
遺言書とは、亡くなったあとに財産をだれにどう引き継がせるかを書き残す書面です。作っておけば遺産の分け方を自身の意思で指定でき、相続人同士の遺産分割協議を避けられる場合があります。
つまずくのは大きく2つです。ひとつは方式で、自筆証書遺言は全文・日付・氏名の自書と押印が要件で、ひとつ欠けると無効になります。もうひとつは保管で、書いたものが見つからなければ、ないのと同じになってしまいます。
どの方式で書くか、いくらかけてどこに預けるか、見つかったあとに何をするか。これから書く人は、はじめの3本から読んでください。
まずは方式選びです。自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらにするかで、費用も手間も変わります。
遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。実務で使われるのはおもに前の2つで、手軽さを取るなら自筆証書、確実さを取るなら公正証書という選び方になります。
この記事は、遺言書によってできること、エンディングノートとの違い、遺言書を作らなかった場合に何が生じるか、3つの方式の特徴と選び方、法務局での保管、見つけたときの検認と開封の注意点までを1本で扱っています。どこから手をつけるか決めるための地図になります。
まずは全体像から。どの方式が自身に合うかが見えてきます。
自筆証書遺言は、費用をかけずに自分ひとりで作れるのが利点です。一方で、全文・日付・氏名を自書して押印するという要件を外すと無効になります。財産目録はパソコンで作ってもよいですが、その場合は各ページに署名押印が必要です。
この記事は、財産と相続させたい人の整理から、文案づくり、自書と押印、財産目録の添付、保管方法の決定まで5つのステップで説明しています。全財産を特定の人に相続させる場合、預貯金や不動産を指定する場合など、ケース別の例文もそろっています。
例文をなぞる前に、どこで無効になるかを知っておくと書き直しを防げます。
公正証書遺言は、公証人が法律上の方式に従って作成する遺言書です。公証人が関与するため方式の不備で無効になりにくく、原本が公証役場に保管されます。家庭裁判所の検認も不要です。
一方で、費用がかかること、証人が2人以上必要なこと、内容を完全に秘密にしにくいことがデメリットです。この記事は、自筆証書遺言・秘密証書遺言との違いを整理したうえで、作成に必要な書類と手続きの流れを扱っています。どの方式にするか迷ったときに、費用と確実さを天秤にかけるための材料がそろいます。
確実さを優先するなら、費用と手間を見たうえで検討してみてください。
方式が決まったら、いくらかかるのか、どこに置いておくのかを決めます。ここを詰めておかないと、せっかく書いたものが使われません。
自筆証書遺言は紙とペンがあれば作れるので、自分で作るなら実質的な費用はほとんどかかりません。公正証書遺言にすると、公証人の手数料が財産の額に応じてかかります。
この記事は、作成サポートを依頼できる専門家(弁護士・司法書士・行政書士)の違いと、それぞれに頼んだ場合の費用を整理しています。遺言書が無効になる、内容をめぐって相続人がもめるといった起こりやすいトラブルにも触れているので、費用をかける価値があるかを判断できます。
費用は方式と依頼先で変わります。まず相場感をつかんでおきましょう。
自筆証書遺言書保管制度は、自分で書いた遺言書を法務局の遺言書保管所で預かってもらえる制度です。自宅保管につきものの紛失・改ざん・隠匿・発見されないというリスクをまとめて防げます。
預けると形式面の不備をチェックしてもらえ、家庭裁判所の検認も不要になります。相続開始後に相続人へ通知してもらうこともでき、相続人は全国の法務局で閲覧できます。ただし本人が出向いて申請する必要があり、内容の法的チェックはされません。
自筆で書くなら、預けるかどうかまでセットで決めておくと安心です。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために手続きを進める人です。たとえば不動産の名義変更や預貯金の引き渡しを、相続人に代わって進めます。未成年者と破産者を除けば、相続人や親族でも遺言執行者になれます。
この記事は、遺言執行者が必要なケースといなくてもよいケース、いない場合に何が生じるかを整理しています。遺言書での指定方法、第三者に指定を委託する方法、報酬の相場、解任の注意点まで扱っています。だれに頼むかで、遺言の実現しやすさが変わります。
書いた内容を確実に実現したいなら、だれに任せるかまで決めておきましょう。
書く側の話は以上です。財産の種類が多い、相続人の間で対立が予想されるといった場合は、書く前に弁護士に相談しておくと、あとでもめにくい内容にできます。
ここからは、遺言書を受け取った側の話です。開け方を間違えないところから始まります。
検認は、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、偽造や変造を防ぐための手続きです。封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開封してはいけません。検認は遺言の有効・無効を判断する手続きではない点にも注意が必要です。
公正証書遺言と、法務局に預けた自筆証書遺言は検認が不要です。この記事は、申立てから検認期日、検認済証明書の申請までの流れ、かかる期間、検認が終わったあとに進める手続きまで扱っています。検認を経ずに開封しても遺言が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料の対象になります。
自宅で遺言書が出てきたら、開ける前にこの1本を読んでください。
「全財産を長男に」という遺言があっても、配偶者や子には遺留分という最低限の取り分が残ります。遺留分を侵害する遺言も、それだけで無効になるわけではありません。遺言は有効なまま、不足額を金銭で請求されるという関係です。
請求できるのは配偶者・子・直系尊属で、兄弟姉妹と甥・姪はできません。この記事は、前妻の子と後妻がいるケースなど遺留分が問題になりやすい場面を挙げ、内容証明での請求から調停・訴訟までの進め方と期限を扱っています。
偏った内容の遺言を書く前に、請求される前提で配分を考えておきましょう。
遺言書は、書き方のルールを外すと無効になります。自筆証書遺言なら全文・日付・氏名の自書と押印、確実さを優先するなら公証人が作る公正証書遺言です。
書いたあとに大事なのが保管です。自宅に置いたままだと紛失や改ざんのリスクが残ります。法務局の保管制度を使えば、これらを防げるうえに検認も不要になります。
偏った内容にすると、遺留分を請求されて結局もめることがあります。遺言は有効なまま金銭の請求だけが生じるので、配分は請求される前提で考えておくと安全です。
財産の種類が多い、相続人の間に対立がある、残したい相手がいる。どの方式にするか、配分をどうするか。書き始める前にこの2つを相談しておくと、書き直しを避けられます。