

4親等とは、本人から世代を4つたどったところにいる親族のことです。親等(しんとう)とは、親族どうしの近さを世代の数で表したもので、数字が小さいほど血のつながりが近い関係になります(民法726条)。
たとえば自分の親は1親等、祖父母は2親等、おじ・おばは3親等、その子である「いとこ」は4親等です。
日常ではあまり意識しませんが、相続で誰が遺産を受け取るか、結婚できる相手かどうか、相続税や贈与税の負担、戸籍を取れる範囲など、どこまでの親族が対象となるのか疑問が生じる場面は意外と多くあります。この記事では、相続を中心に4親等が関わる場面を整理していきます。
親等は、世代を1つたどるごとに1つずつ増えていきます。
親(1)→祖父母(2)→おじ・おば(3)→いとこ(4)というように、自分を起点に世代をいくつまたぐかを数えるのが基本です。数え方のくわしいルールは、このあとの「4親等の数え方」で説明します。
親族には、血のつながりがある「血族」と、結婚によってつながる「姻族(いんぞく)」の2種類があります。姻族とは、配偶者の血族(義理の父母やきょうだいなど)のことです。
同じ4親等でも、血族か姻族かで法律上の扱いが変わる場面があります。次に説明する「親族の範囲」が、その代表例です。
法律上の「親族」とは、次の人たちを指します(民法725条)。
ここがポイントです。血族は6親等まで親族に含まれるので、4親等の血族(いとこなど)は親族にあたります。
いっぽうで姻族は3親等までしか親族に含まれないため、4親等の姻族(配偶者のいとこなど)は法律上の「親族」にはあたりません。「同じ4親等なのに扱いが違う」のは、この血族・姻族の線引きがあるからです。
4親等にあたる主な親族は、次のとおりです。いとこ以外にも、ふだん聞き慣れない呼び名の親族が4親等に含まれます。
血族と姻族に分けて、0〜4親等を早見表で確認しておきましょう。配偶者は親等で数えず、便宜上0親等と呼ばれます。
親等 | 血族(血のつながり) | 姻族(配偶者側) |
|---|---|---|
0親等 | ― | 配偶者 |
1親等 | 父母・子 | 配偶者の父母、子の配偶者 |
2親等 | 祖父母・兄弟姉妹・孫 | 配偶者の祖父母・兄弟姉妹、兄弟姉妹・孫の各配偶者 |
3親等 | おじ・おば・甥・姪・曾祖父母・ひ孫 | 配偶者のおじ・おば・甥・姪・曾祖父母、おじ・おば・甥・姪・ひ孫の各配偶者 |
4親等 | いとこ・大叔父母・高祖父母・玄孫・甥姪の子 | (いない=親族にあたらない) |
既に説明したとおり、姻族は3親等までしか親族に含まれないため、4親等の姻族は「親族」にあたりません。表の4親等・姻族の欄が空欄なのはそのためです。
いとことは、自分の親のきょうだい(おじ・おば)の子どもです。親→祖父母→おじ・おば→いとこと世代をたどるため4親等になります。同世代のため、4親等の中ではもっとも身近な親族である場合が多いでしょう。
大叔父(おおおじ)・大叔母(おおおば)とは、祖父母の兄弟姉妹です。祖父母→曾祖父母→その子(=祖父母のきょうだい)とたどるため4親等になります。
高祖父母(こうそふぼ)とは、曾祖父母(ひいおじいさん・ひいおばあさん)の父母にあたる、上の世代の直系の親族です。子から見て4世代上にあたります。
玄孫(やしゃご)とは、孫の孫、つまり自分から4世代下の直系の子孫です。子→孫→ひ孫→玄孫と数えて4親等になります。
甥(おい)・姪(めい)は3親等ですが、その子ども、つまり兄弟姉妹の孫は4親等になります。甥孫(せいそん)・姪孫(てっそん)と呼ばれることもあります。「甥・姪は3親等、その子は4親等」と覚えると間違えにくくなります。
「なぜいとこが4親等なのか」がわかると、同じ要領でほかの親族の親等も数えやすくなります。
親等は、世代を1つまたぐごとに1ずつ増えると考えるとわかりやすいです。直系(親や子のように世代がまっすぐつながる関係)は、その世代の数がそのまま親等になります。親は1親等、祖父母は2親等、ひ孫は3親等です。

兄弟姉妹やいとこのような「傍系(ぼうけい)」の親族は、いったん共通の祖先までさかのぼってから、目的の人まで下って数えます。
いとこの場合は、自分→親(1)→祖父母(2)と共通の祖先である祖父母までさかのぼり、そこから祖父母→おじ・おば(3)→いとこ(4)と下ります。合計で4親等です。兄弟姉妹が2親等になるのも同じ考え方で、自分→親(1)→きょうだい(2)とたどります。
姻族の親等は、いったん配偶者を経由してから、配偶者の血族をたどって数えます。たとえば配偶者の兄弟姉妹は、配偶者を経由して2親等の姻族です。数え方の基本は血族と同じで、配偶者を自分と同じ位置に置いて考えると整理しやすくなります。
結論から言うと、いとこなど傍系の4親等は法定相続人になりません。遺産を当然に受け取れる立場ではない、ということです。
法定相続人とは、法律で決められた「遺産を相続する人」のことです。誰が相続人になるかは民法で決まっており、親等が近いかどうかだけでは決まりません。3親等の甥・姪が法定相続人になることはあっても、同じ3親等のおじ・おばが法定相続人になることはありません。
配偶者は常に相続人になります。それ以外の血族は、次の順位で相続人になります。
上の順位の人がいる間は、下の順位の人は相続人になりません。血族で相続人になるのは、第3順位の兄弟姉妹(2親等)、そして兄弟姉妹が先に亡くなっている場合の甥・姪(3親等)までです。
相続人の範囲や順位の全体像は、次の記事でくわしく解説しています。
いとこや大叔父・大叔母は、兄弟姉妹より遠い傍系の血族です。相続順位の中に位置づけられていないため、どれだけ近しく付き合っていても法定相続人にはなりません。
具体的に見てみましょう。亡くなった人に配偶者と子がいれば、相続人は配偶者と子で、いとこは相続人にはなりません。
配偶者はいるが子・親・兄弟姉妹が誰もいない場合は、配偶者だけが相続人になり、やはりいとこに相続権はありません。生前から同居して身のまわりの世話をしていたいとこであっても、相続権は生じないのです。
いとこに財産を渡したいなら、あとで説明する遺贈などの方法をとる必要があります。
たとえば「配偶者も子も親も兄弟姉妹もいない人」が亡くなった場合でも、いとこが自動的に遺産を受け継ぐことはありません。身近な親族が誰もいないケースについては、こちらの記事も参考になります。
同じ4親等でも、直系の子孫である玄孫は、相続人になることがあります。子→孫→ひ孫が全員すでに亡くなっているような場合、玄孫が代襲相続(だいしゅうそうぞく)によって相続人になります。
代襲相続とは、本来相続人になるはずだった人が先に亡くなっているときに、その子や孫が代わりに相続人になるしくみです。
子の系統(直系卑属)の代襲は世代の制限なく続くいっぽうで、兄弟姉妹の系統の代襲は甥・姪限りで止まります。代襲相続のしくみにより、同じ4親等でもいとこは相続人にならないのに、玄孫は相続人になり得るという違いが生じます。
代襲相続のしくみは、次の記事でくわしく解説しています。
いとこなど傍系の4親等は法定相続人にはなりませんが、生前の準備や手続き次第で遺産を渡すことはできます。主な方法は次の3つです。
自分が亡くなった時に備え、遺言書を作り、いとこなどに遺贈(いぞう)する方法があります。遺贈とは、遺言によって特定の人に財産を譲渡することをいい、相続人でない人にも財産を渡せます。
遺言書には自分が自筆で作成する自筆証書遺言と、公証人が作成する公正証書遺言があります。いとこなど相続人でない人に確実に財産を渡したいときは、方式の不備により無効となる危険がない公正証書遺言を選んでおくと安心です。
なお遺贈をするときは、法定相続人の遺留分(いりゅうぶん。一定の法定相続人に保障された最低限の取り分)にも配慮しておくと、後のトラブルを防げます。
ただし、注意したいのが税金です。1親等の血族と配偶者以外の人が遺贈を受けると、相続税が2割加算されます(代襲相続人になった孫などは除きます)。遺贈の基本的な仕組みや進め方は、次の記事で確認できます。
生きているうちに財産を渡す「生前贈与」という選択もあります。いとこのように相続人でない相手にも生前贈与できます。
ただし、生前贈与を受けた人には贈与税がかかることがあります。年間110万円の基礎控除を超える贈与には贈与税が生じるため、渡す金額やタイミングによっては税負担が重くなる場合があります。
毎年のように贈与を行う「暦年贈与」には注意が必要です。最初からまとまった額を渡す約束だった場合、定期贈与として、渡す金額全体に贈与税がかかるおそれがあります。
贈与の約束はその都度なされる必要があります。また、贈与がその都度行われていた事実を証明できるよう、きちんと贈与契約書を作成しておくのが良いでしょう。税額や使える特例は個別の事情で変わるため、具体的な金額の試算は税理士に相談しましょう。
亡くなった人に相続人がいないとき、亡くなった人と生計を同じくしていたり、亡くなった人の療養看護に努めていた等の事情がある人は、「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)」として遺産の一部を受け取れる場合があります。いとこは法定相続人にはなりませんが、亡くなった人と長年同居して生活を支えていた、療養看護に努めていた、といった事情のある場合は、特別縁故者として一定の財産を受け取ることができる可能性があります。
ただし、特別縁故者として認められるかどうか、認められた場合にどれだけの財産を受け取れるかは、家庭裁判所が事情により判断します。必ず受け取れるとは限らず、どれくらいの財産を受け取ることができるかも事案ごとの判断となる点は知っておきましょう。
また、この手続きには期限があります。相続人がいないことが確定してから3か月以内に、家庭裁判所へ相続財産の分与を申し立てる必要があります。誰が特別縁故者にあたるか、手続きの流れは次の記事でくわしく解説しています。
4親等は、相続以外でも法律上の意味を持つことがあります。代表的な場面を見ておきましょう。
近い親族どうしの結婚は法律で制限されていますが、いとこ同士(4親等の傍系血族)は結婚できます。婚姻が禁止されるのは直系血族と3親等内の傍系血族(おじ・おばと甥・姪など)までで、4親等の傍系血族は禁止の対象外となります(民法734条)。
家族を経済的に支える「扶養義務」は、直系血族と兄弟姉妹が当然に負います。それ以外は、特別の事情があるときに家庭裁判所が3親等内の親族に負わせることができるにとどまります(民法877条)。そのため、4親等のいとこは、原則として法律上の扶養義務を負うことはありません。
公正証書遺言を作るときは証人2人の立ち会いが必要ですが、公証人の4親等内の親族は証人になれません(民法974条)。このほか、遺言で財産を受け取る人やその配偶者・直系血族なども証人になれません。公正証書遺言の作り方は、次の記事が参考になります。
「親族からもらうものだから非課税では」と思われがちですが、いとこなど4親等の親族からの贈与でも、年間110万円の基礎控除を超えれば贈与税がかかります。「親族だから非課税」という特例はありません。
生活費や教育費を必要となった際にその都度負担する場合の非課税の取り扱いも、対象になる親族の範囲が決まっています。税額や特例の適用は事情によって変わるため、判断に迷うときは税理士に相談しましょう。
いいえ、甥・姪は3親等です。自分→親(1)→兄弟姉妹(2)→甥・姪(3)と数えます。甥・姪の子(兄弟姉妹の孫)になると4親等です。
いいえ、はとこは6親等です。はとことは「親のいとこの子」、つまりいとこの子どもどうしの関係で、いとこ(4親等)よりさらに2世代分遠くなります。4親等と混同しやすいので注意しましょう。
香典は、法律上の義務ではないので、地域や家ごとの慣習を尊重して判断した方が良いでしょう。香典の金額や要否を親等だけで判断する必要はありません。日ごろの付き合いの深さなども加味して判断するのが良いでしょう。
4親等とは、本人から世代を4つたどった親族で、いとこ・大叔父母・高祖父母・玄孫・甥姪の子などが当たります。いとこなど傍系の4親等は法定相続人にはならず、遺産を当然に受け取ることはできません。
ただし、遺言による遺贈・生前贈与・特別縁故者といった方法により、4親等に遺産を渡すことは可能です。なお、同じ4親等でも直系の玄孫は代襲相続で相続人になり得る点は押さえておきましょう。
「いとこに確実に財産を残したい」「自分が特別縁故者にあたるか知りたい」などの遺産に関する問題を抱えている場合、特に特別縁故者の申し立てには期限があるため、判断を誤ることがないよう、早い段階で弁護士に相談しておくのが良いでしょう。それにより、手続きの見通しが立ち、取り返しのつかない事態を防ぐことが期待できます。

東京弁護士会所属。相続問題は複雑な法理論を必要とし、また、事実関係が複雑であり、収集すべき証拠も多くなる傾向にあります。当事務所では、手間を惜しまず綿密な計画を事前に立て、迅速に行動することをモットーとしています。