弁護士がいない地域のために事務所を開設して10年以上。多種多様な相続問題に対応します
北海道深川市で「深川総合法律事務所」を経営する石井洋文弁護士(旭川弁護士会所属)に、遺産相続案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みなどを聞きました。深川市でただ1つの法律事務所として、様々な困りごと解決に取り組む石井弁護士。相談に来た方からは「先生と話してほっとした」と言われることが多いそうです。経験を積んでも謙虚さを失わず、常に質の高い法的サービスを提供したいと話します。
インタビュー
1人でも多くの方に法的サービスを届けたい。深川市唯一の法律事務所です
これまでの経歴について教えてください。
出身は大阪で、大阪市立大学法学部に進学しました。大学は夜間コースを選び、昼間はアルバイトをして夜は授業を受けるという生活を送っていました。その後、関西学院大学法科大学院(ロースクール)を卒業し、司法試験に合格しました。
2012年に弁護士になり、旭川市内の法律事務所で経験を積んだ後、2014年に当事務所を開設しました。これまで地域の皆様の法律問題に対応しながら、旭川弁護士会の副会長や高齢者障がい者権利委員会の委員長など、様々な役職を務めました。
深川市に事務所を開設した理由は何ですか。
弁護士になる段階で、弁護士が全くいないか非常に少ない「弁護士過疎地域」と呼ばれる場所に事務所を構えようと決めていたんです。
道内にある弁護士過疎地域をいくつか見に行った中で、自然あふれる風景や街の雰囲気が私に合いそうだと思って深川市に決めました。私が事務所を開設してから現在まで、深川市内の弁護士は私だけです。
弁護士過疎地域に事務所を構えようと思ったのはなぜですか。
都市部にはたくさん弁護士がいて、その気になればすぐに弁護士に相談できますよね。ところが弁護士過疎地域では、そういうわけにはいきません。弁護士がいない場所でも、必ず法律トラブルは起こります。私が事務所を構えることで、より多くの方に法的サービスを届けられたらと思ったんです。
深川市でも、車で1時間ほど走れば周辺地域の法律事務所はあります。ただその距離のハードルは想像以上に高いですし、そもそも車を運転できない方も少なくありません。
「ここには私しか弁護士がいない」という責任感やプレッシャーは感じます。ただその分、皆様から必要とされている実感もありますし、それだけ弁護士の力が必要なんだと感じます。
事務所として、どういったことを大切にされていますか。
以前所属していた事務所の所長から「謙虚でいなさい」と言われて以来、依頼者に対して謙虚でいることを大切にしています。
勇気を出してご相談いただいた方に対して丁寧に接し、どれだけ経験を積んでも目の前の一件一件の案件に真剣かつ注意深く取り組む。日々勉強して、より質の高い仕事ができるように努力する。そういったことを忘れないための土台として、謙虚でいることが大切だと実感しています。
トラブルの相手方にも丁寧に接し、全員が納得する解決を目指します
相続について、どのような相談が多いでしょうか。
遺産分割に関するご相談が多いです。親や配偶者が他界して何から手を付けてよいかわからないというケースもあれば、相続人同士で話し合ったけど感情的な対立でまとまらないといったケースもあります。
何代も相続手続きをしなかった影響で相続人の数がたくさんいたり、相続人の中に行方不明者・全く交流がない方・外国籍の方がいたりと、本当に色んなご相談があります。
遺産分割以外にも、遺言書の作成・遺留分侵害額請求・相続放棄など相続全般についてご相談いただいています。
相談とは違いますが、相続人が誰もいない場合は、私が相続財産清算人となって遺産を処理します。相続財産清算人は裁判所から打診を受けて就任するのですが、常時数件、担当しています。
遺産分割の依頼を受けた場合、どのように進めていくのでしょうか。
まずは他の相続人に対して、「こういう内容で遺産分割したい」という書面を送ります。それに対して返答があれば、適宜説明や交渉を続けて成立を目指します。どうしても話し合いが難しければ調停を申し立てますが、なんとか全員が納得できる方法がないか考えるようにしています。
その際に気をつけているのは、受け入れるかどうかはさておき、他の相続人の話にも耳を傾けるということです。それぞれ考えや言い分がありますので、一方的にこちらの主張を押し付けたり、「法律ではこうです」と頭ごなしに主張してもうまくいきません。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものを教えてください。
どの案件も印象に残っていますが、一つあげるなら、相続人が100人以上いた遺産分割がありました。何代にも渡って相続手続きをしなかった不動産があり、それをなんとか整理したいというご依頼でした。
100人以上いれば、連絡がつかない方、なかなか協力してくれない方もいましたが、数年がかりでなんとか解決できました。本当に大変でしたが、その分依頼者もとても喜んでくださいました。
豊富な経験と専門家のネットワークを活かし、相続問題を解決します
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
依頼者に対して、できるだけこまめに報告することを心がけています。もちろん他の分野でもそうしますが、特に相続の場合は解決までに時間がかかりますので、なおさら心がけています。
先生の事務所ならではの強みはどういったところでしょうか。
2012年から弁護士を続けてきましたので、見通しを立てる力や問題を解決する力は強みです。
当事務所は深川市唯一の法律事務所ということで、ありとあらゆる相談が寄せられます。私が断れば他の事務所を頼ることも簡単ではないので、可能な限りお引き受けしてきました。そのおかげで、同じ経験年数の弁護士に比べて解決してきた件数は多いと思いますし、かなり幅広い問題に対応できるようになりました。
また相続では、税理士・司法書士・不動産業者などとの連携が不可欠です。そういった専門家・専門業者との信頼できるネットワークがあるのも当事務所の強みです。ご相談いただければ、当事務所を窓口に様々な専門家・専門業者におつなぎできます。
相談者・依頼者とのコミュニケーションで心がけていることを教えてください。
時間の余裕をもって、ゆっくりお話を聴くようにしています。また法律や手続きには難しいものが多いので、できるだけ専門用語を使わず、噛み砕いて説明するようにしています。
状況整理をして今後の見通しが立てば、肩の荷が軽くなります
相続について弁護士に依頼するメリットを教えてください。
弁護士が依頼者の代わりに交渉してくれることは大きなメリットです。感情的な対立がある相手や、話したこともない相手と直接やり取りすることはストレスです。弁護士にご依頼いただければ、代理人として代わりに交渉します。
また、法的手続きを全て任せられることもメリットです。書類一つ取得するにしても、役所とのやりとりや手続きなどが必要です。何代も相続手続きをしていなかったような場合は、相続人の中に行方不明者がいることもあります。そうなると失踪宣告の申し立てをおこなうなど、様々な法的手続きが必要となります。
これらを依頼者で全て処理するのは大変ですが、弁護士にご依頼いただければ代わりにおこないます。
早めに相談するメリットと、相談が遅れることによるデメリットを教えてください。
感情的な対立が深まった後にご相談いただくと、どうしても解決までに時間や労力がかかります。これから相続人同士で話し合う段階や、少し話してみた段階で一度ご相談いただけると、スムーズに進みやすいです。
また、相続手続きをしないまま放置すると、もともと相続人だった人が他界して新たな相続が発生し、相続人がどんどん増えていきます。先ほど相続人が100人以上になったケースをお話しましたが、何代か前に弁護士に相談していれば、もっとスムーズに解決できたはずです。
あとは、時間が経てば経つほど有利な証拠がなくなる点にも注意してください。たとえば遺言書が無効だと主張したい場合は、被相続人の生前の認知能力が問題になることが多いです。そのためには医療記録・介護記録を取り寄せる必要がありますが、一定期間経つと廃棄されてしまいます。
先生に相談したい場合は、どのようにすれば良いでしょうか。
電話で相談予約の上、事務所までお越しください。業務時間は平日10時から18時ですが、平日夜間も対応しています。事務所までお越しいただくことが難しい場合は、出張相談にも対応していますのでお申し出ください。
相談料は、1回5500円(税込)となります。1回あたりの相談時間は30分から1時間程度を目安としています。
相続について悩み、弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
ご相談いただいた方からは、「ほっとした」と言っていただくことがすごく多いです。ご相談いただいたからといって、必ず依頼までしていただく必要はありません。少しでも不安や疑問があれば、まずは一度ご相談ください。状況や気持ちを整理できたり、今後やるべきことがわかったりするだけでも、肩の荷が軽くなるはずです。