相続弁護士 ドットコム
月間サイト訪問者数
690万人以上
登録弁護士
28,000人以上
相続税
更新日:2026/09/24

贈与税がかからない方法6つ|あとで課税・争族を招かない渡し方

監修者
高山弥生
東京都>中央区
VSG相続税理士法人
高山弥生
贈与税がかからない方法6つ|あとで課税・争族を招かない渡し方
「子や孫にまとまったお金を渡したいけれど、贈与税が心配」——そんなときに知っておきたいのが、贈与税をかけずに渡す方法です。贈与税とは、人から財産をもらったときにかかる税金で、年110万円までなど、いくつかの非課税枠があります。この記事では、贈与税がかからない6つの方法と、それぞれの上限・使い方、そして「非課税のつもりが後で課税される」よくある失敗と防ぎ方まで、はじめての方にもわかりやすく解説します。
相続税申告に強い税理士を手間なく探せます!ご相談ください!

贈与税がかからない方法は大きく2種類

贈与税は、1年間にもらった財産の合計が110万円を超えるとかかる税金です。かからないようにする方法は、大きく2つに分けられます。

非課税枠・特例を使って渡す方法

年110万円までの暦年贈与や、住宅・結婚などの目的別の特例など、制度として決められた非課税枠を使って渡す方法です。この記事の中心になります。

そもそも贈与税がかからない財産

親から子への生活費・教育費など、扶養する家族に必要な都度渡すお金は、そもそも贈与税の対象になりません。

香典・お見舞い・お祝い金なども、常識的な範囲であれば課税されません。これらは制度の枠を使うまでもなく非課税です。

贈与税がかからない6つの方法

暦年贈与110万円、相続時精算課税2500万円+年110万円、おしどり贈与2000万円、住宅取得等資金1000万円または500万円、結婚・子育て資金一括1000万円、扶養家族への生活費・教育費の都度贈与、という贈与税がかからない方法と上限・期限をまとめた表

贈与税の課税方法には、毎年の贈与に課税する「暦年課税」と、相続時にまとめて精算する「相続時精算課税」の2つがあります。以下の方法は、この仕組みや目的別の特例を使うものです。

代表的な6つの方法を、上限と使いどころとあわせて見ていきましょう。

①年110万円までの暦年贈与

もっとも基本的な方法です。受け取る人1人あたり、1年間に110万円までは贈与税がかからず、申告も不要です。

ただし110万円は「もらう人ごと」の枠です。複数の人からもらった場合は合計して判定するので注意しましょう。

数える期間は1月1日から12月31日までの1年間です。年をまたげば、翌年また110万円の枠が使えます。

②相続時精算課税の2500万円+年110万円

原則60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫へ贈与するときに選べる制度です。累計2500万円まで贈与税がかからず、超えた分は一律20%で課税されます。

2024年からは、これとは別に年110万円の基礎控除が新設されました。この110万円以下なら申告も不要で、相続のときに相続財産へ加算されません。

たとえば2700万円を一括で渡しても、2610万円までは贈与税がかかりません。ただし相続のときに、渡した2500万円分を相続財産に足して相続税を計算します(年110万円の基礎控除で渡した分は足しません)。

一度選ぶと暦年贈与には戻れず、届出も必要です。使う前に慎重に検討しましょう。

暦年贈与と相続時精算課税は、同じ人からの贈与では併用できません。おおまかな向き・不向きは次のとおりです。

項目

暦年贈与

相続時精算課税

非課税枠

年110万円

累計2500万円+年110万円

向いている人

毎年少しずつ長く渡したい

まとまった額を早めに渡したい

相続税との関係

死亡前の一定期間分を加算

2500万円分は相続時に加算(年110万円分は加算なし)

相続時精算課税は、値上がりが見込まれる財産(自社株など)を、価値が低いうちに早めに渡すのに向くとされます。

どちらが有利かは、財産の額や年齢、渡す期間によって変わります。判断に迷うときは税理士に試算してもらうのが確実です。

③夫婦で使えるおしどり贈与

婚姻期間20年以上の夫婦間で、住んでいる家(居住用不動産)やその購入資金を贈与するとき、2000万円まで控除できる特例です。基礎控除110万円と合わせて最大2110万円まで非課税になります。

同じ夫婦の間で一生に一度だけ使えます。非課税でも申告は必要です。

たとえば2000万円分の自宅の持分を配偶者へ贈与すると、2000万円+基礎控除110万円まで非課税で渡せます。自宅が相続財産から一部外れる分、将来の相続税を抑えられる場合もあります。

自宅そのものではなく取得資金を贈与する場合は、その資金で実際に住宅を取得し、住み続けることが条件です。

おしどり贈与以外に夫婦間で贈与税が課税される場面と対処法は、次の記事でくわしく解説しています。

④住宅取得等資金の贈与の特例

父母・祖父母から18歳以上の子・孫へ、住宅の新築・購入・リフォーム資金を渡すときの特例です。省エネなどの住宅で1000万円、その他の住宅で500万円まで非課税になります。

この特例は2026年12月末までの贈与が対象で、期限が近づいています。使う予定があるなら早めに動きましょう。非課税でも申告が必要です。

契約や引き渡しの時期にも要件があり、住宅の性能によって非課税枠が変わります。購入前に、自分の住宅が対象になるか確認しておきましょう。

⑤結婚・子育て資金の一括贈与の特例

父母・祖父母から18歳以上50歳未満の子・孫へ、結婚や子育ての資金をまとめて渡すときの特例で、1000万円(うち結婚資金は300万円)まで非課税です。金融機関を通じて手続きします。

こちらは2027年3月末までの制度です。受け取った人が50歳になったときに使い切れず残った分には、贈与税がかかります。

⑥扶養家族への生活費・教育費の都度贈与

親や祖父母が、子・孫の生活費や教育費を必要な都度払う分は、金額にかかわらず贈与税がかかりません。学費や仕送り、入院費などがこれにあたります。

ただし「都度」であることが条件です。数年分をまとめて渡したり、渡したお金を預金に回したりすると、課税対象になり得ます。

たとえば孫の学費を、進級のたびに必要な分だけ渡す(または学校へ直接払う)のは非課税です。一方、「4年分の学費」としてまとめて渡すと、渡した年に使い切らなかった残りが贈与とみなされます。

これらの非課税枠は組み合わせて使える

非課税枠は組み合わせられます。たとえば同じ年に、暦年贈与の110万円とおしどり贈与を一緒に使えます。おしどり贈与が2000万円だった場合に、他の人からの贈与が300万円あった場合、300万円から110万円を控除した190万円が課税対象となります。おしどり贈与が2200万円で、他の人からの贈与が300万円あった場合、390万円が課税対象となります。

ただし、相続時精算課税を選ぶと、相続時精算課税適用贈与者からの贈与に暦年贈与の110万円は使えなくなります(相続時精算課税の年110万円に一本化)。他の贈与者からの贈与には暦年贈与の110万円は使えます。

渡す相手によって使える方法は変わる

同じ「贈与」でも、誰に渡すかで使える制度や注意点が変わります。

親から子・孫へ渡すとき

暦年贈与・相続時精算課税・住宅取得等資金など、多くの方法が使えます。特に孫は、次に述べる生前贈与加算の対象になりにくいため、相続税対策として渡す相手に選ばれることがあります。

たとえば住宅資金の特例と暦年贈与の110万円を同じ年に組み合わせれば、より多くを非課税で渡せます。

夫婦間で渡すとき

おしどり贈与が代表的です。生活費など日常のお金は都度なら非課税なので、あえて贈与という形をとらなくてよい場合も多いです。

なお、生活費として渡したお金を配偶者が貯めた「へそくり」は、実質的に渡した人の財産とみなされ、相続時に問題になることがあります。

孫や子の配偶者など相続人以外へ渡すとき

相続人でない孫や子の配偶者は、生前贈与加算の対象外です。ただし、遺言で財産を受け取ったり、生命保険金の受取人になっていたりすると対象になります。

子の配偶者(義理の息子・娘)へ渡す場合も、暦年贈与などの方法が使えます。

孫へ財産を渡す方法は、次の記事でくわしく解説しています。

相続税申告に強い税理士を手間なく探せます!ご相談ください!

非課税のつもりが課税される3つの失敗と対策

親が子名義の口座に入金しても通帳と印鑑を親が管理し子が存在を知らない場合は名義預金として贈与が成立せず相続時に親の財産として相続税の対象になること、対策は子が自分で管理し贈与契約書を残すことを示した図

「非課税で渡したはず」が、あとで課税されてしまう典型例が3つあります。いずれも相続のあとの税務調査で指摘されやすいポイントなので、渡すときから気をつけておきましょう。

毎年同額を続けて定期贈与とみなされる

「毎年110万円を10年間あげる」と最初に約束していると、初年に1100万円をまとめて贈与したとみなされ、課税されるおそれがあります(定期贈与)。

対策として、贈与のたびに贈与契約書を作る、金額や時期を毎年変えるといった方法があります。

たとえば毎年110万円を10年と決めて渡すと、合計1100万円を最初の年にまとめて贈与したとみなされる可能性があります。その年ごとに贈与を決め、金額・時期を固定しないことが大切です。

実際に、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にも、「退職金の一部を毎年110万円ずつ子ども名義の口座に入れたいが、相続税はかからないか」という相談が寄せられています。回答でも、毎年同額を続けると定期贈与とみなされる点や、口座に入れただけでは贈与といえない場合がある点が指摘されています。

Q
退職金を子供の貯金に入れる場合
相談者の疑問
退職金の一部を銀行からおろして、子供名義の貯金に入れると贈与税がかかると思います。基本は110万までで、扶養親族一人当たり38万プラスした金額を超えると贈与税がかかると思っています。それで間違いないでしょうか? あと、1月に110万を子供の貯金に入れて、一年後またはそれ以上の年月を置いて、再度110万を子供の貯金に入れたら贈与税はかからないのではと思っていますがどうなんでしょうか? 所得税の扶養控除のように、「1月から12月の所得が38万円以下」のような基準があるのでしょうか?
弁護士の回答
國安 耕太 弁護士
贈与税の課税は、その年ごとですから、一年後またはそれ以上の年月を置けば、新たに非課税枠を用いることができます。 ただし、毎年110万円ずつを10年間贈与するといったような場合、1100万円の贈与とみなされますので、注意が必要です。
すべての回答を見る

名義預金で贈与が成立していないと判断される

子や孫の名義で口座を作っても、通帳や印鑑を親が管理し、名義人本人が存在を知らない・使えない状態だと、贈与は成立していないと判断されます。これを名義預金といいます。

この場合、そのお金は親(被相続人)の財産として相続税の対象になります。対策は、もらう人が自分で口座を作り、通帳・印鑑・暗証番号を自分で管理すること、そして贈与契約書を残すことです。

特に、親が子や孫のために本人に知らせず積み立てているお金は、名義預金になりやすい典型です。渡すなら本人に伝え、本人が管理する形にしましょう。

死亡前の一定期間の生前贈与が相続税に加算される

生前贈与加算の対象期間が2024年改正で3年から7年へ段階的に延長され、2026年発生の相続では3年、2031年1月以降の相続で7年になり、延長される4年分は総額100万円まで加算しないことを示した年表の図

相続や遺言で財産を受け取った人が、亡くなる前の一定期間に受けた暦年贈与は、相続財産に加算して相続税を計算します(生前贈与加算)。

この期間は2024年の改正で3年から7年へ段階的に延長されます。2026年に発生した相続ではまだ3年分で、完全に7年前までが対象になるのは2031年1月以降の相続からです。延長される4年分については、総額100万円まで加算されません。

たとえば2026年に親が亡くなり子が相続した場合、亡くなる前3年間に子へ渡した暦年贈与は相続財産に加算されます。一方、相続人でも受遺者でもない孫への贈与は、この加算の対象になりません。

手渡しでも贈与税は避けられない

「現金で手渡しすればわからない」と考える人もいますが、手渡しでも贈与があれば申告義務があり、税務署に把握され得ます。

税務署は預金や不動産の記録からお金の流れをつかめるため、現金で渡しても後から見つかることが少なくありません。

手渡しが税務署に把握される理由

税務署は、相続が起きたときに過去の預金の動きをさかのぼって調べます。大きな出金や、不動産の購入・名義変更、生命保険金などから、お金の流れが把握されます。

亡くなった人の口座から生前に大きな出金があると、そのお金の行き先まで確認されることがあります。

高額な買い物や入金があると、税務署から「お尋ね」という確認の文書が届くこともあります。

無申告・過少申告のペナルティ

申告しなかった・少なく申告した場合は、本来の贈与税に加えてペナルティがかかります。無申告加算税(15〜30%)、過少申告加算税(10〜15%)、悪質な場合は重加算税(35〜40%)、さらに納付が遅れた分に延滞税が上乗せされます。

隠すより、正しく申告するほうが結果的に負担は軽くなります。時効を待って逃げ切ろうとしても、贈与税の時効は実際には成立しにくく、かえって重いペナルティを負うことになりがちです。

生前贈与でもめないための備え

贈与税を抑えられても、渡し方を誤ると相続のときに家族がもめる原因になります。特定の相続人だけが多くもらっていると、ほかの相続人が不公平だと感じやすいためです。

贈与契約書を1回ごとに残す

贈与は、渡す人ともらう人の合意があってはじめて成立します。贈与のたびに贈与契約書を作っておくと、贈与があった証拠になり、定期贈与や名義預金と疑われるのを防げます。

契約書には、日付・渡す人ともらう人・金額・渡し方(振込など)を書き、双方が署名します。振込で記録を残しておくとより確実です。

特別受益として遺産分割・遺留分に響くケース

相続人の1人が生前に多額の贈与を受けていると、特別受益として遺産分割で持ち戻し(相続分の計算に含める)の対象になり、遺留分の計算にも影響することがあります。

ただし、婚姻20年以上の配偶者への居住用不動産の贈与(おしどり贈与)は、持ち戻し免除が推定され、原則として持ち戻す必要はありません。

持ち戻し(特別受益)の詳しい計算や時効は、次の記事で解説しています。

遺留分そのもののしくみや計算方法は、こちらでくわしく解説しています。

よくある質問

贈与税が0円でも申告は必要?

年110万円以下の暦年贈与や、都度の生活費・教育費なら申告は不要です。ただし、相続時精算課税・おしどり贈与・住宅取得等資金などは、非課税でも申告が必要です。

これらの特例は、申告を忘れると非課税の適用を受けられず、課税されてしまうことがあります。使うときは期限内の申告を忘れないようにしましょう。

借りたことにすれば贈与税はかからない?

名ばかりの貸し借りは、贈与とみなされます。返済の実態がなかったり、「ある時払い」「出世払い」だったりすると、実質は贈与と判断されます。

返済期限も利息も決めず、返してもらう予定がない貸付は、贈与と同じとみなされやすいです。借用書(金銭消費貸借契約書)を作り、実際に返済することが必要です。

いくらから税務署に調べられる?

明確な金額の基準はありません。ただし、不動産の購入や大きな入金があると「お尋ね」が届くことがあり、相続時にはさかのぼって調べられます。

贈与を受けた人が収入に見合わない住宅や車を買ったときも、その資金の出どころを確認されることがあります。金額の大小にかかわらず、正しく申告しておくのが安全です。

まとめ

贈与税がかからない主な方法は、年110万円の暦年贈与、相続時精算課税、おしどり贈与、住宅取得等資金や結婚・子育て資金の特例、都度の生活費・教育費などです。

非課税枠は組み合わせて使えますが、定期贈与・名義預金・生前贈与加算に注意が必要です。渡し方を誤ると、相続のときに課税されたり、家族間でもめたりします。

どの制度が自分に向いているか、非課税でも申告が要るか、といった判断は複雑で、選び方次第で将来の相続税まで変わります。

相続税・贈与税は計算や特例の要件が入り組んでいます。迷ったら、まずは税理士への相談で、自分のケースでどの方法が有利か・申告が必要かを確認しておきましょう。専門家に任せることで、あとで課税される失敗や家族間のトラブルを防ぎやすくなります。

この記事をシェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事の監修者
高山弥生
東京都>中央区
VSG相続税理士法人
高山弥生(東京地方税理士会所属)
相続税に関するコラム
北海道・東北
青森県/
岩手県/
福島県
中部
三重県/
山梨県/
長野県/
福井県
中国・四国
九州・沖縄
長崎県/
熊本県/
佐賀県/