「依頼者と喜怒哀楽を共にすること」を理念に、28年間の検事経験を活かして相続問題に取り組む
東京都新宿区「野口敏郎法律事務所」の代表・野口敏郎弁護士に、事務所設立の経緯や相続問題への取り組みについて聞きました。弁護士になる以前、28年間検事を務めていた野口弁護士いわく「相続争いは刑事事件に似ている」とのこと。近親者の感情が激しく衝突する相続争いへの対応や依頼者との接し方などについてお話しいただきました。(第一東京弁護士会所属)
インタビュー
検事から弁護士へ転身
事務所設立の経緯を教えてください。
弁護士になる前は検事をしていました。司法修習中に検察から誘いを受けて検事の道に進みましたが、元々は弁護士希望だったんです。検事として28年間働き、自分の中で区切りがついたと感じた頃に、一大決心して弁護士に転身しました。
弁護士登録後は都内の弁護士事務所に入所しましたが、弁護士になると決めた時から独立を考えていたので、しばらく経験を積んで退所し、現在の事務所を立ち上げました。
複数人の弁護士が所属する事務所では、方針の違いなどが生じて自分の思い通りに活動できないことがあります。私は自分が正しいと思うことを貫きたいという気持ちがあるため、設立当初から現在まで当事務所の弁護士は私一人です。初回の相談から事件解決まで、私が責任を持って対応します。
1人体制なので手がけられる事件数は限られますが、私を選んでくださった依頼者の期待に応えられるよう1件1件に全力を注いでいます。
事務所の理念を教えてください。
「依頼者と喜怒哀楽を共にする」ことをモットーにしています。検事時代も「被害者と共に泣く」という姿勢で仕事に取り組んでいましたが、弁護士と依頼者の関係は、検事と被害者の関係よりも近くなりますので、依頼者と一緒に事件を解決するという気持ちは一層強くなりました。
仕事をする上で心掛けていることはありますか?
当然のことではありますが、話をよく聞くことです。見通しを立てる上で、依頼者の話を聞くことはとても重要です。誤った見通しを立てれば、依頼者に損害を与えてしまうことにもなりかねません。
また、依頼の中には見通しが厳しい事件もあります。望みが薄い場合には依頼者を説得して諦めてもらうことも、弁護士の務めだと思います。そうした見極めを正しくするためにも、話をよく聞くことが大切なのです。
法的手段を駆使して複雑な相続問題を解決
相続分野に注力している理由を教えてください。
相続問題は刑事事件と共通する部分があると思います。相続争いは近親者間による争いであるがゆえに関係者の思いが複雑に絡み、時として熾烈になります。そのような激しい争いは、話合いだけでは決着がつかず、調停や審判などに発展するケースが多いのです。
私は28年間の検事生活で多種多様な事件を扱い、多くの裁判を経験しました。裁判では事実を立証するための証明力と調査力が求められます。関係者の対立が激しく、裁判に発展するような相続事件において、検事時代に培った証明力と調査力が活かせると思いました。
また、検事時代には私利私欲にまみれた人間の業に触れるような事件を多数扱ってきました。骨肉の争いとなる相続事件でも物怖じせずに対応できることが、強みだと感じています。
実際、元検事という経歴から「争いが熾烈な事件でも解決してくれるだろう」と思われて依頼に来る方も多いです。私と依頼者の考えがマッチして相続問題の依頼が増えたことで、注力するようになりました。
相続に関してはどのような相談が寄せられますか?
遺言や遺産分割、成年後見など幅広いですが、財産を巡る紛争の相談が比較的多いです。
これまで扱った事件の中で印象に残っているものとして、異父姉妹による相続争いがあります。両親を亡くした娘が財産を相続しようとしたところ、母親が前夫との間にもうけた異父姉がいることがわかり、姉妹の間で紛争が起こったのです。
母親の財産には先に亡くなった父親が残した財産も含まれていたため、血の繋がりがない異父姉に父親の財産まで持っていかれるのは納得いかないと、私の元に相談に来られました。
双方共に主張が激しく、調停や民事訴訟など法的手段を駆使して解決に至った事件として印象に残っています。最終的には、依頼者の意向に沿う条件で和解が成立し、とても喜んでいただけました。依頼者が意図した通りの財産を確保できたり、依頼者の希望が叶えられた時が、相続事件を手がける上での一番のやりがいです。
一般的に相続争いというと、親が亡くなった後に生じる紛争ですが、生前の争いもあります。親を囲い込み財産を独り占めしようとする事件であったり、自分に有益な遺言を親に作成させようとする事件です。そうした問題に対しても、法的手続きで解決しています。
弁護士に相談するタイミングに決まりはありません。相続に関する悩みが生じた時には、いつでもお問い合わせください。
「相続争いは感情論の戦い」
相続案件を扱う際に心掛けていることはありますか?
相続争いというのは感情論の戦いと言っても過言ではなく、感情の対立が争いの原因になっていることが多いです。
依頼者の感情を尊重するのは当然なのですが、感情に従って行動することが必ずしも依頼者に有益とは限りません。調停や審判では感情論は通用しませんので、時には依頼者を説得しなければならないこともあります。
依頼者の気持ちを受け止めつつも、法律家としての冷静な判断力を失わず、依頼者の利益を守ることが何よりも大切だと考えます。
最後に、相続問題で弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
弁護士に相談したいと思われる方の中には、費用を気にされる方も多いかと思います。ホームページに記載している弁護士費用は一応の目安にすぎません。実際には依頼者の話を聞いて、それぞれのケースに合わせて相談の上で決めており、記載している額よりも低くなることが大半です。
初回の相談は無料で受けていますので、費用を心配して相談することを躊躇しているのであれば、まずはご相談ください。