相続弁護士 ドットコム
月間サイト訪問者数
690万人以上
登録弁護士
28,000人以上
相続税
更新日:2026/09/02

贈与税の時効は原則6年・不正なら7年|起算日と数え方

監修者
高山弥生
東京都>中央区
VSG相続税理士法人
高山弥生
贈与税の時効は原則6年・不正なら7年|起算日と数え方
「昔もらったお金の贈与税を申告していない。何年経てば時効になる?」——そんな不安から調べている方は少なくありません。贈与税の時効は原則6年、わざと隠すなど不正があった場合は7年です。ただし数え始めるのは贈与した日ではなく、申告期限の翌日から。しかも実際には、時効の成立を当てにできないケースが多くあります。この記事では、6年と7年の分かれ目、起算日と数え方、時効を待つことのリスクまで、わかりやすく解説します。
相続税申告に強い税理士を手間なく探せます!ご相談ください!

贈与税の時効は原則6年・不正なら7年

贈与税の時効は、原則6年です。ただし、わざと隠すなどの不正があった場合は7年に延びます。

原則は申告期限から6年で時効になる

贈与税について税務署が課税できる期間は、法律で原則6年と決められています。

正確にいうと、これは「時効」ではなく除斥期間(じょせききかん)と呼ばれるものです。この期間を過ぎると、税務署は贈与税を課す手続き(更正・決定)ができなくなります。

多くの税金は5年が原則ですが、贈与税は把握がむずかしいことから、他の税金より長い6年とされています。この記事では、わかりやすさを優先して「時効」という言葉で説明します。

わざと隠すなど不正があると7年に延びる

偽りその他不正の行為によって贈与税を免れた場合は、期間が7年に延びます

「不正」とは、たとえば意図的に財産を隠す、帳簿や書類を偽装するなど、悪質と評価される行為です。架空の名義を使う、書類の日付を書き換えるといった行為も、これにあたり得ます。

うっかり申告を忘れていただけなら6年、意図的に隠していたなら7年、というイメージで押さえておきましょう。ただし、どちらにあたるかを決めるのは本人ではなく税務署なので、「うっかりだから6年で済む」と決めつけないほうが安全です。

時効が成立すると贈与税の納税義務はなくなる

期間が過ぎると、税務署はその贈与について課税できなくなります

借金の時効と違って、「時効なので払いません」と主張(援用)する必要はありません。期間の経過によって、税務署の側が課税する権限を失うためです。

なお、そもそも贈与税がいくらかかるのかは、次の記事でくわしく解説しています。

贈与税の時効はいつから数える?起算日と数え方

贈与税の時効は、贈与を受けた年の翌年3月15日の申告期限の翌日である3月16日が起算日となり、そこから原則6年、不正があった場合は7年で成立することを示した時系列の図

年数と同じくらい間違えやすいのが、「いつから数えるのか」です。

起算日は申告期限の翌日(贈与の翌年3月16日)

数え始めるのは、贈与税の申告期限の翌日です。

贈与税の申告期限は、贈与を受けた年の翌年3月15日です。そのため起算日は、贈与を受けた年の翌年3月16日になります。

つまり、いつ贈与を受けたかにかかわらず、同じ年の贈与ならスタートラインは同じです。1月にもらっても12月にもらっても、起算日は翌年の3月16日になります。

贈与した日から数えるわけではない

よくある誤解が、「お金をもらった日から6年」と考えてしまうことです。

実際には申告期限を経てから数え始めるので、贈与した日から見ると6年より長くかかります。「もう6年経ったから大丈夫」と自己判断すると、実はまだ期間内だった、ということが起こります。

具体例でわかる時効が成立する日

たとえば、2025年6月に親から500万円をもらい、申告しなかったケースで考えます。

  • 申告期限:2026年3月15日
  • 起算日:2026年3月16日
  • 時効(原則6年)の成立:2032年3月16日
  • 不正があった場合(7年):2033年3月16日

贈与を受けた2025年6月から数えると、実際には6年9か月ほど経つ計算です。

複数年にわたって贈与を受けている場合は、贈与の年ごとに別々に数える点にも注意しましょう。たとえば2020年から2025年まで毎年もらっていたなら、古い年の分から順に期間が満了していくことになります。「一番古い贈与が時効になった=全部大丈夫」ではありません。

時効まで待てば贈与税を払わずに済む?

ここまで読んで「6年待てば逃げ切れる」と考えた方に、正直にお伝えします。

結論、時効の成立を当てにするのは危険

税務署は、不動産の登記情報、生命保険金の支払調書、銀行口座の大きな入出金、高額な買い物へのお尋ね、相続発生時の税務調査という経路から贈与を把握することを示した図

実務では、時効の成立を当てにするのはおすすめできません

税務署は、後述するさまざまな経路で財産の動きを把握しています。さらに、後述する名義預金にあたる場合は、そもそも期間のカウントが始まりません。

6年間ばれずに過ごせる前提そのものが、崩れやすいのです。しかも、ばれたときには本来の贈与税に重いペナルティが加わるため、待った分だけ負担が増える結果になりかねません。

不動産の名義を変えると登記から税務署に伝わる

不動産をもらって名義を変えると、その登記の情報が税務署に伝わります

税務署は登記の情報をもとに、「どうしてこの不動産を取得したのか」を確認します。対価を払っていなければ贈与を疑われ、お尋ねの文書が届くことがあります。

不動産は登記という公の記録が長期間残るため、あとから調べられても隠しようがありません。親名義の土地を子の名義に変えるようなケースは、特に把握されやすい典型例です。

生命保険金や大きなお金の動きは記録に残る

保険会社が保険金を支払うと、税務署へ支払調書が提出されます。

保険料を負担していた人と受け取った人が違う場合、贈与税の対象になることがあります。

また、金融機関の口座の記録は長期間残るため、まとまったお金の移動は後からでも確認できます。税務署は必要に応じて金融機関に照会でき、親の口座からの出金と子の口座への入金を突き合わせることもできます。

高額な買い物をすると「お尋ね」が届く

収入に見合わない高額な買い物をすると、税務署から「お尋ね」の文書が届くことがあります。

住宅の購入などが典型で、購入資金をどう用意したかを尋ねられます。そこで親からの資金援助が判明し、贈与税の申告漏れが表に出るケースがあります。

相続が生じると過去にさかのぼって調べられる

もっとも贈与が表に出やすいのが、贈与した人が亡くなって相続が生じたときです。

相続税の税務調査では、亡くなった人の口座の入出金が長期間さかのぼって確認されます。そこで過去の資金移動が見つかり、贈与税の申告漏れや名義預金が指摘されることが少なくありません。

つまり、贈与した側が元気なうちはばれなくても、相続をきっかけにまとめて表に出るということです。「本人が亡くなればわからない」は、むしろ逆だと考えておきましょう。

名義預金は贈与が成立せず時効が始まらない

時効を語るうえで、もっとも見落とされやすいのが名義預金です。

贈与は渡す人ともらう人の合意で成立する

「あげます」「もらいます」という意思が両方そろって、はじめて法律上の贈与が成立します。

渡す側が一方的に「あげたつもり」でいるだけでは、贈与は成立していません。贈与が成立していなければ、贈与税の対象にもならず、時効のカウントもそもそも始まりません

子や孫が知らない口座は「あげたつもり」にすぎない

親や祖父母が、子や孫の名義で口座を作って積み立てているケースはよくあります。

しかし、名義人本人が口座の存在を知らず、通帳や印鑑も親が管理しているなら、それは名義預金です。名義が子や孫でも、実質的にはお金を出した親の財産と扱われます。

名義預金かどうかは、主に次の点から判断されます。

  • お金を出したのは誰か(原資の出どころ)
  • 通帳・印鑑・キャッシュカードを誰が管理しているか
  • 名義人が口座の存在を知り、自由に使える状態か

名義を分けただけでは足りず、実質的に本人のものになっているかが見られる、ということです。

実際に、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にも「妻名義の口座に資金移動した名義預金がある状態で、さらに毎年110万円の贈与をした場合、名義預金も贈与とみなされるのか」という相談が寄せられています。

Q
名義預金と贈与に分けて管理したいが、税務署の判断が不安
相談者の疑問
【相談の背景】 後数年でリタイヤの時期となり、相続を見据えた節税を考えています。妻に生前贈与を行い、相続時になるべく多くの資産を妻に残したい。 【質問1】 妻名義の口座に資金移動をした名義預金が有る状態で、更に毎年110万円の贈与(贈与契約書は作成)をした場合、名義預金は贈与とみなされるのでしょうか?110万円贈与は別の口座とした方が良いのでしょうか?
弁護士の回答
塩地 陽介 弁護士
毎年110万円の贈与については、贈与契約書を作って奥さんが管理している奥さんの口座に入れるのであれば、奥さんのものであって相談者の遺産には含まれないので相続税の対象にはならないと思います。 ただ、「妻名義の口座に資金移動をした名義預金」の方はあくまでも名義預金ということなので、贈与があったものとはみなされず、相談者が死亡した際には相談者の遺産として扱われる可能性があると思います。 なお、「妻名義の口座に資金移動をした名義預金」が実際に奥さんが自由に使うことのできる預金なのであれば実質的にも奥さんのものなので(名義預金には当たらないので)、贈与に当たると思います。 その場合、贈与額が年間110万円を超えていれば奥さんに贈与税が課されることになります。 税理士さんへの相談もお勧めします。
すべての回答を見る
相続税申告に強い税理士を手間なく探せます!ご相談ください!

贈与が否定されると相続税がかかる

名義預金と判断されると、そのお金は亡くなった人の相続財産として相続税の対象になります。

「6年経ったから名義人のもの」という理屈は通りません。その結果、相続人は名義預金の分も含めて相続税を申告することになり、すでに申告を終えていれば修正申告が必要になることもあります。

何が相続財産にあたるかは、次の記事でくわしく解説しています。

なお、贈与税の時効とは別に、相続開始前の一定期間(順次7年へ延長)の贈与は相続財産に加算されるしくみもあります。対象になるのは、相続や遺贈で財産を受け取った人(相続人・受遺者・生命保険金の受取人など)で、代襲相続人でない孫は原則として対象外です。

同じ「7年」でも時効とは別の制度なので、混同しないようにしましょう。

年間110万円以下でも課税されることがある

贈与税には年間110万円の基礎控除があり、その範囲内なら贈与税はかかりません。

ただし名義預金と判断された場合は、毎年の入金が110万円以下でも、全額が相続財産として扱われることがあります。「110万円ずつなら安全」と考えて名義だけ子や孫にしておく方法は、かえってリスクになります。

時効の前に申告漏れがばれたときのペナルティ

時効を待つ間にばれると、本来の贈与税に加えてペナルティが課されます。

ペナルティ

どんなとき

税率の目安

無申告加算税

申告しなかった

15〜30%

過少申告加算税

少なく申告した

10〜15%

重加算税

意図的に隠した

35〜40%

延滞税

納付が遅れた

年ごとに変動(2段階)

申告漏れ・申告不足には加算税が上乗せされる

まったく申告していなかった場合は無申告加算税として15〜30%、申告はしたが金額が少なかった場合は過少申告加算税として10〜15%が、本来の税額に上乗せされます。

いずれも本来の贈与税に加えて課されるため、元の税額が大きいほど、上乗せ分の負担も重くなります。

一方で、税率は「いつ動いたか」でも変わります。税務調査の通知を受ける前に自主的に申告すれば、無申告加算税は5%まで下がります。気づいた時点で申告することが、もっとも損の少ない選択です。

意図的に隠したときの重加算税

事実を隠したり偽ったりしたと判断されると、加算税に代えて重加算税という重い税が課されます。

税率は過少申告で35%、無申告なら40%と、通常の加算税より大幅に高くなります。

時効を狙って隠し続けると、この重加算税の対象になりやすく、結果的に高くつきます。しかも重加算税がかかるような事案は「不正」と評価されやすく、時効が7年に延びる可能性も高まります。待てば待つほど不利になる、という関係にある点を押さえておきましょう。

納付が遅れたときの延滞税

納付が遅れた期間に応じて、利息にあたる延滞税がかかります。

納期限の翌日から2か月以内と、それを超えた期間で税率が変わる2段階の仕組みです。2か月を超えると率が大きく上がるため、放置した期間が長いほど膨らみます。

延滞税の率は年によって変わるため、実際の金額は国税庁の公表や税理士への確認で押さえましょう。

悪質な場合は刑事罰もある

偽りその他不正の行為で贈与税を免れた場合、相続税法違反として刑事罰の対象になり得ます。

10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方と定められています。「黙っていれば得をする」どころか、失うものが大きくなる可能性があるということです。

贈与税を正しく納めて後のトラブルを防ぐ方法

時効を当てにするより、贈与を正しい形で残すほうが確実です。

贈与契約書を作って合意を残す

もっとも効果的なのが、贈与契約書を作って双方の合意を形に残すことです。

「誰が・誰に・いつ・何を渡したか」を書面にしておけば、名義預金と疑われにくくなります。現金の手渡しではなく、振込にして記録を残しておくとより確実です。

毎年贈与する場合は、その都度、契約書を作っておきましょう。毎年同じ額・同じ時期に贈与を繰り返すと、まとまった金額の贈与を分割しただけと判断されることがあるためです。

あえて申告・納税して贈与の証拠にする

基礎控除を少し超える金額を贈与し、あえて申告・納税して記録を残す方法もあります。

申告の事実が、贈与があったことの裏づけになります。少額の納税で「贈与があった証拠」を残せると考えれば、負担は大きくありません。

ただし税額の有利・不利は状況によって変わるため、進め方は税理士に相談すると安心です。

もらった人が自身で財産を管理する

贈与が成立していると認められるには、もらった人が自身で通帳・印鑑・カードを管理することが欠かせません。

口座の存在を本人が知っていて、自由に使える状態にしておきましょう。未成年の子に贈与する場合も、親が管理するなら「いずれ本人に渡す」ことがわかる形にしておくと安心です。

贈与税がかからない渡し方や非課税の制度については、次の記事も参考になります。

申告漏れに気づいたら早めに申告する

過去の申告漏れに気づいたら、時効を待つより自主的に申告するほうが負担は軽く済みます

前述のとおり、調査の通知を受けてから指摘されるのと、自分から申告するのとでは、加算税の率が大きく変わるためです。何年も不安を抱えたまま過ごすより、早く整理してしまったほうが精神的にも楽になります。申告のやり方は、次の記事でくわしく解説しています。

よくある質問

現金で手渡しすれば時効まで隠せる?

現金の手渡しでも、贈与税の申告義務はなくなりません

相続が生じたときに口座の出金記録から資金の動きが確認され、使い道を尋ねられることがあります。渡した側の出金は記録に残るため、「現金なら足がつかない」とはいえません。

むしろ記録がないぶん、贈与だったことを証明できず、あとから不利になることもあります。

借金を免除してもらったときも贈与税はかかる?

借金を免除してもらった場合も、原則として贈与税の対象になります

免除された金額分の利益を受けたと考えられるためです。親子間の貸し借りをうやむやにすると、あとから贈与と判断されることがあります。

「そのうち返す」と言ったまま返済していない場合も、実質的には贈与とみなされかねません。借用書を作り、実際に返済の記録を残しておくことが大切です。

贈与を受けた人が亡くなったら申告はどうする?

贈与を受けた人が申告前に亡くなった場合は、その相続人が代わりに申告と納税をします

過去の申告漏れも相続人に引き継がれるため、放置していた分が相続の場面で表に出ることになります。自身の代で片づけずにいると、家族に負担と気まずさを残すことになりかねません。

毎年110万円ずつ贈与すると、まとめて課税される?

毎年同じ額を同じ時期に贈与し続けると、最初からまとまった金額を贈る約束だった(定期贈与)と判断されることがあります。

その場合、110万円ずつではなく総額に対して贈与税がかかる可能性があります。贈与の都度、その年ごとに契約書を作り、金額や時期に幅を持たせておくと安心です。

まとめ

贈与税の時効は原則6年、わざと隠すなど不正があった場合は7年です。数え始めるのは贈与した日ではなく、申告期限の翌日(贈与を受けた年の翌年3月16日)からで、贈与の年ごとに別々に数えます。

ただし、税務署は登記や口座の記録、相続時の調査から贈与を把握します。名義預金にあたる場合は贈与が成立しておらず、そもそも時効のカウントが始まりません。

申告漏れがばれると、重加算税を含む重いペナルティが課され、時効を狙うほど高くつきます。

過去の贈与が申告漏れになっていないか不安なとき、名義預金にあたらないか判断がつかないときは、自己判断で時効を待つのは危険です。

加算税を含めていくら納めることになるのか、申告すべき行為だったのかどうか。この判断は、まずは税理士への相談で、あなたのケースに沿った進め方を確認しておきましょう。

この記事をシェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事の監修者
高山弥生
東京都>中央区
VSG相続税理士法人
高山弥生(東京地方税理士会所属)
相続税に関するコラム
北海道・東北
青森県/
岩手県/
福島県
中部
三重県/
山梨県/
長野県/
福井県
中国・四国
九州・沖縄
長崎県/
熊本県/
佐賀県/