土地を相続する際の手続きは、大まかに以下の流れで進行します。
遺言書がある場合は、その内容に従って土地を相続します。
遺言書がない場合や、土地の相続方法が遺言書に記載されていない場合には、協議・調停・審判によって遺産分割を行い、土地を含めた遺産の分け方を決めます。
遺言書または遺産分割によって土地を相続することになった人は、法務局または地方法務局で相続登記の手続きを行い、所有権移転登記を取得します。
登記手続きの詳細については、後述します。
課税対象となる相続財産等の総額が基礎控除額を超えている場合には、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告・納付を行います。
※基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
なお、土地について小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、税額がゼロであっても相続税の申告が必要です。
相続財産である土地の分割方法は、「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4通りです。
「現物分割」は、土地を分筆した上で物理的に分ける方法です。面積に応じて公平に分けやすい点がメリットである反面、土地が細分化しすぎると使いにくくなることがあります。
「代償分割」は、一部の相続人が土地を取得する代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。
土地を必要とする相続人と、そうでない相続人の両方のニーズを満たせるメリットがある反面、代償金の準備が難しいケースや、複数の相続人が土地の取得を希望するケースではうまくいかないことがあります。
「換価分割」は、土地を売却して代金を分ける方法です。1円単位で公平に分割できる点がメリットですが、土地の場所や状態によっては買い手が付かないケースもあります。
「共有分割」は、土地を複数の相続人と共有する方法です。複数の相続人が土地の取得を希望する場合に選択されることがありますが、共有者間でトラブルが発生するリスクが高いのが難点です。
土地の相続登記の申請先は、土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局です。窓口申請のほか、郵送申請やオンライン申請も認められています。
相続登記手続きの必要書類は、土地の分割方法をどのように決めたかによって異なります。主な必要書類は以下のとおりです。
※公正証書遺言、法務局で保管されている自筆証書遺言については不要
※法定相続情報一覧図で代用可能
※法定相続情報一覧図で代用可能
※法定相続情報一覧図で代用可能
相続した土地には、以下の税金がかかることがあります。
課税対象となる相続財産等の総額が基礎控除額を超えている場合には、原則として相続税が課されます。
※基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
相続税の金額は、土地だけでなく相続財産等の総額を基に計算します。相続税が課される場合は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付が必要です。
土地の相続登記の手続きを行う際には、法務局に登録免許税を納付する必要があります。
登録免許税の金額は、固定資産税評価額に一定の割合をかけて計算します。相続人が土地を相続した場合の税率は0.4%、相続人以外の者が遺贈によって土地を取得した場合の税率は2%です。
不動産取得税は、相続した土地については非課税とされていますが、相続人以外の者が特定遺贈によって土地を取得した場合には課税されます。
この場合、不動産取得税の税率は固定資産税評価額の3%です。
毎年1月1日時点における登記簿上の土地所有者に対しては、固定資産税が課されます。固定資産税の税率は、固定資産税評価額の1.4%です。都市計画区域にある土地の場合は、さらに都市計画税が課されます。
相続した土地を売却する際の手続きは、大まかに以下のとおりです。弁護士に相談すれば、不動産業者や司法書士を紹介してもらえることがあります。
土地を相続する際には、特に以下の2点に注意しましょう。
土地が遠方に存在する場合などには、管理の負担が重くなることがあります。土地の相続を希望するかどうかは、管理の負担も考慮した上で慎重に判断しましょう。
管理が大変な土地については、「相続土地国庫帰属制度」を利用することも有力な選択肢です。一定の負担金を支払えば、相続した土地を国に引き取ってもらえることがあります。
詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせてお読みください。
関連記事:相続土地国庫帰属制度とは?国が引き取る土地の要件、手続きの流れや費用を解説
土地の相続を希望する人が複数いるなど、分割方法についての話し合いがなかなかまとまらない場合でも、土地を共有のままにすること(=共有分割)は避けた方が無難です。
共有状態の土地については、賃貸や売却に当たって共有者間で意思決定を行わなければなりません。その際、共有者間で意見が食い違ってトラブルになるケースが非常に多く見られます。
共有トラブルを避けるため、遺産分割の際には現物分割・代償分割・換価分割のいずれかを行い、土地の共有状態を解消しておきましょう。
土地の相続に関しては、遺産分割・相続登記・相続税申告などさまざまな手続きが必要となります。分割方法も複数存在し、それぞれ異なるメリット・デメリットがあるので、どの方法を選択するかについて慎重な検討が必要です。
弁護士に相談すれば、土地の相続手続きについて総合的なアドバイスとサポートを受けられます。税理士・司法書士・不動産会社と連携している弁護士であれば、あらゆる手続きについてワンストップで対応してもらえるでしょう。
土地の相続については、弁護士にご相談ください。