相続登記申請書とは、相続登記の申請を行う際に、法務局または地方法務局に対して提出すべき申請書です。 相続または遺贈によって不動産を取得した場合は、相続登記の手続きを行う必要があります。
相続登記(所有権移転登記)を得ることにより、不動産の所有権を第三者に対抗できるようになり、賃貸や売却が可能となります。
また、2024年4月1日から改正不動産登記法が施行され、相続または遺贈による不動産の所有権の取得を知った時から3年以内の相続登記が義務付けられる予定です。2024年3月31日以前に不動産の所有権を取得した場合は、2024年7月1日までに相続登記の手続きを行わなければなりません。
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相続登記の登記申請書には、相続または遺贈による所有権取得の詳細情報を記載した上で、相続関係を示す書類などを添付して提出します。登記官は、登記申請書および添付情報の内容を審査した上で、問題なければ相続登記を行います。
相続登記の申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局または地方法務局です。登記申請書および添付情報を持参するか、または郵送して申請します。
オンラインでの相続登記申請も認められていますが、添付情報として提出すべき戸籍謄本類が電子文書で発行されていないので、現時点ではオンラインで相続登記の手続きを完結することができません。
オンラインで登記申請をした場合には、書面の戸籍謄本類を法務局または地方法務局に持参または郵送する必要があります。
相続登記の申請を行う際には、登記申請書を作成する必要があります。 登記申請書の書式は、法務局ウェブサイトに掲載されています。作成に当たっては、以下の記載事項を参考にしてください。
関連リンク:不動産登記の申請書様式について|法務局
「所有権移転」と記載します。
相続人が不動産を取得した場合は「令和○年○月○日相続」、相続人以外の者が不動産を取得した場合は「令和○年○月○日遺贈」と記載します。記載する日付は、被相続人が亡くなった日です。
被相続人の氏名と住所、申請人(=不動産の所有権を取得した人)の氏名・住所・平日日中の連絡先を記載した上で、申請人が認印を押印します。共有の場合は、共有持分割合も記載します。
氏名と住所については、住民票の写しに記載されているとおりに記載しなければなりません。省略は不可です。
被相続人および申請人の住所については、任意で住民票コードを記載できます。住民票コードを記載すれば、添付情報である住民票の写しの提出を省略できます。
「登記原因証明情報」「住所証明情報」と記載します。
登記原因証明情報とは、相続関係を示す戸籍謄本類または法定相続情報一覧図、および相続の内容を示す遺言書や遺産分割協議書などのことです。
住所証明情報とは、住民票の写しのことです。被相続人およびすべての申請人の住民票コードを記載した場合には、住民票の写しを提出する必要がないので、「住所証明情報」の記載は省略します。
登記識別情報の通知を希望しない場合には、チェックします。
「令和○年○月○日申請 ○○法務局」と記載します。
申請日は、登記申請書の提出日です。
申請先について、地方法務局の場合は「○○地方法務局」、支局の場合は「○○法務局○○支局」、出張所の場合は「○○法務局○○出張所」と記載します。
登録免許税の課税標準を計算して記載します。課税標準の計算方法は、法務局ウェブサイトに掲載されている資料をご参照ください。計算方法が分からない場合は、弁護士または司法書士への相談をおすすめします。
法務局ウェブサイトに掲載されている資料を参照して、登録免許税額を計算して記載します。計算方法が分からない場合は、弁護士または司法書士にご相談ください。
相続登記を申請する不動産の情報を記載します。土地については所在・地番・地目・地積、建物については所在・家屋番号・種類・構造・床面積を記載します。
不動産番号を記載した場合は、上記の情報の記載は省略可能です。不動産番号は、登記事項証明書の表題部に記載されています。
なお、相続関係説明図を登記申請書に添付すると、戸籍謄本類の原本還付を受けることができます。
登記申請書のほか、相続登記の申請を行う際には、以下の書類の添付が必要です。
・遺産分割協議書および相続人全員の印鑑登録証明書(協議の場合)
・調停調書(調停の場合)
・審判書および確定証明書(審判の場合)
なお、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本については、法定相続情報一覧図の写しで代用可能です。 スムーズに相続登記を完了するため、必要書類を漏れなく揃えましょう。弁護士や司法書士に依頼すれば、登記申請書の作成や必要書類の収集を一任できます。
相続登記の申請に当たっては、登記申請書を作成して法務局または地方法務局に提出しなければなりません。また、添付情報を揃えて提出することも必要です。 スムーズに相続登記の申請を行うためには、弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。特に弁護士に相談すれば、遺産分割などの対応も併せて依頼できるので安心です。
不動産の相続について分からないことがある方は、お早めに弁護士などの専門家へご相談ください。