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相続財産調査
更新日:2026/09/07

財産目録の書き方と記載例|テンプレート入手先と書き方の注意点

監修者
佐藤剛
神奈川県>藤沢市
湘南台法律事務所
佐藤剛
財産目録の書き方と記載例|テンプレート入手先と書き方の注意点
財産目録とは、亡くなった方が残した財産を、預貯金や不動産、借金まで一覧にした書面をいいます。この記事では、財産目録が必要になる場面や、自分で作るときの書き方・記載例、無料で使えるテンプレートの入手先、そして記載漏れや評価額でもめないための注意点まで、初めての方にも分かるように弁護士監修で解説します。
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財産目録とは?相続で記載する財産の範囲

財産目録とは、亡くなった方(被相続人)が残した財産を種類ごとに一覧にした書面です。相続では、誰が何を引き継ぐかを決める前に、まず「どんな財産がどれだけあるのか」を整理する必要があります。

決まった書式は法律で定められていません。ノートやパソコンで作ってもかまいませんが、後から誰が見ても分かるように、財産を正確に書き出すことが大切です。

プラスの財産とマイナスの財産に分けて書く

財産目録には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も書きます。

プラスの財産だけを見て「遺産が多い」と思っても、あとから多額の借金が見つかると、相続人が返済を背負うことになりかねません。両方を並べて初めて、相続すべきか放棄すべきかを判断できます。

マイナスの財産の書き漏らしは、判断ミスに直結します。住宅ローンや事業の借入れ、未払いの税金なども忘れずに書き出しましょう。

財産目録・遺産分割協議書・遺言書の違い

似た書類と混同しやすいので、役割の違いを整理しておきましょう。

書類

役割

財産目録

財産の中身を一覧にする

遺産分割協議書

誰が何を相続するかを決めて残す

遺言書

本人が生前に分け方を指定する

財産目録は「何があるか」をまとめるもので、「誰がもらうか」を決めるのは遺産分割協議書や遺言書です。財産目録で全体像を整理してから、分け方を話し合う流れになります。

遺産分割協議書の作り方は、次の記事でひな形とあわせて解説しています。

財産目録が必要になる場面と作成する人

財産目録は、すべての相続で法律上の作成義務があるわけではありません。ただし、次のような場面では作成が必要だったり、作っておくと手続きがスムーズになります。

遺言書を作成するとき

生前に遺言書を作るときは、どの財産を誰に渡すかを決めるために、財産目録があると整理しやすくなります。

とくに自筆証書遺言では、財産目録を添付する形でまとめる方法が使えます。書き方には決まったルールがあるため、後ほど「自筆証書遺言に添付するときのルール」でくわしく説明します。

遺言書の書き方は、次の記事も参考になります。

遺産分割や相続放棄を検討するとき

相続人どうしで遺産を分けるときは、財産目録があると「何をどう分けるか」の話し合いが進めやすくなります。

相続放棄を考えるときも、財産目録は重要です。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。この短い期間で、プラスとマイナスのどちらが多いかを見極めるために、財産の一覧が役立ちます。

なお、調査中でも遺産を使ったり処分したりすると、相続を認めたもの(単純承認)とみなされ、放棄できなくなることがあります。財産目録を作る段階では、預貯金の引き出しなどに注意しましょう。

期限の数え方や、間に合わないときの延長については、次の記事でくわしく解説しています。

遺言執行者が選任されたとき

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを進める人のことです。遺言執行者に選ばれた人は、就職後遅滞なく相続財産の目録を作成し、相続人に交付する義務があります(民法1011条)。

相続人から求められたときは、相続人の立会いのもとで作成するか、公証人に作成してもらう必要があります。財産目録の作成を怠ると、任務を果たしていないとして解任される理由にもなります。

遺言執行者の役割や報酬については、次の記事で確認できます。

相続税の申告や遺産分割調停をするとき

相続税の申告が必要な場合も、財産の全体像を示す財産目録が土台になります。相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。

相続税がかかるかどうかは、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで決まります。この計算にも、財産の合計額を把握する財産目録が欠かせません。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って相続税がゼロになる場合でも、特例を受けるには申告書の提出が必要です。財産目録で全体を把握しておくと、申告が必要かどうかの判断に役立ちます。

話し合いがまとまらず遺産分割調停になったときも、当事者が財産目録(遺産目録)を作って提出するのが一般的です。調停は、調停委員会(裁判官1名・調停委員2名)が間に入って進めます。

財産目録を作る前に必要な相続財産調査

正確な財産目録を作るには、まず相続財産調査で「どんな財産があるか」を洗い出す必要があります。ここで漏れがあると、目録も不完全になってしまいます。

不動産・預貯金・有価証券の調べ方

主な財産は、次の書類から確認できます。

  • 不動産:固定資産税の納税通知書、名寄帳(なよせちょう)、登記事項証明書
  • 預貯金:通帳、キャッシュカード、金融機関の残高証明書
  • 有価証券:証券会社からの取引報告書、配当金の通知書

不動産は、市区町村が発行する名寄帳を取ると、その市区町村内で被相続人が持っていた不動産をまとめて確認できます。預貯金は、各金融機関に残高証明書を請求すると、亡くなった日時点の残高が分かります。残高証明書は、相続人であることを示す戸籍などを添えて請求するのが一般的です。

財産の範囲や調べ方の全体像は、次の記事でくわしく解説しています。

見落としやすい借金・デジタル資産の調べ方

見落としやすいのが、借金とデジタル資産です。

借金は、郵便物の督促状やローンの契約書のほか、信用情報機関に開示請求をすると把握できます。連帯保証人になっていないかも確認しておきましょう。

ネット銀行やネット証券、電子マネー、暗号資産などのデジタル資産は、通帳が手元に残らないため気づかれにくい財産です。スマートフォンやパソコンのメール、アプリから手がかりを探します。

デジタル資産の探し方と注意点は、次の記事が参考になります。

財産目録の書き方とテンプレート

財産の洗い出しができたら、いよいよ財産目録に書いていきます。書式は自由ですが、「後で誰が見てもどの財産か特定できる」ように書くのがポイントです。

無料で使えるテンプレートと入手先

ゼロから作るのが不安なときは、無料のテンプレートを使うと簡単です。

裁判所のウェブサイトには、遺産分割調停で使う「遺産目録」の書式(土地・建物・現金預貯金・有価証券など、種類ごと)がWordやExcel、PDFで無料で公開されています。これらを流用しても問題ありません。

出典:「遺産分割調停の申立書」書式のダウンロード(現金,預貯金,株式等遺産目録

ひな形を参考に、使いやすいものを選べば大丈夫です。項目さえそろっていれば、自分でExcelなどを使って作ってもかまいません。

不動産(土地・建物)の書き方

不動産は、住所(住居表示)ではなく、登記事項証明書に記載された内容で書きます。土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積を書き写します。

【土地】所在:東京都◯◯区◯◯一丁目/地番:12番3/地目:宅地/地積:120.50㎡

【建物】所在:東京都◯◯区◯◯一丁目12番地3/家屋番号:12番3/種類:居宅/構造:木造スレート葺2階建/床面積:1階60.00㎡・2階50.00㎡

住所と地番は一致しないことが多いため、登記事項証明書のとおりに書くのがポイントです。

預貯金・現金の書き方

預貯金は、金融機関名・支店名・預金の種類・口座番号・残高を書きます。残高は、いつ時点のものかが分かるように基準日を添えます。

◯◯銀行 ◯◯支店/普通預金/口座番号1234567/残高1,234,567円(令和◯年◯月◯日現在)

手元にある現金も、金額を書いておきます。残高証明書を取っておくと、金額の裏づけになり安心です。

有価証券・生命保険金の書き方

株式や投資信託などの有価証券は、証券会社名・銘柄・数量を書きます。評価額は変動するため、基準日を決めて書きましょう。

生命保険金は、受取人が指定されている場合、その受取人固有の財産で、原則として遺産分割の対象にはなりません。ただし相続税ではみなし相続財産として課税対象になるため、目録には参考として書いておくと整理しやすくなります。

◯◯証券 ◯◯支店/◯◯株式会社 株式 100株

◯◯生命保険/証券番号◯◯◯/死亡保険金1,000万円(受取人:長男◯◯)※みなし相続財産

借金・葬式費用など負債の書き方

借金や未払金などのマイナスの財産は、債権者名・残高・基準日を書きます。プラスの財産と区別できるように、負債の欄を分けておくと分かりやすくなります。

◯◯銀行 住宅ローン/残高5,000,000円(令和◯年◯月◯日現在)

◯◯カード 未払残高300,000円

葬式費用は、厳密には被相続人の債務ではありませんが、相続税の計算では控除できます。金額と支払先を控えておくと、あとの申告で役立ちます。

自筆証書遺言に添付するときのルール

自筆証書遺言は本文を全文自書する必要がある一方、添付する財産目録はパソコン作成や通帳コピー・登記事項証明書の添付が可能で、目録の各ページに署名と押印が必要と示した図

自筆証書遺言に財産目録を添付する場合は、通常の財産目録と違う特別なルールがあります。

2019年1月13日の法改正で、自筆証書遺言に添付する財産目録は、パソコンで作成したり、預貯金通帳のコピーや登記事項証明書を添付する形でもよくなりました。手書きでなくてもかまいません。

ただし、目録の各ページ(両面に記載があるときは両面)に署名し、押印する必要があります。これを忘れると遺言が無効になるおそれがあります。遺言書の本文自体は、これまでどおり全文を自書しなければなりません。

財産目録は、遺言書本文とホチキスで綴じるなど、一体のものとして扱います。あとから修正すると訂正のルールが厳しいため、書き直すほうが確実です。法務局の遺言書保管制度を使うときは、用紙サイズや余白に独自の決まりがあります。

法務局に預ける保管制度のしくみは、次の記事で確認できます。

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財産目録の作成でもめないための注意点

財産目録は、作り方しだいで相続人どうしのトラブルの火種にもなります。次の3点に気をつけましょう。

財産の記載漏れが遺産分割協議のやり直しにつながる

財産目録に書き漏れがあると、その財産を除いたまま遺産分割協議が進んでしまいます。あとから財産が見つかると、話し合いをやり直すことになりかねません。漏れを防ぐには、名寄帳や残高証明書で裏づけを取り、財産をもれなく洗い出すことが大切です。

評価額の書き方で相続人ともめないようにする

不動産や株式は、評価の仕方によって金額が変わります。財産目録に評価額を書くときは、どの基準で評価したか(いつ時点か・どの評価方法か)を明記しておきましょう。

一方が高く、もう一方が低く見積もると、不公平だと不信感が生まれます。評価額に争いがあるときは、専門家による鑑定が行われることもあります。

不動産の評価額の調べ方は、次の記事でくわしく解説しています。

他の相続人が財産目録を見せてくれないとき

財産を管理している相続人が、財産目録や取引の記録を見せてくれないことがあります。

「みんなの法律相談」にも、「同居していた家族が親の財産を管理しており、財産目録や生前の金銭の出入りを明らかにするよう求めても応じてもらえない」という相談が寄せられています。

Q
母が父から相続した財産の管理について。
相談者の疑問
妹と同居している母が「お金がなくて困っているので貸して欲しい」といいます。、実際管理をしているのは妹で、父から相続したかなりの遺産の使途を明らかにするよう妹に要求できますか? 十数年前に父が癌で他界、亡くなる前にどうも二人で父の預金を少しづつおろしていたようです。父の死後に相続した遺産ももちろん自分たちで分けていると思います。と言うのも、私達は三人姉妹。姉と私は父ともめていたこともあり、財産放棄・遺留分放棄をしています。遺留分放棄に関しては、父から散々嫌がらせを受け、脅迫され、家裁の担当官からは「それだけはしないように!」と忠告もされていましたが結局手続きを不本意ながらしてしまいました。 最近になって母から何度か借金の申し出があり、今回一度実家にて話をしてみようと思っています。その条件として、財産目録と父の生前~今日に渡る金銭の出入りが分るようにしておくよう言いました。ですが、毎回二人がいう事は同じで、「〇△〇証券の担当者が株券をもって逃げた挙句、自殺をしたので、すっからかん」である・・・と。「時効もあり取り返しがつかない。」とも。 どうも腑に落ちません。少なくとも保険金が入っているはずで、そのうちの一つは、生前父から保険会社と証券番号をメモ書きですが渡され、死後に確認したところ確かに母の口座に振り込まれているとの回答を得ました。なので、最低7千万円はあったことになります。それが十数年間の内に無くなるものでしょうか?? 妹がかなり怪しい…と思っています。ずーっとニートですし、「手伝えることがあれば言ってね。」と言っても「大丈夫」と一切関わらせてくれません。こちらからは何も親を看てくれなんて頼んでないのですが。 こういう場合の対応をどうすれば良いか教えてください。 よろしくお願いします。
弁護士の回答
野澤 裕昭 弁護士
難しいと思います。お話によれば、父の遺産について貴方の相続権はないことに確定しているということですので、遺産は母、妹さんのものになっています。親族といえども第三者なので、金融機関や証券会社は守秘義務をたてに、貴方への情報開示は拒絶すると思います。お母さんが金銭に困っている状況なら、貴方がお母さんを説得し、お母さん自身が主体となって自分の預貯金口座の取引履歴を開示させるという方法しかないでしょう。お母さんから委任状をもらって、貴方が代理人として請求する方法もあります。
すべての回答を見る

このようなときは、預貯金の取引履歴を金融機関に開示請求する、家庭裁判所の手続きを使うなどの対応が考えられます。自分だけで解決が難しいと感じたら、早めに弁護士へ相談しましょう。

財産目録の作成が難しいときの相談先

財産が多い、種類が複雑、相続人どうしで対立しているといった場合は、専門家に頼るのも選択肢です。

弁護士に依頼するとよいケース

次のような場合は、弁護士への相談・依頼が向いています。

  • 相続人の間で財産の内容や分け方をめぐって対立している
  • 一部の相続人が財産を隠している、開示に応じない
  • 財産目録をもとに遺産分割や調停まで進めたい

弁護士は、財産調査から財産目録の作成、遺産分割の交渉や調停まで一貫して任せられます。もめごとの代理交渉ができるのは弁護士だけです。

税理士・司法書士との使い分け

専門家にはそれぞれ得意分野があります。目的に合わせて選びましょう。

相談先

向いている場面

弁護士

相続人間の争い・交渉・調停

税理士

相続税の申告・節税の検討

司法書士

不動産の相続登記

相続税の申告が必要なら税理士、不動産の名義変更(相続登記)が中心なら司法書士が適しています。争いがある場合や、何から手をつければよいか分からない場合は、まず弁護士に相談すると全体を見通せます。

よくある質問

財産目録がなくても相続手続きはできますか?

財産目録は、多くの手続きで法律上の作成義務があるわけではありません。財産目録がなくても、遺産分割協議や相続手続き自体は進められます。

ただし、財産の全体像が分からないままだと、分け方の判断や相続税の計算を誤りやすくなります。相続放棄の判断や相続税の申告がある場合は、作っておくほうが安全です。

財産目録の作成を専門家に頼むと費用はいくらですか?

費用は、依頼先や財産の規模、依頼する範囲によって大きく変わるため、一律には決まっていません。財産調査だけを頼む場合と、遺産分割の交渉まで含める場合とでも変わります。

正確な金額は、依頼を検討している事務所の初回相談で見積もりを確認するのが確実です。多くの弁護士事務所が、費用の目安を相談時に説明しています。

生前に作った財産目録は見直しが必要ですか?

必要です。財産は、預貯金の増減や不動産の売買、証券の売却などで変わっていきます。

一度作っただけで放置すると、実際の財産と食い違ってしまいます。とくに遺言書に添付する財産目録は、内容がずれていると分け方の指定が実現できなくなることもあるため、定期的に見直しておきましょう

まとめ

財産目録は、亡くなった方の財産を、プラスもマイナスも含めて一覧にする書面です。決まった書式はありませんが、後で誰が見てもどの財産か分かるように、不動産は登記のとおり、預貯金は金融機関名や口座番号まで正確に書くのがポイントです。

記載漏れや評価額のあいまいさは、遺産分割のやり直しやトラブルの原因になります。名寄帳や残高証明書で裏づけを取り、もれなく作成しましょう。

財産が複雑なとき、相続人どうしで対立しているとき、相続放棄や相続税の期限が迫っているときは、判断を誤ると不利になりかねません。

そうしたときは、まずは弁護士への初回相談で、財産の範囲や目録の作り方、進め方に問題がないかを確認しておきましょう。財産調査から遺産分割の交渉までまとめて相談できます。

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