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相続手続きを弁護士に任せるメリットは?費用は誰が払う?選び方や税理士・司法書士との違いを解説

弁護士には、相続に関する対応全般を依頼できます。トラブルなくスムーズに相続手続きを終えたい方や、他の相続人と揉めてしまっている方は、弁護士に相続手続きを依頼しましょう。この記事では、相続手続きを弁護士に依頼するメリット、弁護士費用、弁護士と税理士・司法書士の違いなどを解説します。

相続手続きを弁護士に任せるメリット

相続手続きを弁護士に依頼するメリットは、主に以下の4点です。滞りなく適切な形で相続手続きを完了したい方は、弁護士への依頼を検討しましょう。

  1. 漏れなくスムーズに相続手続きを完了できる
    状況に応じて必要な手続きを漏れなく計画的に行ってもらえるため、スムーズに相続手続きを完了できます。

  2. 相続手続きの手間が省ける
    相続手続きにおいて必要な対応は多岐にわたるところ、弁護士には大半の相続手続きを依頼できるため、手間が大幅に省けます。

  3. 相続に関する権利を実現できる
    民法のルールに沿って、相続分や遺留分を適正に確保するため、さまざまな方法を用いて対応してもらえます。

  4. 相続トラブルの解決を依頼できる
    相続トラブルの解決を依頼できる専門家は、弁護士のみです。遺産分割や遺留分に関するトラブルが生じた際には、弁護士に依頼しましょう。

相続手続きを依頼する弁護士の選び方

相続手続きを依頼する弁護士は、主に以下の点に着目して選ぶとよいでしょう。

  1. 相続案件の実績・経験
  2. 対応の丁寧さ
  3. 弁護士費用

相続案件の実績・経験

相続に関する事情は家庭ごとに異なるため、状況に合わせたオーダーメイドの対応が必要になります。

相続に関する実績や経験を豊富に有する弁護士に依頼すれば、過去の経験から得た豊富な引き出しを活用して、家庭の状況に適した対応を行ってもらえる可能性が高いでしょう。

相続案件の実績や経験、解決事例などは、法律事務所のウェブサイトやポータルサイトなどに掲載されていることがあります。また、法律相談において弁護士の話を聞く中でも、相続案件についてどのような経験があるかを探ってみましょう。

対応の丁寧さ

納得できる形で相続を終えるためには、丁寧に対応してもらえる弁護士に依頼することが大切です。

依頼者の話を親身になって聞き、希望を実現するための方法を真摯に考えてくれる弁護士に依頼すれば、最終的な結果に納得できることが多いでしょう。

弁護士費用

相続に関する弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なります。

依頼内容が同じでも、弁護士によって費用が大きく異なるケースも珍しくありません。依頼先の弁護士を選ぶ際には、複数の弁護士から相見積もりを取得して比較するのがよいでしょう。

もっとも、弁護士費用が安ければ安いほどよいわけではありません。相続に関する経験や実績、対応の丁寧さなどと併せて検討し、一番信頼できる弁護士を見極めて依頼しましょう。

相続手続きを弁護士に任せるメリットはたくさんあります

相続の弁護士費用は誰が払う?金額の目安は?

相続手続きの弁護士費用は、相続人のうち誰かが負担することになります

実際に誰が弁護士費用を負担するかは、弁護士との契約や相続人間での取り決めによって異なるので、一概に言えません。

一般的には、単独の判断で弁護士に依頼した場合はその人が、相続人全員で弁護士への依頼を決めた場合は相続人全員が負担するケースが多いでしょう。

これに対して、遺言書の作成など生前の相続対策の弁護士費用は、被相続人となる人が負担するのが一般的です。

相続に関する弁護士費用の金額は、依頼先の弁護士によって異なります。主な弁護士費用の目安額を紹介しますが、あくまでも目安額ですので、実際の費用は弁護士へ個別にご確認ください。

遺産分割・遺留分侵害額請求(着手金) 経済的利益の額に応じて以下の金額(税込)
300万円以下の場合:経済的利益の8.8%
300万円を超え3,000万円以下の場合:経済的利益の5.5%+9万9,000円
3,000万円を超え3億円以下の場合:経済的利益の3.3%+75万9,000円
3億円を超える場合:経済的利益の2.2%+405万9,000円
遺産分割・遺留分侵害額請求(報酬金) 経済的利益の額に応じて以下の金額(税込)
300万円以下の場合:経済的利益の17.6%
300万円を超え3,000万円以下の場合:経済的利益の11%+19万8,000円
3,000万円を超え3億円以下の場合:経済的利益の6.6%+151万8,000円
3億円を超える場合:経済的利益の4.4%+811万8,000円
遺言書の作成 11万円~22万円(税込)
※非定型的な内容である場合や、相続財産が多額である場合などには、弁護士費用がさらに高額となる傾向にあります。
相続放棄の代理 相続人1人当たり5万5,000円~11万円程度(税込)

弁護士と税理士・司法書士の違いは?

相続について相談・依頼できる専門家には、弁護士以外に税理士や司法書士などがあります。

弁護士と税理士・司法書士では、相続について対応できる業務の内容が異なります。各専門家の主な対応業務は、以下のとおりです。

相続に関する相談先 主な対応業務
弁護士 ・遺産分割協議、調停、審判
・遺留分侵害額請求
・遺言書の作成サポート、保管、遺言執行
・相続放棄の代理
・その他相続手続き全般
税理士 ・相続税の申告
・所得税の準確定申告
・生前の相続税対策
司法書士 ・不動産の相続登記
・遺言書の作成サポート、保管、遺言執行
・相続放棄の書類作成(代理は不可)
・その他相続手続き全般(紛争性のないものに限る)

弁護士の大きな特徴は、相続トラブルの解決(遺産分割協議・調停・審判や遺留分侵害額請求など)を取り扱うことができる点です

税理士や司法書士は取り扱うことができないので、相続トラブルが発生した際には、弁護士への依頼が必須となります。

税理士には、相続に関する税務申告や生前の相続税対策について依頼できます。司法書士には、相続登記の手続きが必要となる場合に依頼するケースが多いです。

弁護士に相談すれば、税理士や司法書士の紹介を受けることもできます。対応業務が幅広く、税理士や司法書士との連携もある弁護士に依頼すれば、あらゆる相続手続きについてワンストップで相談できるので便利です。

相続について弁護士から連絡を受けたときの対処法

相続に関しては、他の相続人などが依頼した弁護士から連絡を受けるケースも想定されます。特に遺産分割や遺留分に関してトラブルが発生した場合は、弁護士が介入するケースが多いです。

弁護士は依頼者のために行動するので、すべての相続人に対して中立的な立場ではありません。相手方の弁護士の言いなりになっていては、相続に関する権利が損なわれてしまうおそれがあります。

そのため、相続について弁護士から連絡を受けた場合は、ご自身も弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。正式に依頼して弁護士を代理人とすれば、ご自身の正当な権利を適切に主張できるほか、相続トラブルへの対応のストレスが軽減されます。

まとめ

弁護士は、幅広い相続手続きをサポートしています。

特に遺産分割や遺留分に関するトラブルについて、解決に向けた対応を依頼できる専門家は弁護士のみです。税理士や司法書士と連携している弁護士に相談すれば、あらゆる相続手続きについてワンストップで相談できます。

相続手続きをスムーズに完了するためには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。相続に関する悩みや疑問がある方は、弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。

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この記事の監修者
監修者の名前
井上界弁護士
監修者の所属事務所
園田法律事務所

兵庫県弁護士会所属。

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