

相続関係説明図とは、亡くなった人と相続人の関係を図で整理した書類です。家系図のように、被相続人、配偶者、子、代襲相続人などの関係を線でつなぎ、相続人が誰なのかを一目で確認しやすくします。主に相続登記で使われることが多く、戸籍の内容を整理して提出先に説明する役割があります。
相続関係説明図そのものが相続人を証明する公的証明書になるわけではありません。相続人の確認は、あくまで戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などの戸籍資料をもとに行います。図は、その戸籍で確認した関係をわかりやすく示すためのものです。
書類・図 | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|
相続関係説明図 | 相続関係を図で説明する | 公的な認証文は付かない |
法定相続情報一覧図 | 法務局の確認を受けた一覧図を手続きに使う | 申出と戸籍一式の提出が必要 |
戸籍一式 | 法定相続人を確認する根拠資料 | 出生から死亡まで連続して集める |
相続登記では、不動産の名義人が亡くなったこと、誰が相続人になること、どの相続人が不動産を取得することなどを、戸籍や遺産分割協議書などで確認します。相続関係説明図を添付すると、提出された戸籍と相続人の関係を照らし合わせやすくなります。
相続人が配偶者と子だけのように単純なケースでも、前婚の子、養子、認知した子、すでに亡くなった子の子などがいると、相続関係は複雑になります。戸籍を読んだ結果を図にすることで、相続人漏れを防ぎやすくなります。
相続登記で戸籍謄本などの原本を提出する場合、相続関係説明図を添付すると、戸籍謄本・除籍謄本についてはコピーの添付を省略して原本の還付を受けられる取扱いがあります(不動産登記規則55条、平成17年2月25日民二第457号通達)。返却された戸籍は、預貯金の払戻しなど別の相続手続きで再利用できます。
ただし、原本還付の扱いや必要な添付書類は提出先や手続きによって異なります。実際に提出する前に、管轄法務局や提出先の案内を確認しましょう。
相続関係説明図は、すべての相続手続きで必ず必要な書類ではありません。もっとも、相続登記をする場合、戸籍の原本還付を受けたい場合、相続人が多い場合、代襲相続や数次相続がある場合には、作成しておくと手続きの整理に役立ちます。
提出先から指定様式を案内されている場合は、その様式に合わせて作成します。指定がない場合でも、戸籍上の氏名、続柄、死亡日、住所などを正確に反映することが大切です。
相続関係説明図と混同しやすい書類に、法定相続情報一覧図があります。どちらも被相続人と相続人の関係を示す図ですが、効力や使い道が異なります。大きな違いは、法務局による認証の有無と、戸籍一式の提出を省略できる場面があるかどうかです。
項目 | 相続関係説明図 | 法定相続情報一覧図 |
|---|---|---|
認証の有無 | 認証文は付かない | 登記官の認証文付きの写しが交付される |
主な用途 | 相続登記で相続関係を説明する | 登記、金融機関、証券会社など複数手続きで使う |
戸籍提出の省略 | 原則として戸籍の代わりにはならない | 提出先によって戸籍一式の代わりに使えることがある |
テンプレート | 提出先指定があれば従う | 法務局が様式・記載例を公開している |
相続関係説明図は、作成者が戸籍の内容をもとに相続関係を整理した図です。法務局へ提出することはあっても、図そのものに登記官の認証文が付くわけではありません。
一方、法定相続情報一覧図は、戸籍一式などと一緒に法務局へ申出を行い、登記官の確認を受けることで、認証文付きの写しを交付してもらえる制度です(不動産登記規則247条)。この認証文付きの写しを、複数の相続手続きで利用できる場合があります。
相続関係説明図は、戸籍の内容を説明するための図なので、原則として戸籍一式そのものの代わりにはなりません。相続人を証明するためには、戸籍謄本などの提出を求められるのが通常です。戸籍提出の負担を減らしたい場合は、法定相続情報一覧図の利用を検討します。
法定相続情報一覧図の写しの交付に手数料はかからず、必要な通数を無料で受け取れます。
ただし、法定相続情報一覧図があっても、遺産分割協議書、印鑑証明書、住民票、相続登記申請書など、別の書類が必要になることがあります。最終的な必要書類は、登記、金融機関、証券会社など提出先ごとに確認しましょう。

相続関係説明図は、戸籍をもとに作成します。記憶や親族からの聞き取りだけで図を作ると、前婚の子、養子、認知した子、代襲相続人などを見落とすおそれがあります。先に必要書類を集め、相続人を確認してから図を書くのが基本です。
書類 | 確認できること |
|---|---|
被相続人の出生から死亡までの戸籍一式 | 子、婚姻、離婚、養子縁組、認知などの身分関係 |
相続人の現在戸籍 | 相続人が生存していること、現在の氏名 |
住民票・戸籍附票 | 被相続人の最後の住所、相続人の住所 |
死亡記載のある戸籍 | 死亡した相続人や代襲相続の有無 |
遺産分割協議書など | 不動産を取得する相続人、分割内容 |
被相続人については、出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍を集めます。死亡時の戸籍だけでは、過去の婚姻、離婚、養子縁組、認知、子の有無などが確認できないことがあります。
戸籍は本籍地の自治体で管理されているため、転籍や婚姻で本籍が変わっている場合は、複数の自治体から取り寄せることがあります。古い戸籍から新しい戸籍へ、身分関係が連続して確認できるかを見ながら集めましょう。
なお、2024年3月からは広域交付制度により、本籍地以外の最寄りの市区町村窓口でも、全国の戸籍謄本・除籍謄本をまとめて請求できるようになりました(戸籍法120条の2)。
ただし、請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られ、兄弟姉妹の戸籍は請求できません。また、窓口での請求に限られ(郵送・代理人は不可)、コンピュータ化されていない一部の戸籍も対象外なのでご注意ください。
相続人については、現在の戸籍を集めます。相続人が生存していること、被相続人との続柄、氏名の変更などを確認するためです。相続人の中にすでに亡くなっている人がいる場合は、その人の子などが代襲相続人になるかを確認します。
住所を記載する場合は、相続人の住民票や戸籍の附票を取得します。法定相続情報一覧図では相続人の住所記載は任意とされていますが、住所を記載することで、その後の手続きで住民票の提出を省略できる場合があります。
相続関係説明図には、死亡した人の死亡日や、被相続人の最後の住所を書くことがあります。死亡日は戸籍で確認し、最後の住所は住民票の除票や戸籍の附票で確認します。
相続登記では、登記簿上の住所と被相続人の最後の住所が異なる場合、同じ人であることを住所のつながりで説明する必要があります。住所がつながらない場合は、追加資料を求められることがあります。

相続関係説明図を書くときは、まず被相続人を中心に置き、配偶者、子、父母、兄弟姉妹などの関係を戸籍に沿って整理します。図の形に決まった全国共通の唯一の様式があるわけではありませんが、誰が見ても相続関係を確認できることが重要です。氏名、続柄、死亡日、住所などは、戸籍や住民票に合わせて正確に記載しましょう。
まず、被相続人の氏名、死亡日、最後の住所、本籍などを記載します。相続登記で使う場合は、登記簿上の住所とのつながりが問題になることがあるため、住民票の除票や戸籍の附票で確認した住所をもとに書きます。
法定相続情報一覧図を参考にする場合も、どこまで住所を書くか、認証文が入る欄に何も書かないかなど、様式上の注意点を確認します。相続関係説明図として提出する場合は、提出先の案内に合わせましょう。
相続人は、戸籍で確認した順に整理します。配偶者は常に相続人になります(民法890条)。子がいれば子、子がいなければ父母などの直系尊属、直系尊属もいなければ兄弟姉妹が相続人になります(民法887条・889条)。
図では、配偶者と被相続人を横に並べ、子を下に配置するなど、家族関係が自然に追える形にします。相続人ではない親族まで広く書きすぎると、かえってわかりにくくなるため注意しましょう。
被相続人の子が先に亡くなっている場合、その子の子、つまり被相続人から見た孫が代襲相続人になることがあります(民法887条2項)。この場合は、亡くなった子の下に代襲相続人を記載し、死亡日もあわせて書くと関係がわかりやすくなります。
相続放棄をした人がいる場合、提出先によって記載方法が変わることがあります。相続放棄申述受理通知書や受理証明書の提出が必要になることもあるため、図だけで判断せず、提出先に確認しましょう。代襲相続や相続放棄があるケースは、図の記載ミスが起こりやすい部分です。
相続関係説明図は、相続人を整理するために便利な書類ですが、内容に誤りがあると手続きが止まる原因になります。作成後は、戸籍、住民票、遺産分割協議書などと照らし合わせながら確認しましょう。
相続関係説明図で最も注意したいのは、相続人漏れです。死亡時の戸籍だけを見て図を作ると、前婚の子、養子、認知した子、すでに亡くなった子の子などを見落とすおそれがあります。被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認し、相続人の範囲を確定してから作成しましょう。
氏名は戸籍の表記に合わせます。旧字体、新字体、婚姻後の氏、離婚後の氏などで表記が変わっている場合は、どの時点の氏名を書くべきか確認します。住所も、住民票や戸籍の附票に合わせて記載します。
相続登記では、住所のつながりや氏名の一致が重要になることがあります。戸籍や住民票と図の表記がずれていると、追加説明や補正が必要になる場合があります。
相続関係説明図に法律上の決まった書式があるわけではありませんが、提出先が記載例や指定様式を案内していることがあります。相続登記で提出する場合は、管轄法務局の案内や申請内容に合わせて、必要な記載事項を確認します。
法定相続情報一覧図のテンプレートを参考にする場合も、相続関係説明図として提出するなら、認証文欄、余白、住所記載、申出人表示などの扱いをそのまま流用してよいか確認しましょう。
確認ポイント | チェック内容 |
|---|---|
相続人 | 戸籍で確認した相続人が全員記載されているか |
死亡日 | 死亡した人の死亡日が戸籍と一致しているか |
住所 | 住民票や戸籍附票と一致しているか |
続柄 | 戸籍上の続柄や相続関係が自然に読めるか |
提出先指定 | 様式、余白、添付書類の指定に合っているか |
相続関係説明図を自分で作成するときに迷いやすい点を整理します。手書きでよいか、法務局テンプレートを使えるか、法定相続情報一覧図だけで足りるかは、提出先や手続きの目的によって変わります。
手書きでも、相続関係が読み取れ、氏名、続柄、死亡日、住所などが正確に記載されていれば受け付けられる場合があります。ただし、読み間違いを防ぐため、パソコンで作成した方が見やすく、修正もしやすいでしょう。
提出先が指定様式やデータ形式を案内している場合は、その指示に従います。相続人が多い場合や代襲相続がある場合は、線の引き方や配置が複雑になるため、パソコンで作成する方が整理しやすくなります。
法務局が公開しているテンプレートは、法定相続情報一覧図用の様式です。相続関係説明図そのものの専用テンプレートではありませんが、相続人の配置や続柄の書き方を確認する参考資料として使えます。配偶者と子、子のみ、配偶者と父母、配偶者と兄弟姉妹、代襲相続など、相続人構成ごとの記載例を見て、自分のケースに近いものを選びましょう。
法定相続情報一覧図の写しがあれば、複数の相続手続きで戸籍一式の提出を省略できることがあります。相続登記、預貯金の払戻し、証券口座の手続きなどで使える場合があるため、手続きが多い人には便利です。ただし、すべての手続きが法定相続情報一覧図だけで完了するわけではありません。
遺産分割協議書、印鑑証明書、住民票、相続登記申請書、相続放棄に関する証明書など、別の書類が必要になることがあります。相続関係説明図を作るか、法定相続情報一覧図を作るかは、手続きの数、提出先、戸籍提出の負担を見て判断しましょう。

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