多数の相続案件を手がけ、他士業とのネットワークも構築。依頼者に寄り添い、納得できる解決を導く
長崎県佐世保市高砂町で「今井法律事務所」を経営する今井洋弁護士(長崎県弁護士会所属)に、遺産相続案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みなどを聞きました。今井弁護士は2011年にキャリアをスタートし、離島での勤務なども通じて個人に寄り添う弁護士として活動してきました。相続案件を手掛ける上での心がけや進め方なども聞きました。
インタビュー
依頼者を支え、一緒に問題解決に取り組む
これまでのキャリアについて教えてください。
2011年に弁護士となり、福岡県内の法律事務所に就職して経験を積んだ後、壱岐で3年間仕事をしました。壱岐は「弁護士過疎地域」と呼ばれる、弁護士が極めて少ない地域の一つです。その後、1年半ほど福岡県北九州市の法律事務所に所属して、2018年に当事務所を開設しました。現在、当事務所には、私と女性弁護士1名が所属しています。
事務所設立の経緯を教えてください。
壱岐で仕事をした経験から、弁護士が少ない地域でも法律トラブルに悩んでいる方はたくさんいらっしゃり、弁護士が近くにいることでお役に立てると実感したんです。その経験もあり、佐世保に事務所を開設しようと思いました。
どういったことを事務所の理念にされていますか?
「共に寄り添い解決に導く」ということです。
もしかすると、「弁護士に頼めば自分は何もしなくて良い」と思う方もいるかもしれません。しかしそうではなく、依頼者自身の問題として主体的に取り組んでもらうことが重要だと思っています。たとえば、裁判するかどうか、この金額で和解するかどうか、そういったことは依頼者に判断してもらう必要があります。
もちろん弁護士は、依頼者の代理人として、相手と交渉したり、調停や裁判に対応したり、依頼者が判断するために必要な法的アドバイスを提供したりします。しかし我々弁護士ができることは、依頼者のパートナーやアドバイザーとして、一緒に解決することなんです。そういったところから、「寄り添う」という言葉を理念に入れています。
事務所の理念を実現するために、具体的にどういったことに取り組んでいらっしゃいますか?
どういう選択肢があり、選択肢ごとにどういうメリット・デメリットがあり、どういう選択をすればどういう展開になりそうかといったことを、丁寧に説明するようにしています。その際、法律用語や専門用語はできるだけ使わず、わかりやすい説明を心がけています。
また、やる前から「難しい」と決めつけないようにしています。もちろん弁護士の立場としては、「難しい」と思えることはあります。ただ、依頼者が望めば、見通しを説明して納得していただいた上で可能な限りチャレンジするようにしています。
たとえ望んだ結果が出なくても、「やるだけのことはやった」という納得感につながることもあるからです。
多数の取り扱い件数。中長期的な視点で、できるだけ穏便な解決を目指します
相続の分野に注力している理由を教えてください。
私は弁護士になって以来、一貫して個人の身近な困りごとを解決してきました。相続トラブルは誰にでも起こり得るもので、相談も多いので力を入れています。
「相続トラブルは莫大な遺産がある人にだけ起こるもの」と思っていましたが、誰にでも起こり得るのですね。
はい。数十万円の預金のみの場合や、誰も相続したがらない不動産が1つあるだけ、といった場合でも相続トラブルは起こり得るんです。
相続について、どういった相談が多いでしょうか?
ある相続人が遺産を独り占めしようとして、他の相続人に遺産分割協議書へのサインを強く求めるようなケースです。それで、「本当にサインして良いのか?」「内容がおかしいんじゃないか?」と相談を受けることが多いです。
他にも、「相続人同士の仲が悪くて話が進まない」、「相続人が複数いて居場所がわからない」、「相続人の中に認知症の方がいて協議できない」など、様々なケースがあります。
相続トラブルの特徴は、どういったところでしょうか?
やはり、相続人同士の感情的な対立が大きいことが多いです。法定相続人は、親子や兄弟姉妹など、長年の関係がある人たちです。そこには長い年月をかけて積み重なってきた色々な不満や軋轢があり、それが相続を機にぶつかってしまうのです。
また、不動産が絡むことも多いです。相続財産の中に亡くなった方が住んでいた家がある場合、売却して現金で分けることが多いですが、なかなか買い手がつかない物件も少なくありません。
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどんなところでしょうか。
1つは、これまでに解決してきた件数が多いことだと思います。2011年から弁護士を続けていますし、弁護士3年目からは壱岐で所長弁護士として仕事をしてきましたから、私1人で担当してきた案件は相当多いです。
見通しの正確さや採りうる手段のバリエーションなどは、やはり弁護士としての経験と知識が大事ですから、当事務所の強みと言えます。
もう1つ挙げるなら、様々な専門家とのネットワークの広さでしょうか。
相続では、会計士・税理士・司法書士・不動産業者など、様々な専門家との連携が大切です。どういうネットワークを持っているかは、弁護士によります。
私の場合は、異業種交流会に参加したり、日頃から他士業と連携していますから、必要に応じてスムーズに対応できます。頼れる不動産業者とのつながりもあるため、先ほど言ったような、なかなか買い手がつかないような難しい物件が絡むケースでもお力になれると思います。
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
できるだけ中長期的な視点で解決するようにしています。
依頼者の中には、「不利な条件でも良いから早く解決したい」と考える方もいます。たしかにトラブルを抱えた状態はストレスがかかりますから、お気持ちはよく分かります。ただ、「中長期的な視点で考えたときに、本当にそれで良いのか?」ということは一旦立ち止まって一緒に考えるようにしています。
もちろん最終的には依頼者の判断になりますが、弁護士はたくさんの案件を見ていますし、客観的に見られる立場ですから、依頼者とは違った視点から光を当てることを意識しています。
弁護士ならではの視点で考えていらっしゃるのですね。進め方で心がけていることはありますか?
できるだけ穏便に解決することです。弁護士が攻撃的になったり強引に話をまとめようとすると、相手方が反発したり意地になったりすることも多いんですよ。しかも相続の場合は、相続人全員の同意が必ず必要になるほか、今後も冠婚葬祭などで顔を合わせることもあるでしょうし、親族と必要以上に揉めるのは中長期的に見て好ましくありません。
もちろん、弁護士として言うべきことは言いますし、不当な要求に屈することはありません。ときには徹底的に戦うこともあります。ただ、必要以上に争う必要はなく、ときには調整役のような立場で解決するのが理想的だと思っています。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか?
亡くなった方が、生前、長年寝たきりだったのですが、同居していた相続人が預金(遺産)を使い込んでいたというケースがありました。
結果的には、使い込んだ金銭を返せという裁判を起こして、こちらの主張が認められました。長年にわたる銀行の取引履歴を取り寄せて、使い込まれた金額の特定をするなど、かなり大変でした。しかし大きな金額を取り戻すことができ、依頼者に喜んでいただけたので印象に残っています。
正しい解決には、弁護士によるサポートが必要
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
たとえば、ある相続人が「遺産はこれだけだ」と言って遺産分割協議書にサインを求めてきた場合、本当にサインしてしまって良いのか判断に困ると思います。そういう場合に弁護士に相談することで、どうすべきかわかります。
インターネットでも様々な情報が手に入りますが、間違った情報もあります。弁護士に相談すれば、正しく、かつ個別の事情に合ったアドバイスを受けることができます。正しい相続をするには、やはり直接弁護士に相談すべきだと思います。
相談でアドバイスを受けるだけでなく、依頼することによるメリットは何でしょうか?
相続では、遺言書がないか確認したり、複数の戸籍を取得するなど、たくさんの作業が必要です。そして遺産の総額を確定させて、誰が何をどれだけ相続するか決めます。
その過程で、不動産・車・株などを売却したり、銀行の取引履歴を分析したり、遺産の使い込みがあれば取り戻すといった対応も必要です。さらに感情的な対立があれば、相続人同士で話し合うのは相当難しいでしょう。その点、弁護士にご依頼いただければ、書類の収集などは全てお任せいただけます。
また、依頼者の代理人として他の相続人と話し合い、遺産分割協議を行うこともできます。相続人同士だとつい感情的になってしまいますが、弁護士が間に入ることで冷静に話し合えることも少なくありません。仮に話し合いがうまくいかなければ、調停や裁判で解決するようサポートします。
初回相談30分無料。取り返しがつかないことになる前に、一度ご相談ください
早めに相談するメリットを教えてください。
問題が深刻になる前に手を打てるというのは大きいです。たとえば相続人同士で話合いを続けて、感情的な対立が深まってしまった後だと、弁護士が入っても解決に時間が掛かってしまいます。早期解決のためには、できるだけ火種が小さいうちに相談することが重要です。
また、取り返しのつかない事態を避けやすいこともメリットです。たとえば遺産分割協議書にサインしてしまった後に相談に来られても、一度決めたことを覆すのはまず不可能だと思ってください。ご自身の判断で何かを決める前に相談すれば、そういった事態を避けやすくなります。
相談のタイミングとしてはいつがお勧めですか?
相続人同士で1回話してみて、疑問や不安が生じたらとりあえずご相談ください。弁護士からアドバイスを受けて、今後の見通しや、今ある不安を解消する方法などがわかれば、心の負荷が随分軽くなるはずです。
当事務所では、初回相談は30分無料で承っています。相談したらすぐに依頼しなければならないわけではありません。「とりあえず話を聞いてみよう」ということでも全く問題ないので、安心してお問い合わせいただければと思います。
先生に相談したい場合は、どのようにすれば良いでしょうか?
お電話か弁護士ドットコムのWebフォームからご予約ください。業務時間は平日9時〜17時ですが、可能な限り土日や夜間の相談にも対応いたします。
弁護士に相談するときは、不安や緊張を感じる方も少なくありません。うまく説明できなくても構いませんので、まずはお話を聴かせてください。
相続について悩み、弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
少しでも疑問を感じたら、すぐにご相談いただくのが一番です。「また今度で良いか」とか「手に負えなくなってから相談しよう」と考えて後回しにすると、手遅れになってしまうこともあります。相談して「大したことではなかった」とわかれば、それも大きな前進です。ぜひ、お気軽にご相談ください。