豊富な経験を活かし、親との面会が妨害される「囲い込み」など難しい案件にも対応

東京都西東京市で「弁護士法人田島法律事務所ひばりが丘事務所」を経営する根岸透弁護士(東京弁護士会所属)に、相続案件に携わる上で心がけていることなどを聞きました。遺産を多く取得するなどのわかりやすい利益だけでなく、早期解決のストレス軽減といった、依頼者にとって総合的にプラスとなる解決を目指していると語る根岸弁護士。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。
インタビュー
相続・不動産問題・企業法務に特化した法律事務所
事務所設立の経緯を教えてください。
弁護士法人田島法律事務所(主事務所)の支店として、2015年に開設しました。ひばりが丘事務所は、主事務所入間市駅と同じ西武池袋線沿線に位置しており、沿線全体から幅広いエリアの方々からご相談いただける体制を整えています。
主事務所では、幅広い分野の相談を受け付けていますが、ひばりが丘事務所では、主事務所で特に相談が多かった分野において専門性をさらに高め、より質の高いサービスを提供するため、取り扱う分野を相続と不動産、企業法務に限定しています。
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
まず、わかりやすい説明を心がけています。専門用語をできるだけ使わず、理解しやすい言葉で説明するよう努めています。相談の際には、口頭だけでなく、相談分野ごとに用意したメモを渡して説明しています。
また、目先の問題にとらわれずに、早期解決や依頼者のストレス軽減など、依頼者にとって総合的にプラスになる解決を目指しています。
金額交渉においても余計な駆け引きは避け、最初から合理的な金額を提示し、相手にもそれを求めるようにしています。
相続案件に注力している理由を教えてください。
これまで多くの相続案件を扱ってきたことで、相続分野に関するノウハウが自然と蓄積されてきました。そうした経験から、自分の強みを発揮できる分野だと感じており、依頼者のお役に立てるのではないかと思っています。
実際、依頼の約半分が相続に関するものです。
話し合いの初期対応を適切に行うことで、スムーズに進む可能性が高まる
相続について、よくある相談内容を教えてください。
相続発生前の相談では、遺言書や民事信託、成年後見に関する相談があります。
民事信託については、専門的に取り扱っている司法書士と連携しており、取り扱う機会は多いと思います。
相続発生後の相談では、遺産分割や遺留分、さらには遺産が使い込まれてしまった、いわゆる使途不明金に関する相談も多いです。
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
相続は感情的な対立が激しくなりやすい分野なので、感情面のフォローもできる限り行うようにしています。
例えば、身内同士の争いでは、相手の行動すべてが気に入らないと感じるほど感情的な対立が激しくなることがあり、そういった状況が続くと問題が深刻になってしまいます。
「言われたら言い返す」という対応は、最終的には良い結果には結びつかないことが多く、問題解決も遅れてしまいます。
時には弁護士でさえ、感情的な内容の書面を提出することもあります。しかし、私はそうした感情的なやり取りを避け、本来の問題に集中することを心がけています。
依頼者にもその点をご理解いただき、必要なことはしっかり伝えつつ、言い方にも気を配りながら交渉や裁判を進めています。
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
まず、書類の取り寄せに関わる手間を省ける点があります。例えば、戸籍や土地の登記簿、銀行の残高証明などを自分で集めるのは面倒な作業ですが、それを全て弁護士が代行するため、負担が軽減されます。
また、相手との話し合いもストレスになりやすく、感情的にこじれている場合はさらに難しいものです。弁護士が間に入ることで、直接相手と話す必要がなくなり、そうしたストレスからも解放されます。
さらに、法律的な知識がないために不利益を受けることも防げます。相続には多くの論点があり、感情も絡むため、どこから手をつければよいか分からなくなることが多いです。
弁護士が問題を整理し、必要な範囲で順序立てて交渉を進めることで、スムーズに解決へと導くことができます。
早めに弁護士に相談した方がよい理由を教えてください。
相続では感情的な対立が激しくなりやすいため、最初の対応を誤ると相手に不信感を与え、その後の話し合いがうまくいかなくなることがよくあります。
例えば、提出すべき書類や情報をきちんと示さないと、相手に疑われることがあります。出すべきものは初めから出しておいた方が良いです。
このように、初期段階での対応ミスが後々まで影響することがあります。交渉の入り方を適切にすることで、早期解決の可能性が高くなります。
親と同居する子どもが親との面会を妨害する「囲い込み」にも対応
これまで取り組んできた相続案件の中で、対応が難しい案件はありますか。
遺産が使い込まれてしまう使途不明金が相続発生前から疑われる場合として、親と同居している子どもが、親のお金を管理して自由に使ってしまうだけでなく、親を誰にも会わせないことにまで発展する、いわゆる囲い込みに関する相談があります。
このような場合、成年後見人などの選任によって親の財産管理が適切に行われるようにする対策や、調停や面会妨害禁止の仮処分によって面会の妨害を禁止する対策など、状況に応じて様々な対応が必要になります。
成年後見人などが選任されれば、裁判所の監督のもとで後見人が親の財産を管理するため、同居している子どもがお金を使い込むことができなくなります。
ただ、いつの間にか施設に入れられてどこにいるのかさえわからないこともあり、後見人などを選任する申立てに必要な情報の取得が困難な場合もあります。
それでも、裁判所を通じて必要な情報を取得することにより、申立ての手続きができることもあります。
そして、後見人などが選任されれば、親の財産管理が適切に行われるだけでなく、後見人などを通じて親の健康状態を知ることができたり、親に会うきっかけができることもあります。
また、面会を妨害する行為に対しては、調停や面会妨害禁止の仮処分によって、面会が妨害されている状況を改善できることもあります。
囲い込みに関する相談は、特に感情的な対立が激しいもので、証拠も限られているため難しい案件であり、取り扱わない事務所もあるようですが、できる限り対応するようにしています。
初回相談ではどのような対応をしていただけますか。
まずは依頼者の話をしっかり聞くことが大切だと考えています。相談者が一番困っていることや、何を解決したいのかをきちんと把握できるように心がけています。
自分で判断せずに、困っていることや知っていることをすべて率直に話していただくのが良いと思います。重要ではないと思って話さなかったことが、実は重要なポイントになることもありますし、「これを言ったら不利になるかも」と思って話さない人もいるかもしれません。
しかし、ありのままの事実を自分で選択せずに伝えてもらえれば、その中から弁護士が有利な材料を見つけて交渉することができます。
不利な要素があっても、それを知っていれば対処の方法も考えられるので、まずは全て話していただくのが良いと考えています。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
まずはお気軽にご相談ください。弁護士への相談は、敷居が高いと感じるかもしれませんが、相談するだけで解決に向かうことも多々あります。また、本当に弁護士に依頼する必要があるかどうかを整理してアドバイスすることもできます。
当事務所には司法書士も在籍しており、信頼できる税理士とも連携していますので、相続登記や税金関係についても当事務所で完結できます。
まずは相談していただき、その後に依頼するかどうかを決めていただければよいと思いますので、ぜひ一度ご相談ください。