相続弁護士 ドットコム

八事総合法律事務所

地元の強みと親しみやすさで依頼者に安心を提供〜相続争いに発展しない解決を目指す

地元・愛知県名古屋市で地域に根差した弁護士として活動する「八事総合法律事務所」の宮地紘子弁護士に、事務所設立の経緯や相続問題への取り組みについて話を伺いました。可能な限り争いに発展しない解決を目指す宮地弁護士は、「遺言書作成など生前の対策が大切」といいます。相続問題を手掛ける際に意識していることや、相続問題を弁護士に依頼するメリットについても詳しく話していただきました。(愛知県弁護士会所属)

八事総合法律事務所(愛知県名古屋市)宮地紘子弁護士_メイン画像
宮地 紘子弁護士
八事総合法律事務所
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  • 平日可

インタビュー

高齢者が多い地域には気軽に相談できる弁護士事務所が必要

事務所設立の経緯を教えてください。

司法試験合格後、勤務弁護士として経験を積み、2013年1月に現在の事務所を開設しました。

独立には、地元・名古屋に対する強い愛着と思い入れが大きく影響しています。名古屋は私が幼少期から暮らしてきた大切な町であり、その土地に根付いて活動したいという思いがありました。地元に事務所を構えることで、地域の企業や個人にとっての身近な存在として、法的サポートを提供したいと考えたのです。

事務所の理念を教えてください。

地域の方々の身近な法律の相談相手として、親しみやすく、信頼できる存在でありたいと考えています。気軽に相談できるアットホームな雰囲気を大切にし、依頼者と共に問題解決に臨み、最善の結果を導き出すことに全力を注いでいます。

勤務弁護士時代と比べると、独立後は依頼者とより密接にコミュニケーションが取れていると感じます。これからも依頼者1人1人との繋がりを大切にしていきます。

相続分野に注力している理由を教えて下さい。

事務所がある名古屋市昭和区周辺は、大学が多く学生の町として知られていますが、実は高齢者が多い地域でもあります。地域のショッピングセンターに、子どもや若年層向けの商品よりも高齢者向けの商品が多いことからも、高齢者が多い地域だということがわかります。

高齢者が多く住む地域では、自然と相続の相談が増えます。特にその土地に古くから住む人が多い地域では、土地を所有している人が多いため、土地を巡る相続争いはもちろんのこと、跡継ぎ不在による空き家問題なども発生します。そのため、専門家のアドバイスが必要とされるのです。

また、高齢者にとって、遠方まで法律相談に行くのは大変なことです。近隣に気軽に相談できる場所があることが重要だと考え、高齢者の多いこの地域で相続分野に注力することを決めました。

相続問題ではどのような相談が多いですか。

遺言作成と遺言執行の相談が多いです。遺産分割の相談もありますが、争いになっているケースは比較的少ないです。その理由として、県民性が影響しているのではないかと思います。

愛知県は県内進学率や県内就職率が高く、地元志向が強いと言われています。県外に出る人が少ないため、親子や兄弟の関係が親密なのかもしれません。事実、遺言の相談に親子で来る方もいらっしゃいます。

遺言作成に関しては、子どもがいない方からの相談も多いです。子どものいない夫婦の夫が「自分が亡くなった後に妻が煩わしい手続きをしなくて済むように」と、相談に来ることがあります。

お金では割り切れない感情の問題を円満に解決

相続案件を扱う際に心掛けていることはありますか。

遺言を作成するときは、遺言を託す方から家族へのメッセージを付言事項にして入れたり、遺言者の思いや意図が伝わる内容になるように努めています。

遺産分割協議では、問題が深刻化しないように心掛けています。兄弟や親族間で紛争が発生すると感情が絡む分、解決までの道のりが険しくなります。可能な限り争いに発展しない遺産分割を目指し、すでに争いが生じている場合は、早期かつ円満な解決を目指して尽力します。

遺産分割の難しい点は、お金では割り切れない感情の問題があることです。典型的な例が形見分けです。以前、形見分けで「車が欲しい」という依頼者がいました。その方は運転免許を持っておらず、車が好きなわけでもないのですが、「思い出の車だから」という理由で妥協しようとはしませんでした。

そのようなときは、相手方にこちらの事情を伝えて理解を得られるように努めます。同時に相手方にも配慮して、双方の利益のバランスを調整しながら遺産分割の交渉を試みるなどして、円満な解決を目指します。

遺産分割で紛争が発生すると、葬儀や法事などにも影響が及ぶ場合があります。家族が揃って故人を偲ぶことができないのは、とても寂しいことです。そのような事態を避けるためにも、相続が発生したら紛争のあるなしに関わらず、できるだけ早く弁護士に相談して、円滑に手続きを進めることが大切だと思います。

相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなものがありますか。

相続問題を当事者同士で直接話すと感情的なこじれが生じやすく、問題が深刻になってしまうことがあります。弁護士は感情的な面を排除して冷静に問題を分析し、法的根拠をもとに客観的な意見を提供しますので、感情的な争いを回避することが可能です。

対立関係にある当事者それぞれに弁護士がついた場合、双方の弁護士が協力し合い、問題解決を図ることがあります。互いの事務所を行き来しながら、遺産分割についてざっくばらんに意見を出し合うこともあります。経験上、離婚協議や他の分野ではそのようなことは少なく、相続問題ならではの特徴だと感じています。

そのように、弁護士が入ることで建設的な話し合いがおこなえるため、当事者同士で解決を図るよりも、円満に解決できる可能性が高いです。

これまで手掛けてきた相続案件で、印象に残っている案件はありますか。

私自身の話なのですが、まだ学生だった頃、祖父が公正証書遺言の下書きを書いた段階で亡くなってしまいました。下書きには私の名前が書かれていたのですが、下書きには法的な効力がないため、私は相続人になることができませんでした。

同様のケースを弁護士になってから何件も見ました。遺言の準備をしていた男性が遺言を完成させる前に亡くなってしまったケースでは、妻と前妻の子どもとの間で相続争いが発生しました。

遺言作成から1か月も経たないうちに亡くなられた方もいました。その方は病気を患っていたわけでもないのに、ある日突然亡くなってしまったんです。もし、遺言作成が1か月遅れていたら、その方の意思とは異なる遺産分割が行われていたでしょう。

人生はいつ何が起こるかわかりません。私自身の経験を含め、生前対策の必要性を強く感じています。遺言作成など、早めに準備しておくことで防げる紛争があるということを多くの方に伝えていきたいです。

遺言作成を中心に紛争にならない相続を提案していきたい

相続分野における事務所の強みを教えてください。

相続税を専門に扱っている税理士事務所や司法書士事務所と協力体制を取っているため、当事務所が窓口となり、ワンストップでスムーズな手続きを提供しています。

相続税は、適切な対策を講じることで負担を減らすことが可能です。当事務所が依頼を受けた相続案件で、税理士事務所の協力を得て対応したところ、当初かかる見込みだった相続税がゼロ円になり、依頼者に喜ばれたことがあります。

税理士だけでなく、必要に応じて不動産業者、介護福祉施設など他士業や他業種と協力し、最適な問題解決に向けて総合的な提案をさせていただきます。

今後の展望をお聞かせ下さい。

遺言作成に重点を置きながら、争いを避けるためのアドバイスを提供していきたいと考えています。

依頼者にとって、遺言を託した弁護士が遠くの土地に転居してしまったりするのは不安だと思います。何かあったときにすぐに相談できるよう、弁護士が身近にいてくれる方が心強いのではないでしょうか。私は名古屋が地元ですし、この先ほかの地域に移る予定もありませんので、安心して遺言を託していただけるのではないかと思います。

これからも地域に根ざした活動を続けて、依頼者が気軽に相談でき、信頼できる存在でありたいです。

最後に、相続問題で悩んでいる方にメッセージをお願いします。

紛争を回避するには、生前対策が大切です。遺言は何度でも書き直すことができ、準備に早すぎるということはありません。万が一に備えて早いうちに検討してみてはいかがでしょうか。

遺産分割は当事者同士で直接話すと感情的になり、問題が深刻化することがあります。弁護士に依頼することで冷静な話し合いができる上、有益なアドバイスを受けることも可能です。相続問題が発生した場合は、事態が深刻になる前にご相談下さい。