藤岡市初の法律事務所として地域に密着し迅速に対応。丁寧な対話で話し合いによる解決を追求
群馬県藤岡市で「小林法律事務所」を経営する小林智昭弁護士(群馬弁護士会所属)に、事務所設立の経緯や、相続案件に携わる上で心がけていることなどを伺いました。生まれ育った地元で地域の人々の力になりたいという思いから、当時弁護士がいなかった藤岡市に初めて法律事務所を設立した小林弁護士。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。
インタビュー
生まれ育った地元藤岡市で初めての法律事務所を開業
事務所設立の経緯を教えてください。
最初に弁護士登録をしたのは東京で、そこで10年ほど弁護士活動をしていました。しかし、地元に戻りたいと思い、2007年に群馬県藤岡市で開業しました。
藤岡市はもともと弁護士が1人もいない地域で、人口もそれほど多くありません。弁護士の多くは東京や地方の県庁所在地など、人口の多い場所で開業することが多いですが、私は自分の育った地元で、知っている人々の力になりたいと思いました。
弁護士のいない地域に初めて法律事務所を開いたため、最初は依頼が来るか不安でした。しかし、徐々にお客様が増えてきました。弁護士がいないからといって、法律問題がないわけではないと実感しました。
依頼者の満足度を高めるために、どのようなことを行っていますか。
相談の際によく話を聞いて、意思疎通をしっかりと図ることを心がけています。
法律相談では、単に法律的な回答をするだけでは問題が解決しないこともあります。そのため、法律問題だけでなく、問題の背景や周辺的な事情についても把握するよう努めています。
依頼者の中には、話を聞いてもらうことで安心し、「相談してよかった」と言ってくれる方もいます。それまで自分ひとりや夫婦だけで抱えていた問題を相談できたことで安心する方が多いです。そのような安心感を提供するためにも、依頼者の話を聞くことを大切にしています。
また、連絡を密に取り、できるだけこまめにやり取りをするよう努めています。
相続人が多く関係が複雑なケースを多数扱う
相続案件に注力している理由と、よくある相談内容を教えてください。
いろいろな相談を受ける中で、特に最近は相続に関する案件が増えていると感じています。
よくある相談には、連絡が取れない相続人がいるケースや、相続人同士が不仲で話し合いが進まないといったものがあります。特に相続人が多い場合、兄弟間の連携が上手くいかずに話し合いが滞ることがよく見受けられます。
依頼を受けるケースでは、相続人が5〜8人ほどのケースが一般的です。しかし、中にはもっと大変な案件もあります。例えば、40人以上の相続人がいる案件がありました。この案件は曾祖父の代から相続が未処理のまま放置されていたもので、相続人との連絡を取るだけでも一苦労でした。しかし、相続人の数は別にしても、このように相続が長年放置されている案件は珍しくありません。
相続人が40人もいる案件ではどのように解決へ向けて進めたのですか。
その案件では、当時の相続人が既に亡くなっており、その子どもや孫が相続人になっていました。昔の人は子どもが多いですよね。その案件の被相続人も子どもが多く、その子どもや孫はさらに多いという状況でした。
この案件では、まず相続人の調査が大変でした。相続人を全員特定するために戸籍を確認するのですが、戸籍の取得は基本的に郵送で行うため、役所に請求してから届くまでに時間がかかります。届いた戸籍を確認し、さらに追加の戸籍を請求するという作業を繰り返すため、相続人の調査だけで何年もかかりました。
取り寄せた戸籍を読むことも、場合によっては困難です。特に昔の戸籍は手書きで書かれているため、読みづらかったり、漢字が読めなかったりすることがあります。中には江戸時代に生まれた人の戸籍も含まれており、解読に苦労することもありました。
その案件では特に争いがあったわけではありませんが、相続人を特定し連絡を取る作業は、相続人が自分で行うのは難しかったと思います。このようなケースでは弁護士の力が必要です。
なるべく調停に進まず、話し合いによる解決を図る
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
できるだけ話し合いで解決することを重視しています。なるべく調停に進まず、話し合いの中で遺産分割協議書を作成し、解決を図るよう努めています。
話し合いの中で相手方と交渉し、必ずしもこちらの思い通りにならない場合でも、「裁判まではしたくない」と希望する方が多く、そのため譲歩することも少なくありません。もちろん、必要であれば裁判に進むことも可能ですが、依頼者の希望を尊重し、できる限り話し合いで解決するよう心がけています。
感情的な対立が多い相続案件において、話し合いで解決するためのコツはありますか。
特に決まった方法があるわけではありませんが、基本的には相手方の話をよく聞くことが大切だと思っています。私は代理人として話を聞く立場なので、相手方が私の依頼者への不満や悪口を言うこともあります。まずはそれを受け止めて聞くようにしています。
すべてに賛同するわけにはいきませんが、一定の理解を示すことはできます。「それは違う」と否定せずに受け止めることで、当事者同士では感情的になってしまうような場面でも、冷静に話し合うことができます。
相続について弁護士に依頼するメリットを教えてください。
当事者間では話がうまく進まないケースでも、弁護士が間に入ることで話し合いがスムーズに進む場合があります。
また、弁護士に依頼することで気持ちが楽になるという方も多いです。悩みを聞いてもらうことで安心感を得られることもありますし、相続の煩雑な手続きを自分で行わなくて済むようになり気持ちが軽くなる方もいます。
早めに弁護士に相談した方がよい理由を教えてください。
当事者間で解決できない問題は、直接話し合うことで感情的なもつれが生じたり、問題がこじれたりすることがあります。そのため、早めに弁護士に相談することで、冷静に対処できる可能性が高まります。
また、相続には期限のある手続きも少なくないですが、早めに弁護士に相談すれば手続きの対応漏れが生じるリスクもなくすことができます。
例えば、相続放棄は原則として相続開始時から3か月以内に行う必要があります。例外的に3か月を過ぎても認められるケースもありますが、そうしたケースだと、利害関係者から相続放棄の無効を主張されたりする場合があります。
早めに弁護士に相談することで、そうした無用なトラブルを避けることができます。
長年放置した相続案件でも解決方法は必ずある
先生の事務所ならではの強みはどんなところでしょうか。
地域に密着しており、迅速に対応できることです。地域の方々にとっては、私の事務所が近くにある唯一の弁護士事務所であることが多く、基本的には藤岡市内の方々が多く相談に訪れます。困った時にはすぐにご連絡いただければ、近くにあるため迅速に対応できます。
初回相談の流れを教えてください。
まずはご連絡いただいて相談日時を設定し、事務所に来ていただいて対面での相談を行います。出張相談や電話相談は基本的に行っていません。電話相談を希望する方もいますが、対面での相談のみ対応しています。
お手持ちの書類があれば、それを持参してもらうようにしています。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
自分たちで解決できる方もいるかもしれませんが、もし悩んでいる方がいたら、気軽にご連絡ください。弁護士に相談することに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、相談料はそれほど高くないですし、まずは相談だけでもしてみてほしいと思います。
相続が発生しても手続きをせずに何年も経ってしまう方も多く、不動産などの遺産の名義が亡くなった方のままになっているケースが多くあります。放っておくと相続人が増えてしまい、手続きがさらに複雑になる可能性があります。世代が変わり、相続人同士の関係が薄くなっている場合もありますが、解決方法は必ずありますので、ぜひ相談に来ていただければと思います。