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遺産相続
更新日:2026/07/16

法定相続分とは?家族構成別の早見表で取り分を確認

監修者
法定相続分とは?家族構成別の早見表で取り分を確認
「身近な人が亡くなったけれど、自分はどのくらい遺産をもらえるの?」——相続の場面でまず気になるのが、この取り分の割合ではないでしょうか。その法的な基準になるのが法定相続分です。法定相続分とは、民法が定めた「誰がどれだけ遺産を受け取れるか」の割合をいいます。この記事では、家族構成別の早見表で自分の取り分をすぐに確認できるようにしたうえで、計算方法や具体例、代襲相続・養子などで割合が変わるケース、遺留分との違いまで、はじめての方にも分かりやすく解説します。
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法定相続分は民法で決められた遺産の取り分

法定相続分とは、民法が定めた「誰がどれだけ遺産を受け取れるか」の割合のことです。

亡くなった方(被相続人)が遺言を残していない場合に、相続人が遺産を分ける際の基準になります。

たとえば「配偶者と子で遺産を分けるなら半分ずつ」というように、相続人の組み合わせごとに割合が決められています。

ただし、相続人全員が話し合って合意すれば、法定相続分とは違う割合で分けることもできます。法定相続分は、合意できない場合や裁判所が判断する場合の法的な基準として押さえておきましょう。

「法定」という言葉から、必ずこの割合で分けなければならないと思われがちですが、そうではありません。あくまで、遺言がなく、話し合いの基準が必要なときのものさしです。とはいえ、自分の取り分を知るうえでの出発点になるため、まずは家族構成ごとの割合を正しくつかんでおくことが大切です。

法定相続分は誰がいくらになる?まず相続人と相続順位を確認する

被相続人の配偶者は常に相続人となり、それ以外は第1順位の子(いなければ孫)、第2順位の父母(いなければ祖父母)、第3順位の兄弟姉妹(いなければ甥・姪)の順で相続人になり、先順位がいない場合に次順位へ移ることを示した相続順位の関係図

法定相続分を知るには、先に「誰が相続人になるのか」を確認する必要があります。相続人になれる人とその順位は、民法で決まっています。

配偶者は常に相続人になる

被相続人の配偶者は、常に相続人になります。ここでいう配偶者とは、婚姻届を出した法律上の夫または妻のことです。

配偶者は、次に説明する子・父母・兄弟姉妹のうち、その時点で相続人になる人と一緒に遺産を相続します。

第1順位は子(いなければ孫)

配偶者以外では、まず子が第1順位の相続人になります。子がすでに亡くなっている場合は、その子(被相続人から見て孫)が代わりに相続します。

第2順位は父母(いなければ祖父母)

子も孫もいない場合は、被相続人の父母が第2順位の相続人になります。父母がいなければ、祖父母が相続人になります。父母や祖父母のような上の世代を直系尊属といいます。

第3順位は兄弟姉妹(いなければ甥・姪)

子も直系尊属もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が第3順位の相続人になります。兄弟姉妹がすでに亡くなっていれば、その子(被相続人から見て甥・姪)が代わりに相続します。なお、子の代襲は孫・ひ孫と下の世代へ続きますが、兄弟姉妹の代襲は甥・姪までの一代限りです。

先の順位の人がいる間は、後の順位の人は相続人になりません。たとえば子がいれば、父母や兄弟姉妹は相続人になりません。逆に、子も孫もいなければ父母へ、父母も祖父母もいなければ兄弟姉妹へと、順番に次順位の人が相続人となります。

家族構成別に見る法定相続分の割合

相続人の組み合わせが分かれば、法定相続分も決まります。まずは早見表で、自分のケースの取り分を確認しましょう。

相続人の組み合わせ

配偶者の取り分

ほかの相続人の取り分

配偶者と子

2分の1

子全員で2分の1

配偶者と父母(直系尊属)

3分の2

父母全員で3分の1

配偶者と兄弟姉妹

4分の3

兄弟姉妹全員で4分の1

配偶者のみ

すべて

子のみ/父母のみ/兄弟姉妹のみ

その人たちで全部

子や父母、兄弟姉妹が複数いるときは、その人数で均等に分けるのが基本です。ただし、半血の兄弟姉妹や代襲相続がある場合は割合が変わります。順番に見ていきましょう。

配偶者と子が相続人のとき

配偶者と子が相続人のときは、配偶者が2分の1、子全員で2分の1です。子が複数いれば、2分の1を人数で均等に分けます。

たとえば子が2人なら、子全員分の2分の1をさらに半分にして、子1人あたり4分の1ずつになります。もっとも多いのがこのケースで、相続の基本形といえます。

配偶者と父母が相続人のとき

子がおらず、配偶者と父母が相続人のときは、配偶者が3分の2、父母全員で3分の1です。父母が2人とも存命なら、3分の1を2人で分けて、父母1人あたり6分の1ずつになります。子がいない夫婦の相続でよく見られるケースです。

配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき

子も父母もおらず、配偶者と兄弟姉妹が相続人のときは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹全員で4分の1です。配偶者の取り分がもっとも大きくなる組み合わせです。

配偶者だけが相続人のとき

子・父母・兄弟姉妹がいなければ、配偶者がすべての遺産を相続します。

子だけ・父母だけ・兄弟姉妹だけが相続人のとき

配偶者がすでに亡くなっているなど、配偶者がいない場合は、その順位の相続人だけで遺産を分けます。子だけ、父母だけ、兄弟姉妹だけのときは、原則として、その人たちで全部を均等に分けます。ただし、半血の兄弟姉妹がいる場合や代襲相続が起きる場合は、後述のとおり例外があります。

たとえば、両親とも亡くなり、子3人だけが相続人なら、遺産を3等分します。配偶者がいないぶん、同じ順位の相続人の取り分は大きくなります。なお、子だけのケースでも、すでに亡くなった子がいれば、その孫が代襲相続で取り分を引き継ぐ点は変わりません。

法定相続分の計算方法と具体例

割合が分かったら、実際の金額を計算してみましょう。

計算の基本的な手順

法定相続分の計算は、次の手順で進めます。

  1. 相続人が誰かを確定する
  2. 早見表で相続人の組み合わせごとの割合を確認する
  3. 遺産(プラスの財産)の総額に割合をかけて、各自の取り分を出す
  4. 同じ順位の人が複数いれば、その人数で均等に分ける

法定相続分は、預貯金や不動産などの遺産を分ける基準です。一方、借入金などの可分債務は、原則として相続開始と同時に各相続人へ法定相続分に応じて当然に分割承継され、通常は遺産分割の対象になりません。

相続人間で特定の人が負担すると合意しても、債権者の同意がなければ、その合意を債権者に対抗できないことがあります。

配偶者と子3人のケース

遺産が6,000万円で、相続人が配偶者と子3人のケースを考えます。

まず、配偶者が2分の1で3,000万円。残りの2分の1(3,000万円)を子3人で均等に分けるので、子1人あたり1,000万円です。

配偶者と兄弟姉妹2人のケース

遺産が4,000万円で、子も父母もおらず、相続人が配偶者と、父母の双方を同じくする兄弟姉妹2人のケースです。

配偶者が4分の3で3,000万円。残りの4分の1(1,000万円)を兄弟姉妹2人で分けるので、兄弟姉妹1人あたり500万円になります。

このように、同じ遺産額でも、相続人の組み合わせによって配偶者の取り分は大きく変わります。配偶者と子なら2分の1、配偶者と兄弟姉妹なら4分の3と、子や親がいないほど配偶者の取り分は増えるしくみです。

なお、借金などの相続債務は、遺産の取得額とは別に承継関係を確認する必要があります。借金が多い場合は、相続放棄や限定承認も視野に入れて、相続するかどうかから検討しましょう。

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割合が変わる代襲相続・養子などのケース

基本の割合を押さえたら、少し複雑なケースも確認しておきましょう。家族構成によっては、取り分が変わることがあります。

子や兄弟姉妹が先に亡くなった代襲相続

本来相続人になるはずだった子や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合、その子(孫や甥・姪)が代わりに相続します。これを代襲相続といいます。

子については相続欠格・廃除、兄弟姉妹については相続欠格の場合にも代襲相続が生じますが、相続放棄は代襲原因ではありません。

代襲相続では、本来の相続人(被代襲者)が受け取るはずだった取り分を、代襲相続人が引き継ぎます。たとえば、子の1人がすでに亡くなり孫が2人いれば、その子の取り分を孫2人で均等に分けます。

具体的には、相続人が配偶者と子2人で、そのうち1人の子がすでに亡くなって孫が2人いるとします。子全員分の2分の1のうち、存命の子が4分の1、亡くなった子の取り分4分の1を孫2人が8分の1ずつ引き継ぎます。孫が代わりに相続することで、もともとの取り分が枝分かれしていくイメージです。

代襲が孫やひ孫までどこまで続くか、相続分がどうなるかは、次の記事でくわしく解説しています。

父母の一方だけが同じ半血の兄弟姉妹

兄弟姉妹が相続人になるケースでは、父母の両方が同じ兄弟姉妹(全血)と、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)とで、取り分が変わります

半血の兄弟姉妹の取り分は、全血の兄弟姉妹の半分になります。異母きょうだい・異父きょうだいがいる場合は、この点に注意しましょう。

たとえば、被相続人に全血の弟が1人、半血の妹が1人いるとします。この場合、全血の弟と半血の妹の取り分は「2対1」になり、半血の妹は弟の半分しか受け取りません。同じ「きょうだい」でも割合が変わるため、戸籍をたどって関係を正確に確認することが大切です。

養子や認知された子がいる場合

養子は、実の子と同じ取り分を持ちます。養子も実子も、法定相続分は同じです。

また、結婚していない男女の間に生まれ、父に認知された子(非嫡出子)も、嫡出子と同じ取り分になります。かつては非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、最高裁の違憲決定(最大決平成25年9月4日)を受けた平成25年の民法改正により、同じ扱いになりました。

養子が複数いる場合も、それぞれが実子と同じ取り分を持ちます。なお、相続税の計算では、法定相続人の数に算入できる養子の人数に制限(実子がいる場合は1人、いない場合は2人まで)がありますが、これはあくまで税額計算のうえでの話です。民法上の取り分そのものに、養子の人数制限はありません。

法定相続分と遺留分は何が違う?

法定相続分は遺言がない場合の遺産の分け方の目安で、遺留分は遺言があっても侵すことのできない最低限の取り分であること、配偶者や子には遺留分があるが兄弟姉妹には遺留分がないことを対比して示した図

法定相続分とよく混同されやすいものとして、「遺留分」があります。違いを整理しておきましょう。

遺留分は最低限保障される取り分

遺留分とは、一定の相続人について法律上保障された最低限の利益のことです。

法定相続分が遺産分割の基準であるのに対し、遺留分は、遺言や贈与によって侵害された場合に、その侵害額に相当する金銭の支払を請求できる制度です。「全財産を長男に」という遺言も当然に無効になるわけではなく、遺留分権利者が遺留分侵害額請求を行う必要があります。

遺留分のしくみは、次の記事でくわしく解説しています。

兄弟姉妹に遺留分はない

注意したいのは、兄弟姉妹(甥・姪)には遺留分がないことです。

法定相続分では兄弟姉妹も取り分を持ちますが、遺留分は認められていません。そのため、遺言で兄弟姉妹以外の人に全財産を渡すと定められた場合、兄弟姉妹は遺留分侵害額請求によって取り分を確保することはできません。

これは、子のいない夫婦などで、「自分の財産を兄弟ではなく配偶者にすべて残したい」というときに役立つ知識です。遺言を残しておけば、兄弟姉妹に遺産が渡るのを防げます。

兄弟姉妹に遺留分がない理由や、遺言で取り分を渡さずに済む方法は、次の記事でまとめています。

法定相続分のとおりに分けなくてよいケース

法定相続分は、遺産分割の法的な基準です。ただし、相続人全員が合意すれば、必ずしもこの割合どおりに分ける必要はありません。

遺言があれば遺言が優先される

被相続人が遺言を残していれば、原則として遺言の内容が法定相続分より優先されます。

「自宅は妻に、預貯金は長男に」といった指定があれば、原則としてその内容に従います。ただし、遺留分を侵害された相続人は、別途、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できます。

つまり、遺言があると法定相続分どおりにはなりませんが、配偶者、子(代襲相続人を含む)および直系尊属には遺留分が認められます。兄弟姉妹と、その代襲相続人である甥・姪には遺留分がありません。遺言と法定相続分、遺留分の関係を整理すると、「自分はどこまで主張できるのか」が見えてきます。

遺言で特定の人に多く渡したい場合の注意点は、次の記事も参考になります。

遺産分割協議で自由に決められる

遺言がない場合は、相続人全員で話し合って分け方を決めます。これを遺産分割協議といいます。

相続人全員が合意すれば、法定相続分とは違う割合で分けても構いません。「同居していた長男が自宅を、ほかの相続人は預貯金を」といった柔軟な分け方もできます。

実際の相続では、法定相続分どおりにきっちり分けるより、自宅は誰が引き継ぐか、預貯金はどう分けるかなど、事情に合わせて話し合うことのほうが多くあります。法定相続分は、話し合いがまとまらない場合の法的な基準となる「ものさし」と考えると分かりやすいでしょう。

特別受益や寄与分で調整されることもある

法定相続分は、事情に応じて調整されることもあります。

生前に婚姻・養子縁組・生計の資本として贈与を受けていた相続人は、その分を考慮して取り分が減ることがあります(特別受益)。逆に、被相続人の事業を支えたり、療養看護などにより財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人は、取り分が増えることがあります(寄与分)。これらは共同相続人間の公平を図るための仕組みです。

たとえば、長男だけが住宅資金として生前に1,000万円の贈与を受けていた場合、その贈与が「生計の資本としての贈与」に当たれば、相続財産に持ち戻して長男の取り分を調整することがあります。二男が扶養義務の範囲を超えて無償で長期間療養看護を行い、被相続人の財産維持に特別の貢献をした場合は、寄与分が認められることがあります。

なお、相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益や寄与分を反映した具体的相続分による分割を求められません(例外があります)。

法定相続分についてよくある質問

最後に、法定相続分について多い質問にお答えします。

再婚した配偶者の連れ子に法定相続分はある?

再婚相手の連れ子は、養子縁組をしていなければ相続人にならず、法定相続分もありません

一緒に暮らしていても、被相続人と法律上の親子関係がなければ相続権は生じないためです。連れ子に財産を渡したい場合は、養子縁組をするか、遺言で残す方法があります。養子縁組をすれば、その連れ子は実子と同じ取り分を持ちます。

内縁の妻や離婚した元配偶者に法定相続分はある?

いずれも法定相続分はありません。

法定相続分が認められる配偶者は、婚姻届を出した法律上の配偶者に限られます。内縁(事実婚)のパートナーや、離婚して婚姻関係が終わった元配偶者は、相続人になりません。

長年連れ添った事実婚のパートナーでも、法定相続人として遺産を取得することはできません。相続人がいない場合に特別縁故者として財産分与を受けられる可能性はありますが、当然に認められるものではないため、財産を確実に渡したい場合は遺言などの備えが必要です。

相続税の計算で使う法定相続分とは何が違う?

相続税の計算でも法定相続分が登場しますが、使い方が異なります。

相続税では、実際の分け方とは別に、いったん「法定相続分どおりに分けたと仮定して」税の総額を計算します。そのうえで、各人の課税価格の割合に応じて、各人の税額を割り振ります。

つまり、遺産分割で法定相続分と違う分け方をしても、相続税の総額の計算ではいったん法定相続分を使う、ということです。実際の取り分を決めるための割合とは目的が違う、と理解しておきましょう。くわしい税額の計算は複雑なため、税理士に確認すると安心です。

まとめ

法定相続分は、民法が定めた「誰がどれだけ遺産を受け取るか」の法的な基準です。配偶者は常に相続人となり、子・父母などの直系尊属・兄弟姉妹の順で相続人が決まります。

割合は、配偶者と子なら2分の1ずつ、配偶者と直系尊属なら配偶者3分の2、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3が基本です。

代襲相続や半血の兄弟姉妹では割合が変わり、遺言や遺産分割協議があれば、法定相続分と違う分け方になることもあります。

家族構成が複雑な場合や、代襲相続・特別受益・寄与分がからむ場合、遺産の分け方をめぐって相続人どうしで意見が割れた場合は、取り分の計算や交渉が難しくなります。

そんなときは自己判断で進めず、まずは相続にくわしい弁護士への初回相談を利用しましょう。自分の取り分がいくらになるのか、遺産分割をどう進めればよいかを確認したうえで、話し合いや手続きを有利に進められます。

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この記事の監修者
長瀬佑志
東京都>千代田区
弁護士法人長瀬総合法律事務所東京支所
長瀬佑志(第二東京弁護士会)
東京大学法学部卒。現在は茨城県内複数箇所のほか、東京にも事務所を構え、190社超の顧問企業の対応をはじめとする企業法務から相続・離婚・交通事故・労働問題・刑事事件まで幅広い案件に対応。相続分野では、遺産分割、遺留分侵害請求、遺言無効確認等の交渉・調停・訴訟対応を手がける。登録番号37939(第二東京弁護士会)
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