

まずは、どのルートを選ぶといくらかかるのかを早見表で確認しましょう。
どうやって手続きする? | かかる費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
自分で手続きする | 2,500円〜3,500円程度(実費のみ) | 相続人が1人だけ/期限まで余裕がある |
司法書士に依頼する | 実費+3万円〜10万円程度 | 申述書の作成と戸籍集めだけ任せたい |
弁護士に依頼する | 実費+5万円〜10万円程度 | 期限が迫っている/督促が来ている/すべて任せたい |
相続放棄を行うに当たっては、申述書に戸籍謄本などを添付して、家庭裁判所に提出する必要があります。必要書類の準備や手続きは、自分で行うこともできますが、弁護士や司法書士に依頼することも可能です。
相続放棄の手続きには、主に以下の費用がかかります。
相続放棄の申述には、亡くなった人と申述する人の関係を示す戸籍などが必要です。書類ごとの手数料は次のとおりです。
※一般的には、合計1,000円~2,000円程度
続柄ごとに何をそろえればよいかは、次の記事で一覧にしています。
自分で相続放棄の手続きを行う場合は、上記のうち、公的書類の取得費用と裁判所に納付する費用だけがかかります。通常は2,500円から3,500円程度に収まることが多いですが、必要な戸籍の通数や裁判所が指定する郵便切手額によって増減します。
弁護士または司法書士に依頼する場合は、さらに弁護士費用または司法書士費用がかかります。
相続弁護士ドットコムの掲載事務所の料金表681件のうち、相続放棄の費用を載せているのは115事務所でした。
うち110事務所は具体的な金額を示し、金額の幅で見ると、5万5,000円以下が48事務所(44%)、5万5,000円を超えて11万円までが53事務所(48%)、11万円を超えるのは9事務所(8%)です。最も安いのは2万円、最も高いのは27万5,000円でした。残る5事務所は「別料金」「お問い合わせください」と書くにとどまります。
(2026年9月時点・当社調べ。n=681。うち相続放棄の費用の記載がある115事務所のうち、金額を示している110事務所を集計。「5万5,000円〜」のように下限だけを示す表示は下限額で集計)
期限の数え方や、間に合わないときの延長方法は次の記事で解説しています。
予納金の目安や、選任を申し立てるかどうかの判断は次の記事が参考になります。
迷ったら弁護士で問題ありません。司法書士は家庭裁判所に出す書類の作成までを担当し、代理人として申述そのものを進められるのは弁護士だけだからです。
相続放棄の手続きがよくわからず、専門家にすべて任せたいと考えている方は、弁護士への依頼をおすすめします。
一方、費用をできるだけ抑えたい、書類の作成と戸籍集めだけ任せたいという場合は、司法書士も選択肢になります。期限が迫っている・督促が来ている・裁判所とのやり取りまで任せたいなら弁護士、が判断の目安です。
弁護士は、申述書の作成や戸籍謄本などの取得を本人に代わって行い、さらに代理人として相続放棄の申述手続きを進めることができます。
申述書などを提出すると、家庭裁判所から照会書面(=申述の意思や事情を確かめる書面)が送られてくることがあります。その回答内容の検討や提出対応についても、弁護士に任せることができます。
司法書士に依頼する場合、申述書など家庭裁判所に提出する書類の作成や、戸籍謄本などの取得を依頼できます。一方、家庭裁判所に対して代理人として相続放棄の申述手続きそのものを行うことは、弁護士の業務範囲とされています。
そのため司法書士に依頼した場合でも、申述は本人名義で行い、家庭裁判所からの照会への回答も、基本的に本人が対応する必要があります。
依頼費用は、弁護士よりも司法書士の方が若干安い傾向にあります。ただし、実際の費用は依頼先によって異なるので、依頼前にあらかじめ見積もりをしてもらいましょう。
金額だけを見比べると判断を誤ります。同じ「相続放棄5万円」でも、どこまで含まれるかが違うためです。
確認したいこと | 弁護士 | 司法書士 |
|---|---|---|
家庭裁判所への申述を代理してもらえる? | 代理人として申述できる | 書類の作成まで(代理はできない) |
裁判所から届く照会書への回答は? | 代理人として対応できる | 基本的に本人が対応する |
債権者への連絡や証明書の提出は? | 依頼の範囲に含まれることが多い | 別料金になることがある |
費用の目安は? | 5万円〜10万円程度 | 3万円〜10万円程度 |
見積もりを取るときは、金額とあわせてどこまでやってくれるのかを必ず聞いておきましょう。含まれない作業が多いほど、あとから追加費用が発生します。
実際、弁護士に依頼するつもりで司法書士にも話を聞いたところ、照会書への回答支援や債権者への通知が追加費用だと言われた——こうした費用の線引きについての相談も、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」に届いています。
弁護士・司法書士・税理士で、任せられる範囲と費用がどう違うかは次の記事にまとめています。
相続放棄の弁護士費用は、依頼した本人(申述人=相続放棄をする人)が払うのが原則です。ほかの相続人や親族が支払った費用まで肩代わりする義務はありません。
ただし、亡くなった人に多額の借金があった場合などには、複数の相続人が相続放棄をすることもあります。その場合、相続放棄をする相続人全員が、同時に弁護士へ依頼するのが便利です。公的書類を共通して利用できるほか、トータルの弁護士費用を抑えられる可能性があります。
複数の相続人が、相続放棄を同時に弁護士へ依頼する場合、弁護士費用の分担は相続人が話し合って決めることになります。
先順位の相続人が相続放棄をすると、次順位の親族が新たに相続人になります。その親族が弁護士に依頼したとしても、先に放棄した人がその費用を肩代わりする法的な義務はありません。
父の借金を理由に自身と母・弟が相続放棄を検討しており、次に相続人になる親戚が支払う弁護士費用まで負担する必要があるのか——弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、そんな相談も寄せられています。
なお、相続放棄を予定している場合は、相続財産から弁護士費用を支出することは避けるべきです。相続財産を処分したと評価されると「法定単純承認」(=財産に手を付けたことで、相続を承認したものとみなされること)が成立し、相続放棄が認められなくなるおそれがあるので十分ご注意ください(民法921条)。
手元に現金がなくても、亡くなった人の預金を引き出して費用にあてるのは避けてください。支払いは、自身の財布から行うのが安全です。
ほかにも、相続放棄が認められなくなる行為があります。心当たりがある方は先に確認しておきましょう。
同じ相続放棄でも、頼み方を変えれば負担は下げられます。手段は次の3つです。
費用の工面そのものがむずかしい場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助という選択肢もあります。
弁護士への相談時には相談料がかかるのが原則ですが、無料相談を受け付けている弁護士も多数存在します。無料相談では、相続放棄をすべきかどうかや申述手続きの流れなど、幅広い事柄についてアドバイスを受けられます。
少しでも弁護士費用を抑えたい方は、無料相談ができる弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士ポータルサイト(=弁護士の情報がまとまっているウェブサイト)を利用すれば、無料相談ができる弁護士をスムーズに検索できます。
法テラスの民事法律扶助を使うには、次の3つの条件を満たす必要があります。
条件を満たすと、無料の法律相談を受けられるほか、弁護士費用の立替えを頼めます。立替えた費用は分割で返し、利息はかかりません。
生活保護を受けている場合は、手続きが終わったあとに申請すると、立替金の返済が猶予されたり免除されたりする制度もあります。収入・資産の基準額は世帯人数や住んでいる地域で変わるため、利用できるかどうかは法テラスに確認してください。
相続放棄の弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なります。手続きの内容は同じでも、ある弁護士には10万円と言われたのに、別の弁護士は5万円だったということがよくあります。
弁護士費用を抑えて相続放棄を依頼したい場合は、複数の弁護士に相談して見積もりを取得し、それらを比較するのがよいでしょう。
費用の面に加えて、人柄や能力などの面から信頼できる弁護士を見極める観点からも、複数の弁護士に相談することをおすすめします。
比べるときは総額だけでなく、着手金・報酬金・実費・日当という内訳を並べて見てください。相談のときに聞いた金額と、あとから届く見積書や委任契約書の金額が食い違うこともあります。
相談では2人分で15万円と言われたのに、届いた委任契約書には着手金15万円に実費と出張日当が加わっていた——弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、こうした相談も届いています。
見慣れない費目があれば、どんなときに発生するのかをその場で確認しておきましょう。契約前に聞いておけば、あとから金額に戸惑わずに済みます。
弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、「妹が亡くなり兄弟3人で相続放棄をしたい。原野商法で相続した土地と廃屋があり、弁護士費用を含めて全体でいくらかかるのか知りたい」という相談が寄せられています。
相続放棄をする相続人が複数いる場合には、足並みをそろえて同時に弁護士へ依頼すると、トータルの弁護士費用を抑えられる可能性があります。
相続放棄の申述は各相続人ごとに行う必要がありますが、必要書類の収集や方針確認をまとめて進められるため、バラバラに依頼を受けるよりも弁護士の手間が省けるからです。
特に、亡くなった人が多額の借金を負っており、遺産総額がマイナスである場合には、相続人全員で相続放棄を検討するのが合理的です。
ただし、先順位の相続人が相続放棄をすると次順位の親族が相続人になることがあるため、どの範囲の親族が手続きをすべきかもあわせて確認しましょう。
相続弁護士ドットコムの掲載事務所の料金表681件のうち、2人目以降の費用を割り引くと明記している事務所は14事務所ありました。
「相続放棄の申述 5万5,000円(二人目以降は半額)」「2人目以降:1人当たり5万5,000円」といった書き方で、1人目より安い金額を設定しています。(2026年9月時点・当社調べ、n=681)
兄弟姉妹でまとめて相続放棄をするときの進め方と費用は、次の記事で詳しく解説しています。
相続放棄の手続きを自分で行えば、弁護士費用(または司法書士費用)を支払わずに済みます。
相続放棄の必要書類や手続きの流れなどは、家庭裁判所で手続案内を受けられることがあります。自分で相続放棄を行う場合は、管轄の家庭裁判所に問い合わせてみましょう。
ただし家庭裁判所は、手続き以外の部分についてはアドバイスをしてくれません。たとえば、相続放棄をすべきかどうかの判断や、相続放棄に当たって注意すべきこと・してはいけないことなどについて、家庭裁判所は詳しく教えてくれません。
注意点を知らずに相続放棄の手続きを進めた結果、後にトラブルが生じるケースがよくあります。相続放棄に関するトラブルを避けるには、多少費用がかかっても弁護士に依頼するのが安心です。
申述書の書き方から提出までの流れは、次の記事で手順どおりに確認できます。
相続放棄の手続きは、多少費用がかかるとしても、弁護士に依頼して進めてもらうのが安心です。相続放棄の弁護士費用は、「相続弁護士ドットコム」掲載事務所の料金表を集計すると、中央値は7万円、9割が11万円以下に収まっていました。
無料相談を利用する、複数の弁護士の見積もりを比較する、複数の相続人が同時に依頼するなどの方法により、相続放棄の弁護士費用を抑えられる可能性があります。
相続放棄には期限(自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内。民法915条1項)があります。期限が迫っている場合や調査に時間がかかる場合は、期間伸長の申立ても含めて、早めに手続きの準備を進めることが大切です。亡くなった被相続人に多額の借金がある、遺産相続に関わりたくないなどの理由で、相続放棄をご検討中の方は、弁護士へご相談ください。

鳥取県出身。明治大学法学部を卒業後、中央大学法科大学院を修了し、2018年に弁護士登録。上級相続診断士の資格を有し、専門的知見から高度な支援を行うほか、裁判所から成年後見人や相続財産清算人に選任されて裁判所案件の業務も行う。相続分野では遺産分割協議をはじめ、遺留分侵害額請求、遺言書作成、事業承継など様々な事案に対応。依頼者の気持ちに寄り添い、丁寧なヒアリングを通して最善の解決策を提案する。趣味はクロスバイクと猫カフェ巡り。