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更新日:2026/08/26

孫に遺産を相続させるには【相談1081件】よくある失敗と対策

監修者
関根 翔
東京都>豊島区
池袋副都心法律事務所
関根 翔
孫に遺産を相続させるには【相談1081件】よくある失敗と対策
孫に遺産を相続させるには、遺贈・養子縁組・生命保険金・生前贈与といった渡し方があります。孫は原則として法定相続人ではないため、何も準備しないと財産は渡せません。弁護士ドットコムに寄せられた孫に関する相続相談1,081件をもとに、相続税の2割加算や遺留分、名義預金など、実際につまずきやすい点までわかりやすく解説します。

孫は相続できる?まず法定相続人の考え方

孫に財産を残す方法を考える前に、まず「そもそも孫に相続する権利があるのか」を整理しておきましょう。

相続人の範囲は、法律で定められています。法律で定められた相続人を法定相続人といいます。配偶者は必ず法定相続人になり、そのほかは「子→親→兄弟姉妹」という優先順位で法定相続人になります(子、親、兄弟姉妹が生存していることが前提)。

原則として孫は法定相続人ではない

結論からいうと、孫は原則として法定相続人ではありません

相続の優先順位では、被相続人(亡くなった方)に子がいる場合、その子が第1順位の相続人になります。孫は子のさらに下の世代にあたるため、親である子が生きていれば、孫には相続権は回ってきません

たとえば、祖父が亡くなり、その子(孫の親)が健在であれば、財産はまず配偶者と子に渡ります。孫はこの時点では相続人ではないため、遺言などの準備をしていなければ、孫が直接受け取れる遺産はないのが原則です。

「孫にも当然いくらか残せるはず」と考え、何も対策しておかないと、思うような結果にはなりません。孫に財産を残したい場合は、後述する方法による準備をしておく必要があります。

代襲相続で孫が相続人になるケース

例外的に、孫が相続人となる典型的なケースが代襲相続(だいしゅうそうぞく)です。

代襲相続とは、本来相続人になるはずだった子が、被相続人より先に亡くなっている場合などに、その子(=孫)が代わりに相続人になるしくみです。たとえば祖父が亡くなる前に父がすでに他界していれば、父が受け取るはずだった相続を孫が引き継ぐこととなります。

代襲相続が起こる主なケースは次のとおりです。

  • 相続人になるはずだった子が、被相続人より先に死亡している
  • 子が相続欠格にあたる、または廃除されて相続権を失っている

なお、子が自分の意思で相続放棄をした場合は、代襲相続は起こりません。この点はよく誤解されるので注意してください。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、「借金があったため父の相続は放棄したが、その後に亡くなった祖母の遺産を、孫である自分が代襲相続できるのか判断がつかない」という相談が寄せられています。

Q
祖母の遺産における代襲相続の可能性について
相談者の疑問
【相談の背景】 父が亡くなり借金があった為、子供の私は相続放棄をした。父の祖母が亡くなり、祖母の遺産を孫である私は代襲相続出来ないのか。 祖母は父と叔父がいて、父は生前祖母の遺産を放棄していない。 遺言書があり、叔父に大半、孫の私は少しとなっている。 もし代襲相続が認められるなら、遺留分を請求したい。 【質問1】 親の死後、親の遺産放棄をしても祖母の代襲相続できるのか
弁護士の回答
和田 史郎 弁護士
親御さんの相続放棄をしても、祖父母の代襲相続には影響しません。 なので、ご記載の事情では、貴方は祖母の代襲相続人になりますね。
すべての回答を見る

代襲相続で孫が受け取る相続分は、亡くなった親(子)が受け取るはずだった割合をそのまま引き継ぎます。孫が複数いる場合は、その割合を孫の人数で等分します。

孫と養子縁組した場合

孫を養子にすると、その孫は法律上の「子」として扱われ、第1順位の法定相続人になります。これにより、代襲相続が生じるケース(親が先に亡くなっている)ではなくても、孫に相続権が生じます。

養子縁組による相続には、次のような特徴があります。

  • 養子になった孫は、実子と同じ相続分を持つ
  • 法定相続人が増えるため、相続税の基礎控除額が増える場合がある
  • ただし、基礎控除などの計算では養子の人数に算入制限がある(後述)

養子縁組は孫に相続権が生じる一方で、他の相続人の取り分が減ることになるため、家族間の理解を得ておくことが大切です。養子縁組の相続上の扱いは、次の章で詳しく取り上げます。

【データで見る】孫の相続の悩みは「遺言・遺贈」と「生前贈与」に集中している

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」に寄せられた相続分野の相談30,302件を調べたところ、孫に言及する相談は1,081件(全体の3.6%)ありました。

テーマ別に見ると、遺言・遺贈に触れる相談が265件(24.5%)ともっとも多く、次いで生前贈与が247件(22.8%)、家族の対立や不公平感に触れるものが157件(14.5%)、遺留分が119件(11.0%)、養子縁組が106件(9.8%)、代襲相続が92件(8.5%)と続きます。

遺言・遺贈か生前贈与、つまり「渡し方」に触れる相談は、重複を除くと445件(41.2%)と4割を占めます。一方で、家族の対立に触れる相談も157件(14.5%)あり、渡し方と同時に家族の受け止め方でも迷う人が一定数いることがうかがえます。

(2021年4月1日~2026年7月8日に投稿された相談。当社調べ、n=30,302)

孫に遺産を渡す方法

ここからは、孫に遺産(亡くなった被相続人の財産)を渡す具体的な方法を見ていきます。生前に贈与する方法は次の章で扱い、ここでは「亡くなったときに孫へ財産が渡るようにする」方法を整理します。

主な方法は次の3つです。

方法

どんなしくみか

遺言書で遺贈する

孫に財産が渡るよう遺言書を作成する

孫と養子縁組する

孫を法律上の子にして相続人にする

生命保険金の受取人にする

生命保険金の受取人を孫にする

それぞれメリットと注意点が異なるため、家庭の状況に合わせてどのような方法を取るか検討しましょう。

遺言書で遺贈する

もっとも一般的なのが、遺言書で孫に財産を渡す方法です。遺言によって相続人以外の人に財産を渡すことを遺贈(いぞう)といいます。

遺言書に「孫の〇〇に預貯金のうち〇〇円を遺贈する」などと明確に書いておけば、孫が相続人でなくても財産を渡せます。財産の種類や金額を自分の意思で指定できるのが大きなメリットです。

ただし、遺言書には次の点に注意が必要です。

  • 形式に不備があると遺言全体が無効になることがある
  • 他の相続人の遺留分(最低限保障された取り分)を侵害しないよう配慮する
  • 誰に何を渡すかを、できるだけ具体的に書く

遺言書による相続の確実性を高めたい場合は、公証役場で作成する公正証書遺言がおすすめです。形式不備で無効になるリスクが小さく、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。

孫と養子縁組する

孫を養子にすると、孫は法律上の子となり、相続人になります。遺贈の場合と異なり遺留分を持つことになるため、一定の財産の取得が最低限保障されるのが特徴です。

養子縁組のメリットと注意点を整理すると、次のようになります。

区分

内容

メリット

孫が相続人になる/孫が遺留分を持つ

注意点

他の相続人の取り分が減る/相続税が2割加算される場合がある

留意すべき点として、養子になった孫には相続税が2割加算されることになります(代襲相続人を兼ねる場合を除く)。また、相続税の計算で法定相続人としてカウントできる養子の人数には制限があります。これらの税金面は、後半の章で詳しく説明します。

養子縁組は他の子(孫の親やおじ・おば)の相続分に直接影響するため、家族全員の理解を得てから進めることがトラブル防止のため望ましいと言えます。

生命保険金の受取人にする

生命保険金の受取人に孫を指定する方法もあります。生命保険金は受取人が直接受け取れるため、遺産分割協議を経ずに孫にお金を渡せるのが利点です。

ただし、孫を受取人にする場合は次の点に注意してください。

  • 孫が相続人でない場合、非課税枠(500万円×法定相続人の数)は使えない
  • 孫が受け取る生命保険金は、相続税の計算上2割加算の対象になりうる

生命保険金は、民法上は遺産ではありませんが、相続税の計算ではみなし相続財産として課税対象に含まれます。非課税枠の対象とならない孫が受け取ると、税負担が重くなりやすい点は理解しておきましょう。

生前に孫へ財産を渡す方法(生前贈与)

亡くなったあとに財産を渡す方法だけではなく、生きているうちに孫へ財産を渡す(生前贈与)という選択肢もあります。生前贈与は、適切に行えば、相続税の節税対策にもなり得ます。

暦年贈与

孫に財産を渡す方法として、暦年贈与(れきねんぞうよ)がなされる場合があります。贈与税には、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った財産が110万円までなら贈与税がかからないという基礎控除があります。

そのため、贈与税の基礎控除の範囲内であれば、毎年孫に贈与を行ったとしても贈与税がかからないのが原則となります。

また、孫が代襲相続人や遺贈や生命保険金の受取人になっていない場合、相続税の生前贈与加算の対象にはなりません。

暦年贈与と持ち戻し期間

相続が始まると、亡くなる前の一定期間に相続人へ贈与した財産は、相続財産に足し戻して相続税を計算するルールがあります。これを生前贈与加算(持ち戻し)といい、2024年以降の贈与については、対象期間が従来の3年から段階的に7年へ延長されました。

ただし、この持ち戻しの対象になるのは原則として相続人や遺贈や生命保険金を受ける人となります。代襲相続人や遺贈や生命保険金の受取人になっていない孫への贈与は、原則として持ち戻しの対象になりません。そのため、代襲相続人や遺贈や生命保険金の受取人になっていない孫への暦年贈与は、相続税に対する節税効果もあると言えます。

もっとも、暦年贈与は、最初からまとまった額を贈与する約束だった場合(定期贈与)は、渡す約束だった金額全体が贈与税の対象とされることとなります。毎年、その都度、贈与するか否かを判断して贈与がなされていたケースでなければ節税とはなりません

まとまったお金を孫に渡すため計画的に暦年贈与を利用することは、節税どころかより多額の税金を負担することになりかねません。毎年、その都度、贈与するか否か判断していたことを証拠として残しておくため、贈与の度に贈与契約書を作成しておく必要があるでしょう。

贈与の都度に贈与契約書がなかったり、毎年同じ時期に同じ額が贈与されている等のケースでは、実際には定期贈与の意図がなくても、定期贈与とみなされて、贈与された金額全体に贈与税が課税される可能性がありますので、気を付ける必要があります。

教育資金などの贈与制度

孫への贈与でよく知られていたのが、教育資金の一括贈与の非課税制度です。これは祖父母などから30歳未満の孫へ、教育資金として最大1,500万円までを非課税で一括贈与できる特例でした。

ただし、この特例は2026年(令和8年)3月31日で終了し、新たに利用することはできなくなりました。期限までに拠出した分は引き続き非課税で使えますが、これから新規に契約することはできない点に注意してください。

では、教育資金を孫へ渡すことができなくなったかというと、そうではありません。もともと、扶養義務者がその都度支払う教育費や生活費は、通常必要と認められる範囲であれば贈与税がかかりません。たとえば、孫の入学金や授業料を必要なタイミングで直接支払う「都度贈与」であれば、一括贈与の特例がなくても非課税で援助できます。

孫への資金援助を考える場合は、次のような方法を組み合わせるとよいでしょう。

  • 必要なときに必要な分だけ支払う都度贈与(教育費・生活費)
  • 年110万円の枠を活用した暦年贈与

制度は改正されることがあるため、まとまった額を渡す前に、最新の取り扱いを税理士などに確認することをおすすめします。

名義預金に注意

孫名義の口座にお金を移していても、それだけでは贈与が成立していないと判断されることがあります。これを名義預金といいます。

名義は孫でも、実際には祖父母がお金を管理していて孫が存在を知らない、という状態だと、税務署から「名義が違うだけで実質は祖父母の財産」とみなされ、相続のときに相続財産に含めて課税されるおそれがあります。

名義預金と判断されないためには、次のような点が重要です。

  • 孫(または親権者)が口座の存在と入金を認識している
  • 通帳や印鑑を孫側が管理している
  • 贈与契約書を作成しておく

「コツコツ孫名義で貯めていたのに、結局相続財産扱いになってしまった」ということがないよう、気を付ける必要があります。贈与は「あげる・もらう」の合意があって初めて成立する、という点を押さえておきましょう。

「みんなの法律相談」にも、「祖父母が孫名義で積み立てていた預金について、亡くなった親の相続財産にあたるとして、返してもらうために遺産分割協議書の作成を求められた」という相談が寄せられています。

Q
孫名義預金を父の介護費用にあてたい
相談者の疑問
【相談の背景】 父母が兄の子供あてに預金をしていました。母が亡くなる数ヶ月前に孫に渡していましたが、父が寝たきりとなったため、父のために使いたいから、孫から返してくれるようにお願いして欲しい、と言い残して亡くなりました。兄経由で連絡したところ、孫の弁護士さんから手紙が届きました。名義預金をお渡しすることは問題ないが、相続財産であるため、遺産相続人らで遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書の写しを送るように書いてありました。 【質問1】 亡母が渡したとはいえ、相続財産になりますか? 父は寝たきりとはいえ、認知症ではありません。 遺産分割協議書を作成せず、名義預金を返してもらえる方法はありますか?
弁護士の回答
濱田 玄樹 弁護士
お孫さん名義ではあるものの亡くなられたお母様の財産であれば,相続財産になります。 逆にお父様の財産であれば,存命のお父様の固有財産となりますので,相続財産ではありませんので遺産分割の対象外となります。 どちらの財産であるかについては,誰がその預金・貯金の積み立ての原資となるお金を用意していたのかや,通帳・印鑑の保管を誰が主体となって行っていたか等の事情によって判断されます。 ですから,お父様が主体となって貯蓄・管理していたと証明できそうであれば,遺産分割協議を行わずお孫さんに対して請求をすることが考えられます。
すべての回答を見る

【データで見る】孫と生前贈与に触れる相談は247件、つまずきは名義と教育資金

「みんなの法律相談」で孫に言及する相談1,081件のうち、生前贈与に触れる相談は247件(22.8%)で、遺言・遺贈に次いで多いテーマです。

内訳を見ると、教育資金や学費・入学金に触れる相談が49件(4.5%)、孫名義の預金に触れる相談が18件(1.7%)ありました。渡したつもりでも贈与として認められるのか、という渡し方そのものへの不安が相談として表れています。

(2021年4月1日~2026年7月8日に投稿された相談。当社調べ、n=30,302。1件が複数テーマにあたる場合は重複して数えています)

孫に相続させるときの税金

孫に財産を渡すときは、税金の負担が他の相続人と異なる場合があることを理解しておく必要があります。特に相続税の2割加算は、孫への相続で必ず押さえておきたいポイントです。

相続税の2割加算

相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の配偶者・子・親(一親等の血族)以外である場合、その人に対する相続税額は2割加算されます。孫は原則としてこの「以外」にあたります。

孫のケースを整理すると、次のようになります。

孫の立場

2割加算

代襲相続で相続人になった孫

対象外

養子になった孫

対象

遺贈・保険金を受け取る孫

対象

ポイントは、代襲相続で相続人になった孫は2割加算の対象にならないのに対し、養子縁組した孫や、遺贈で財産を受け取る孫は2割加算の対象になるという点です。

これは、孫に直接財産を渡すと、本来「親→子→孫」と二段階でかかるはずの相続税を一段階分とばすことになるため、その分を調整する趣旨です。孫への相続は税負担が重くなりやすいことを、あらかじめ理解しておきましょう。

相続税の基礎控除への影響

相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。遺産の総額がこの基礎控除以下であれば、相続税はかかりません。

孫を養子にすると法定相続人が増えるため、一見すると基礎控除が大きくなって有利に思えます。しかし、基礎控除などの計算に入れられる養子の数には上限があります。

  • 被相続人に実子がいる場合 …… 養子は1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合 …… 養子は2人まで

たとえば孫を3人養子にしても、基礎控除の計算では実子がいれば1人分しか増えません。「養子を増やせばいくらでも節税できる」わけではない点に注意してください。

また、孫が遺贈や生命保険金で財産を受け取る場合、孫が法定相続人でなければ基礎控除の人数には含まれません。

相続税と贈与税との比較

「相続で渡す」のと「生前に贈与で渡す」のとでは、課税される税金が変わります。基本的な違いを整理すると次のとおりです。

項目

相続税

贈与税

課税されるタイミング

亡くなったとき

生前に贈与したとき

非課税の枠

基礎控除3,000万円+600万円×人数

年110万円の基礎控除

税率の傾向

比較的ゆるやか

同額なら相続税より高めになりやすい

一度に多額を贈与すると贈与税は高くなりますが、年110万円の範囲で都度贈与していたケースでは、税負担が軽くなる場合があります。

相続で孫に財産を渡す方法と生前贈与で財産を渡す方法をどのように利用するのか、当然併用もあり得るでしょうから、税理士とも相談しながら適切な方法を検討するのが良いでしょう。

孫に財産を残すときの注意点

最後に、孫へ財産を残すときに見落としがちな注意点を確認します。税金だけでなく、家族間の公平や管理のしくみまで考えておくと、後のトラブルを防げます。

他の相続人の遺留分

孫に多くの財産を渡そうとするとき、特に注意したいのが遺留分(いりゅうぶん)です。遺留分とは、配偶者や子など一定の相続人に法律で保障された、最低限の取り分のことです。

たとえば遺言書に「全財産を孫に遺贈する」と書いても、他の相続人(孫の親やおじ・おば)には遺留分があります。遺留分を侵害された相続人は、孫に対して、遺留分侵害額請求により、遺留分に不足する金額をお金で支払うよう求めることができます。

その結果、財産を受け取った孫が、他の相続人へお金を支払わなければならなくなることもあり得ます。遺産の渡しすぎは、かえって孫の負担になる可能性があることを踏まえ、遺留分に配慮した分配を考えましょう。

「みんなの法律相談」にも、「公正証書遺言で土地の3分の1を孫に遺贈されたため、相続人である自分が孫に対して遺留分を請求できないか」という相談が寄せられています。

Q
公正証書遺言書の土地相続で分筆協力拒否、孫に遺留分請求可能か?
相談者の疑問
【相談の背景】 父が死亡後、公正証書遺言書に土地を孫に3分の1遺贈、私に3分の2相続とあり、相続登記後、土地の分筆に協力してくれません。 母は亡くなっています。 子供は私一人です。 本来は法定相続人が全て相続すると思うのですが、孫に対して遺留分請求する事は可能ですか? 宜しくお願いいたします。 【質問1】 土地の分筆に応じない場合、 孫に遺留分請求は出来ますか?
弁護士の回答
杉浦 太一郎 弁護士
質問1 土地の分筆に応じない場合、 孫に遺留分請求は出来ますか? 回答1 土地の分筆に協力しないことを理由に遺留分を請求することはできません。遺留分侵害額請求は、あくまで遺留分の侵害があった場合のみ認められます(民法1046条)。 本件における遺言内容が全財産の1/3を孫が取得し、全財産の2/3を相談者様が取得するとなっていたなら、相談者者は遺留分以上の財産を取得していることになるため、遺留分侵害はなく、孫に対する遺留分の請求はできません(民法1042条)。 なお、被相続人による生前贈与などがある場合は遺留分額が変化する可能性もあります。早期に一度弁護士に面談の上、詳しく相談されるべきです。 (遺留分の帰属及びその割合) 第1042条①兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。 一直系尊属のみが相続人である場合 三分の一 二前号に掲げる場合以外の場合 二分の一 ②相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。 (遺留分侵害額の請求) 第1046条①遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。 ②遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。 一遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額 二第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額 三被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額
すべての回答を見る

【データで見る】掲載事務所の解決事例では、遺留分の争いの5件に1件が訴訟まで進んでいる

相続弁護士ドットコム掲載事務所の公開解決事例1,212件のうち、遺留分に触れる事例は260件(21.5%)でした。解決した段階の内訳は、協議が128件(49%)、訴訟が54件(21%)、調停が48件(18%)、その他が26件(10%)、審判が4件(2%)です。

半数近くは話し合いで解決している一方、5件に1件は訴訟にまで進んでいます。遺留分を侵害する内容の遺言は、孫が他の相続人へ不足額を金銭で支払う負担につながりかねません。

家族間トラブル

孫に相続財産を渡すことは、他の相続人の取り分が減ることを意味します。良かれと思った援助が、かえって家族間の不公平感を生むことも少なくありません。

トラブルになりやすいのは、次のようなケースです。

  • 特定の孫だけに多く渡し、他の孫やその親が不満を持つ
  • 親に知らせず孫と養子縁組をしていた
  • 遺言の内容を、被相続人がが亡くなってから初めて知った

こうした不満は、相続が始まってから一気に表面化しかねません。可能であれば、生前に家族へ意図を伝えておくこと、そして遺言書には付言事項として「なぜ孫に多く残すのか」という理由を書き添えておくことが、争いの予防につながります。

「みんなの法律相談」にも、「遺言書に『孫の数に応じて按分する』とあったが、再婚相手の連れ子と養子縁組した孫を人数に含めるかどうかで、母や兄弟と揉めている」という相談が寄せられています。

Q
遺言書に孫の数に応じて按分するようにとありましたが養子がいた場合はどうなりますか。
相談者の疑問
【相談の背景】 亡き父の相続についての相談です。 遺言書があり法務局に預けられていて通知もきました。 ・相続人は母と4人の子どもたち合計5人 ・母に土地家屋と預金の一部 ・子どもたちはそれぞれ子ども(孫)の数に応じて按分する まとめるとこのような内容でした。 子どもたち4人の相続できる金額は現金にすると1800万ほどです。 長男は2人、長女の私は1人、次女は2人、次男が1人子どもがいます。 しかし次女は離婚後再婚しており再婚相手の連れ子が2人、養子縁組もしていますので、実子とあわせて4人養育していることになります。 この養子縁組した2人の次女の子どもは父と血縁がないので孫に含めないと主張する母・長兄・次男と、養子縁組したのだから実子と同じだと主張する次女が揉めています。 【質問1】 1800万を父の血縁の孫の数で按分すべきか。 次女の養子縁組した子も孫の数に含めて按分すべきか。 【質問2】 有効な遺言書があるのに解釈の違いで揉めて解決しない場合、最後はどうなりますか。
弁護士の回答
谷川 貴啓 弁護士
【質問1】 1800万を父の血縁の孫の数で按分すべきか。 次女の養子縁組した子も孫の数に含めて按分すべきか。 ご相談を拝読させていただき、お困りと思いますので、回答させていただきます。 遺言書の文言からは、実子と養子が区別されておりませんので、養子も含めた子供の数で按分するのが素直な解釈になると思われます。 【質問2】 有効な遺言書があるのに解釈の違いで揉めて解決しない場合、最後はどうなりますか。 遺言の内容が確定出来ない場合、遺言が無効となりますので、意味内容が確定できないと主張する者が、遺言無効確認の調停、訴訟を起こし、裁判所に遺言が有効なのか無効なのかを判断してもらうことになると思われます。 参考にしていただければ幸いです。
すべての回答を見る

未成年の孫への財産の管理

孫がまだ幼い場合、受け取った財産を孫自身が管理できないという問題があります。

未成年の孫が財産を相続・受贈した場合、原則としてその財産は親権者(孫の親)が代わりに管理します。しかし、その親と被相続人との関係によっては、被相続人の意思に反して、財産が孫のために使われない心配が生じることもあります。

「みんなの法律相談」にも、「10代のときに祖母から譲り受けた形見を、成人したら渡すからと親が預かったまま返してくれない」という相談が寄せられています。

Q
未成年の時に他界した祖母から譲り受けた形見を両親から取り返したい
相談者の疑問
【相談の背景】 私が10代の頃に祖母が他界し、書面での遺言は無かったものの生前から「孫(私)にこの貴金属のアクセサリーを与える」と多数の親戚の前で何度も発言していたことから一部の貴金属を譲り受けました。両親は「成人したら必ず渡すからこちらで預からせて」と貴金属を回収しました。最近、実家を出ることになり「大好きだった祖母の形見のアクセサリーをお守りとして生涯大切に使うから返してほしい」と伝えたところ「子供の頃の話を間に受けるのか、自分の老後の資金だ」と笑って取り合ってくれませんでした。アクセサリーは父名義の貸金庫に入っており見せてももらえません。当時両親以外の親族は私がそれを受け取ることを了承してくれました。 【質問1】 どうにかして形見のアクセサリーを取り返すことはできないでしょうか。
弁護士の回答
吉田 英樹 弁護士
お困りかと思いますので、お答えいたします。 > 【質問1】 > どうにかして形見のアクセサリーを取り返すことはできないでしょうか。 →任意で合意が成立しなれば,法的措置を検討せざるを得ませんが,ご親族ですので,一度親族関係調整調停を家裁に申し立てて,そのなかで調停委員をいれて,協議をしてみることは考えられるのかもしれません。 一般的なお答えとなり恐縮ですが、ご参考に頂ければと思います。
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未成年の孫へ財産を残すときは、次のような備えを検討するとよいでしょう。

  • 遺言で財産の使い道や管理方法を具体的に示しておく
  • 信頼できる人や専門家を遺言執行者に指定しておく
  • 家族信託などを利用し、孫が一定の年齢になるまで管理者を定めておく

「孫のために残したお金が、孫のために使われる」しくみまで考えておくことが、本当の意味で孫を守る準備になります。財産の渡し方に迷ったときは、早めに弁護士などの専門家へ相談し、家庭の事情に合った適切な方法を検討すべきでしょう。

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関根 翔
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