

相続手続きの弁護士費用は、相続人のうち誰かが負担することになります。実際に誰が弁護士費用を負担するかは、弁護士との契約や相続人間での取り決めによって異なるので、一概に言えません。
一般的には、単独の判断で弁護士に依頼した場合はその人が、相続人全員で弁護士への依頼を決めた場合は相続人全員が負担するケースが多いでしょう。
これに対して、遺言書の作成など生前の相続対策の弁護士費用は、被相続人となる人が負担するのが一般的です。
相続人同士で費用の負担が決まらないこともあります。遺産の範囲をめぐって訴訟を起こすことになったものの、ほかの相続人が弁護士費用を負担しようとしないという相談が、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にも寄せられています。
弁護士費用の金額は依頼先によって異なりますが、多くの事務所は着手金と報酬金を組み合わせた料金体系をとっています。遺産分割や遺留分の事件では、得られた経済的利益(取得額など)に応じて着手金・報酬金が決まるのが一般的です。遺言書の作成や相続放棄の代理のように、1件ごとの定額で決まる手続きもあります。実際の費用は、依頼前に見積もりで確認しましょう。
費用の内訳や、相続弁護士ドットコム掲載事務所の料金表681件から見た相場は、次の記事でくわしく解説しています。
弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」に寄せられた相続の相談30,302件のうち、弁護士費用に触れた相談は625件でした。
内容別に見ると、「いくらかかるか」が81件と最も多く、次いで「誰が負担するか(分担できるか・遺産から払えるか)」が31件、「払えない・法テラスを使いたい」が30件、「着手金は返ってくるか」が29件でした(1件の相談が複数の内容にあてはまる場合があります)。
依頼を決める前に、金額だけでなく、誰がどう負担するかを弁護士と確認しておくことが大切です(2021年4月1日~2026年7月8日に投稿された相談。当社調べ、n=30,302)。
弁護士費用も含めた相続手続き全体の費用相場と、安く抑える方法は、次の記事でくわしく解説しています。
相続手続きを弁護士に依頼するメリットは、複数あります。滞りなく適切な形で相続手続きを完了したい方は、弁護士への依頼を検討しましょう。
弁護士は相続手続きに関する専門的な知識と豊富な経験を持っています。状況に応じて必要な手続きを漏れなく計画的に行ってもらえるため、スムーズに相続手続きを完了できます。
相続手続きの中には、期限の決まっているものもあります。弁護士に依頼すれば、適切な順序で進めてくれます。
相続手続きにおいて必要な対応は、相続人調査や財産調査、遺産分割協議書の作成、相続登記など多岐にわたります。手続きごとに自分で戸籍謄本を集めたり書類を作成したりするのは大変な作業です。
弁護士には大半の相続手続きを依頼できるため、手間が大幅に省けます。
民法のルールに沿って、相続分や遺留分を適正に確保するため、さまざまな方法を用いて対応してもらえます。依頼者の希望に沿った形で相続ができるよう、弁護士が代わりに交渉や調停をします。
遺産分割などで身勝手な主張をする相続人がいる場合も、弁護士が法律に基づいた主張や反論をおこない、依頼者の利益を最大限実現していきます。
相続トラブルの解決を依頼できる専門家は、弁護士のみです。
弁護士法は、一部の例外を除いて、弁護士以外が報酬を得る目的で法律事務を行うことなどを「非弁行為」として禁じています。
遺産分割や遺留分に関するトラブルが生じた際には、弁護士に依頼しましょう。
親族間で感情的な対立が激しい場合には、意見がまとまらずに、トラブルが長期化することもあります。また、相続人同士が疎遠な場合には、相続について連絡しづらいこともあるでしょう。
弁護士に交渉を任せれば、親族と直接やりとりする必要がなくなるので、心理的な負担も減らすことができます。
相続人が多い場合も、弁護士に任せることをおすすめします。

相続弁護士ドットコム掲載事務所の解決事例1,212件を、解決した方法ごとに集計しました。
最も多いのは、相続人同士の協議(話し合い)による解決で514件(42%)でした。次いで調停が279件(23%)、審判が155件(13%)、訴訟が142件(12%)、その他が122件(10%)です。
弁護士が入ると裁判になると思われがちですが、これらの解決事例では、協議で解決した割合が最も高くなっています。話し合いの段階から弁護士に任せることで、調停や訴訟に進む前の解決を目指せます(2026年7月時点・当社調べ、n=1,212)。
依頼する弁護士を選ぶ際は、実際に相談をしてみて、相性の良し悪しをはかることが重要です。費用の安さだけに注目するのではなく、話しやすさや経験値、事務所へのアクセスのしやすさなどを総合的に考慮して選びましょう。
初回は無料で相談できる場合もあるので、気になる弁護士が見つかったら、事務所に問い合わせてみるとよいでしょう。
相談したからといって、必ずその弁護士に依頼しなければならないわけではありません。何人かの弁護士に相談して、それぞれの方針や実績、人柄、費用などを比較しながら、「安心して依頼できそうだ」と思える弁護士を探してみてください。
以下では、相続や遺産分割を依頼する際の弁護士の選び方のポイントを解説します。
まず、選ぶ弁護士が相続問題に詳しいか確認しましょう。相続に関する実績や知識があるかどうかは、ホームページやポータルサイトに記載された解決事例を見ることで確認できます。
「相続弁護士ドットコム」では、相続問題に注力している法律事務所だけを掲載しています。また、弁護士に独自のインタビューをおこない、相続でよくある相談や解決までの流れについて聞いています。
相続トラブルの解決実績があり、専門性を有している弁護士を選ぶようにしましょう。
相続問題を解決するには、あなたの状況や希望を弁護士に深く理解してもらうことが大切です。すぐに話を遮って結論を出そうとしたり、真剣に耳を傾けてくれなかったりする弁護士は避けたほうがよいでしょう。あなたの話をよく聞いてくれる弁護士を選びましょう。
話を聞くだけでなく、その他のコミュニケーションがスムーズかも確認しましょう。電話やメールの対応のよさや、連絡を取りたい時に連絡を取りやすいと感じるかがポイントです。
相続に関する弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なります。
弁護士費用について納得のいく説明をしてくれる弁護士を選びましょう。料金体系や内訳がわかりやすく、追加費用の可能性も事前に説明がある弁護士がよいでしょう。予期せぬ高額な請求を避けるためにも、不明点については率直に質問するようにしましょう。
依頼内容が同じでも、弁護士によって費用が大きく異なるケースも珍しくありません。依頼先の弁護士を選ぶ際には、複数の弁護士に相見積もりを出してもらい比較するのがよいでしょう。
ただ、弁護士費用が安ければ安いほどよいわけではありません。相続に関する経験や実績、対応の丁寧さなどとあわせて検討し、一番信頼できる弁護士を見極めて依頼しましょう。
弁護士を選ぶ段階では、複数の弁護士に相談することをおすすめします。異なる弁護士のアドバイスを聞くことで、自分のニーズに合った弁護士を選びやすくなります。
相続弁護士ドットコム掲載事務所の料金表681件を集計すると、初回相談を無料としている事務所は432件(63%)でした。
費用の仕組みや支払い方法は、依頼する前の初回相談で確認できます。見積もりの内訳や、支払いの時期・方法に不安があれば、この段階で聞いておきましょう(2026年7月時点・当社調べ、n=681)。
相続の相談先には、弁護士のほかに税理士や司法書士があります。
弁護士の大きな特徴は、相続トラブルの解決(遺産分割協議・調停・審判や遺留分侵害額請求など)を取り扱うことができる点です。
税理士や司法書士は取り扱うことができないので、相続トラブルが発生した際には、弁護士への依頼が必須となります。
税理士には、相続に関する税務申告や生前の相続税対策について依頼できます。司法書士には、相続登記の手続きが必要となる場合に依頼するケースが多いです。
弁護士に相談すれば、税理士や司法書士の紹介を受けることもできます。対応業務が幅広く、税理士や司法書士との連携もある弁護士に依頼すれば、あらゆる相続手続きについてワンストップで相談できるので便利です。
どの専門家に何を頼めるかを、費用の目安とあわせて比べたい方は、次の記事を参考にしてください。
相続に関しては、他の相続人などが依頼した弁護士から連絡を受けるケースも想定されます。特に遺産分割や遺留分に関してトラブルが発生した場合は、弁護士が介入するケースが多いです。
弁護士は依頼者のために行動するので、すべての相続人に対して中立的な立場ではありません。相手方の弁護士の言いなりになっていては、相続に関する権利が損なわれてしまうおそれがあります。
そのため、相続について弁護士から連絡を受けた場合は、ご自身も弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。正式に依頼して弁護士を代理人とすれば、ご自身の正当な権利を適切に主張できるほか、相続トラブルへの対応のストレスが軽減されます。
弁護士は、幅広い相続手続きをサポートしています。 特に遺産分割や遺留分に関するトラブルについて、解決に向けた対応を依頼できる専門家は弁護士のみです。税理士や司法書士と連携している弁護士に相談すれば、あらゆる相続手続きについてワンストップで相談できます。
相続手続きをスムーズに完了するためには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。相続に関する悩みや疑問がある方は、弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。

兵庫県弁護士会所属。