相続弁護士 ドットコム

堺みらい創生法律事務所

法律論だけではなく感情的にも深刻な対立になりがちな相続、弁護士と二人三脚で歩めば精神的な負担も軽くなります

自身の出身地を管轄する裁判所が所在する堺市に事務所を構える(堺みらい創生法律事務所)武田宗久弁護士。地元へ貢献したいと2023年1月に独立し事務所を開業しました。土日・夜間の相談のほか、出張相談・Zoomによる相談も可能とするなど個人事務所ならではの柔軟な対応を取っています。相続問題については何が問題となっているのかもはっきりしていないことも多いことから、「何となく心配だなというくらいでも一度ご相談ください」と呼びかけています。(大阪弁護士会所属)

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武田 宗久弁護士
堺みらい創生法律事務所
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インタビュー

「地元に貢献したい」―堺市に事務所設立

事務所設立の経緯を教えてください。

2023年1月に堺市に「堺みらい創生法律事務所」を設立しました。それまでは10年以上勤務弁護士や任期付公務員として裁判実務や行政実務の研鑽をしてまいりました。そして、今後のキャリアを考えたときに、一定の責任を持って仕事をしていきたいと思い、独立開業することを決めました。
実は、弁護士になるまでは、地元について意識をすることはあまりありませんでした。しかし、地方での司法修習の際に、地元に貢献してみたいと考える修習生が少なからずいたことから、自分にとっての地元はどこかと考えるようになりました。そして、自分にとっての地元を管轄する裁判所の所在地が堺市であることから、ひろく地元に貢献したいと考え、堺の地で開業することにしました。

事務所の理念を教えてください。

依頼者の気持ちに寄り添い、ともに新しいみらいを創るということです。相談に来られた方のお話をお聞きしていると、やはり「こんなつらい目にあった」「こんな嫌な思いをした」という話をされる方がとても多いです。

ただ、当然のことながら過去に起こったことを今から変えることはできません。しかし、過去を今後にどう活かしていくか。つらい出来事を踏まえて、今後を変えていくことはできると思っていますので、弁護士として今後どうしていくべきかを建設的にお話するようにしています。

遺産分割の前段階での相談が増えている

相続についてよくある相談内容を教えてください。

かつては遺産分割の相談が一番多かったのですが、最近は相続の前の段階でのご相談が増えています。例えば、生前の遺言作成や成年後見などです。

遺言を作れば相続でもめないだろうと思われる方も多いと思いますが、必ずしもそうではありません。

公正証書遺言できちんと遺言が残されていたものの、遺言の内容は一人の相続人に全財産を相続させるというものだったというケースを実際に経験しています。そうすると、兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」(相続などによって取得できる財産の最低保障額)が認められているため、遺産分割協議で大いに紛糾します。

遺言というのはただ作ればいいというものではなく、どのような内容であればもめるリスクを少なくするのかを考える必要がありますが、法律に詳しくないとその点を配慮しながら作成するのは難しいと思います。

それでも「ひとりに全財産を残したい」と遺言のご相談を受けた場合は、まずは「ひとりだけに全財産相続させるのは難しいことをお伝えした上で、最大限残せるとしたらこうしたものが残せるのではないか、などとご提案をしていきます。

また、不動産関連では、土地の所有権は亡くなった父で、その上に息子である自分名義の建物があるといったケースで、土地の名義も自分に移すことはできないかというご相談がありました。

こうした場合、「時効取得」といって、一定期間が経過していれば所有権を取得できる制度があるのですが、この制度の活用ができないかを検討します。このケースでは時効取得が可能ではあったのですが、他の相続人を調べてみると、相続人が20人ほどいました。顔も名前も知らない状態のなか、戸籍を集めて裁判を起こしたのですが、相当な時間と労力を要しました。

もめていなくても対応に迷っていたら相談を

最近の相談の特徴や傾向があれば教えてください。

「もめているわけではないけれども、どう対応したらいいのかわからない」とご相談に来られることが増えているような印象があります。

例えば、土地や建物を所有していて、相続登記をしようとしたら、多数の相続人がいることが分かったが、音信不通の人もいて困っているといったものです。ご自身で全て連絡を取るのは非常に骨折れる作業で、対応も難しいです。

2024年4月1日から相続登記が義務化されますが、今後ますますこうしたご相談が増えてくるのではないかと思っています。

これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。

一部の相続人が特別に得ていた利益を「特別受益」、相続などで取得できる財産の最低保障額を「遺留分」と言いますが、この2つで争いになるととても紛糾します。

実際に経験した事例でも、特別受益が問題となりました。請求する側としては、相手方がお金をたくさんもらっていたことを証明しないといけません。ただ、決め手となるような証拠もなかなかない中で、これはちょっと難しい側面もあると感じていました。

相手方は十分な説明や反論を尽くしておらず、お茶を濁すだけの回答に終始しているところもあったので、こちらはその点を強調して主張しました。結果、裁判所は相続財産のほとんどを私の依頼者が取得する形の判断を下しました。

非常に苦労した事件で身を削る思いでやっていましたが、依頼者の方から「頼んでよかったです」と言われてほっとしました。

相続案件を手掛ける上で、心がけていることを教えてください。

例えば、債務整理だととにかく借金をゼロにしたいというのがニーズで、そのための解決の方向性もある程度は明確な場合も多いです。しかし、相続の案件の場合は、例えば、特別受益や使途不明金が気になっているのか、税金が気になっているのか、はたまたもめているわけではないものの今現在住んでいる自宅だけは欲しのか、といったように、ニーズや解決の方向性が非常に多様です。

実は、依頼者自身も何がこだわりなのか自分で認識していないこともままあります。お話を聞きながら大切にしたいポイントを掘り起こしていくようにしています。

相談時間や場所、依頼者の要望に応じて柔軟に対応

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相続について弁護士に相談するメリットはなんでしょうか。

相続には二つの側面があると思います。一つは技術面で難しいということです。法律的にもまだ解釈が煮詰まっていないところや書いている本によってニュアンスが違うところがあります。

もう一つは、感情的な対立を呼びやすいということです。「お前だけなんであんなにもらっていたんだ」「あの時お前は何もしなかった」など過去の感情が噴出する分野でもあります。

弁護士は法律の専門家ですので、技術面のサポートは当然に期待されると思いますが、感情面でのサポートも担っていると思います。どうしても一人で考えこんでいると、感情が理屈にまさってしまうこともあります。依頼者と弁護士とで二人三脚で進めていけば、精神的な負担も軽くなります。これは必ずしも意識はされていませんが、実はすごく大きなことだと思います。

相続で相談が遅れることによるデメリットはありますか。

相続分野において、なぜもっと早く来てくれなかったのかというケースは確実にあります。例えば、相続放棄です。手続の期限は3カ月ですが、期間が過ぎてから「これといった遺産もないから何もせんでいいわと思っていたら、借金の請求が来ました」とご相談に来られるケースがあります。

相続放棄の期限を過ぎてしまっていた場合、家庭裁判所に手続ができなかった合理的な理由を説明する必要があるうえ、後日債権者から相続放棄が無効であるとして裁判を起こされるリスクもあります。弁護士に依頼することをおすすめします。

先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどんなところでしょうか。

小さな事務所ですので、柔軟に対応できることです。土日や夜に相談されたい場合には対応しますし、なんらかの事情で事務所に来れないという場合には出張やZoomによる相談もできます。大きな事務所ですとなかなか融通が効かないという話も聞きますので、臨機応変に対応できることは一つの強みですね。

また、宅建士や中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーの資格を保有していますので、相続後の生活設計や不動産が関係する相続問題、事業承継など弁護士だけでは解決できない問題についても安心してご相談いただけます。

相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

まずは、相談していただけたらと思っています。相談することで「全くそんなこと考えもしなかった」ということが見つかることもあります。気になることがなかったとしても、なんとなく心配だなというくらいでお気軽にご相談いただければと思います。相続は感情の対立も激しく悩むこともあるかと思いますが、一緒に二人三脚で頑張っていきましょう。