
成年後見制度は、判断能力が不十分な人を法律面・生活面から支える制度です。本人が選ぶ「任意後見」と、家庭裁判所が選ぶ「法定後見」に分かれ、法定後見はさらに後見・保佐・補助の3つに分かれます。
つまずくのは大きく2つです。ひとつは、本当に必要かどうかの見きわめ。もうひとつは、いったん始めると、目的が済んでも原則として本人が亡くなるまで続くことです。専門職が就任すると月額報酬が発生し続けます。
相続の手続きが止まって困っている人は、はじめの2本を。まだ時間に余裕があるなら、任意後見を扱った終わりの2本から読んでもかまいません。
まずは、どういうときに使うことになるのかです。相続の場面でいちばん多いのがこのケースです。
意思能力がない相続人が参加して行われた遺産分割は無効です(民法3条の2)。判断能力が欠けているのが通常の状態の相続人がいる場合は、家庭裁判所に後見開始の申立てをして、選任された成年後見人を代理人として参加させる必要があります。
この記事は、遺言書がある場合とない場合で手続きがどう変わるかを分けたうえで、推薦した人が必ず成年後見人に選ばれるとは限らないこと、他の相続人が成年後見人である場合は特別代理人の選任が必要になることまで扱っています。認知症になる前にできる対策にも触れています。
相続の話し合いが止まってしまったなら、まずこの1本で原因を確かめてください。
法定後見は、本人の判断能力の程度によって3つに分かれます。どれを申し立てるかで、後見人の権限が変わります。
成年後見人になるのに特別な資格は必要ありません。家族が選ばれることもあります。ただしだれが選ばれるかを決めるのは家庭裁判所で、候補者を立てても、そのとおりになるとは限りません。
この記事は、成年後見人になれない人、実際にだれが選ばれることが多いか、家族が選ばれやすいケースと選ばれにくいケースを整理しています。親族が就任する場合と専門職が就任する場合のメリット・デメリット、いったん決まった成年後見人を変更できるのかにも触れています。
家族が後見人になれるかどうかは、条件を先に見ておくと見通しが立ちます。
保佐人は、判断能力が著しく低下した人(被保佐人)を支える人で、家庭裁判所の審判で選ばれます。借金や不動産の売買など重要な行為について同意権と取消権を持ち、申立てにより特定の行為の代理権を付けることもできます。
この記事は、後見人・補助人との違いを本人の判断能力の程度と権限の内容・範囲の2軸で整理しています。保佐開始の申立てから面談調査・鑑定、審判と選任、保佐の登記までの流れと、保佐人の報酬についても扱っています。
「まだ後見までは必要ない」と感じるなら、この段階から確認してみてください。
補助人は、判断能力が低下した人(被補助人)を支える人です。3つのなかで本人の判断能力がいちばん残っている段階に対応し、そのぶん補助人の権限も限定的になります。
同意権・取消権も代理権も、申立ての範囲で家庭裁判所が個別に定めるのが特徴です。この記事は、後見人・保佐人との違い、補助開始の申立てから審判・登記までの流れ、補助人の報酬までを扱っています。3つのどれを申し立てるか迷ったときの判断材料になります。
後見・保佐・補助のどれを選ぶかは、3本を読み比べると見分けがつきます。
制度の中身と3つの種類の違いは以上です。どれを申し立てるべきか判断がつかないときは、申立ての前に弁護士へ相談しておくと、やり直しを避けられます。
申し立てる種類が決まったら、手続きと費用です。始める前に、続く費用まで見通しておきます。
申立ては専門家に頼まず自分ですることもできます。申立先は本人の住所地を管轄する家庭裁判所で、申立てができる人も法律で決まっています。
この記事は、申立ての前に確認しておくこと(申立てができる人、申立先、候補者を立てるときの注意点、後見・保佐・補助のどれを申し立てるか)を整理しています。
そのうえで、後見開始の申立て、調査・面談・鑑定、審判と選任、後見の登記という流れを説明しています。鑑定が必要になると期間も費用も伸びるので、どこで時間がかかるかを先に見ておけます。
自分で進めるつもりなら、必要書類の多さを先に見ておいてください。
費用は申立て費用・診断書や鑑定の費用・後見人の報酬の3種類です。申立て費用は一時的な支出ですが、報酬は制度の利用が続くかぎり発生し続けます。
報酬額を決めるのは家庭裁判所で、家族が後見人の場合と専門職の場合で変わります。申立て費用は申立人が、報酬は本人の財産から支払うのが原則です。
払えない場合の対処法として成年後見制度利用支援事業や生活保護・法テラスの使い方も扱っており、いつまで払い続けることになるのかという見通しも示されています。
始める前に、毎月いくら続くのかまで見通しておくと後悔しません。
最後は、判断能力があるうちにできる備えと、いま進んでいる制度の見直しです。
任意後見制度は、判断能力が十分あるうちに、自分で選んだ人に将来の財産管理などを任せておく制度です。後見人を自分で選べること、権限の内容を契約で自由に決められることが法定後見との大きな違いです。
一方で、任意後見人と任意後見監督人の両方に報酬を支払う必要がある点はデメリットです。この記事は、法定後見との違いを後見人の選任方法・判断能力の程度・監督人の要否・権限の内容という4つの軸で整理しています。将来の認知症対策としての使い方も分かります。
親がまだ元気なうちなら、こちらを先に検討する価値があります。
「成年後見制度が廃止される」という話を見かけますが、なくなるのは制度そのものではなく「終身制」です。これまでは目的が済んでも本人が亡くなるまで続くため、使いにくいと敬遠されてきました。
見直しを含む「民法等の一部を改正する法律」は、2026年6月17日に成立しました。保護が必要なくなれば家庭裁判所の判断で終了できる、必要な範囲で代理権や同意権を個別に定める、後見・保佐を廃止して補助に一本化するといった内容です。ただし施行は一部を除き公布から2年6か月以内とされ、いまはまだ施行前です。
いま申し立てるかどうかの判断材料になるので、改正の方向だけでも見ておきましょう。
成年後見制度は、判断能力が不十分な人を支える制度です。相続の場面では、認知症の相続人がいると遺産分割協議ができないため、後見人を立てて代理で参加してもらうことになります。
法定後見は、本人の判断能力の程度で後見・保佐・補助に分かれます。どれを申し立てるかで後見人の権限が変わるので、申立ての前に見きわめが必要です。
注意したいのは費用です。申立て費用は一度きりですが、専門職が就任すると月額の報酬が続きます。始める前に、いつまで・いくら続くのかを見通しておきましょう。
親がまだ元気なら、任意後見や家族信託という選択肢もあります。いま申し立てるべきか、別の備えで足りるのか。判断がつかないときは、申立ての前に弁護士へ相談しておくと遠回りを避けられます。