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連れ子には相続権がない? 遺産を相続させる方法や注意点などを解説

再婚相手(配偶者)の連れ子にも、家族として遺産を分け与えたいと考える方はいるでしょう。しかし法律上は、配偶者の連れ子には相続権がありません。連れ子に遺産(財産)を与えたい場合は、生前の段階から相続対策を行いましょう。この記事では、配偶者の連れ子に遺産(財産)を与える方法や注意点などを解説します。

配偶者の連れ子には、原則として相続権がない

配偶者の連れ子には、原則として相続権がありません。

被相続人の子には相続権がありますが(民法887条1項)、被相続人が連れ子の親と再婚しても、被相続人と連れ子との間に法律上の親子関係が生じるわけではありません。法律上の親子関係を生じさせるためには、別途養子縁組の手続きを行う必要があります

したがって、養子縁組をしていない配偶者の連れ子は、ご自身の遺産を相続することができません

配偶者の連れ子に遺産(財産)を与える方法

配偶者の連れ子に遺産(財産)を与えるためには、主に以下の方法が考えられます。

  1. 養子縁組をする
  2. 遺言書を作成する
  3. 生前贈与をする
  4. 家族信託(民事信託)を活用する
  5. 連れ子を生命保険の受取人にする

養子縁組をする

配偶者の連れ子と養子縁組をすれば、ご自身の「子」になることに伴い、連れ子はご自身の相続に関して相続人となります。この場合、連れ子も遺産分割に参加することができます。

養子縁組をする際には、養親・養子いずれかの本籍地または届出人の所在地の区市町村役場に養子縁組届を提出しましょう。

遺言書を作成する

遺言書を作成すれば、ご自身の財産を自由に譲り渡すことができます(民法964条)。

配偶者の連れ子に対しても、遺言書によって包括遺贈または特定遺贈を行えば、遺産を与えることが可能です。

  1. 包括遺贈
    与える遺産の割合を指定して行う遺贈です。
    (例)配偶者の連れ子に対して、遺産の3分の1を与える

  2. 特定遺贈
    与える遺産を具体的に特定して行う遺贈です。
    (例)配偶者の連れ子に対して、不動産Xを与える

遺言書は、民法の方式に従って作成する必要があります。また、内容が不明確な場合や、遺言当時において遺言能力がない場合などには、遺言書が無効となってしまうおそれがあるので注意が必要です。

配偶者の連れ子へ確実に遺産を与えるため、適切な内容・方式により遺言書を作成するためには、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

遺言書の作成方法については、以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてお読みください。
関連記事:遺言書とは?作らないとどうなる?3つの種類や作成方法、注意点を解説

生前贈与をする

配偶者の連れ子に対して生前贈与を行えば、早い段階から財産を活用してもらうことができます。特に連れ子が結婚や住宅の購入を控えている場合や、子育てにお金がかかる時期の場合などには、生前贈与が有力な選択肢となるでしょう。

生前贈与を行う際には、連れ子との間で贈与契約書を締結しましょう。贈与の内容を明確化することでトラブル防止に役立つほか、将来的に税務調査が行われた際にも、贈与の事実と内容を説明しやすくなります。

家族信託(民事信託)を活用する

配偶者の連れ子に財産を与える方法としては、家族信託(民事信託)も選択肢の一つとなります。家族信託とは、委託者の家族などが受託者となって、委託者の財産を代わりに管理する仕組みです。

家族信託では、信託契約において財産の活用方法を細かく指定できます。そのため家族信託は、認知症対策や相続対策として広く活用されています。

特に配偶者の連れ子が幼い場合は、連れ子に財産を与える方法として家族信託が有用です。

たとえば配偶者を受託者として、連れ子が成人するまで財産を運用させ、成人したら連れ子に財産を交付させるなど、将来にわたる財産の活用方法を詳細に決められます。

家族信託を設定する際には、信託契約において想定を実現できる条項を過不足なく定めることが重要です。弁護士のアドバイスを受けながら、適切な内容の信託契約を作成・締結しましょう。

関連記事:家族信託のメリットとデメリット、必要性について弁護士がわかりやすく解説

連れ子を生命保険の受取人にする

生命保険に加入した上で、連れ子を保険金の受取人に指定すれば、ご自身の死後に連れ子に対して保険金が支払われます。

ただし、養子縁組をしていない連れ子は法定相続人でないため、保険会社によっては受取人に指定できないことがあるので注意が必要です。連れ子を受取人に指定できるかどうかは、あらかじめ保険会社の担当者に確認しましょう。

配偶者の連れ子に遺産(財産)を与える際の注意点

配偶者の連れ子に遺産(財産)を与える際には、特に以下の2点に十分ご注意ください。

  1. 遺留分に関するトラブルに要注意
  2. 贈与税・相続税の課税に要注意

遺留分に関するトラブルに要注意

兄弟姉妹以外の法定相続人およびその代襲相続人には「遺留分」が認められています(民法1042条1項)。

遺留分とは、相続などによって取得できる財産の最低保障額です。実際に取得した財産の額が遺留分を下回った相続人は、財産を多く取得した人に対して遺留分侵害額請求(民法1046条1項)を行い、不足額に相当する金銭の支払いを受けられます。

配偶者の連れ子に多くの遺産を与えると、相続人の遺留分を侵害してしまうことがあります。この場合、ご自身の死後に連れ子が遺留分侵害額請求を受け、相続人との間でトラブルに発展するおそれがあるので注意が必要です

関連記事:遺留分侵害額請求とは?請求のやり方や期限、請求された場合の対処法も解説

遺留分に関するトラブルを避けるためには、相続人の遺留分に配慮して遺産の分け方を決めることが望ましいでしょう。

贈与税・相続税の課税に要注意

連れ子に遺産(財産)を与える際には、贈与税または相続税が課されることがあります。

贈与税

  • 課税対象:生前贈与、家族信託(生前に利益の移転がある場合)など
    ※いずれも相続税が課されるものを除く
  • 税率:10%~55%
    ※個々の贈与の価額に対して適用
  • 基礎控除:1年間につき110万円
  • 適用しうる特例等:相続時精算課税、住宅取得等資金の贈与の非課税特例、教育資金の一括贈与の非課税特例、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例など

相続税

  • 課税対象:相続財産、遺贈(遺言による贈与)、相続開始前3年以内に行われた生前贈与(2024年以降は、相続開始前7年以内)、相続時精算課税の適用を受ける生前贈与、生命保険の死亡保険金、死亡退職手当金など
  • 税率:10%~55%
    ※相続財産等の法定相続分に応ずる取得金額に対して適用
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • 適用しうる特例等:配偶者の税額の軽減、小規模宅地等の特例など

贈与税と相続税のどちらが課されるかは、連れ子に財産を譲渡する方法やタイミングなどによって異なります。課される税金の金額等について、あらかじめシミュレーションを行いましょう。

贈与税や相続税の取り扱いについては、税理士にアドバイスを受けることをおすすめします。弁護士に相談すれば、連携のある税理士の紹介を受けられるでしょう。

まとめ

配偶者の連れ子には原則として相続権がないので、何もしなければ遺産を相続させることができません。連れ子に財産を与えたい場合は、生前の段階から何らかの対策を行いましょう。

養子縁組・遺言書の作成・生前贈与・家族信託・生命保険など、連れ子に財産を残すためにはさまざまな方法があります。各方法のメリット・デメリットを検討した上で、どの方法が最適であるかを検討しましょう。

弁護士に相談すれば、家庭の事情や希望に応じた効果的な相続対策を提案してもらえます。配偶者の連れ子に財産を残すため、相続対策を検討している方は、一度弁護士にご相談ください。

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この記事の監修者
監修者の名前
永原裕也弁護士
監修者の所属事務所
永原法律事務所

愛知県弁護士会所属。遺言書作成から遺留分・遺産分割まで幅広く相続の対応をしている。相談者に「安心」を提供することをモットーに、司法書士・税理士や不動産・保険等の専門家とも連携し、相談者一人一人の事情に沿ったオーダーメイドの解決をしている。

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