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独身で配偶者や子がおらず、親がすでに他界している人が亡くなった場合には、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹の相続分は、原則として各相続人で均等に分けます。ただし、異母兄弟や異父兄弟の場合には、そうではない兄弟の相続分の2分の1となります。
例えば、被相続人Aが亡くなり、兄弟姉妹BCDのうち、DがAと異母兄弟だったとすると、BとCの相続分は5分の2、Dの相続分は5分の1となります。
兄弟姉妹が相続人になるケースで、相続開始時に兄弟姉妹が亡くなっている場合には、亡くなった兄弟姉妹の子が相続権を引き継ぎます(代襲相続)。
例えば、被相続人Aが亡くなり、兄弟姉妹BCのうちCがすでに亡くなっている場合には、Cの子であるDがCの相続権を引き継ぎます。相続分は、BCそれぞれ2分の1ずつです。
亡くなった兄弟姉妹に子がいない場合や、兄弟姉妹の子もすでに亡くなっている場合には、代襲相続は起こりません。
相続人となる兄弟姉妹以外の人に遺産を相続させたい場合には、遺言の作成をおすすめします。遺言を作成すると、法律で決められた相続分よりも遺言の内容が優先されて、相続人以外の人に遺産を譲ることもできるからです。
兄弟姉妹には遺留分がないので、「すべての財産を兄弟姉妹以外の人に譲る」という内容の遺言も作成できます。
遺言の種類には、大きく「自筆証書」「公正証書」の2つがあります。自分が作成しやすい方を検討しましょう。
自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言書で、手軽に作成できるメリットがあります。なお、一定の条件のもと、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、その目録は自書でなくても構いません。
偽造・改ざんや紛失のリスクが心配されますが、法務局で自筆証書遺言を預かってもらえる制度(自筆証書遺言書保管制度)を利用すれば安心です。
公正証書遺言は、証人2名の立会いの下で、公証人が作成する遺言書です。あらかじめ遺言者が公証役場へ提出した案の内容を基に公証人が作成し、原本は公証役場で保管されます。
公証人が形式面や遺言能力の有無などをしっかりチェックするため、無効になるリスクが非常に低いのが公正証書遺言のメリットです。ただし、公正証書遺言を作成する際には、公証役場に一定の手数料を納付しなければなりません。
遺言作成のほかに、生前贈与でも、兄弟姉妹以外の人に財産を譲ることができます。
遺言で財産を残すことも可能ですが、相続税がかかる場合があります。具体的には、遺産の総額が基礎控除額(3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合に、超えた部分に相続税が発生します。また、被相続人の一親等の血族(親・子)もしくは配偶者以外が遺贈を受ける場合、相続税額が1.2倍に加算されます。
一方で、生前贈与をすれば、相続税を支払わなくて済む可能性があります。生前贈与によって生前のうちに財産を財産を、残したい人に移しておくことで、遺産の総額が基礎控除額を下回れば、相続税が発生しないからです。
ただし、1年間の贈与の合計額が110万円を超えると贈与税がかかるため注意が必要です。
遺言と生前贈与を併用することも可能ですが、その場合には相続税の計算方法に注意が必要です。生前贈与した相手に遺言でも遺産を残す場合、死亡時から遡って最大で7年分の生前贈与の金額を、相続税を計算する際の遺産総額に含めて計算します。
その際、すでに贈与税を納めていた場合には、支払った分の金額は相続税から控除されます。相続税や贈与税の詳しい計算方法は税理士などの専門家に相談しましょう。
以下は誰が相続人になる場合でも必要なことですが、兄弟姉妹は他の法定相続人と比べて被相続人との関係が希薄な場合が多いので、必要性がより高くなります。
相続の準備では、まず相続人になり得る人を確認します。代襲相続が発生する可能性も検討しておきましょう。
また、法定相続分に従って遺産を分けた場合に、誰にどの程度遺産が渡るのかをイメージするとよいでしょう。
遺産となる財産を確認し、相続人にもわかるようにリスト化しましょう。不要な財産や、借金などのマイナスの財産も整理しておきましょう。
相続争いを防ぐには、遺言書の作成が有効です。誰にどの財産を譲るのか、その理由や相続人への思いも合わせて書いておくと、相続人の納得が得られやすいです。
兄弟姉妹以外の人に遺産を残したい場合には、遺言書を必ず作成しましょう。
兄弟姉妹が相続人になる場合には、子や親が相続人になる場合と比べて、相続分や遺留分に違いがありますが、相続手続きの流れは変わりません。相続人を把握し、それ以外の人に遺産を譲りたい場合には遺言の作成や生前贈与を検討しましょう。兄弟同士が疎遠だったり、不仲だったりして、相続手続きがスムーズに進まない場合には、一度弁護士に相談し、法的なアドバイスを得ることをおすすめします。
