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不動産相続
更新日:2026/09/01

取得時効とは?相続した不動産を得る条件・必要期間・注意点

監修者
鈴木興治
大阪府>大阪市
ひなた法律事務所
鈴木興治
取得時効とは?相続した不動産を得る条件・必要期間・注意点
取得時効とは、他人の物でも一定期間、自分の物として占有し続けると所有権を得られる制度をいいます。ただし相続がからむと、占有期間の引き継ぎや「所有の意思」の有無など、判断が難しい論点が増えます。この記事では、取得時効の要件と必要な期間(10年・20年)、相続した不動産で認められるケース・認められないケース、主張の手続きと注意点まで、分かりやすく解説します。
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取得時効とは?相続で問題になる場面と消滅時効との違い

「取得時効」という言葉を聞いても、自分の相続にどう関わるのかイメージしづらいかもしれません。まずは意味と、相続でこの制度が問題になる場面を整理します。

取得時効の意味(他人の物でも一定期間の占有で所有権を取得できる制度)

取得時効とは、他人の物でも、自分の物として一定期間占有し続けた人に、その所有権を認める制度をいいます(民法162条)。

長い間、事実として続いてきた状態を尊重し、権利関係を安定させることが目的です。昔の権利関係を今から正確に証明するのは難しく、放置された権利をいつまでも保護し続けるのは不公平だからです。

たとえば、境界を越えて隣の土地の一部を庭として使い続けてきた場合や、名義が他人のままの土地に家を建てて暮らしてきた場合に、取得時効が問題になります。

相続で取得時効が問題になる典型的なケース

相続では、次のような場面で取得時効が関わってきます。

  • 相続した実家の敷地の一部が、登記上は他人名義のままになっている
  • 亡くなった親が長年使っていた土地の名義が、先代やその親族のままだった
  • 共有名義の不動産を、相続人の一人だけが長年占有してきた

いずれも「長く使ってきた事実があるのに、名義(登記)が実態と合っていない」という共通点があります。こうしたとき、取得時効によって自分の名義にできないかが問題になります。

実際に、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にも「相続した家が建つ土地の一部が、登記が古すぎて所有者不明の他人名義になっており、時効取得のような形で相続人が取得できないか知りたい」という相談が寄せられています。

Q
被相続人名義の家の土地の一部の所有者が不明
相談者の疑問
【相談の背景】 被相続人名義の家が建っている土地の一部が他の人の名義になっています。 調べてもらったそうですが登記も古すぎて所有者不明となったみたいです。 【質問1】 この場合この土地はどうなるのでしょうか? 相続の対象のなるのでしょうか? 【質問2】 時効取得みたいな感じで相続人が取得できますか? 国の管理ということになりますか? よろしくお願いします。
弁護士の回答
日下 貴弘 弁護士
60年を経過しているということであれば時効取得の要件は満たすように思われます。  遺産確認の訴えは裁判所に提起することになります。  他の相続人の同意があるかどうかにかかわらず、遺産であることが証明されれば遺産分割の対象に含めることができます。  なお、管轄は家庭裁判所ではなく、地方裁判所となります。  問題が早く解決するようお祈りしております。
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「消滅時効」との違い

取得時効は他人の物を一定期間占有して所有権を得る制度、消滅時効は権利を行使しないまま期間が経過して権利が消える制度で、借金や税金は消滅時効にあたるという2者の対比の図

時効には、取得時効のほかに「消滅時効」があります。ここを混同すると理解がずれるため、先に切り分けておきましょう。

消滅時効とは、権利を行使しないまま一定期間が過ぎると、その権利が消えてしまう制度です。借金の返済請求や、相続税・贈与税などの税金の時効はこちらにあたります。

一方、取得時効は権利を「得る」側の制度です。「長く借金を返していないから帳消しになる」といった話(消滅時効)と、「長く土地を使ってきたから自分の物になる」という話(取得時効)は、まったく別のものだと押さえておきましょう。

取得時効が認められるための要件

取得時効は、ただ長く使っていれば自動的に認められるわけではありません。次の要件をすべて満たす必要があります。

所有の意思をもって占有していること(自主占有と他主占有)

取得時効でもっとも重要なのが、「所有の意思」をもって占有していることです。所有の意思のある占有を自主占有、所有の意思のない占有を他主占有といいます。

所有の意思があるかどうかは、占有を始めたときの事情(権原)で客観的に判断されます。自分の物だと思って使い始めたなら自主占有、借りて使い始めたなら他主占有です。

ここが実務では大きな分かれ目になります。借りていた土地は、いくら長く使っても原則として取得時効できません。他主占有のままでは、何年経っても所有権は得られないからです。

平穏かつ公然に占有していること

占有は、平穏かつ公然に行われている必要があります。

平穏とは、暴力や強迫といった違法な力で奪い取ったものでないこと、公然とは、こっそり隠さずに使っていることをいいます。ふつうに住んだり畑として使ったりしていれば、通常はこの要件は満たされます。

他人の物を占有していること

取得時効は、あくまで「他人の物」を対象とする制度です。すでに自分名義の物は、時効を持ち出すまでもなく自分の物なので、この制度の対象になりません。

なお、判例上は他人の物でなくても(自分の物であっても登記がない等の事情で)時効を主張できる余地はありますが、実際に問題になるのは、名義が他人のままの不動産を占有しているケースがほとんどです。

占有を途中で途切れさせずに続けていること

占有は、決められた期間、途切れさせずに続けていることが必要です。途中で占有をやめたり、所有者に明け渡したりすると、そこで時効の進行はリセットされます。

なお、占有を続けていたことは、占有していた本人が主張・証明することになります。何年前から占有していたのか、その証拠をどう残すかが、後で大きな争点になります。

取得時効に必要な期間は10年?それとも20年?

取得時効に必要な占有期間は、状況によって10年と20年に分かれます。ここは検索でもよく調べられる、重要なポイントです。

善意無過失なら10年、そうでなければ20年

必要な期間は、占有を始めたときの状況で決まります。

占有を始めたときの状況

必要な期間

自分の物だと信じ、そう信じたことに落ち度がない(善意無過失)

10年

それ以外(他人の物と知っていた・落ち度があった)

20年

自分の物だと信じ、かつそう信じたことに落ち度がない場合を「善意無過失」といい、このときは10年で取得時効が認められます。そうでなければ20年が必要です。

善意無過失かどうかは占有を始めた時点で判断され、途中で「他人の物だった」と気づいても、10年の期間には影響しません。

期間はいつから数えるのか

期間は、占有を始めたときから数えます。この起算点をいつと見るかで、10年・20年を満たすかどうかが変わってきます。

相続がからむ場合、被相続人(亡くなった人)が占有していた期間も引き継いで合算できることがあります。これは次の章でくわしく説明します。

相続した不動産で10年(短期取得時効)が認められにくい理由

相続した不動産では、10年の短期取得時効が認められにくい場面があります。

登記を見れば名義が他人(先代や親族など)のままだと分かる状態だと、「自分の物だと信じたことに落ち度がない(無過失)」とは認められにくいためです。結果として、20年の占有が必要になるケースが多くなります。

自分のケースが10年で足りるのか20年必要なのかは、占有を始めた時期や当時の認識によって変わります。判断に迷うときは、早い段階で弁護士に確認しておくと安心です。

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相続した不動産で取得時効は認められる?

ここからが、相続で取得時効を考えるときの核心です。取得時効とは、他人の物でも、自分の物のつもりで長い間使い続けると、その物を自分の物にできる制度です。相続では、これが認められやすくなるケースと、そのままでは認められにくい・認められないケースがあります。順番に見ていきましょう。

認められるケース

相続で有利になるのは、親の代から続く「使ってきた実績」を引き継げる点です。

親の占有期間を引き継げば認められやすくなる

取得時効では、土地などを長い間、自分の物のように使い続けたか(これを「占有」といいます)が問われます。相続した人は、亡くなった人(被相続人)が使ってきた期間を引き継ぎ、自分が使った期間と足して数えられます。

たとえば、親が15年間使ってきた土地を相続し、そのあと自分が6年間使い続けたとします。すると、合わせて21年間として主張できるので、取得時効に必要な20年を満たせる可能性が出てきます。親の代から続く「使ってきた実績」をムダにせず引き継げるのは、相続ならではの大きなポイントです。

ただし、期間を足すときは、親の代についていた事情もそのまま引き継ぎます。 取得時効に必要な期間は、使い始めたときに「他人の物だとは知らなかった」なら10年、「他人の物だと知っていた」なら20年です。親が「他人の物と知りながら」使い始めていた場合、その期間を足して主張すると、自分も「知っていた」扱いになり、10年ではなく20年が必要になります。

自分が使った期間だけで主張するか、親の期間も足して主張するかで、有利・不利が変わります。ここは判断が難しいので、弁護士に相談しましょう。

「みんなの法律相談」にも、「実家の敷地の3分の2が血縁のない他人名義のまま残っており、何十年も自分の家族が手入れや固定資産税の負担をしてきた土地を、時効取得で自分たちのものにできないか悩んでいる」という相談が寄せられています。

Q
父の共有名義の土地に家を建てたい
相談者の疑問
両親・祖母と実家に同居していますが、子供が大きくなってきた為、現在の敷地に家を建てたいと考えています。そのことを両親に相談したところ、実は現在の土地は1/3は父名義の土地であるが、2/3は他人名義の土地であることがわかりました。現在の状況では住宅ローンを組む事が難しく、家を建設することができません。下記のような前提がありますが、どのような方法で話を進めたらよいのでしょうか? (1)できれば土地関係をすっきりさせたい。名義をすべて、父または私に変更したい。(どちらにするべきか?) (2)1/3の権利を持つことになった経緯は、隣に住んでいたうちの父が、現在の土地に住んでいた老人(血縁関係なし)の世話をしてあげていたため、亡くなった際に1/3権利をいただいた。35年程度前の話。 (3)亡くなられた方の身内は遠方におられ、一度もあったことがない。かつ、現在はその孫あたりに権利がいっていると思われ、権利者は何十人といると思われる。権利をもっていること自体を認識しておられるかも不明。 (4)金銭的な解決もしかたないと考えるが、現在の土地についてすべて手入等をしているのも、固定資産税を払っているのも何十年とうちの父であり、2/3の権利保有の方々は一切なにもしていない。できれば、無償で権利が取得できないものか。時効取得等。 (5)すべての権利者を当方だけで、調べることはかなり難しい。弁護士の方にお願いすれば、調査から手続等すべて可能か? (6)金銭的な解決を先方が望まれるが、金額的に折り合いがつかない場合に、先行して住宅建設をする方法はあるか?(例)ローンの保証人にすべての権利者を連帯保証人とすれば可能等。土地は順次名義を変更していく等。
弁護士の回答
森田 英樹 弁護士
1)できれば土地関係をすっきりさせたい。名義をすべて、父または私に変更したい。(どちらにするべきか?) ・・・税金の問題さえクリアされるならどちらでもよいでしょう。 (4)金銭的な解決もしかたないと考えるが、現在の土地についてすべて手入等をしているのも、固定資産税を払っているのも何十年とうちの父であり、2/3の権利保有の方々は一切なにもしていない。できれば、無償で権利が取得できないものか。時効取得等。 ・・・占有の開始時 借りていない(他主占有でない)のですから 他人所有地であると知って占有を開始しても(悪意占有)20年間そこを占有しているのですから取得時効の要件を満たすと思います。 (5)すべての権利者を当方だけで、調べることはかなり難しい。弁護士の方にお願いすれば、調査から手続等すべて可能か? ・・・可能でしょう。 (6)金銭的な解決を先方が望まれるが、金額的に折り合いがつかない場合に、先行して住宅建設をする方法はあるか? ・・・法的問題ではありませんので 金融機関との交渉次第でしょう。
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認められないケース

一方、次のようなケースは、そのままでは取得時効が認められにくい・認められません。

借りていた土地を相続しただけでは原則認められない

親が「借りていた」土地を相続した場合はどうでしょうか。

借りて使っていた場合は、相続してそのまま使い続けても「借りている状態」のままと扱われ、取得時効は原則として認められません。取得時効は「自分の物のつもりで使っている」ことが前提だからです。

ただし、相続をきっかけに、自分が新たに自分の物として使い始め、まわりから見ても持ち主のように振る舞っていると認められれば、認められる余地は出てきます。とはいえ「相続したから自分の物になる」わけではありません。固定資産税を払っている、自由に使っている、他人の物として扱っていない、といった「自分の物として扱っている」と外から見てわかる事情が必要で、そう認めてもらうのは簡単ではありません。

共同相続した不動産を一人で使っていても原則認められない

相続人みんなで共有している不動産を、一人だけが長年使ってきたケースもよくあります。

この場合でも、ほかの相続人の取り分(持分)まで「自分の物として使っていた」とは当然にはいえず、そのままでは一人の物として認められにくいとされています。認めてもらうには、やはり「自分の物として使っている」とわかる事情を、使っている側が示す必要があります。

遺産分割前に住んでいるだけでは認められない

いちばん誤解が多いのが、この点です。

遺産分割(誰が何を相続するかを決める話し合い)が終わる前に、相続人の一人が実家に長く住み続けているだけでは、その家全体を自分の物として取得時効が認められるわけではありません。相続した時点では、その家は相続人みんなの共有だからです。

まずは遺産分割で「誰が何を相続するか」を決めるのが本筋です。分け方でもめている場合は、取得時効を持ち出す前に、遺産分割の進め方から整理するとよいでしょう。

分け方の進め方やもめないためのポイントは、次の記事でくわしく解説しています。

相続した土地そのものの手続き全体を知りたい場合は、こちらの記事もあわせて参考になります。

取得時効を主張するための手続きの流れ

要件を満たしていそうな場合、実際にはどう進めるのでしょうか。大きな流れを押さえておきましょう。

要件を満たしているかを確認する

まず、これまで説明した要件(所有の意思・平穏公然・期間など)を満たしているかを確認します。

占有を始めた時期、当時の事情、固定資産税を負担してきた記録など、後で証拠になりそうな資料を集めておくことが大切です。ここが取得時効の成否を大きく左右します。

相手に時効の援用(自分のものにする意思表示)をする

取得時効は、期間が過ぎれば自動で成立するわけではありません。時効の利益を受ける人が「時効を主張します」と相手に伝えて初めて、効果が確定します。これを時効の援用といいます(民法145条)。

相手(登記上の名義人やその相続人)に対して、時効を援用する意思表示を行います。後々の証拠にするため、内容証明郵便(配達証明付き)などの形で残しておくのが一般的です。

相手が応じない場合は所有権移転登記請求訴訟を起こす

援用しても、相手が名義変更(所有権移転登記)に協力してくれるとは限りません。

相手が応じない場合は、裁判所に時効取得に基づく所有権移転登記請求訴訟を起こし、判決を得たうえで登記を移すことになります。時効取得を原因とする登記手続きの細かな必要書類や費用については、土地の名義変更にしぼって別記事でくわしく扱います。

亡くなった人の援用権も相続人が引き継げる

被相続人が生前に取得時効の要件を満たしていた場合、その援用する権利(援用権)も相続の対象になります。相続人は、亡くなった人の援用権を引き継いで、時効を主張できます。

ただし、相続人が複数いる場合、一人が援用しても、その効果は自身の相続分の限度にとどまるのが原則です。全体を自分の物にできるわけではない点に注意しましょう。

「取得時効は難しい」と言われる理由と弁護士に相談すべきケース

取得時効は、条文だけ見ると単純そうですが、実務では「難しい」と言われます。その理由と、相談したほうがよい場面を整理します。

占有を始めた時期や状況を証明しにくい

取得時効では、「いつから占有を始めたか」「どんな事情で使い始めたか」を、主張する側が証明しなければなりません

何十年も前のこととなると、当時を知る人がいなかったり、資料が残っていなかったりして、立証が難しくなります。

「みんなの法律相談」にも、「贈与した山林の一部について、隣地の所有者が『長年、草刈りや砂利敷きで管理してきたから時効取得で自分の土地だ』と主張し、いつから占有を始めたかが争いになっている」という相談が寄せられています。

Q
時効取得は完成しているのでしょうか?
相談者の疑問
【相談の背景】 3年前に親族に山林を贈与しました! 親族が隣の地主に境界の確認をお願いすると隣の地主から贈与した山林の一部(10坪程度)は登記はしていないが先祖が購入して代々管理して来たから自分の土地だと言い出して来ました! それと長年管理していたのだから時効取得で自分の物だとも言っています! 草を刈り土地に砂利を敷いて整地し管理して来たから自分の土地だと! 山林の前の道路が拡幅された30年程度前からなのかも知れませんが砂利が敷かれていた事は確かで(私は道路工事の余った砂利を敷いたのかなと思っていた)、 私も管理とまでは言えないですが草刈りは数年に1度程度していました! ※隣の地主の親族もその様に言いました(口裏合わせの様な) ※贈与する為に種目が農地であった物を山林に変更しました! ※贈与前の登記は私名義ですし固定資産税も払っていました! ※最近隣の地主は問題の土地にサクラの木を植えて来ました! 【質問1】 相手(隣の地主)の言う様に時効取得で土地は隣の地主の物になるのでしょうか?
弁護士の回答
向井 飛翔 弁護士
親族の方は、まだ3年しか占有していないので、時効取得は問題ではなく、単に、所有権に基づいて土地の返還を請求することになるかと思われます。 そして、親族の方の請求に対して相手が時効取得を主張することになるかと思われますが、30年前から占有しているにもかかわらず、時効取得について登記を経ていないのであれば、時効取得を親族の方に主張することは難しいのではないかと思います。 いずれにせよ、法的に正確な分析をしたほうがよいとは思うので、弁護士に直接ご相談されてください。
すべての回答を見る

「借りていただけ」と反論され所有の意思を否定されやすい

相手からは、「あれは貸していただけだ」「使わせてあげていただけだ」と反論されることがよくあります。

こう反論されると、所有の意思(自主占有)があったのかどうかが争点になります。ここを覆せるかどうかが、取得時効が認められるかの分かれ目になります。

時効取得した財産には所得税などの税金がかかる

取得時効で不動産を手に入れると、その財産の価値に応じて税金がかかることがあります

時効取得による利益は、一時所得として所得税の課税対象になる場合があるほか、不動産取得税がかかることもあります。金額や課税の有無は個別の事情で変わるため、税額の見通しは税理士に確認することをおすすめします。

早めに弁護士へ相談したほうがよいケース

次のような場合は、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。

  • 相手が名義変更に協力してくれない、連絡が取れない
  • 相手から「貸していただけだ」と反論されている
  • 相続人が複数いて、誰がどこまで主張できるかが分からない
  • 占有を始めた時期や事情を示す証拠が手元に少ない

証拠の集め方や主張の組み立て方によって結論が変わるため、迷ったら早い段階で相談するのが安全です。相談先の選び方や弁護士・司法書士・税理士の違いは、次の記事でも解説しています。

取得時効についてよくある質問

最後に、取得時効についてよくある質問にお答えします。

固定資産税を払っていれば取得時効は認められますか?

固定資産税を払ってきた事実は、「所有の意思をもって占有していた」ことを示す有力な事情の一つになります。

ただし、それだけで取得時効が認められるわけではありません。占有の期間や、所有の意思があると分かるほかの事情とあわせて総合的に判断されます。

建物だけを長年使ってきた場合も取得時効できますか?

取得時効は、土地と建物それぞれについて考えます。建物を長年使ってきた事実があっても、その敷地である土地を当然に取得できるわけではありません

土地の取得時効を主張するには、その土地そのものを建物に付随する庭とか、駐車場や物干し場として使ってきたとか、所有の意思をもって占有してきたといえる必要があります。

相手が「時効を認めない」と言ったら取得時効はできませんか?

相手が認めなくても、要件を満たしていれば取得時効を主張できます

相手が任意に応じない場合は、最終的に裁判で所有権を確認し、判決にもとづいて名義を移すことになります。相手の同意がないと必ずできない、というわけではありません。

まとめ

取得時効とは、他人の物でも一定期間、所有の意思をもって平穏公然に占有し続けると、その所有権を得られる制度です。

必要な期間は、占有を始めたときの状況によって10年(善意無過失)または20年に分かれます。相続がからむ場合は、被相続人の占有期間を合算できる一方で、悪意などの事情も引き継ぐこと、借りていた土地や遺産分割前の占有では原則として取得できないことに注意が必要です。

取得時効は、占有を始めた時期の証明や「所有の意思」の立証など、実務ではハードルが高い制度です。相手が名義変更に協力しない、「貸していただけだ」と反論されている、相続人が複数いて主張の範囲が分からない——こうしたときは、判断を誤ると不利な立場になりかねません。

証拠の集め方や、時効の援用・訴訟の進め方は、ケースごとに最適な方法が変わります。まずは弁護士への初回相談で、自身のケースで取得時効を主張できる見込みがあるか、どう進めればよいかを確認しておきましょう。

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