制度を利用すると楽になる

従来は、本籍地がある市区町村ごとに戸籍謄本を請求する必要がありました。しかし、2024年3月から始まった「戸籍広域交付制度」により、本籍地以外の市区町村でも戸籍謄本を取得できるようになりました。

たとえば、被相続人が転籍を繰り返していた場合でも、最寄りの市区町村窓口で出生から死亡までの戸籍謄本をまとめて取得できるケースがあります。複数の役所へ請求する手間を減らせるため、相続人調査の負担を大きく軽減できる制度です。

【戸籍広域交付制度の概要】

  • 利用できる人:本人、配偶者、直系尊属、直系卑属に限り利用可能。兄弟姉妹、叔父叔母(伯父・伯母)、甥・姪は利用不可
  • 戸籍抄本、附票は対象外
  • デジタル化されていない戸籍は対象外
  • 窓口による本人の請求のみで郵送は不可(窓口で身分証明書で本人確認が必要です)。弁護士などの代理人による請求も認められていません。

亡くなった兄弟姉妹の相続人になる場合、兄弟姉妹本人の戸籍はこの制度では取れないため、本籍地の役所へ窓口か郵送で請求します。父母の戸籍は、自身の直系尊属の戸籍として広域交付で請求できます。

広域交付で取れる戸籍・取れない戸籍の見分け方や、請求の注意点は、次の記事でくわしく解説しています。

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②戸籍謄本を確認して、相続人を確定させる

【既存図を流用】image1.png(法定相続人の相続順位)/現記事と同じくこのH3の冒頭に置く

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集したら、次に相続人全員の戸籍謄本を取得します。これによって客観的に誰が血縁関係にあり、相続人が誰であるかが確定できます。法定相続人は、以下のように定められています。

  • 常に相続人:被相続人の配偶者
  • 第1順位:被相続人の子(子が先に亡くなっていれば孫)(直系卑属)
  • 第2順位:被相続人の両親など(直系尊属)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(死亡している場合は、その子)※兄弟姉妹の代襲相続は1代限り

それぞれの順位の相続人がどれだけ相続するか(法定相続分)は、次の記事で確認できます。

相続手続きでは、被相続人との親族関係だけでなく、相続人本人が現在も存命であることや氏名・本籍地などを確認する必要があります。そのため、不動産の相続登記や預貯金の解約手続きでは、被相続人の戸籍謄本に加えて、相続人全員の戸籍謄本の提出を求められることが一般的です。

また、相続人の中に亡くなっている人がいる場合は、代襲相続が発生している可能性があります。その際は、代襲相続人の戸籍謄本についても取得しなければなりません。

離婚や再婚で家族の戸籍が分かれていると、ここでつまずきがちです。「みんなの法律相談」にも、「前の夫の戸籍にいる子どもや、夫の前妻との子の戸籍をどう取ればよいかわからない」という相談が寄せられています。

Q
遺産相続における複雑な家族構成による戸籍謄本の取得方法
相談者の疑問
【相談の背景】 父親が亡くなり、現在兄弟と遺産相続について話し合いしてますが、父の遺言状が見つかり、そこには自分の子供にも遺産をわけると書いてます。自分には離婚歴があり、子供は、前の夫の戸籍にいます。前夫は既に亡くなってますが、子供の戸籍謄本の取り方がわかりません。子供3人のうち1人は既に結婚していて、前の夫の戸籍から外れています。 また、私は再婚していて、今の夫も離婚歴があり、前妻との間に子供がいて、離婚時に子供は前妻が連れていき、夫の戸籍から外れています。 前妻はその後再婚してます。 父の遺言状には、夫の子供の名前もありますが、夫が言うには、前妻と自分の子供の居場所がわからないから戸籍謄本の取りようがない!と言います。 私は離婚後も前夫や子供たちと連絡を取り合ってたので、居場所わかってます。 この場合の戸籍謄本の取り方が知りたいです。 あと、兄弟の中で、兄が亡くなっていて、兄に子供がいるのですが、兄の子供にも遺産をわけると書いてますが、その場合の戸籍謄本も取りたいのですが、方法がわかりません。兄もまた離婚していて、兄の子供たちは、前妻が連れて出て、現在どこにいるかわかりません。 【質問1】 私の子供の戸籍謄本の取り方、夫の子供の戸籍謄本の取り方、亡くなった兄の子供の戸籍謄本の取り方が知りたいです。
弁護士の回答
後藤 貞和 弁護士
現在の住所は分からなくても戸籍は取得できます。 戸籍の請求に必要な情報は本籍と筆頭者(戸籍の一番上に記載された氏名の人)です。 取得したい戸籍の本籍と筆頭者が分かっていれば、もちろん当該情報に基づき本籍地の役所に請求をすればよいです。 例えば、Aさんが離婚した後の自分の子の戸籍を取りたい場合。離婚時のA自身の戸籍を見れば、子が移った先の本籍・筆頭者が記載されています(離婚し、Aが親権者でなくても子がそのままAの戸籍に残っている場合もあります。)。その新しい戸籍を取得し、さらに転籍したり新戸籍が作成されている場合も、その情報が元の戸籍に記載されているので、必要に応じて新しい戸籍を取得します。 自分の兄弟であれば、自分が親の戸籍にいるときに遡って戸籍を取っていけば、どこかで兄弟が婚姻等を理由に親の戸籍を離れている記載が出てきます。その出て行った先の戸籍を、やはり順次取得していけば現在の戸籍にたどり着けます。 以上は一例ですが、戸籍は元の戸籍⇒新しい戸籍とうつるときに必ず移動先と移動元の本籍・筆頭者が分かるようにつながりをもって記載されていくので、上記のようにたどっていくことで取得できるようになっています。
すべての回答を見る

戸籍を読むときに見落としやすいポイント

出生時の改製原戸籍、結婚後の除籍、死亡時の現在の戸籍の3通を矢印でつなぎ、前の結婚で生まれた子は古い戸籍にだけ記載され新しい戸籍には載らないことがあることを示した図

戸籍は、結婚や転籍、法改正による作り直しのたびに新しく作られます。古い戸籍に書かれていた子どもが、新しい戸籍には載っていないことがあるため、1通だけ見て判断しないことが大切です。

  • 改製原戸籍:法改正で作り直される前の、古い様式の戸籍です。
  • 除籍謄本:全員が結婚や死亡で抜けて、誰も残っていない戸籍です。
  • 身分事項欄:婚姻・離婚・養子縁組・認知の記載はここにあります。見落とすと、思わぬ相続人に気づけません。

古い戸籍の種類ごとの見分け方や、コンビニで取れるかどうかは、次の記事で確認できます。

思わぬ相続人(隠し子や前妻の子)が見つかることも

戸籍謄本を取得する過程で、思わぬ相続人が見つかることがあります。前妻との間の子どもや、認知されていない子どもなど、面識のない相続人が発覚するケースは決して珍しくありません。

このような場合、当事者だけで連絡をとるとトラブルになりやすいため、弁護士を通じて丁寧に対応することが重要です。

代襲相続・数次相続が生じているときの調査範囲

代襲相続とは、相続人になるはずだった子や兄弟姉妹が先に亡くなっているときに、その子(孫や甥・姪)が代わりに相続人になるしくみです。この場合は、先に亡くなった人の出生から死亡までの戸籍も集めて、その子どもを確定します。

数次相続(すうじそうぞく)とは、遺産分割が終わる前に相続人の1人が亡くなり、その人の相続人が話し合いに加わる状態です。亡くなった相続人についても、出生から死亡までの戸籍が必要になります。

集めた戸籍に亡くなった相続人が出てきたら、その人の相続人までたどると覚えておきましょう。

数次相続が生じたときの遺産分割の進め方や、放置するとどうなるかは、次の記事で解説しています。

③相続関係説明図を作成する

相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係を家系図のように整理した書類です。法律上の相続関係を一目で確認できるため、遺産分割協議や相続登記などの場面で活用できます。

自身で作るときの記載例や、添付する書類は次の記事で確認できます。

相続関係説明図を作成するメリット

  • 相続人の関係を一目で把握できる
  • 遺産分割協議を進めやすくなる
  • 相続登記の際に戸籍謄本の原本還付を受けられる場合がある
  • 相続手続き全体を整理しやすくなる

相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

相続手続きを進める際には、「法定相続情報一覧図」という制度もあります。両者の違いは以下のとおりです。

項目

相続関係説明図

法定相続情報一覧図

誰が作る?

相続人自身

相続人が作り、法務局(登記官)が認証

公的な証明になる?

ならない

なる

何に使う?

相続関係の整理

金融機関、証券会社、法務局への提出

どうやって手に入れる?

相続人自身で作成

法務局で申出

法定相続情報一覧図とは、戸籍謄本などをもとに相続人が作成し、法務局が認証して発行する公的な証明書です。

通常、金融機関や証券会社、不動産の相続登記などの手続きでは、その都度戸籍謄本一式の提出を求められます。しかし、法定相続情報一覧図を取得しておけば、戸籍謄本の代わりに利用できるケースが多く、複数の相続手続きを効率的に進められます。

一覧図の写しは無料で交付されます。申出の流れや必要書類は、次の記事でくわしく解説しています。

連絡がとれない・行方がわからない相続人がいるとき

連絡先がわからなくても、その相続人を除いて遺産分割をすることはできません。次の順で進めます。

戸籍の附票で今の住所を調べる

戸籍の附票(ふひょう)とは、その戸籍に入っている間の住所の移り変わりが記録された書類です。相続人の今の本籍地がわかれば、その本籍地の役所で附票を取り、現在の住所を調べられます。

附票は本人や直系の親族のほか、相続手続きに必要な人も理由を示せば請求できます。広域交付の対象外なので、本籍地の役所に請求します。

手紙で連絡するときの注意点

住所がわかったら、まずは手紙で連絡します。面識のない相続人には、自身が誰か、誰が亡くなったか、なぜ連絡したかを落ち着いた文面で伝え、返事の期限と連絡方法を書き添えましょう。

返事がないまま時間が過ぎるなら、弁護士を通じて連絡する方法や、家庭裁判所の遺産分割調停を検討します。

「みんなの法律相談」には、「戸籍をたどって亡き叔母の甥・姪の住所までわかったが、手紙を送っても連絡をくれない」という相談も寄せられています。

Q
相続人と連絡がとれない
相談者の疑問
【相談の背景】 叔母の相続の手続きを、進行中です。叔母の異母兄弟姉妹の子供、甥姪にあたると思うのですが連絡先を、戸籍から、たどり住所までわかり、遺産相続の話し合いをしたいのですが、連絡をくれません。 【質問1】 遺産相続を、諦めるべきでしょうか?連絡を取る最善の方法は、自宅への訪問しかないのでしょうか?
弁護士の回答
森田 英樹 弁護士
> 遺産相続を、諦めるべきでしょうか?連絡を取る最善の方法は、自宅への訪問しかないのでしょうか? ・・・急がば回れで 家庭裁判所に調停申し立てをなさるのが結局は解決の早道となると思います。   叔母の異母兄弟姉妹の子供 ・・・なお 半血の兄弟の相続分は 全血の兄弟の2分の1ですので ご留意を
すべての回答を見る

父親や母親が違う兄弟姉妹が相続人になったときの連絡の取り方は、次の記事で具体的に解説しています。

所在がわからないときは不在者財産管理人や失踪宣告を検討する

附票の住所に住んでいないなど、どうしても所在がわからない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます。選ばれた管理人が家庭裁判所の許可を得て、行方不明の相続人の代わりに遺産分割協議に加わります。

生死不明の状態が7年間続いているときは、失踪宣告を申し立てる方法もあります。ただし、住所がわからないだけで生きていることがわかっている場合は、失踪宣告の対象にはなりません。

附票の住所に住んでいなかったケースとして、「みんなの法律相談」には「叔父の相続で、叔父に父親違いの弟がいるとわかったが、附票の住所には住んでおらず見つからない」という相談があります。

Q
相続人の所在がわかりません
相談者の疑問
【相談の背景】 半年ほど前に叔父(父の弟)が亡くなったという連絡が警察からありました。 私の父はすでに他界しております。 叔父の財産は2000万円ほどの預金がありました。 これを相続したいと思っていますが、戸籍を調べたところ叔父には、父親違いの弟がいることがわかりました。 ただその弟の現在の住所が不明です。 本籍地から取り寄せた附票に記載の住所には、住民票がないようです。 住所地にも赴きましたが、別の方が住んでいるようでした。 市役所の方がいうには、住所移転した際に本籍地への連絡がもれて、附票に記載がないのではないかとのことでした。 【質問1】 叔父の弟の所在をどのように探したらいいでしょうか。ちなみに他の相続人もこの弟の存在をだれも知りませんでした。 見つからない場合には、不在者財産管理人を申立てするのでしょうか。 【質問2】 失踪宣告の申し立ては可能でしょうか。
弁護士の回答
岡田 晃朝 弁護士
【質問1】 叔父の弟の所在をどのように探したらいいでしょうか。ちなみに他の相続人もこの弟の存在をだれも知りませんでした。 見つからない場合には、不在者財産管理人を申立てするのでしょうか。 そう思います。 【質問2】 失踪宣告の申し立ては可能でしょうか。 はい。両方進めることになるのではないでしょうか。
すべての回答を見る

失踪宣告の要件や、行方不明の相続人がいる相続の進め方は、次の記事でくわしく解説しています。

調査が完了したら「遺産分割協議」へ進もう

相続人が全て確定し、財産と借金も把握できたら、いよいよ遺産分割協議へ進みます。相続関係説明図と財産目録を作成して、全体像をまとめることが重要です。

財産と借金の調べ方や、財産調査を誰に頼むかは、次の記事で解説しています。

弁護士に調査から遺産分割まで一括依頼するメリット

弁護士に一括依頼する最大のメリットは、「たらい回しを避けられる」ことです。相続人調査から協議、相続放棄手続きまで、全て同じ弁護士が対応します。

弁護士は、複数の相続人間の交渉を代理できます。借金が発覚した場合も、債権者との交渉まで続けて任せられます。

相続人調査だけを頼む費用は前述のとおりで、遺産分割の交渉まで頼む場合は別に着手金や報酬金がかかります。「調査の完全性」「後々のトラブル予防」「時間の節約」という観点から考えると、決して高い投資ではありません。

戸籍集めや遺産分割に不安があれば弁護士へ相談を

平日に役所や銀行を回る時間がない、借金がないか不安、いろいろな専門家がいて誰に頼むべきかわからない——。そのような方は、調査からトラブル解決まで、相続人との交渉や調停の代理までできる弁護士にご相談ください。

相続人調査に関してよくある質問

【データで見る】相続人調査の相談で最も多いのは「専門家への依頼・費用」

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」に寄せられた相続の相談30,302件のうち、相続人の調査や確定、戸籍の収集に触れた相談は230件でした。

内訳は、専門家への依頼や費用に触れた相談が69件で最も多く、次いで相続人の連絡先・所在がわからない相談と、戸籍の集め方や読み方の相談がそれぞれ43件でした。

前の配偶者との子など面識のない相続人がいる相談は21件、相続関係説明図・法定相続情報一覧図に関する相談は14件でした(2021年4月1日〜2026年7月8日に投稿された相談。当社調べ、n=230)。

Q. 相続人調査にはどれくらいの期間がかかりますか?

本籍地の数と、窓口で取るか郵送で取るかによって大きく変わります。広域交付を使える人が窓口でまとめて請求できれば、短期間で集まることもあります。

本籍地が遠方に複数あり郵送で請求する場合は、前の戸籍を見てから次を請求するため、往復の郵送期間が重なって長引きます。

Q. 亡くなった人の本籍地がわからない場合はどう調べますか?

本籍地の記載がある住民票の除票を、亡くなった人の最後の住所地の役所で取ると確認できます。除票が残っていなければ、自身の戸籍など手元の戸籍からたどります。

Q. 市区町村から相続人調査の連絡が来たのはなぜですか?

亡くなった人に不動産があり、固定資産税の書類を受け取る相続人を確認するためであることが多いです。市区町村は戸籍で相続人を調べ、「相続人代表者指定届」の提出や、現に不動産を所有している人としての申告を求めることがあります。

届け出たからといって相続放棄ができなくなるわけではありませんが、放棄を考えている場合は提出前に確認しておくと安心です。

相続人代表者指定届の書き方や提出方法は、次の記事で記入例つきで解説しています。

まとめ

相続人調査は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍と相続人全員の戸籍を集めて、相続人を確定する作業です。配偶者と子だけが相続人なら自分でも進めやすく、費用は戸籍の手数料が中心です。

兄弟姉妹が相続人になる、前の配偶者との子や連絡がとれない相続人がいるといった場合は、専門家に頼んだほうが確実です。

面識のない相続人への連絡や所在がわからない相続人への対応は、進め方を誤ると遺産分割が長く止まります。相続放棄の期限が迫っているときも急ぎましょう。

まずは弁護士への初回相談で、自身のケースで誰が相続人になるのか、行方のわからない相続人にどう連絡し、遺産分割をどう進めるかを確認しておきましょう。

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