30年の信頼と実績で相続問題に取り組む〜交渉による解決を重視して依頼者の利益を実現
兵庫県神戸市にある「弁護士法人中原綜合法律事務所」の中原卓也弁護士(兵庫県弁護士会所属)に、相続分野の取り組みについて話を聞きました。「依頼者本位」の理念を貫き、地域の相続問題に取り組んできた中原弁護士。相続問題を扱う際の心構えや弁護士に相談することのメリットについて詳しく語っていただきました。
インタビュー
依頼者に寄り添い、総合的な問題解決を目指す
事務所設立の経緯を教えてください。
父である中原和之が1992年に「中原和之法律事務所」を開設したのが始まりです。私は大阪の法律事務所で1年ほど経験を積んだ後、2016年にこの事務所に入所しました。
2024年1月には法人化して「弁護士法人中原綜合法律事務所」と改めました。そして、4月から新たに弁護士が1名加わり、現在は3名の弁護士が所属しています。
事務所の理念を教えてください。
依頼者の話に真摯に耳を傾け、その要望を最大限に実現できるよう尽力します。また、法的な問題の解決はもちろんのこと、人間関係のトラブルやその他の複雑な問題も含めて、総合的な解決を目指します。
単に法の適用に留まらず、クライアントが抱える問題全体を解決するための支援を行うことが、私たちの理念です。
相続分野に注力しているのはどのような理由ですか。
相続は単なる法的問題ではなく、家族や親族間の複雑な人間関係が絡む問題です。当事者の関係が近いだけに感情的になりやすく、争いが激しくなることもあります。そのような状況で、中立的な立場にある弁護士が介入することは、非常に意義のあることだと考えます。
何より嬉しいのは、問題が解決した後に「弁護士に依頼してよかった」と依頼者から言っていただけることです。相続問題は他の法律問題と比べても、特にこのような声をいただく機会が多い分野です。これは、私たち弁護士にとって大きなやりがいとなっています。
相続案件ではどのような相談が多いですか。
最も多いのは兄弟間の争いです。身近な関係にある兄弟だからこそ、利害関係がぶつかり合い、感情的になりやすい傾向があります。
次に多いのが、代襲相続に関する相談です。代襲相続とは、本来の相続人が既に亡くなっている場合に、その子どもや孫が相続人となるケースです。例えば、被相続人に配偶者や子どもがいない場合、兄弟が相続人となりますが、その兄弟の中に既に他界している方がいると、その子どもが代わりに相続人となります。
このような場合、普段から交流がある親族間であれば問題は少ないのですが、疎遠な関係にあると、血縁関係はあっても情が薄いため、紛争化する傾向があります。
不動産と特別受益に関する問題が増えている
最近のトラブルの傾向として、増えていると感じるものはありますか。
トラブルの内容としては、不動産が絡む案件が非常に多いです。不動産は評価が難しく、その価値は常に変動する「水物」です。ある相続人が不動産を相続したいと思っても、その評価額が高すぎると、他の相続人への代償金(不動産の価値の一部を現金で支払うこと)が払えないというケースがあります。
ここ10年近くは不動産の価値が上がっている一方で、インフレなどの影響で流動資産に余裕がない方が増えています。「思い入れのある家は売りたくない」という相続人と「売却して現金化して欲しい」という相続人との意見の相違が、しばしば深刻な争いの種となります。
また、特別受益の相談も増えています。「家を購入する際に頭金を出してもらった」「結婚式の費用を出してもらった」など、被相続人から贈与を受けた相続人が、他の相続人との間で揉めるケースがあります。
特別受益ではどのようなことが争点になるのですか。
特別受益の問題では、それが特別受益に該当するかという点と証拠の有無が争点になります。
特別受益とは、住宅購入資金や事業資金など、生計の資本としての贈与のことをいいます。親から子に対する扶養義務の範囲内の支援は、特別受益には該当しません。
例えば、子どもが無職で生計が立てられない場合に、親が継続的に生活費を支援していても、それが扶養義務の範囲内であれば特別受益とはみなされません。そのため、扶養義務の範囲内かどうかが争われるケースがよくあります。
一方で、家を建てる際にまとまった額の金銭が贈与された場合、特別受益が認められる可能性が高いです。しかし、一般的に家を建てるのは30代や40代の時期が多く、親が亡くなる頃には家の購入から20年、30年が経過しているケースが多いです。そのため、明確な証拠が残っていないことが多く、特別受益を立証するための証拠集めが困難なケースが多いです。
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
相続に関する法律は非常に複雑であり、誤解やミスが起こりやすい分野でもあるため、正確な対応が重要です。特に依頼者との間で認識の相違があると、大きなトラブルに発展しかねません。報告・連絡・相談(報連相)を徹底し、何かあればすぐに依頼者へ連絡を取るように心がけています。
また、コミュニケーションにおいては、依頼者だけではなく、相手方とも穏やかに対応することを心がけています。不要な対立を避け、柔軟に対応することで、スムーズに交渉を進めることが可能になります。
問題解決にはどのような方針で臨んでいますか。
私は話し合いによる解決を重視しています。調停などの公的な手続きよりも、まずは交渉を通じた解決を目指すようにしています。
その理由は2つあります。まず、効率性の観点から見ると、調停などの公的手続きは非常に時間がかかります。相続問題は家族の将来に関わる重要な問題です。できるだけ早期に解決し、新たな人生のスタートを切れるよう支援したいと考えています。
次に、柔軟性です。法的に必ずしも有利とは言えない事案であっても、話し合いで相手方の納得を得られれば、依頼者にとって有利な内容で合意することも可能です。つまり、交渉を通じてこそ、依頼者の要望を最大限に実現できる可能性が高まるのです。
このような理由から、私は常に「まずは話し合いから始めませんか」という提案をしています。もちろん、すべての事案が話し合いで解決できるわけではありません。交渉では解決が難しい事案もあります。そのような場合には、調停や訴訟といった他の手段を選択することもあります。
感情的な対立を緩和し、法的な観点から問題を整理
相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。
最大のメリットは、弁護士が「矢面に立つ」ことで、親族間の感情的な問題を可能な限り回避できる点です。当事者同士で話し合いを進めると、感情的になり、建設的な解決が難しくなることがあります。私たち弁護士が間に入ることで、感情的な対立を緩和し、法的な観点から冷静に問題を整理することが可能です。
また、財産に執着はないけれども、他の相続人との交渉が面倒だと感じる人もいます。弁護士が交渉を代わりに行うことで、依頼者の負担を軽減できます。
相続分野における事務所の強みや特徴を教えてください。
他士業との連携が非常に充実しています。例えば、相続税の申告を行う税理士や、不動産の査定について柔軟に対応してくれる不動産業者、不動産登記の際に協力する司法書士など、信頼できる専門家を紹介することが可能です。
また、相続財産の額が大きな案件も多数扱ってきた経験があり、これまでには20億円規模の相続案件を取り扱ったこともあります。規模の大きな案件は大手法律事務所でなければ対応できないのではないかと心配される方もいらっしゃいますが、当事務所でも問題なく対応可能です。
さらに、当事務所では一つの案件に複数の弁護士が携わるようにしています。相続は非常に理論が複雑な分野ですので、複数人で取り組むことによって、間違いのないように慎重に進めていくことを心がけています。
最初の面談時から複数の弁護士で対応し、案件の見通しを検討することで、依頼者に安心していただけるよう努めています。
最後に、相続トラブルを抱えている方へメッセージをお願いします。
近親者同士の争いは精神的な負担が非常に大きいものです。こうした場合、弁護士に窓口を任せることで、ストレスを軽減しながら遺産分割を進めることが可能です。
相談はできるだけ早い段階で行うことが大切です。それは、問題が複雑化する前に、適切な対応策を講じることができるからです。相続問題は時間が経つにつれて感情的なこじれが生じやすくなります。早い段階で専門家に相談することで、そうした事態を防ぎ、より円滑な解決につなげることができるのです。
ですから、相続でお悩みの方は、どうぞ躊躇せずにご相談ください。法的な問題解決はもちろん、将来の家族関係も見据えた、総合的なサポートを提供いたします。