税理士と連携し、生前対策から遺産分割、相続税申告まで一括で対応。納得感を大切に最善の相続を

東京都世田谷区「宇津木法律会計事務所」の宇津木陽太弁護士(第二東京弁護士会)に、相続分野の取り組みについて聞きました。1942年創業の会計事務所を母体として、70年以上にわたり世田谷区で活動してきた同事務所。弁護士と税理士が同じ所内に在籍し、法律と税務の両面から依頼者の問題解決をサポートします。相続についてよくある相談や事務所の強み、弁護士に相談するメリットなどを聞きました。
インタビュー
地域の方々に寄り添ったサービスを提供
事務所設立の経緯を教えてください。
当事務所は1942年創業の宇津木会計事務所を母体として、70年以上にわたり世田谷区で地域に密着した活動を続けてきました。曾祖父から代々受け継いできた事務所を税理士である父が継ぎ、その後、2024年に私が加わって「宇津木法律会計事務所」として新たなスタートを切りました。
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
地域の方々に寄り添ったサービスを提供することです。これは父がずっと言い続けていることで、私も常に心に留めています。長年、世田谷の地で活動を続け、地域の皆様とともに歩んできました。1人でも多くの方に恩返しができるよう、悩みごとを解決するためのお力になりたいと思っています。
税理士と弁護士がタッグを組み、相続の悩みをまとめて解決
相続分野に力を入れている理由は何ですか。
税理士と弁護士の連携が重要な分野だからです。相続は税務と法律が密接に関わり、両方の専門家が協力することで依頼者に大きな価値を提供できます。同一所内
に税理士と弁護士が在籍する当事務所の強みを活かせると考えて、注力しています。
また、私自身が相続や離婚などの家事事件と呼ばれる分野に関心を持っていることも理由の1つです。一般民事事件では条文や法律の解釈、事実関係で結論が決まることが多いのに対し、家事事件は、当事者の気持ちや意思が尊重される部分が大きいです。必ずしも結論が見えておらず、法律以外の要素で流れが変わる可能性がある、そのような柔軟性が家事事件の特徴だと考えています。
とはいえ、感情に任せて言いたいことを言うだけでは問題は解決しません。裁判所から、「それはあなたの気持ちの問題でしょう」と一蹴されてしまうこともあります。いかに裁判所に響く形で依頼者の思いを伝えられるかということも、相続に関わる弁護士の力量が試される部分だと考えています。
相続について多く寄せられる相談内容を教えてください。
大きく2つに分けられます。
1つ目は、相続が開始した後のご相談です。どのように手続きを進めればいいのかわからない方や、相続人間で遺産の分け方をめぐって揉めている方が多く相談に来られます。
特に不動産が含まれる相続は複雑で、単純に現金を分けるのとは異なります。不動産を売るのか誰かが引き継ぐのか、売る場合は競売か任意売却か…など決めることが多く、相続人間で意見が対立しやすいです。妥当な着地点を見出して遺産分割の手続きを進めるために、弁護士を間に入れるメリットが大きい問題だと思います。当事務所は不動産仲介業者とのネットワークがありますので、売却が必要なケースにも対応可能です。
2つ目は、生前からの対策についてのご相談で、特に中小企業の経営者の方から相談を受けることがよくあります。ご自身が亡くなった後、会社をどうするか、誰に引き継いでもらうか、といった悩みを抱えている方が多いです。その方の事情を踏まえて、遺言書の作成や民事信託、生命保険の活用など複数の対策を組み合わせて提案しています。
わかりやすい説明が好評。依頼者自身が納得して判断できるようサポート
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
相続は誰にでも起こりうる身近な問題でありながら、法的手続きが必要になることが多い分野です。私が特に心がけているのは、難しい専門用語をかみ砕いて説明し、依頼者にしっかり理解していただくことです。例えば「遺留分」という制度について説明する際は、「こういう制度で、こういう経緯があって生まれたものです」と基本から丁寧にお伝えします。
依頼者が自分で判断するための材料を提供し、納得した上で進む道を決めていただくことを大切にしているので、説明に多少時間がかかっても必ず一から話すようにしています。
相続において、金額的に有利に解決することはもちろん重要です。ただそれ以上に、ご本人が納得できる形で解決することが、最終的には依頼者の満足につながると考えています。
相続分野における事務所の強みは何でしょうか。
一番の強みは「弁護士と税理士によるワンストップサービス」です。同じ事務所に弁護士と税理士が在籍しているので、所内で依頼者に関する情報を共有し、法律と税務、どちらに関することもまとめて対応できます。依頼者自身が「これは法律の問題なのか、税務の問題なのか」と迷う必要はありません。相続に関するどのような相談も当事務所で引き受け、適切な専門家が対応します。
打ち合わせには税理士である父が同席することも多く、その場で、税務に関することも法律に関することも一気に相談していただけます。また、相続税の申告も視野に入れながら遺産分割の交渉や調停を進められるため、税金面も考慮した最適な解決策を提案できます。
さらに、長年地域に密着した活動を続けており、私自身、生まれも育ちも世田谷なので、地域の事情に詳しいところも強みです。地理的なことにも明るいので、例えば「⚫︎⚫︎駅の近くに土地があって…」とざっくり情報をいただければ、周りの環境や、そのあたりの不動産の価値などもだいたい想像できます。話が通じやすく、スムーズなやりとりができることも、依頼者の安心感につながる要素だと思います。
依頼者からどのような印象だと言われますか。
ありがたいことに、説明が明確でわかりやすいと言われます。わからないと言われたり、聞き返されたりすることはあまりないかもしれません。
法律は社会で起きた紛争をどう解決するかを定めているものですから、本来、子どもから大人まで誰もが知っておくべきだと考えています。しかし現状は、「法律は難しい」「専門家にしかわからない」という認識が広がっていて、法律に馴染みがない方が多いです。できるだけわかりやすく説明することで、少しでも法律を身近に感じていただければと思っています。
最初の一歩を正しく踏み出すために、まずはご相談ください
相続について弁護士に相談・依頼するメリットを教えてください。
まず、法律に基づいた正確な知識を得られることです。法定相続分が何分の一なのかといった基本的な知識があるだけでも、他の相続人との交渉の際に役立ちます。
例えば、よく聞く例でありながら反発を生む可能性が高いのが、「長男だから全部相続する」という言い方です。確かに旧民法はそのようなルールでしたが、現代の方々の感覚としては、長男以外にも取り分が発生するというのが普通の認識でしょう。そんな中で、1人が「自分が全部相続する」と言い出せば、紛争化は必至と言えます。
相続は当事者の感情がどうしても表に出やすい問題なので、他の相続人と交渉するにあたってどう切り出すか、どういう伝え方をするかはとても重要です。現行の民法の原則を正しく理解するだけでも、感情的対立を防げます。最初の一歩を正しく踏み出すためにぜひ相談だけでもお越しいただき、弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。
今はインターネットでも情報収集ができますが、弁護士に相談する方が確実ですか。
確かにインターネットに書いてあることを踏まえて判断できる場合もあると思います。ただ、一般論であることが多いですし、「こういう場合にはこうなる可能性がある」とは書いていても、その根拠までは言及していないこともよくあります。インターネットの情報だけを元に、個別のケースについて正確な見通しを立てることは難しいでしょう。
弁護士に相談していただければ、依頼者一人ひとりの事情を踏まえて、法律の条文や解釈に基づき、的確な見通しや解決のための具体的なアドバイスを提示します。
相続をめぐるトラブルは、一度発生すると解決までに多くの手続きや時間が必要です。紛争の種は思わぬところに潜んでいます。遺産分割協議書一つとっても、書き方を誤れば後々紛争になるリスクがあります。
遺産の分け方について相続人全員が納得しているとか、相続人がお一人しかいないといった揉めようがないケースでない限り、一度は弁護士に相談していただいて損はないですし、ぜひした方が良いと思います。
相続について、弁護士への相談を検討している方へのメッセージをお願いします。
弁護士への相談は敷居が高いと感じる方は、まだまだ多いと思います。「自分でやってみてから相談しよう」「もっと状況が煮詰まってから」と考える方もいるでしょう。
しかし、相続問題はなるべく早い段階での対応が重要です。感情的な対立が発生する前であれば、取りうる選択肢は多く、メリット・デメリットを考慮した上で最善の道を選べます。逆に、事態が深刻化するほど選択肢は狭まっていきます。
正確な法的知識を持っておくだけでも、今後の進め方が変わってきます。他の相続人と争うつもりがなくても、入口の段階で弁護士に相談していただくことで、最終的に納得できる解決に結びつきやすくなります。どうぞお気軽にご相談ください。