相続弁護士 ドットコム

河合法律事務所

弁護士として40年以上、調停委員として27年にわたり相続案件に注力。納得できる解決を目指す

東京都文京区本郷で「河合法律事務所」を経営する河合早苗(かわい さなえ)弁護士に、遺産相続案件を手がける上での心構えや事務所の強みなどを伺いました。河合先生は弁護士として40年以上、東京家庭裁判所家事調停委員として27年間にわたって相続案件の解決に取り組んで来られました。これまでお話をうかがった方はのべ1万人以上、携わった遺産分割調停事件は数百件という豊富な経験をお持ちの弁護士です。(第二東京弁護士会所属)

河合法律事務所(東京都文京区)河合早苗弁護士_メイン画像
河合 早苗弁護士
河合法律事務所
受付時間
  • 平日可

インタビュー

弁護士・家事調停委員として、多くの相続問題を解決してきました

これまでのキャリアについて教えてください。

1982年に弁護士となり、1988年に当事務所を設立しました。

気づけば弁護士として40年以上のキャリアを重ね、これまでお話をうかがってきた方はのべ1万人を超えると思います。1994年から2022年まで27年間にわたって東京家庭裁判所家事調停委員を務めました。2020年には、長年にわたる家事調停委員としての功績により最高裁判所長官表彰も受けました。1990年から現在まで、市町村の法律相談員も務めています。

調停委員というのは、どういった仕事なのでしょうか?

相続で言うと、話合いがまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停というものを申し立てます。調停とは、裁判所がどちらの言い分が正しいか白黒をつけるものではなく、裁判所が間に入って話合いで解決を目指す手続です。

調停において、当事者双方から話を聴いて問題点を整理したり、ケースに合った解決策を考えたりするのが家事調停委員の仕事です。

なるほど。どういう方が家事調停委員になるのでしょうか?

河合法律事務所_河合早苗弁護士の記事内画像

弁護士、大学教授、不動産鑑定士、税理士、元家庭裁判所調査官など専門的な知識や経験を持つ人ばかりではなく一般企業の退職者や主婦などの中からも広く選ばれ、最高裁判所が任命します。

東京家庭裁判所では、全体の3分の1は弁護士の中から選ばれています。弁護士もそうでない調停委員も男女比は1対1になるよう選任されます。また、事件ごとに、調停委員2名と裁判官1名の調停委員会が組織されますが、調停委員は必ず男女1名ずつ選出されます。
遺産分割調停事件では、法律知識が特に求められるからか調停委員の内1名は、弁護士が選任されることになっています。

私はありがたいことに、27年間という長期にわたって家事調停委員を務めさせて頂き、遺産分割調停事件や関連する調停事件に携わって来ました。

家事調停委員の仕事を始めてから、弁護士業務にどのような影響がありましたか?

河合法律事務所_賞状

たくさんあるのですが、1つは、物事を俯瞰して見られるようになったことです。通常の弁護士業務では、依頼者の代理人として調停に臨みます。その場合は依頼者からの話しか聴けませんから、相手方がどう考えているか直接聴くことはできません。

一方、家事調停委員は、裁判所側の人間という公平・中立な立場で、双方から話を聴きます。それによって、1つの事案を双方向から見ることができ、どういう主張をすれば相手が応じやすく、逆に、どういう主張をすれば相手が反発するのか、といったことがわかるようになりました。

このような経験から、依頼者の代理人として調停に臨む場合も、裁判所や相手方の考え方・反応を想像し、全体のバランスを考えた上でこちらの出方を判断できるようになりました。

代理人は、裁判所のように公平・中立な立場ではなく、依頼者の利益を優先するのが役目です。しかし、依頼者と同化して感情的な主張を繰り返したり、後先考えず無理な主張をぶつけたりするのは禁物です。解決が遅れたり、かえって対立が激しくなったりして、結局依頼者の利益になりません。

他方、案件全体を俯瞰して見て主張を展開することで、結果的に早期かつ合理的な解決にたどり着けることが多く、結果的に依頼者の利益になるわけです。

家事調停員を長く務めてこられた先生ならではの視点ですね。他にも弁護士業務への影響はありましたか?

家事調停委員は、適宜、裁判官と評議をしながら調停を進めていきます。裁判官がどういう事実や証拠に着目しているのか、どういうときにどういう判断をするのかということを直接の対話を通じて学ぶことができました。

ですから、調停を申し立てる人や申し立てられた人から依頼を受けて私が代理人になるときも、調停委員や裁判官の着眼点や思考がわかります。この点も非常に役立っています。

トラブルを乗り越えて遺産を活かすお手伝いをします

どういったことを事務所の理念にされていますか?

今は弁護士1人と事務員の小さな事務所で、個人のお客様が中心ですから、とにかく親しみやすく、身近な存在でありたいと思っています。初回相談から解決まで一貫して私が対応しますし、法律に関することだけでなく、身の上相談や世間話でも気軽にしていただけるような関係づくりを意識しています。

相続について、どのような相談が多いでしょうか?

河合法律事務所_事務所内

最も多いのは、やはり遺産分割に関する相談です。「相続が初めてで、一体何をどうすれば良いかわからない」「相続人同士で話し合ってもまとまらない」「遺産をどう分けて良いのかわからない」といった相談が多く寄せられます。調停になった後よりも、これから協議を始めるとか、相続人同士で協議をしている段階のご相談が多いです。

また最近は、ご自身の終活の一環として、高齢の方が最期まで尊厳を失わずに生涯を終えられるよう、生前から委任契約を結び、不動産売却、遺言書の作成、死後の手続きや事務処理、遺産の分配等まで一貫して行うことも増えています。

相談者の男女比や年代はいかがでしょうか?

男女どちらが多いということはありません。年代は、親が亡くなって相続が発生するのは50代以降が多いですから、必然的にその年代の方からの相談が多いですね。

相続の分野に注力している理由を教えてください。

家事調停委員になったことが大きいです。それ以前は、特に相続に注力したいとは考えていなかったのですが、家事調停委員になり、多くの相続案件に携わるうちに普段の弁護士業務でも相続の依頼が増えていきました。多くの案件を手がける過程で、専門的な知識や経験が蓄積され、依頼者のお役に立てることも増えていき、結果的に注力するようになったという形です。

相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。

遺産分割協議が成立した後のことも常に念頭に置いています。それは、協議の内容が明確で分かりやすくきちんと履行されるような内容にするという意味もありますし、当事者の間にしこりを残さない解決を目指すという意味も含んでいます。

徹底的に争って相手を打ち負かすような対決姿勢ではなく、依頼者にとっても相手にとっても望ましい解決を見つけ出すことが重要だと考えています。そのために、ただ法律論を振りかざして論破するのではなく、相手の考えや心情にも配慮しつつ説得することを大切にしています。また、依頼者に対しても必要な説明をして、納得を得た上で対応を進めるようにしています。

どういった考えから、そういった対応をされるようになったのでしょうか?

1つは、必要以上に対立が深くなると、相手も頑なになってしまって解決が遅れるからです。

また、相続問題が解決した後も、当事者の方々の人生はまだまだ続いていきます。親族同士ですから、どこかで顔を合わせることもあるでしょう。トラブルを乗り越えて、遺産を活かすためにも、双方にとって望ましい解決を導きたいと考えています。

案件に対する見通しの正確さと、同世代ならではの共感も強みです

先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いを教えてください。

河合法律事務所_外観

やはり弁護士として40年以上になり、家事調停委員も27年間務めたので、そこで得られた経験や知識は何物にも代えがたい強みだと思います。

たとえばAIであるとか最先端の分野であれば、法律や裁判例も流動的です。しかし相続は昔から存在しますから、細かい部分の法改正はあっても基本的なルールは変わりません。ですから、こうして長く相続に携わってきたおかげで、見通しの正確さには自信があります。

見通しというのは、具体的にどういったところでしょうか?

わかりやすくいうと、主張が通るかどうかという見通しですね。もちろんすべての案件を正確に見通すことはできず、どちらに転ぶかわからないという部分もあります。ただ多くの場合は、調停になるとこうなるだろう、審判になるとこうなるだろう、という予測が立ちます。ですから、無意味な主張を繰り返していたずらに時間をかけるようなことはありませんし、相手が無理な主張をしてきたとしても慌てることもありません。依頼者としても、見通しがわかれば、解決までの期間を安心して過ごすことができるでしょう。

もう1つ強みと言えそうなのが、50代以上の方からのご相談でも、同世代として共感し、依頼者の人生にとって少しでもプラスになるような解決策を一緒に考えていけることです。もちろん若い弁護士には若い弁護士の強みや特徴がありますが、相続に関するリアリティであったり、悩み・苦労というのは、年齢を重ねたからこそ身をもってわかるものかなと思います。

わからないこと・迷うことがあれば、とりあえずご相談ください

相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。

弁護士は法律の専門家ですから、専門的なアドバイスを受けられることですね。相談を受けていると法律の専門家でない方がよくなさる勘違いがあります。これは当然と言えば当然です。特に相続は、事案の個別性と法律知識とが複雑にからみ合い、弁護士でなければ判断が難しい問題がたくさんあります。だからこそ、ご自身の判断で行動したり、相続人同士で感情的に言い争って問題が悪化したりする前に、きちんと弁護士に相談して正しい対応をしていただきたいです。

なかなか弁護士に相談するタイミングがわからない方も多いと思いますが、どういうときに相談すると良いでしょうか?

相続に関して、迷うことやわからないことがあれば、とりあえずご相談ください。相談した結果、特に弁護士を入れる必要がないとわかればそれも大きな前進です。

ご相談いただくのは早いに越したことはありませんが、「今さら相談しても遅いかな」と思わず、一度相談してみてください。何かしら解決の糸口が見つかる場合が多いですし、そうなるように一生懸命知恵を絞ります。

先生に相談したい場合は、どのようにすれば良いでしょうか?

事務所までお電話いただき、予約をお取りください。基本的には平日10時〜19時の間に相談にお越しいただきますが、夜間や土日でも可能な限り対応いたします。

相談料は、初回30分は2200円(税込)にしていますので、「とりあえず話を聞いてみたい」という方でも利用しやすいと思います。

相談したからといって、弁護士に案件を依頼する必要はありません。まずは気軽にお電話ください。

相続について悩み、弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

親族が亡くなって自分が相続する立場になっている方でも、自分が亡くなったときに備えて準備をしたいという方でも、相続に関してわからないことがあれば、まずは一度ご相談ください。