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相続登記
更新日:2026/08/13

相続した家の名義変更|手続きの流れ・必要書類・費用をわかりやすく解説

監修者
馬場亨二
東京都>港区
馬場亨二法律事務所
馬場亨二
相続した家の名義変更|手続きの流れ・必要書類・費用をわかりやすく解説
「親から家を相続したけれど、名義変更ってどうすればいいの?」「2024年から義務になったと聞いて不安」——そんな方に向けた記事です。相続した家の名義変更とは、いわゆる「相続登記」のこと。放置すると売却できないうえ、期限を過ぎると過料の対象にもなります。この記事では、名義変更(相続登記)の期限や放置のリスク、手続きの流れ、必要書類、費用、自分でやるか専門家に頼むかの判断まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
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相続した家の名義変更は「相続登記」のこと

相続した家の名義変更とは、亡くなった人の名義になっている家(不動産)を、相続する人の名義に変える手続きのことです。正式には「相続登記」と呼ばれ、法務局で行います。

「名義変更」と「相続登記」は同じものだと考えて差し支えありません。まずは、なぜ名義変更が必要なのか、どんなときに必要になるのかを押さえましょう。

名義変更をしないと家は自分のものと認められない

家を相続しても、名義が亡くなった人のままでは、「自分がこの家を相続した」と第三者に主張できません(民法177条)。

そのため、名義変更をしないと、その家を売却したり、担保に入れてお金を借りたりすることが実務上できません。名義が古いままだと、いざ活用しようとしたときに動けなくなってしまいます。

生前贈与や離婚(財産分与)による名義変更との違い

家の名義変更には、相続以外にも、生前贈与や離婚の財産分与によるものがあります。同じ「名義変更」でも、登記の原因や税金の扱いが異なります

たとえば、生前贈与による名義変更は登録免許税の税率が2%で、受け取った人に贈与税がかかることがあります。相続による名義変更(相続登記)は税率0.4%で、相続税の対象です。この記事では、相続による名義変更(相続登記)を説明します。

相続で名義変更が必要になる主なケース

相続した家の名義変更が必要になるのは、次のような場面です。

  • 親などが亡くなり、家(実家)を相続した
  • 相続した家を売却したい、賃貸に出したい
  • 家を担保に融資を受けたい
  • 相続した家を次の世代へさらに引き継ぐ

いずれの場合も、まずは名義を相続人に変える相続登記が出発点になります。

相続した家の名義変更はいつまで?義務化された期限

2024年4月1日に相続登記が義務化され、相続で取得を知った日から3年以内が期限、施行前に相続した家は2027年3月末までが期限、間に合わないときは相続人申告登記で義務を果たせることを示したタイムライン図

以前は相続登記に期限はありませんでしたが、2024年からは義務になり、期限も定められました。ここは必ず押さえておきたいポイントです。

2024年4月から相続登記が義務化された

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務化されました(不動産登記法76条の2)。これまでは任意でしたが、相続で不動産を取得した相続人は、登記をしなければならなくなりました。

背景には、名義が変更されないまま放置され、持ち主の分からない土地が全国で増えている問題があります。

期限は不動産の取得を知った日から3年以内

期限は、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内です。多くの場合、親などが亡くなり、自分が家を相続すると分かった時点が起算点になります。

「3年もある」と感じるかもしれませんが、遺産分割の話し合いや書類集めに時間がかかることも多いため、早めの着手が安心です。

過去に相続した家も2027年3月末までに登記が必要

義務化は、2024年4月より前に相続した家(過去の相続)にもさかのぼって適用されます。この場合の期限は、「施行日(2024年4月1日)」と「取得を知った日」のいずれか遅い日から3年以内です。

つまり、施行前にすでに相続していた家は、原則として2027年(令和9年)3月末までに登記する必要があります。「何十年も名義がそのまま」という家も対象なので、心当たりがあれば早めに確認しましょう。

すぐに登記できないときは相続人申告登記で義務を果たせる

遺産分割の話し合いがまとまらず、3年以内に相続登記ができないこともあります。そのときは、「相続人申告登記」という簡易な手続きがあります(不動産登記法76条の3)。

自分が相続人であることを法務局に申し出るもので、これをすればとりあえず登記の申請義務を果たしたものとして扱われます。ただし、その後に遺産分割で家を取得したら、分割の日から3年以内に改めて相続登記が必要です。相続人申告登記のくわしい内容は、次の記事が参考になります。

相続した家の名義変更を放置するとどうなる

期限があるとはいえ、「まだ大丈夫」と放置してしまう方は少なくありません。しかし、放置には次のようなリスクがあります。

正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料

正当な理由がないのに期限内に相続登記をしないと、10万円以下の過料の対象になることがあります(不動産登記法164条1項)。

過料は、登記官からの催促(催告)を経て、裁判所の判断で科されるしくみです。「必ず即座に科される」わけではありませんが、義務である以上、放置は避けるべきです。

なお、「相続人が非常に多く戸籍を集めるのに時間がかかる」「遺言の有効性が争われている」など、期限内に登記できないやむを得ない事情があれば、正当な理由として認められることがあります。とはいえ、単に「忙しかった」では認められにくいため、間に合わないときは相続人申告登記などで早めに対応しましょう。

家を売却したり担保に入れたりできない

名義が亡くなった人のままでは、その家を売ることも、担保に入れて融資を受けることもできません。いざ「売りたい」「活用したい」と思ったときに、まず相続登記から始めなければならず、手間と時間がかかります。

相続人が増えて手続きが複雑になる

放置している間に相続人の一人が亡くなると、その相続人の家族が新たに加わり、関係する相続人がねずみ算式に増えていきます

会ったことのない親族まで巻き込んで話し合うことになり、全員の合意を得るのが難しくなります。名義変更は、相続人が少ないうちに早く済ませるのが得策です。

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相続した家の名義変更の流れ

相続登記は、遺言書の有無の確認、相続人の確定、遺産分割協議で家を相続する人を決める、必要書類を集めて登記申請書を作成、管轄の法務局へ申請、という5つのステップで進むことを示した流れ図

相続した家の名義変更(相続登記)は、次の流れで進めます。全体像をつかんでおきましょう。

遺言書の有無を確認する

まず、遺言書があるかどうかを確認します。遺言書で家を相続する人が指定されていれば、その内容にもとづいて登記を進められ、遺産分割協議は原則として不要です。

相続人を確定する

遺言書がない場合は、誰が相続人かを確定します。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集め、相続人を漏れなく把握します。相続人の範囲や順位の基本は、次の記事も参考になります。

遺産分割協議で誰が家を相続するか決める

相続人が確定したら、遺産分割協議(相続人全員の話し合い)で、誰が家を相続するかを決めます。全員が合意したら、その内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名・押印します。

家は現金のように単純に分けられないため、「1人が引き継いで、ほかの相続人には代わりに現金を渡す」といった方法をとることもあります。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法もあります。遺産分割協議書の書き方は、次の記事が参考になります。

必要書類を集めて登記申請書を作成する

家を相続する人が決まったら、登記に必要な書類を集め、登記申請書を作成します。必要書類は次の章でくわしく説明します。

管轄の法務局へ登記を申請する

書類がそろったら、その不動産を管轄する法務局へ登記を申請します。申請は窓口・郵送・オンラインで行えます。書類に不備がなければ、1〜2週間程度で登記が完了します。相続登記を自分でする手順は、次の記事でくわしく解説しています。

相続した家の名義変更に必要な書類

相続登記では、次のような書類が必要です。誰が相続するか(遺言か遺産分割か)で一部変わりますが、基本は共通です。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの、連続したすべての戸籍謄本が必要です。相続人を確定するためのもので、本籍を移していると複数の市区町村から集めることになります。

相続人の戸籍謄本・住民票

相続人全員の現在の戸籍謄本と、家を相続する人の住民票が必要です。相続人が存命であることや、新しい名義人の住所を証明するために使います。

固定資産評価証明書と登記事項証明書

登録免許税の計算に使う固定資産評価証明書(市区町村で取得)と、対象の不動産を確認するための登記事項証明書が必要です。

遺言書または遺産分割協議書

誰が家を相続するかを示す書類として、遺言書(ある場合)、または遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印と印鑑証明書つき)が必要です。

遺産分割協議で決めた場合は、相続人全員の印鑑証明書も添付します。どの書類が必要かは、遺言があるか・法定相続分どおりか・遺産分割協議によるかで変わります。相続登記の必要書類はケースで変わるため、次の記事もあわせて確認すると安心です。

相続した家の名義変更にかかる費用

相続登記の費用は、登録免許税が固定資産税評価額の0.4%、戸籍や証明書などの書類取得費が数千円程度、司法書士に依頼する場合はその報酬が加わる、という内訳を示した図

名義変更には、税金や書類代などの費用がかかります。おもな内訳を見ておきましょう。

登録免許税は固定資産税評価額の0.4%

相続登記でかかる主な税金が登録免許税です。税額は、固定資産税評価額(登録免許税の課税標準額)の0.4%です。

たとえば評価額が1,000万円の家なら、登録免許税は4万円(1,000万円×0.4%)です。評価額が3,000万円なら12万円になります。評価額は、市区町村の固定資産評価証明書や、毎年届く固定資産税の納税通知書で確認できます。家と土地の両方があれば、それぞれの評価額を合計して計算します。

戸籍謄本などの書類取得費用

戸籍謄本や住民票、評価証明書などの取得にも手数料がかかります。1通あたり数百円程度ですが、集める通数が多いと合計で数千円になることもあります。

司法書士に依頼する場合の報酬の目安

手続きを司法書士に依頼する場合は、報酬がかかります。事案の複雑さや事務所によって幅がありますが、おおむね数万円〜十数万円程度が目安です。費用のくわしい内訳は、次の記事が参考になります。

税金や免税措置は専門家に確認する

一定の要件を満たす土地の相続登記には、登録免許税の免税措置が設けられています。ただし、適用の要件や期限が細かく定められているため、使えるかどうかは法務局や専門家に確認するのが確実です。税額や特例の判断に迷うときは、司法書士や税理士に相談しましょう。

相続した家の名義変更は自分でできる?司法書士に依頼する?

相続登記は、自分で手続きすることもできますし、司法書士に依頼することもできます。どちらが向いているかは、事案の複雑さと、かけられる手間で判断しましょう。

自分で手続きするメリットと向いているケース

自分で手続きすれば、司法書士報酬がかからず、費用を抑えられます。相続人が少なく、遺言や遺産分割の内容がはっきりしている、対象が1つの不動産だけ、といったシンプルなケースは、自分でも進めやすいでしょう。

ただし、戸籍集めや申請書作成には手間がかかり、平日に法務局や役所へ行く必要もあります。申請書の書き方に不備があると補正(やり直し)を求められることもあるため、事前に法務局の相談窓口を利用すると安心です。相続登記申請書の書き方は、次の記事が参考になります。

司法書士に依頼するメリットと向いているケース

司法書士に依頼すると、戸籍集めから申請までを任せられ、手間とミスを減らせます。相続人が多い、何代も名義が変わっていない、遠方に不動産がある、といった複雑なケースは、専門家に任せると安心です。

費用と手間で判断する

「費用を抑えたいか」「手間をかけたくないか」で選ぶのが基本です。シンプルな相続は自分で、複雑な相続やまとまった時間が取れない場合は司法書士に、と考えるとよいでしょう。

なお、相続人どうしで家の分け方をめぐって争いがある場合は、司法書士ではなく弁護士に相談するのが適切です。登記だけでなく、話し合いや調停の代理も任せられるためです。判断に迷うときは、まず相談してみるのも一つの方法です。

相続した家の名義変更についてのよくある質問

家と土地は一緒に名義変更する必要がある?

はい。法律上、家(建物)と土地は別々の不動産として扱われるため、それぞれに相続登記が必要です。ただし、実務では1つの申請書でまとめて申請するのが一般的です。土地の登記を忘れやすいので注意しましょう。

住宅ローンが残っている家でも名義変更できる?

できます。住宅ローンの担保(抵当権)が付いていても、相続登記は可能です。ただし、抵当権は登記されたまま引き継がれ、相続登記で消えるわけではありません。ローンの返済や、団体信用生命保険で完済される場合の抵当権抹消などは、別途手続きが必要です。

名義変更の手続きにはどのくらい期間がかかる?

書類がそろっていれば、法務局に申請してから完了まで1〜2週間程度が目安です。ただし、戸籍集めや遺産分割の話し合いに時間がかかることが多く、準備を含めると数か月かかることも珍しくありません。

とくに、相続人が多い場合や本籍を何度も移している場合は、戸籍集めだけで数週間〜数か月かかることもあります。義務化で3年という期限がある以上、思い立ったら早めに動き始めるのが安心です。

まとめ

相続した家の名義変更とは「相続登記」のことで、名義を変えないと家を売却したり担保に入れたりできません。2024年4月からは義務化され、取得を知った日から3年以内(過去に相続した家は原則2027年3月末まで)に登記しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります。

手続きは、遺言の確認・相続人の確定・遺産分割協議・書類収集・法務局への申請という流れで進みます。登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)などの費用もかかります。

「実家の名義が親のままになっている」「何から始めればいいか分からない」「相続人が多くて手続きが不安」というときは、放置するほど相続人が増え、手続きも複雑になります。まずは初回相談で、自分のケースで何をすべきかを整理しておくと安心です。

早めに弁護士や司法書士に相談しておくと、期限に間に合わせつつ、スムーズに名義変更を進められます。

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この記事の監修者
馬場亨二
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