被相続人の負債の全容が把握できなかった事例

まず、裁判所に熟慮期間の延長を申し立てて認められた。
その間に被相続人の財産及び負債の調査を行ったところ、被相続人が自宅の土地及び建物を所有していたことは判明したが、被相続人の負債の全容を把握することはできなかった。また、被相続人の相続人の調査を行ったところ、依頼者が把握していなかった異母兄弟がいたことが判明した。
異母兄弟と交渉した結果、負債の全容が分からないので、限定承認の手続をとることで合意した。

裁判所に限定承認を申し立て、土地及び建物を売却し、売却代金から被相続人の負債を支払い、残金を法定相続分に従い異母兄弟と分割した。

関係が疎遠だった被相続人の負債の全容を把握するのは困難であることから、依頼者の不安を払拭するため、あえて手続に時間のかかる限定承認に方針を切り替えたことが奏功した。