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遺言書(自筆証書遺言)の書き方は?自分で作成するための例文・見本付きで詳しく解説

遺言書を作成する方法としては、「自筆証書遺言」がもっともお手軽です。自分で自筆証書遺言を作成する方もたくさんいらっしゃいますが、書式・遺言能力に関するルールや、偽造・変造・紛失のリスクに注意しなければなりません。自筆証書遺言書保管制度の活用を含めて、自筆証書遺言が無効にならないように注意深く作成しましょう。この記事では自筆証書遺言書の書き方について、自分で作成する際の例文や手続きなどを解説します。

遺言書とは

「遺言書」とは、作成者(遺言者)の死後に遺産をどのように分けるかなどを記載した書面です。

遺言書を作成すると、遺産の分け方を自由に指定できます(民法964条)。自分で遺産の分け方を決められる点や、遺産分割協議が不要となるため、相続トラブルのリスクを抑えられる点などが遺言書のメリットです。

遺言書は、民法上の方式に従って作成しなければなりません。主に用いられている遺言書の作成方式は、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。

  1. 自筆証書遺言
    遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。

  2. 公正証書遺言
    証人2名の立会いの下、公証人が内容を遺言者に読み聞かせた上で作成する遺言書です。

自筆証書遺言のメリット・デメリット

自筆証書遺言は手軽に作成できるメリットがありますが、何らかの不備によって無効になりやすい点や、偽造・変造・紛失のリスクがある点などがデメリットといえます。

自筆証書遺言 公正証書遺言
メリット 手軽に作成できる 方式の不備によって無効になることはまずない
偽造・変造・紛失のリスクもない
デメリット 方式の不備で無効になるリスクが高い
偽造・変造・紛失のリスクが高い
公証役場を通じて作成する必要がある
数万円から十数万円程度の手数料もかかる

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言は、手軽に作成できる点が大きなメリットです。

公正証書遺言の場合は、公証役場を通じて作成する必要があります。事前に公証人とのやり取りが生じますし、実際に作成する際には数万円から十数万円程度の手数料もかかります

これに対して自筆証書遺言は、思い立ったらすぐ自分で書くことができます。自分だけで自筆証書遺言を作成する場合は、手数料もかかりません。

自筆証書遺言のデメリット

ただし自筆証書遺言は、公正証書遺言に比べて無効になるリスクが高いのが難点です。

公正証書遺言は専門家である公証人が作成するため、方式の不備によって無効になることはまずありません。また、公証人が遺言者の判断能力の状態を確認するため、遺言能力がないことを理由とする無効のリスクも低いと考えられます。

これに対して、自筆証書遺言を自分で作成する場合には、方式の不備によって無効になってしまうことが非常に多いです。また、第三者による判断能力の確認なども通常行われないので、遺言能力がないことを理由に無効となってしまうこともよくあります。

また自筆証書遺言は、偽造・変造・紛失のリスクが高い点にも注意が必要です。

公正証書遺言の場合、作成に当たっては遺言者本人の立ち会いを要するため、偽造のリスクはありません。また、公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるため、変造・紛失のリスクもありません。

これに対して自筆証書遺言は、本当に本人が作成したのかどうかを後から検証しにくい場合が多く、偽造のリスクが否定できません。また、自筆証書遺言は自宅などで保管する方が多いため、後から親族などに変造(改ざん)されたり、紛失してしまったりするリスクもあります。

自筆証書遺言の書き方、例文を紹介

自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書する必要があります。まず案文を用意して、その内容を手書きで清書しましょう。

自筆証書遺言の案文を作成する際には、以下の例文を参考にしてください。

遺言書
○○(以下「遺言者」という。)は、次のとおり遺言する。

第1条(預貯金の相続)
△△に、下記の預貯金全額を相続させる。

金融機関名:○○銀行
支店名:○○支店
種別:普通
口座番号:○○○○○○○
口座名義人:○○ ○○
以上

第2条(不動産の相続)
□□に、下記の不動産を相続させる。

(土地の表示)
所在:○○県○○市……
地番:○○番○○
地目:○○
地積:○○.○○平方メートル

(建物の表示)
所在:○○県○○市……
家屋番号:○○番○○
種類:○○
構造:○○
床面積:1階 ○○.○○平方メートル
    2階 ○○.○○平方メートル
……
以上

第3条(本遺言書に定めのない財産の相続)
遺言者の有する財産のうち、本遺言書に定めのないものは、すべて○○に相続させる。

第4条(付言事項)
【親族に対するメッセージなどを記載】※付言事項はなくても可
以上

自筆証書遺言を作成する際の注意点

自筆証書遺言書を作成する際には、遺言無効などのトラブルを避けるため、以下の各点にご注意ください。

  1. 書式に関するルールを守る
  2. 本人に遺言能力があることを確認する
  3. 偽造・変造・紛失のリスクに注意する

書式に関するルールを守る

自筆証書遺言の書式については、民法によって以下のルールが設けられています(民法968条)。

  1. 遺言者が全文・日付・氏名を自書する
    ※相続財産目録は自書しなくてもよいが、自書しない場合はすべてのページに署名をする
  2. 遺言者が押印する
  3. 内容を変更する場合は、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記した上で署名し、かつ変更の場所に押印する

1または2のルールが守られない場合は遺言書全体が無効となり、3のルールが守られない場合は変更が無効となるので十分ご注意ください。

本人に遺言能力があることを確認する

自筆証書遺言を作成するためには、遺言能力が必要です。

「遺言能力がある」とは、15歳以上であり、かつ意思能力(=自己の法律行為の結果を判断できる能力)があることを意味します(民法961条、3条の2)。

認知症などで判断能力が低下している場合には、意思能力が認められず、遺言能力がないと判断される可能性があるので注意が必要です。

相続発生後のトラブルを避けるため、遺言能力については証拠を残しておくことが望ましいです。たとえば、自筆証書遺言の作成時およびその前後における本人の様子を録音・録画することや、医師に診断書を書いてもらうことなどが考えられます。

偽造・変造・紛失のリスクに注意する

自筆証書遺言については、特に偽造・変造・紛失のリスクに注意しなければなりません。

偽造・変造・紛失のリスクを防ぐためには、「自筆証書遺言書保管制度」を利用することが望ましいです。法務局の遺言書保管所に、自筆証書遺言書の原本を預けることができます。

自筆証書遺言書保管制度を利用する際には本人確認が行われるため、偽造を疑われるリスクを抑えられます。また、遺言書の原本が法務局で保管されるため、変造・紛失のリスクはなくなります

自筆証書遺言書保管制度は、かかる費用も比較的低額なので、自筆証書遺言を作成する際には積極的に利用をご検討ください。

自筆証書遺言を作成した後の手続き

自筆証書遺言を作成した後は、その遺言書をなくさないように保管しましょう。

自宅で保管する方が多いですが、偽造・変造・紛失のリスクを防ぐためには、前述の自筆証書遺言書保管制度を利用することをおすすめします。

自筆証書遺言の内容を変更したい場合は、以下のいずれかの対応を行いましょう。

  1. 遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記した上で署名し、かつ変更の場所に押印する
  2. 新たな遺言書を作成する

新たな遺言書を作成する場合は、最新の内容を明確化するため、以前に作成した遺言書を撤回する旨などを明記しておきましょう。

遺言者が亡くなって相続が発生した際には、自筆証書遺言について家庭裁判所の検認を受けましょう(民法1004条1項)。

ただし、遺言書保管所で保管されている自筆証書遺言については、家庭裁判所の検認は不要です(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。

検認後、自筆証書遺言の内容に従って遺産を分けます。預貯金や有価証券については金融機関での相続手続き、不動産については相続登記の手続きを行いましょう。

まとめ

自筆証書遺言は手軽に作成できますが、遺言無効や偽造・変造・紛失などのリスクが懸念されます。法務局の保管制度などを活用して、トラブルを防ぐための対策を講じましょう。

弁護士に相談すれば、自筆証書遺言の内容面について、家庭の状況に合わせたアドバイスを受けられます。実際の作成もサポートしてもらえるため、遺言無効等のリスクも最小限に抑えることが可能です。

遺言書の作成をご検討中の方は、弁護士にご相談ください。

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この記事の監修者
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田中伸明弁護士
監修者の所属事務所
旭合同法律事務所

愛知県弁護士会所属。相談者様・依頼者様から丁寧にご事情をお伺いして、それぞれのご家庭にとって望ましい解決策を真摯に検討・ご提案いたします。当事者だけでは解決が難しい相続問題も、弁護士が法的に整理して対応すれば解決できます。

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