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遺産相続
更新日:2026/08/27

遺産相続手続きの期限一覧と流れ|やること・必要書類・窓口

監修者
永原裕也
愛知県>名古屋市
永原法律事務所
永原裕也
遺産相続手続きの期限一覧と流れ|やること・必要書類・窓口
遺産相続の手続きは、死亡届の7日から相続登記の3年まで、期限も窓口もばらばらです。まず期限が近いものを把握し、遺言書・相続人・財産・借金の順に確認するのが近道です。この記事では、期限一覧と手続きの流れ、各段階でやること・必要書類・提出先、専門家に相談すべき場面までを整理します。
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遺産相続手続きでまずやること|期限と優先順位

遺産相続の手続きは、亡くなった人の預貯金や不動産を引き継ぐだけではありません。死亡届、年金や健康保険の手続き、遺言書の確認、相続人と財産の調査、相続放棄準確定申告、相続税申告、不動産の相続登記など、期限や窓口が異なる手続きが続きます。

特に注意したいのは、「急ぐ手続き」と「時間をかけて判断すべき手続き」が混ざっている点です。たとえば死亡届は早く出す必要がありますが、相続放棄をするかどうかは財産や借金を調べたうえで判断しなければなりません。焦って預貯金を使ったり、遺産を処分したりすると、相続を承認したと見られるリスクがあるため、順番を意識して進めることが大切です。

この記事では、遺産相続手続きを期限順に整理しながら、最初に確認すべきこと、必要書類、自分で進められる手続きと専門家へ相談した方がよい場面を解説します。

遺産相続手続きは期限が近いものから確認する

遺産相続手続きで最初にやるべきことは、すべての財産を細かく分けることではなく、期限が近い手続きを把握することです。相続では、期限を過ぎると選択肢が狭まったり、追加の手続きが必要になったりするものがあります。

一方で、期限が近いからといって、すべてを急いで完了させる必要はありません。まずは「役所などに早く届け出るもの」「相続するか放棄するかを判断するために調査するもの」「税金や登記のために準備するもの」に分けると、今やることが見えやすくなります。

遺産相続手続きの期限一覧

遺産相続手続きの期限一覧

遺産相続手続きの主な期限は、次のとおりです。実際の期限は、手続きごとに「死亡日から」「死亡の事実を知った日から」「相続の開始を知った日の翌日から」など、起算点が異なります。迷った場合は、期限を短めに見積もって早めに確認しましょう。

遺産相続手続きで最初に確認する3つのこと

遺産相続手続きで最初に確認する3つのこと

期限の目安

主な手続き

確認すること

7日以内

死亡届・火葬許可申請

死亡診断書を受け取り、市区町村へ提出する

10日または14日以内

年金受給者死亡届など

マイナンバー収録により届出不要となる場合がある

14日以内

健康保険・介護保険・世帯主変更など

亡くなった人の加入状況と同居家族の有無を確認する

3か月以内

相続放棄・限定承認の判断

預貯金、不動産、借金、保証債務を調べる

4か月以内

準確定申告

亡くなった人に申告が必要な所得があるか確認する

10か月以内

相続税の申告・納税

基礎控除を超える可能性があるか確認する

3年以内

不動産の相続登記

不動産を取得した相続人が登記申請を検討する

期限を確認したら、最初に見るべきポイントは3つです。1つ目は、遺言書があるかどうかです。遺言書がある場合、原則として遺言の内容に沿って遺産を分けるため、その後の進め方が変わります。自筆証書遺言が自宅などで見つかった場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所での検認が必要になることがあります。

2つ目は、相続人が誰かです。配偶者や子どもだけでなく、子どもがいない場合は父母、父母もいない場合は兄弟姉妹が相続人になることがあります。相続人を正確に確認しないまま遺産分割協議をすると、後から協議をやり直すことになりかねません。

誰がどの順位で相続人になるかは、次の記事の早見表で確認できます。

3つ目は、財産と負債の全体像です。預貯金や不動産などのプラス財産だけでなく、借金、未払い税金、連帯保証債務などのマイナス財産も確認します相続放棄を検討するかどうかは、この調査結果に大きく左右されます。

相続税がかからなくても必要な遺産相続手続き

「相続税がかからないなら、遺産相続手続きは不要」と考える人もいますが、これは誤解です。相続税の申告が不要な場合でも、預貯金の解約、不動産の名義変更、株式の移管、保険金の請求、公共料金やクレジットカードの解約などは必要になることがあります。

また、不動産を相続した場合は、相続税が発生しなくても相続登記の対象になります。2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されており、不動産を取得したことを知った相続人は、原則として期限内に登記申請をする必要があります。税金の有無だけで判断せず、財産ごとに必要な手続きを確認しましょう。

死亡後すぐから14日以内の遺産相続手続き

死亡後すぐから14日以内は、相続財産を分ける準備というより、亡くなった事実を公的機関や関係先に届け出る時期です。葬儀の準備と重なりやすく、家族だけで対応しようとすると抜け漏れが起こりやすいため、担当を分けて進めると負担を減らせます。

死亡届・火葬許可申請をする

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出します。通常は、医師から死亡診断書または死体検案書を受け取り、死亡届とあわせて市区町村に提出します。死亡届が受理されると、火葬許可証の交付を受けられます。

死亡届は葬儀社が提出を代行してくれることもありますが、届出人として署名する人や提出先は事前に確認しておきましょう。死亡診断書は、その後の保険金請求や各種手続きで写しが必要になる場合があるため、コピーを取っておくと安心です。

死亡届の7日という期限の数え方や、提出後に続く手続きは次の記事で解説しています。

年金・健康保険・介護保険・世帯主変更を確認する

亡くなった人が年金を受け取っていた場合、年金受給権者死亡届が必要になることがあります。ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は、原則として届出を省略できます。届出が必要な場合は、厚生年金は10日、国民年金は14日が目安です。

健康保険証や介護保険証の返却、資格喪失の手続き、世帯主変更届なども確認します。会社員だった人、自営業だった人、後期高齢者医療制度に加入していた人などで窓口や必要書類が変わるため、亡くなった人の保険証や年金証書を手元に集めてから市区町村や年金事務所に確認するとスムーズです。

金融機関・公共料金・カード会社へ連絡する

金融機関に死亡の連絡をすると、口座は凍結され、原則として相続手続きが終わるまで自由に引き出せなくなります。公共料金、携帯電話、インターネット、クレジットカード、サブスクリプションなども、名義変更や解約が必要です。

ただし、相続放棄を検討している場合は注意が必要です。亡くなった人の預貯金を使ってしまうと、相続を承認したと評価される可能性があります。葬儀費用など必要な支払いがある場合でも、領収書を残し、判断に迷うときは専門家へ確認してから対応しましょう。

故人の預金を引き出してよい場面とダメな場面の線引きは、次の記事で確認できます。

遺産相続手続きの前に遺言書・相続人・相続財産を調べる

死亡後の届出が一段落したら、遺産をどう分けるかを考える前に、遺言書、相続人、相続財産を調べます。この3つが曖昧なまま話し合いを始めると、後から新しい相続人や財産が見つかり、協議をやり直すことになりかねません。

遺言書の有無を確認する

遺言書があるかどうかで、遺産相続手続きの流れは大きく変わります。公正証書遺言であれば公証役場で検索できる場合があり、自筆証書遺言が法務局の保管制度を利用していれば、法務局で確認できます。その場合検認も不要になります。制度の使い方は次の記事で解説しています。

封のある自筆証書遺言を見つけた場合、勝手に開封しないことが重要です。家庭裁判所で検認が必要になることがあり、勝手に開封するとトラブルの原因になります。

封を開ける前に、検認の具体的な手続きや期限、検認が終わったあとにすることを確認しておきましょう。くわしくは次の記事で解説しています。

戸籍を集めて相続人を確定する

相続人を確定するには、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めるのが基本です。結婚、離婚、転籍、養子縁組などがあると戸籍が複数の市区町村にまたがることもあります。

相続人が一人でも欠けたまま遺産分割協議をしても、その協議は有効に進められません。まずは戸籍をもとに相続人全員を確認し、連絡先を整理しておきましょう。

戸籍収集の具体的な手順と、専門家に依頼する場合の費用は次の記事にまとまっています。

預貯金・不動産・株式などのプラス財産を調べる

プラス財産には、預貯金、不動産、株式、投資信託、自動車、貴金属、生命保険金、貸付金などがあります。通帳、キャッシュカード、固定資産税の納税通知書、証券会社からの郵便物、保険証券、スマートフォンやメールに届く通知などを確認します。

ネット銀行やネット証券を利用している場合、紙の通帳や郵便物が少ないことがあります。パソコンやスマートフォン、メール、家計簿アプリ、クレジットカードの利用明細などから手がかりを探すことも必要です。

見落としやすい財産の探し方は、次の記事でくわしく解説しています。

借金・保証債務などのマイナス財産を調べる

相続では、預貯金や不動産だけでなく、借金や未払い金も引き継ぐ可能性があります。カードローン、住宅ローン、未払い税金、医療費、家賃、事業上の買掛金、連帯保証債務などがないか確認しましょう。

特に連帯保証は、本人の通帳を見ただけでは分からないことがあります。契約書、督促状、事業関係の書類、郵便物、信用情報の確認などを通じて、負債の有無を調べることが大切です。借金が多い可能性がある場合は、3か月以内相続放棄を視野に入れて動きます。

親に借金があった場合、誰がどこまで払うことになるのかは次の記事で確認できます。

法定相続情報一覧図を取得する

相続手続きでは、戸籍一式の提出を何度も求められることがあります。法定相続情報証明制度を利用すると、法務局で認証された法定相続情報一覧図の写しを取得でき、金融機関や登記などの手続きで戸籍の束の代わりに使える場合があります。

すべての手続きで必ず使えるわけではありませんが、複数の金融機関や不動産の手続きがある場合は、書類の提出負担を減らせる可能性があります。

一覧図の作り方と必要書類は、次の記事で記載例つきで解説しています。

3か月以内に必要な遺産相続手続き

相続開始を知ってから3か月以内は、相続するか、相続放棄をするか、限定承認をするかを判断する重要な時期です。この期間を何となく過ごしてしまうと、借金が多い相続でも原則として相続を承認した扱いになる可能性があります。

単純承認・相続放棄・限定承認の違い

単純承認は、プラス財産もマイナス財産も引き継ぐ方法です。多くの相続では、特別な手続きをせずに単純承認となります。相続放棄は、最初から相続人ではなかったものとして、プラス財産もマイナス財産も引き継がない方法です。

限定承認は、相続で得たプラス財産の範囲で借金などを負担する方法です。ただし、相続人全員で行う必要があり、手続きも複雑になりやすいため、利用を検討する場合は早めに弁護士へ相談した方がよいでしょう。

限定承認を選ぶ判断基準と手続きの進め方は、次の記事で解説しています。

相続放棄の手続きと必要書類

相続放棄をするには、家庭裁判所に申述します。期限は、原則として自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、申述書、戸籍謄本などの必要書類を提出します。

相続放棄は、口頭で「相続しません」と親族に伝えるだけでは足りません。また、一度受理されると原則として撤回できません。借金があるか分からない、財産調査が終わらない、他の相続人との関係が複雑という場合は、期限内に判断できるよう早めに準備しましょう。

相続放棄を自分で進める場合の流れや必要書類、3か月という期限については、次の記事でくわしく解説しています。

判断が間に合わない場合の期間伸長

3か月以内に財産や負債の状況を調査しても判断材料がそろわない場合、家庭裁判所期間伸長を申し立てられることがあります。裁判所の案内でも、相続財産の状況を調査しても承認または放棄を判断する資料が得られない場合には、期間を伸ばせる可能性があるとされています。

ただし、期限が過ぎてから慌てて申し立てればよいというものではありません。調査に時間がかかりそうな事情がある場合は、3か月の期限が来る前に動くことが大切です。

3か月をいつから数えるのか、期間を延ばす手続きはどう進めるのかは、次の記事でくわしく確認できます。

4か月以内に確認する遺産相続手続き

亡くなった人に所得があった場合、相続人が準確定申告を行う必要があります。相続税とは別の手続きなので、「相続税がかからないから申告はいらない」とは限りません。

準確定申告が必要なケース

準確定申告とは、亡くなった人の1月1日から死亡日までの所得について行う確定申告です。国税庁の案内では、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をする必要があるとされています。

たとえば、個人事業主だった人、不動産所得があった人、年金収入が一定額を超える人、医療費控除や還付を受ける可能性がある人などは確認が必要です。会社員でも、副業や不動産収入、株式の譲渡益などがある場合は申告が必要になることがあります。

準確定申告に必要な資料

準確定申告では、源泉徴収票、年金の源泉徴収票、事業の帳簿、医療費の領収書、生命保険料控除証明書、社会保険料の資料などを集めます。相続人が複数いる場合、申告書の作成や提出方法について相続人間で確認しておくと手続きが進めやすくなります。

申告が必要か判断しにくい場合や、事業所得・不動産所得がある場合は、税理士に相談するとよいでしょう。相続税の申告が必要になりそうなケースでは、準確定申告と相続税申告をあわせて確認すると、資料収集の重複を減らせます。

遺産分割協議で行う遺産相続手続き

相続人と相続財産が確認できたら、誰がどの財産を引き継ぐかを話し合います。これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります

遺言書がある場合の進め方

有効な遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に沿って遺産を分けます。遺言執行者が指定されている場合は、その人が手続きを進めることがあります。

ただし、遺言書の内容が不明確な場合、相続人の遺留分が問題になる場合、遺言書の有効性に争いがある場合などは、相続人間のトラブルにつながることがあります。早い段階で弁護士に相談した方がよいケースです。

遺留分が問題になりそうなときは、誰にいくら認められるかを次の記事で確認しておきましょう。

遺言執行者が何をする人で、どう選ぶのかは次の記事で解説しています。

遺言書がない場合の遺産分割協議

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。法定相続分は目安になりますが、必ず法定相続分どおりに分けなければならないわけではありません。相続人全員が合意すれば、預貯金を一人が取得し、別の相続人が不動産を取得するなど、実情に合わせた分け方ができます。

話し合いでは、感情的な対立を避けるため、財産目録を作り、評価額や根拠資料を共有することが大切です。情報が一部の相続人に偏っていると、不信感が生まれやすくなります。

もめずに分けるための基本ルールは、次の記事にまとまっています。

遺産分割協議書を作成する

遺産分割の内容が決まったら、遺産分割協議書を作成します。預貯金の解約、不動産の相続登記、株式の名義変更などで提出を求められることが多いため、財産の表示はできるだけ正確に書きます。

遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、実印で押印するのが一般的です。印鑑証明書も必要になることが多いため、取得時期を確認しておきましょう。

書き方の文例とひな形(Word・PDF)は、次の記事からダウンロードできます。

遺産分割協議がまとまらない場合の対応

相続人同士で話し合っても合意できない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することがあります。調停では、裁判所の調停委員を交えて話し合いを進めます。

不動産の評価、親の介護をしていた相続人の貢献、使途不明金、遺言書の有効性などが争点になる場合は、早めに弁護士へ相談すると、感情的な対立を広げずに論点を整理しやすくなります。

調停の流れと、有利に進めるためのポイントは次の記事で解説しています。

10か月以内に確認する遺産相続手続き

相続税の申告が必要な場合は、原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行います。10か月と聞くと余裕があるように感じますが、相続人調査、財産評価、遺産分割協議、申告書作成を行うには意外と短い期間です。

相続税申告が必要なケース

相続税は、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合に申告が必要になる可能性があります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。たとえば法定相続人が3人なら、基礎控除額は4,800万円です。

預貯金だけを見ると基礎控除内に見えても、不動産、株式、生命保険金、過去の贈与などを含めると申告が必要になることがあります。不動産がある場合は評価に時間がかかりやすいため、早めに確認しましょう。

基礎控除と課税対象財産

課税対象になる財産には、預貯金、不動産、株式、投資信託、自動車、貴金属などがあります。死亡保険金や死亡退職金は、一定の非課税枠がある一方で、相続税の計算対象に含まれる場合があります。

相続税の判断では、財産の有無だけでなく評価額が重要です。土地の評価、非上場株式、賃貸不動産、過去の贈与がある場合などは判断が難しくなるため、税理士に相談した方が安心です。

遺産分割が終わらない場合の注意点

10か月以内に遺産分割協議がまとまらない場合でも、相続税の申告期限が自動的に延びるわけではありません。未分割のまま申告が必要になる場合があり、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などをすぐに使えないことがあります。

期限ぎりぎりになってから対応すると、必要書類の不足や財産評価の遅れで申告が間に合わないリスクがあります。相続税がかかる可能性がある場合は、死亡後早い段階で資料を集め始めましょう。

預貯金・不動産・株式の遺産相続手続き

遺産分割の内容が決まったら、財産ごとに名義変更や解約の手続きを進めます。窓口ごとに必要書類や書式が違うため、同じ戸籍や印鑑証明書を何度も求められることがあります。

預貯金の解約・払戻し

預貯金の相続手続きでは、金融機関所定の相続届、戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書、本人確認書類などが必要になるのが一般的です。金融機関によって必要書類が異なるため、事前に相続センターや支店へ確認しましょう。

葬儀費用などですぐに資金が必要な場合、一定の範囲で預貯金の仮払い制度を利用できることがあります。ただし、相続放棄を検討している場合は利用前に慎重に判断してください。

口座が凍結される仕組みと、銀行での相続手続きの流れは次の記事で確認できます。

株式・投資信託の名義変更

上場株式や投資信託は、証券会社で相続手続きを行います。相続人が同じ証券会社に口座を持っていない場合、口座開設が必要になることがあります。

株式は価格が変動するため、相続税申告がある場合は評価時点や評価方法も確認が必要です。証券会社から残高証明書を取得し、税理士に共有できるようにしておきましょう。

証券会社での手続きから売却・分け方までは、次の記事で解説しています。

自動車・保険・公共料金の手続き

自動車を相続する場合は、名義変更や売却、廃車の手続きが必要です。普通自動車と軽自動車で窓口や必要書類が異なります。

生命保険金は、受取人が指定されている場合、受取人固有の権利として請求できることがあります。ただし、相続税の計算では確認が必要です。公共料金や携帯電話、クレジットカードは、未払い金や解約金がないかも含めて確認しましょう。

不動産の相続登記

不動産を相続した場合は、法務局相続登記を行います。2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、「自分のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日」から原則3年以内に申請が必要です。

相続登記では、登記事項証明書、戸籍、遺産分割協議書、住民票、固定資産評価証明書などが必要になります。不動産が複数ある場合や、古い名義のまま放置されている場合は手続きが複雑になりやすいため、司法書士に相談するとよいでしょう。

あわせて、2026年4月1日からは、不動産の名義人の住所や氏名が変わった場合の変更登記も義務化されました。住所や氏名に変更があった日から2年以内に申請する必要があり、相続登記(3年以内)より期限が短い点に注意しましょう。

義務化の対象範囲や過料の扱いは、次の記事でくわしく解説しています。

住所変更登記の2年という期限と5万円以下の過料については、次の記事で確認できます。

遺産相続手続きに必要な書類

遺産相続手続きでは、同じような書類を複数の窓口で求められます。最初に共通書類を集めておくと、後の手続きが進めやすくなります。

共通して必要になりやすい書類

  • 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 亡くなった人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書
  • 相続人の本人確認書類
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 財産の内容が分かる資料

戸籍は取得に時間がかかることがあります。転籍や婚姻で本籍地が変わっている場合、複数の市区町村へ請求が必要です。早めに集め始めるとよいでしょう。

手続き別に必要な書類

金融機関では相続届や残高証明書、不動産では登記申請書や固定資産評価証明書、相続税申告では財産評価に関する資料など、手続きごとに追加書類が必要です。保険金請求では死亡診断書の写しや保険証券を求められることがあります。

同じ「相続手続き」でも、銀行、証券会社、法務局、税務署で必要書類は異なります。窓口に行く前に、必要書類一覧を取り寄せてチェックリスト化しておきましょう。

手続き先ごとに必要になる書類の一覧と取り寄せ方は、次の記事でまとめて確認できます。

書類収集を楽にする方法

書類収集を楽にするには、まず財産ごとに手続き先を一覧にします。そのうえで、各窓口から必要書類を取り寄せ、共通する書類をまとめて取得します。

法定相続情報一覧図を利用できる場合は、戸籍一式の提出負担を減らせることがあります。また、相続人が遠方にいる場合は、印鑑証明書の取得や書類の郵送に時間がかかるため、早めに依頼しておきましょう。

遺産相続手続きを自分で進めるか専門家へ相談するか

遺産相続手続きは、内容によっては自分で進められます。ただし、争いがある場合、税金がかかる場合、不動産がある場合、借金が多い場合は、専門家に相談した方が結果的に早く進むことがあります。

自分で進めやすいケース

相続人が少なく、全員の関係が良好で、財産が預貯金中心、借金や不動産がなく、相続税もかからない見込みであれば、自分で進めやすいケースといえます。

それでも、戸籍収集や金融機関の書類提出には時間がかかります。期限がある手続きだけは先に確認し、分からない点を窓口に問い合わせながら進めましょう。

どこまで自分でできて、どこから専門家に頼むべきかの判断基準は次の記事にまとまっています。

弁護士に相談すべきケース

相続人同士で意見が合わない、遺産の使い込みが疑われる、遺言書の有効性に争いがある、相続放棄や遺留分の問題がある場合は、弁護士への相談を検討しましょう。

弁護士は、相続人との交渉や調停、訴訟など、法的な紛争対応を扱えます。相続トラブルになりそうな段階で早めに相談すると、感情的な対立を広げずに選択肢を整理できます。

弁護士・税理士・司法書士がそれぞれできることや、相談先の選び方は、次の記事でくわしく解説しています。

弁護士に依頼した場合の費用相場と内訳は、次の記事で確認できます。

司法書士に相談すべきケース

不動産の相続登記が必要な場合は、司法書士に相談するとよいでしょう。相続登記は義務化されており、放置すると後の売却や担保設定、次の相続で手続きが複雑になります。

相続登記を自分でやるか司法書士に頼むかの判断基準は、次の記事で解説しています。

税理士に相談すべきケース

相続税がかかる可能性がある場合、亡くなった人に事業所得や不動産所得がある場合、準確定申告が必要な場合は、税理士に相談すると安心です。相続税は財産評価や特例の判断が難しく、期限も決まっています。

行政書士に相談すべきケース

戸籍収集、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成など、書類作成を中心に依頼したい場合は行政書士が選択肢になります。ただし、相続人同士の争いがある場合や法律判断が必要な場合は、弁護士に相談する必要があります。

依頼先5つの費用相場と、失敗しない選び方は次の記事で比較しています。

遺産相続手続きでよくある質問

最後に、遺産相続手続きで迷いやすい点を整理します。期限や専門家の判断で迷ったときは、早めに確認することが大切です。

遺産相続手続きは何から始めればよいですか?

まずは死亡届など期限が近い届出を確認し、並行して遺言書の有無、相続人、相続財産、借金の有無を調べます。最初から遺産の分け方を決めようとするのではなく、期限と調査を優先すると、後戻りを減らせます。

遺産相続手続きは自分でできますか?

相続人が少なく、財産が預貯金中心で、相続人同士の関係が良好であれば、自分で進められる場合があります。不動産、相続税、借金、相続人間の争いがある場合は、専門家へ相談した方が安全です。

遺産相続手続きの期限を過ぎたらどうなりますか?

手続きによって影響は異なります。相続放棄の3か月、準確定申告の4か月、相続税申告の10か月、不動産の相続登記の期限などは特に注意が必要です。期限を過ぎた可能性がある場合は、自己判断で放置せず家庭裁判所税務署法務局、専門家に早めに相談しましょう。

遺産相続手続きは、やることが多く、期限も窓口もばらばらです。まずは期限一覧で急ぐ手続きを把握し、遺言書、相続人、財産、借金を確認しましょう。そのうえで、自分で進められる部分と専門家に任せる部分を分けると、無理なく手続きを進められます。

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