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相続放棄
更新日:2026/06/08

相続放棄の必要書類とは?兄弟姉妹など続柄別の戸籍や期限、提出先を解説

監修者
小室光子
北海道>旭川市
こむろ法律事務所
小室光子
相続放棄の必要書類とは?兄弟姉妹など続柄別の戸籍や期限、提出先を解説
相続放棄の必要書類を続柄別にわかりやすく解説します。申述書や戸籍謄本などの共通書類から、兄弟姉妹や甥姪が手続きする際に必要な追加書類まで一覧で紹介。3か月の期限に間に合わない場合の延長手続きや、戸籍の集め方、印鑑証明の要否も説明します。借金を相続したくない方は、家庭裁判所へ提出する前にこの記事で準備を確認してください。

相続放棄をするには家庭裁判所に必要書類を提出する

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の遺産を相続する権利を放棄する手続きです。相続放棄が受理されると、その人ははじめから相続人ではなかったものとして扱われ、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も引き継ぎません

相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄の申述書や戸籍謄本などの必要書類を提出します。家族間で「自分は相続しない」と伝えるだけでは、法律上の相続放棄にはなりません。

相続人には順位があります。配偶者は常に相続人となり、第一順位は子ども、第二順位は父母・祖父母などの直系尊属、第三順位は兄弟姉妹です。先順位の相続人がいない場合や、先順位の相続人が相続放棄した場合に、後順位の人が相続人になります。

そのため、兄弟姉妹など第三順位の相続人が相続放棄をする場合は、自分が被相続人の兄弟姉妹であることだけでなく、子どもや父母などの先順位の相続人がいないことも戸籍で確認できるように準備する必要があります。

相続順位

相続放棄に必要な書類

相続放棄の必要書類

相続放棄を行うには、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続きします。その際、決められた書類を家庭裁判所に提出する必要があります。

相続放棄の必要書類は、「共通書類」+「続柄別に必要な戸籍謄本」で考えると整理しやすくなります。

共通で必要となる書類

どの相続人が相続放棄をする場合でも必要な書類は、以下のとおりです。

書類・費用

内容

相続放棄の申述書

家庭裁判所に相続放棄の意思を伝える書面

被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

被相続人の最後の住所地を確認する書類

相続放棄する人の戸籍謄本

申述人本人や相続関係を確認する書類

800円分の収入印紙

申述人1人ごとに必要

連絡用の郵便切手

金額は家庭裁判所によって異なる

相続放棄の申述書は、相続放棄をする相続人が18歳以上の場合と18歳未満の場合とで書式が異なります。


相続放棄をする相続人が18歳以上の場合の申述書は、こちらからダウンロードできます。

相続放棄をする相続人が18歳未満の場合の申述書は、こちらからダウンロードできます。

郵便切手は、家庭裁判所によって必要な額とその内訳が異なるので、家庭裁判所に確認しましょう。

関連記事:相続放棄申述書の書き方は?ダウンロード方法や必要書類、代筆の可否も解説

相続放棄に必要な戸籍謄本の取得方法

戸籍収集の流れ

相続放棄の必要書類のうち、時間がかかりやすいのが戸籍謄本の収集です。戸籍謄本は、原則として本籍地の市区町村役場に請求します。

窓口で取得する方法のほか、郵送で請求できる自治体もあります。自治体によっては、マイナンバーカードを使ってコンビニで取得できる場合もあります。

被相続人が転籍していたり、結婚・離婚などで戸籍が複数に分かれていたりする場合は、以前の本籍地にも請求が必要になることがあります。特に「出生から死亡までのすべての戸籍」を集める場合は、現在の戸籍だけでは足りず、除籍謄本や改製原戸籍謄本までさかのぼって取得する必要があります。

2024年3月1日からは、戸籍証明書等の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍謄本や除籍謄本を取得できるようになりました。必要な戸籍が複数の市区町村にまたがる場合でも、最寄りの市区町村窓口でまとめて請求できることがあります。

ただし、広域交付には制限があります。広域交付を使えるのは本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母など)・直系卑属(子、孫など)に限られます。また、郵送請求や代理人による請求はできず、本人確認のために顔写真付きの身分証明書が必要です。戸籍の附票は広域交付の対象外です。

続柄別の相続放棄に必要な書類

配偶者・子どもが相続放棄する場合の必要書類

  • 被相続人が死亡したことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

配偶者は常に相続人になります。子どもは第一順位の相続人です。配偶者や子どもが相続放棄する場合は、被相続人が亡くなったことと、申述人が配偶者または子どもであることを戸籍で確認できれば、必要書類は比較的少なく済むことが多いです。

孫(代襲相続した場合)が相続放棄する場合の必要書類

  • 被相続人が死亡したことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子どもが死亡したことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

被相続人が死亡した時点で、本来の相続人(子・父母・兄弟姉妹など)が死亡していたり、相続する権利を失っていたりしたなどの場合、「本来の相続人」の代わりに、孫や祖父母、甥・姪が相続します。これが「代襲相続」というルールです。

本来の相続人が子の場合で、孫も死亡していた場合には、「ひ孫→玄孫」というように、下の世代が制限なく相続していくことになります。本来の相続人が兄弟姉妹で、甥姪も死亡していた場合には、その子どもたちには代襲相続されません。

孫が相続放棄する場合は、被相続人の子どもが先に亡くなっていることを戸籍で示す必要があります。単に「孫であること」がわかるだけでは足りず、代襲相続によって自分が相続人になったことを確認できる戸籍をそろえる必要がある点に注意しましょう。

父母が相続放棄する場合の必要書類

  • 被相続人が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子ども(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その人(及びその代襲者)が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

父母などの直系尊属が相続人になるのは、被相続人に子どもや孫などの第一順位の相続人がいない場合、または第一順位の相続人が全員相続放棄した場合です。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどり、子どもがいるかどうか、子どもがすでに亡くなっている場合はその子どもや孫の状況まで確認する必要があります。

祖父母が相続放棄する場合の必要書類(代襲相続した場合)

  • 被相続人が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子ども(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その人(及びその代襲者)が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の親が死亡したことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

祖父母が相続人になる場合は、被相続人の父母がすでに亡くなっていることも確認する必要があります。そのため、被相続人の父母の死亡の記載がある戸籍も提出書類に含まれます。

兄弟姉妹が相続放棄する場合の必要書類

  • 被相続人が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子ども(及びその代襲相続人)で死亡している人がいる場合、その人(及びその代襲者)が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属が死亡したことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

兄弟姉妹が相続人になるのは、原則として、被相続人に子どもや孫などの第一順位の相続人がおらず、父母や祖父母などの第二順位の相続人もいない場合です。また、第一順位・第二順位の相続人が相続放棄した結果、兄弟姉妹に相続権が移ることもあります。

兄弟全員で相続放棄をする場合、1人が他の兄弟の分もまとめて手続きをすることができます。その方法については、後述します。

甥姪が相続放棄する場合の必要書類(代襲相続した場合)

  • 被相続人が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子ども(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その人(及びその代襲者)が出生したときから死亡するまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属が死亡したことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の兄弟が死亡したことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

被相続人の甥姪が相続放棄する場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続放棄する場合に必要な書類に加えて、本来の相続人である兄弟姉妹が亡くなっていることを示す戸籍も必要です。甥姪は、被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合に、その兄弟姉妹に代わって相続人になるためです(代襲相続)。

第三順位の兄弟姉妹が相続放棄をまとめて手続きする際の必要書類

兄弟姉妹全員で相続放棄をする場合、1人が他の兄弟の分もまとめて手続きをすることができます。

その際、相続放棄の申述書は、兄弟姉妹それぞれが作成したものを提出する必要があります。

一方、同じ内容の書類は、1通あればよいということになっています。たとえば、「被相続人の住民票の除票または戸籍の附票」「被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本」などは1通で足ります。

兄弟姉妹がまとめて相続放棄する場合は、次のように整理すると準備しやすくなります。

書類

人数分必要か

相続放棄の申述書

相続放棄する人ごとに必要

申述人それぞれの戸籍謄本

各申述人について必要

被相続人の住民票除票・戸籍附票

共通書類として1通で足りる

被相続人の出生から死亡までの戸籍

共通書類として1通で足りる

父母・祖父母の死亡の記載がある戸籍

共通書類として1通で足りる

ただし、申述する人の状況や家庭裁判所の運用によって、追加書類を求められることがあります。兄弟姉妹が遠方に住んでいる場合や、戸籍が複数の市区町村にまたがる場合は、早めに役割分担を決めて書類を集めましょう。

兄弟姉妹がまとめて相続放棄する場合の費用や必要書類については、以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてお読みください。

関連記事:相続放棄を兄弟姉妹でまとめてする方法、必要書類や費用を解説

相続放棄の必要書類を提出するために必要な費用

相続放棄の申述では、申述人1人につき800円分の収入印紙が必要です。これに加えて、家庭裁判所からの連絡に使う郵便切手を納めます。郵便切手の金額や内訳は家庭裁判所によって異なるため、申述先の家庭裁判所に確認しましょう。

兄弟姉妹が複数人で相続放棄する場合、収入印紙は申述人ごとに必要です。一方で、戸籍謄本などの共通書類は1通で足りることがあるため、同時に申述する場合は書類の重複を避けられる可能性があります。

関連記事:相続放棄の費用相場|弁護士と司法書士どちらに依頼すべきか、費用を抑える方法も解説

相続放棄の手続きに印鑑証明は必要?|求められるケースとは

相続放棄に印鑑証明は必要ありません。

もし、他の相続人などから相続放棄の必要書類として印鑑証明を求められた場合、法的な意味での相続放棄ではなく、相続財産をあなた以外の相続人で分け合う(あなたの取り分を0にする)という内容の遺産分割協議である可能性があります。

なぜ印鑑証明が必要なのか、理由をよく確認した方がよいでしょう。

遺産分割協議で「遺産を受け取らない」と合意することと、家庭裁判所で相続放棄をすることは別物です。遺産分割協議で取り分を0にしても、あとから借金などのマイナスの財産が見つかった場合、相続人として責任を負う可能性があります。

借金を引き継ぎたくない場合は、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。「印鑑証明を出せば相続放棄になる」と誤解しないようにしましょう。

相続放棄の必要書類の提出先

相続放棄の必要書類は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。相続放棄をする人の住所地を管轄する家庭裁判所ではない点に注意しましょう。

被相続人の最後の住所地がわからない場合は、住民票の除票や戸籍の附票で確認します。遠方の家庭裁判所に提出する場合は、郵送で申述できるか、必要な郵便切手はいくらかなどを事前に当該家庭裁判所に確認しておくと安心です。

各裁判所で必要な相続放棄の必要書類リンク集

家庭裁判所によっては、それぞれのホームページで相続放棄の必要書類を公開しているので、紹介します。

この一覧にない家庭裁判所の多くは、全国共通の書式を使用しています。念のため、申請先の家庭裁判所に必要書類を確認すると確実でしょう。

相続放棄の期限に注意

相続放棄の期限と流れ

相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に行う必要があります。この3か月の期間を熟慮期間といいます。

兄弟姉妹や甥姪などの第三順位の相続人は、被相続人が亡くなった時点ではまだ相続人ではないことがあります。先順位の相続人がいないことや、先順位の相続人が相続放棄したことを知って初めて、自分が相続人になったとわかるケースもあります。

戸籍謄本の収集に時間がかかる場合でも、相続放棄の申述自体が遅れると期限に間に合わないおそれがあります。期限が迫っている場合は、すべての添付書類がそろっていなくても、申述書と用意できた書類を先に提出できるか家庭裁判所に確認しましょう。

3か月以内に相続財産や借金の調査が終わらず、相続放棄するかどうか判断できない場合は、家庭裁判所に期間伸長を申し立てる方法があります相続放棄の期限や起算点に不安がある場合は、早めに弁護士へ相談しましょう

また期間伸長の申立てをせずに熟慮期間を過ぎた場合は、単純承認(プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する)をしたとみなされますので注意しましょう。

関連記事:相続放棄できる期間は3か月!期限を延長する方法はある?期限を過ぎてしまった場合の対処法も解説

相続放棄の期限を延長する手続きの必要書類

相続放棄の進め方

相続放棄の手続きは、相続開始から3か月以内に行う必要があります。この期限に間に合わない場合には、期限を延長(伸長)するための手続きをすることができます。

相続放棄の期限を延長するために必要な書類は、どの相続人が相続放棄をする場合でも共通して必要な書類と、相続放棄をする相続人の属性によって必要となる書類があります。

共通する必要書類

どの相続人が相続放棄の期間の延長を申し立てる場合でも必要な書類は、以下のとおりです。

  • 申立書
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(親族の場合、戸籍謄本等)
  • 期間の延長を求める相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 収入印紙(相続人1人につき800円分)
  • 連絡用の郵便切手

郵便切手は、家庭裁判所によって必要な額が異なるので、家庭裁判所に確認しましょう。

期間伸長の申立てでも、相続放棄の申述と同じように、申立人と被相続人の関係を確認する戸籍が必要になります。3か月以内に財産や借金を調査しても判断できない場合は、期限が過ぎる前に期間伸長の申立てを検討しましょう

相続人の属性によって異なる必要書類

相続放棄の期限を延長する相続人の属性によっては、上記の共通して必要な書類に加えて、別の書類も提出します。相続人の属性によって求められる必要書類は、相続放棄をする際に相続人の属性によって求められる必要書類と同様です。

熟慮期間が迫っている場合は、すべての添付書類がそろっていなくても、まず申述書とその時点で用意できた書類を提出できるか家庭裁判所に確認しましょう。戸籍謄本などは、受付後に追加提出できる場合があります。

まとめ

相続放棄の手続きは自分で行うことも可能ですが、必要書類の収集や申述書の作成が手間だと感じる場合、弁護士への依頼を検討してもよいでしょう。3か月という限られた期間内にすべての手続きが完了するよう、迅速に対応してもらうことができます。

弁護士に依頼することで、そもそも相続放棄をすることが適切かどうかも判断してもらえるでしょう。相続放棄すべきかどうか迷っている場合は、弁護士にアドバイスを求めることも1つの方法です。

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この記事の監修者
小室光子
北海道>旭川市
こむろ法律事務所
小室光子(旭川弁護士会)
旭川弁護士会所属。相続の問題は、専門的な知識が必要なことも多くあります。こじれてしまうと、長い時間を要したり、親族関係がうまくいかなくなったりすることもあります。心配なことがあったら先延ばしにせず、まずはお気軽にご相談ください。
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