複雑な相続問題を解きほぐし、交渉力を活かして解決へ。他士業との連携で税務・登記も一括対応
東京都港区「池田・國松法律事務所」の田中達哉弁護士(東京弁護士会所属)に相続分野への取り組みについて聞きました。親族間の複雑な感情が絡む相続問題において、依頼者・相手方双方と丁寧にコミュニケーションを取り、相続が終わった後の関係性も見据えた円満な解決を導きます。相続についてよくある相談や、案件に取り組む上で大切にしていること、事務所の強みなどを聞きました。
インタビュー
相続という重要な局面において、不安を解消し、公平に遺産を分け合うためのサポートを提供
「池田・國松法律事務所」の理念を教えてください。
依頼者のために最良の解決策を提案し、実現することを最も重視しています。そのために、常にスピード感を持って対応すること、知識の引き出しを増やすこと、そして依頼者と丁寧にコミュニケーションを取ることを心がけて日々の業務に取り組んでいます。
事務所にはどのような経緯で入所されたのですか。
もともと、当事務所の代表パートナーである池田大介弁護士と同じ事務所で働いていて、池田弁護士が独立する際に私も一緒に移籍しました。2024年5月の事務所開設時から参加しているので、ちょうど1年が経過したところです。
相続分野に注力している理由を教えてください。
相続は人生における大きな出来事であり、誰にでも起こり得ることです。この重要な局面において、当事者の不安を解消し、できるだけ不満がない形で公平に遺産を分け合う。そのためのサポートをすることにやりがいを感じ、注力しています。
また、父の事業承継の手伝いをした際に、築き上げてきた大事な事業を引き継ぐことのやりがいを感じたことから、相続と関連のある事業承継についても精力的に取り組んでいます。
コミュニケーションを重視し、円満な解決をはかる
相続について、どのような相談が多く寄せられますか。
相続に関する相談の多くは、遺産の分け方や被相続人の生前の(他の相続人による)財産管理について不満や疑問を抱いているケースです。
例えば、遺言で偏った形での遺産分割が指定されていて納得できない方や、親の財産を管理していた相続人に対して、「もっと財産があったはず。使い込んだのではないか」と疑いを持っている方からの相談が寄せられます。
解決へのアプローチは、依頼者の希望によって大きく変わります。親族間の円満な関係維持を重視する場合は、依頼者・相手方双方と丁寧にコミュニケーションを取り、なるべく全員が納得できる解決を目指します。一方、経済的な満足を重視する場合は、話し合いでの解決にこだわらず、裁判所での手続きをどんどん進めていく方が良いケースもあります。依頼者がどのような解決を望むかに応じて柔軟に対応しています。
相続開始後の相談が6〜7割を占めますが、遺言作成など生前対策に関する相談も承っています。
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
相続は親族間で生じるので、今ある問題が解決した後も親族関係は続いていきます。交通事故のような1回限りの関係とは異なる相続の特殊性です。依頼者の希望にもよりますが、相手方をただただ攻撃すれば良いという単純なやり方ではなく、解決後の関係性も見据えながら、コミュニケーションを重視した解決をはかることを大切にしています。
また、事業承継においては、事前に十分な準備をすることで、家族間の紛争を防止するだけでなく、企業価値を損傷することなくスムースに事業を引き継ぐことを心がけています。
相続について、事務所の強みを教えてください。
一つは、他士業とのネットワークがあることです。司法書士や税理士とのネットワークがあるので、私をハブとして様々な専門家につなげることができます。これにより、相続に関わる法律問題だけでなく、税務や登記の手続きまで包括的にサポートすることが可能です。
また、当事務所には5名の弁護士が在籍しており、弁護士間で案件について情報共有したり対応を検討したりする機会を設けています。基本的には一つの案件に対して弁護士1名で担当しますが、判断に迷うようなことがあればいつでも他の弁護士に相談できる環境です。事務所内で蓄積している知見を問題解決に活かせる点も、強みの一つだと考えています。
先生ご自身の強みとしてはいかがですか。
交渉力でしょうか。相手方の性格や状況に応じてアプローチを変えながら、どうすればスムーズにコミュニケーションができるかを常に意識して進めています。相続人同士では全く話ができないほど対立が激しいケースでも、私が間に入ったところ相手方と円滑に話が進み、依頼者の希望に沿う形で解決できた事例が多数あります。
不要な悩みを手放し、不安を軽くするために、気軽にご相談を
相続について弁護士に相談・依頼するメリットは何ですか。
相続問題では、親族間のもともとの関係性や長年の不満などが複雑に絡み合い、冷静な話し合いができないことが多いです。弁護士という第三者が入ることで、感情的な対立を抑え、法律の観点から迅速に問題を解決できる可能性があります。
依頼者から「相手が話し合いに応じてくれない」と聞いていても、私から連絡したところ、きちんとコミュニケーションが取れることはよくあります。当事者間では話し合いが難しいケースでも、弁護士が間に入ることで解決に一歩近づくかもしれません。ご自身で抱え込まず、一度相談していただければと思います。
相談が遅れると、必要な資料の取り寄せが難しくなったり、財産の所在がわからなくなったりするリスクがあります。調査の手間や費用を減らし、スムーズに相続の手続きを進めるためにも、なるべく早めの相談がお勧めです。
これまでに手がけた相続案件の中で、印象に残っているのはどのようなケースですか。
本当に困っていらっしゃった依頼者に感謝していただいた案件は特に印象に残ります。たとえば、対立が激しく当事者間では話し合いが難しい状況において、私が間に入り適切に交渉を進めて解決できたときには、「自分たちだけではどうしようもなかった」と喜んでいただけることが多いです。そのようなときに、弁護士として相続に取り組むやりがいを感じます。
当事者の対立が激しいケースは、一人ひとりに考えがあり、お互いの主張がぶつかって争いに発展した場合が多いです。法律上何が正しくて正しくないのかが整理できていない状況なので、弁護士が間に入って「法律のルールではこうなっている」「裁判所はこのような判断をする可能性が高い」というふうに説明することで、相続に対する正しい理解が促され、解決への道が開けることが少なくありません。
相続について、弁護士への相談を検討している方へのメッセージをお願いします。
少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。専門的な知識がある弁護士に相談し、今後の進め方が明確になると、不必要に悩んだり苦しい思いをすることがなくなると思います。そもそも不安に思わなくても大丈夫だと分かることもあるでしょう。
初回相談では、ご自身が最も困っていることや、遺産の内容、相続人の関係性などを伺います。その上で、今後の見通しや解決に向けた対応、ご依頼いただいた場合のサポート内容などをアドバイスします。
戸籍関係の書類や遺言書などの資料がある場合は、お持ちいただけるとありがたいですが、相談時点で絶対に必要なわけではありません。お話を詳しく伺うだけでも状況を把握できます。何も持たずにお越しいただいても全く問題ないので、まずは一度お問い合わせください。