不動産が含まれる相続や事業承継に自信あり。依頼者の話を丁寧に聞くことで的確なアドバイスを提供
大阪府大阪市に事務所を構える「西村隆志法律事務所」の西村隆志弁護士(大阪弁護士会所属)に相続分野の取り組みについて話を伺いました。不動産に関連する相続や事業承継を得意とする西村弁護士。そんな西村弁護士が相続案件を手がけるうえで心がけていることや、相続問題を弁護士に相談するメリットなどについて聞きました。
インタビュー
誰もが安心して相談できる事務所
事務所設立の経緯を教えてください。
弁護士登録後、大阪の法律事務所に就職しました。約3年間にわたり様々なジャンルの法律問題に関わりながら経験を積み重ねました。その経験を通じて、自分1人で事務所を運営する自信を持てるようになり、独立を決意しました。
2011年の事務所開設から今日までの間に新たな弁護士も加わり、現在は私を含む4人の弁護士が所属しています。
事務所の理念を教えてください。
私が弁護士資格を取得した当時、弁護士に対して敷居が高いイメージを持っている方が少なくないと感じていました。そのため、誰もが安心して相談できる環境を作ることを重視して事務所を設立しました。
設立当初から初回の相談は1時間無料で受けていました。法テラスや費用の分割支払いにも柔軟に対応しています。これらの取り組みを通じて、相談者がリーガルサービスを利用しやすい環境を整えることを心がけています。
相続分野に注力している理由を教えてください。
事務所設立当初から不動産案件を多く取り扱ってきました。相続と不動産は密接に関連しており、不動産分野での経験と知識を相続の問題解決にも活かせると考えました。
また、不動産案件の中には相続が関わるケースも少なくないため、相続分野に積極的に取り組むことで、相互に幅広いサポートを提供できると判断しました。
相続に関してはどのような相談が多いですか。
遺産分割に関する相談が多く寄せられます。既に対立し、当事者間での話合い成立が難しくなっている状況での相談が中心です。そのため、協議ではなく調停を通じて解決を図るケースが多いです。
どのような理由で対立してしまうことが多いのでしょうか。
遺産分割で揉める理由の一つは、不動産の存在です。相続財産が預貯金のみであれば比較的話合いがまとまりやすいのですが、不動産が含まれる場合は、「誰が相続するのか」「不動産の査定額をどのように決定するのか」などをめぐって、合意が難しくなることが多いです。
相続問題は他の法律問題に比べて長期化する傾向がある
相続分野ならではの特徴や他分野との違いはありますか。
相続分野は感情的な問題が非常に大きな要因として存在します。相続発生時の感情的な対立はもちろんのこと、過去の経緯や長年にわたる家族への思いが絡むことが多く、法的な解釈だけでは問題の解決が難しい点が特徴といえます。
特に、被相続人から生前に贈与を受けた場合の特別受益や、被相続人をケアしていたという寄与分の問題が発生した場合、解決には過去の出来事や長い年月をさかのぼっての調査や分析が必要となることがあります。このような背景から、相続問題は他の分野の事件よりも解決までに時間がかかる傾向があります。
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
相談者の話を丁寧に聞くことです。相続問題には感情的な要素が強く絡むため、感情に流されがちな相談者も少なくありません。しかし、話をよく聞くと感情の問題ではなく、法律的な問題が主体となっているケースも少なくありません。
細部までしっかりと理解することで、的確なアドバイスや解決策を提供することが可能となります。案件と直接関係がないと思われる部分でも話を途中で切り上げずに、全てのポイントに注意を払いながら丁寧にヒアリングすることを常に心がけています。
依頼者とのコミュニケーションにおいて意識していることはありますか。
コロナの影響が少しずつ減少してきているため、打ち合わせは基本的に対面で行うようにしています。
初回の打ち合わせだけでなく、受任後の打ち合わせもしっかりと時間を確保して、直接会って話を聞くスタンスを取っています。対面でのコミュニケーションを重視することで、依頼者との信頼関係を築き、より的確なサポートが提供できると考えています。
相続問題を弁護士に相談するメリットを教えてください。
依頼者自身では収集が難しい証拠を取ることが可能となる点です。弁護士は弁護士法第23条の照会という手続きを活用して、金融機関や医療機関などから、過去の履歴や情報を入手することができます。
具体的なケースとしては、生前の被相続人の財産に使途不明な出金があった場合が考えられます。このような場合、出金が被相続人の意志に基づくものであったのかを調査するために、医療機関や介護施設などから診断記録や介護記録を取得し、被相続人の判断能力を調査します。
これらの調査や証拠の収集は、依頼者自身で行うのは非常に困難であり、時間と労力がかかる作業です。しかし、弁護士に相談することで、これらの作業を効率的に進め、相続問題の解決において有利な立場を築くことが可能となります。
事業承継と共有物分割に注力
相続分野における事務所の強みを教えてください。
不動産に関する豊富な経験と知識を持っている点です。不動産の売却や仲介に関してもサポートが可能であり、必要に応じて、信頼できる仲介業者の紹介や不動産鑑定士の紹介も行っています。
また、事業承継にも力を入れており、企業が関わる相続問題にも対応が可能です。事業承継士の資格を取得して、専門的な知識や経験を深めてきました。税理士など他の専門家と連携しながら、経営者や企業の相続問題に対応できる体制を整えています。
事業承継と一般家庭の相続との違いはどのような点にありますか。
事業承継では、後継者の選任や株式の分配、株の評価方法などが争点になるケースが多いです。
また、会社が事業用の資産を持っている場合、その権利関係が不明確だとトラブルの原因となることがあります。たとえば、代表者が所有する土地に会社の建物が建っている場合、相続によってその土地が後継者以外の相続人に引き継がれると、経営を円滑に進めることが難しくなることも考えられます。
一般家庭の相続は事業承継よりもシンプルな構造を持つことが多いです。ただ、家族間の感情的な対立など、一般家庭の相続でも複雑な問題が発生することがあります。
それぞれの相続問題には、その性質や特性に応じた解決策が求められるため、専門的な知識と経験がものをいうと考えています。
相続分野のやりがいをどのような点に感じていますか。
相続をきっかけに、家族間の長年の思いや感情が表面化することがあります。これらの感情的な対立や紛争を解決し、家族が新たなスタートを切る手助けをすることに、非常に大きなやりがいを感じます。
相続分野における今後の展望を教えてください。
事業承継と不動産を中心とした相続問題が今後も当事務所の主要分野になると考えています。特に、不動産に関する共有物分割について、強化していく予定です。
相続において不動産が共有された状態で残されると、二次相続などの際にその共有状態を解消する必要が出てくるケースが多くあります。そのような場合に、共有物分割請求を活用して問題を解決する方法があります。このような共有物分割に関する相談にも積極的に対応していく考えです。
最後に、相続問題を抱えている方へメッセージをお願いいたします。
相続問題には早めの対応が非常に重要です。遺言の作成や最近注目されている信託など、様々な方法で問題を未然に防ぐことが可能です。私自身も多くの事例を経験してきた中で、早期の相談と適切な対策が揉め事を防ぐ鍵となることを強く感じています。
また、相続問題を抱えることは精神的なストレスにもなります。特に力関係が不均衡な家族間において、権利を主張することが難しい立場にある人にとっては、大きなストレスとなることでしょう。
そういった状況でも、弁護士に相談することで、公平な解決を目指すことができます。弁護士に依頼することで、ストレスから解放され法的に確保されるべき権利をしっかりと守ることが可能です。
私の事務所では、土日祝日や平日の夜間も対応可能です。お仕事などで忙しい方でも、柔軟に対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。