インタビュー
チームで取り組むことで最善の解決を実現
事務所設立の経緯を教えてください。
弁護士登録後、福岡県内の法律事務所で中小企業の法務や相続、離婚など幅広い事件を担当してきました。その後独立を決意し、同期である小玉晃嗣弁護士(熊本支店長)と今の事務所を立ち上げました。
現在は福岡県内に3支店、熊本県内に1支店を構え、弁護士5名が在籍する弁護士法人となり、私は共同代表かつ新宮支店長を務めています。
事務所名の「朝道」は、「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」という孔子の言葉に由来しています。人としての道を追求することの大切さを述べた言葉で、当事務所はこの言葉を体現し、依頼者のための法律家道を邁進しています。
事務所の方針として、大切にされていることを教えてください。
まずは各事案を適切な解決に導くという、当然かつ最も重要なことを追求する姿勢を大切にしています。「依頼者の要望通りの解決が本当によい解決なのか」ということは、常に考えなければなりません。
例えば遺産分割で依頼者が多くの財産を獲得できたとしても、それによって他の相続人との間に遺恨が残り、新たな問題の火種になってしまったら、本当の意味での解決とはいえません。依頼者に寄り添いつつも、広い視野と冷静な判断で適切な解決に導くことが、弁護士の役目だと思います。
話を丁寧に聞くことも大切です。細かな部分まで聞くことはもちろん、依頼者の真意を探りながら聞くことに留意しています。依頼者が意図的に話さないこともあれば、真意を伝えられずにいるケースもあります。直感と実践の中で培ってきたノウハウを活かしながら、依頼者の本意を引き出すよう努めています。
また、訴訟や交渉において、弁護士は法律を駆使するだけでなく、相手の心理にも意識を向けなければなりません。最善の解決に向けた交渉術やプランニングは欠かすことができないものとして、各自が研鑽を積んでいます。
事務所の強みを教えてください。
当事務所は、基本的にチームを組んで事案に取り組んでいます。複数の弁護士が意見を出し合いながら取り組むことによって、より最適な解決を実現することが可能になります。
事務所内はチームでのミーティングはもちろん、チーム外の弁護士とも事件について助言や意見を求めやすい雰囲気があります。若い弁護士にとっては、実践的なジョブトレーニングになっており、弁護士同士が互いに高め合いながら、業務に取り組んでいます。
思わぬトラブルに巻き込まれないように早めの対策を
相続問題を弁護士に相談することのメリットを教えてください。
相続案件で弁護士の役割を強く感じるのは、当事者同士で話ができないというケースです。法的な視点を持った弁護士が介入することで、双方の合理的な判断が促され、話し合いが円滑に進むことがあります。
遺言作成など生前の相談にもメリットがあります。「財産がない」「子どもたちの仲がよい」などの理由で何も準備をしていないと、予期せぬことでトラブルに発展することがあります。
自分の思い描く相続を実現したいのであれば、早いうちから弁護士に相談することが大切だと思います。
どのような相談が寄せられますか。
遺産分割協議に関する相談が多く寄せられます。次に多いのが遺言作成で、不当利得返還請求、つまり遺産の不当な使い込みに関する相談も増えています。
遺言作成においては、依頼者の要望を可能な限り実現できるようにお手伝いしていますが、中には遺留分のように法律で定められていて、要望どおりにいかないこともあります。
例えば、兄弟の一人が親から多額の借金をしていた場合、「借金をしている子どもには財産を一切譲らない」と遺言に残したとしても、遺留分は発生することになります。
遺留分侵害額請求されるかもしれないことを前提に遺言書を作成するのか、それとも別の方法を取るのか。最終的な判断は依頼者に委ねることになりますが、考えられる方法とその方法を実行した場合に起こることを正確に伝えることが、依頼者の要望に近づくことだと思います。
感情を受け止めた上で、適切な解決に導く
相続問題に取り組む上で、留意していることを教えてください。
相続問題は感情が大きく絡む分野です。依頼者の感情の発露を、まずはしっかり受け止めたいと考えています。ただし、その感情を相手側に伝えるべきかの判断は別問題です。
依頼者の思いをそのまま相手に伝えてしまうと、感情の対立が激しくなり、解決が遠ざかってしまう可能性もあります。逆に、思いを相手に伝えることで解決が近づくこともあります。
感情の問題は事件解決の重要項目であると同時に、法律では解決できない問題ですから、依頼者の話をしっかり聞いた上で、間違いのない判断をしなければならないと考えています。
相続トラブルを抱えている方へ、メッセージをお願いします。
相続は法律によってさまざまなルールが決められています。ルールがプラスに働くこともあれば、マイナスになることもあります。決められたルールの中で、いかに適切に解決していくかが、弁護士の腕の見せ所だと思っています。
一見、何もできないと思えるような状況においても、最善の解決を目指すことは可能だと思いますので、問題を抱えていている方は自分で判断する前にご相談ください。
また、遺言作成など生前に行える対策もありますので、できるだけ早く相談にきていただければと思います。