相続弁護士 ドットコム

鮫島法律事務所

紛争解決学やコーチングの技術を活かし、相続トラブルを話合いで円満に解決

相続人同士の対立を少しずつ解きほぐしながら、当事者全員が納得できる解決を実現したい。そう話すのは、東京都・湯島にある「鮫島法律事務所」の所長を務める鮫島千尋弁護士。紛争解決学やコーチングの視点を取り入れて問題解決に取り組んでいるという鮫島弁護士に、その具体的な方法や、相続分野を手がけるうえでの思いなどを伺いました。(東京弁護士会所属)

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鮫島 千尋弁護士
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インタビュー

事件終了後の人生がより豊かになる解決を導く

事務所の理念や大切にしていることを教えてください。

トラブルを抱えている依頼者にとって何が最善の解決になるのか、という視点を常に持って案件に取り組むことです。今ある問題への対処はもちろん、長い目で見て、依頼者の利益になる解決をはかることを重視しています。

私は今、熊本大学の大学院で紛争解決学を学んでいるのですが、紛争解決学では「紛争処理の方法は3つの段階に分けられる」と考えます。

医師と患者の関係に例えて説明すると、1つ目は、病気を治すために薬を飲む対処療法の段階。2つ目は、病気とうまく付き合っていくためのリハビリの段階。そして3つ目は、過去を見直すことで、病気にならない新しい生き方を見つける段階です。

法律トラブルの解決においても同様に、3つの段階があります。まずは法律に基づいてトラブルを解決することが第1段階。トラブルによって心身に負ったダメージを回復させることが第2段階。そして、そもそもなぜトラブルが起きたのかを検討し、原因となった要素を是正することで、依頼者の今後の人生をより豊かにしていくことが第3段階です。

ーー3つの段階を経ることで、依頼者の将来も見据えた解決につながるのですね。

「事件終了後の依頼者の人生にとってプラスになる解決は何か」という視点を常に持って対応することが私のモットーです。

特に、注力分野の一つである相続問題は、家族・親族同士のトラブルなので事件終了後も関係が続きます。お互いの間にしこりを残さない、円満な解決をはかることを重視しています。

大学院では紛争解決学のほかに心理学やコーチングも学んでいて、それらの知識も実務に活かしています。

ーーどのような場面で活かしているのですか。

例えば、相手方の主張について、そのような要望を提示する理由や背景を探る際に活用しています。

相手方の主張の背後には、その人の本当の思いが潜んでいます。それらを無視して一方的にこちらの主張を通そうとすると、相手方の反発を招き、交渉が難航してしまいます。無用な対立を避けるためには、相手方の思いを汲んで交渉を進めることが重要です。

心理学やコーチングの手法を使って、相手方が求めていることや不安要素を引き出し、その点に配慮して交渉を進めていきます。できるだけ依頼者の希望を実現することを目指しつつ、場合によっては相手方に譲歩する姿勢を示すことで、依頼者と相手方の双方が納得する解決につなげられます。

当事者1人ひとりの思いを汲み取る

相続について、どのようなトラブルが多いのでしょうか。

もともと仲がよくない家族・親族が、相続をきっかけに対立を深めてトラブルになるケースが多いです。「遺産分割の話合いをしたいが、相手から拒否されている」「遺言の内容が不満だと主張する相続人がいて、折り合いがつかない」など、様々な相談が寄せられます。

相続の案件を手がける際に心がけていることはありますか。

相続は家族・親族間のトラブルであり、相続人それぞれにその人なりの言い分や正義があります。誰かが100%悪い、という事案はあまり多くありません。

相続のトラブルは、当事者同士の感情的な対立が激しく、法律のルールを当てはめるだけではなかなか割り切れません。1人ひとりの思いを汲み取り、対立関係を少しずつ解きほぐしながら、当事者全員が納得できる着地点に到達することを目指します。

トラブルを長引かせないためには、早めの相談が肝心

先生の事務所では、初回の法律相談はどのような流れで進んでいくのでしょうか。

まずは、遺言書の有無や財産の内容、相続人が誰か、といった基本事項を確認し、そのうえで依頼者がどのような解決を希望しているのかを把握します。

依頼者の中には「自分が何を望んでいるのかよく分からない」という方もいるので、コーチングの技術を活用しながら、その方の中にある答えを丁寧に引き出していきます。

第三者と話すことで考えや感情が整理されることもあります。「自分の考えや思いをうまく言葉にできない」という方も安心して相談にお越しください。

相続のトラブルが発生した場合に、弁護士に依頼するメリットは何でしょうか。

トラブルを解決するためには、現状についての法律上の問題点と、法律による解決方法を理解する必要があります。しかし、当事者だけで状況を冷静に整理し、法律に基づく適切な解決方法を導き出すことはなかなか難しいでしょう。

弁護士に依頼していただければ、客観的な視点から問題を分析し、法律の専門知識と経験に基づいて解決までの道筋を組み立てます。

他の相続人との交渉も弁護士にお任せください。当事者同士で話し合うと感情的に紛糾し、膠着状態になりがちです。弁護士が間に入って第三者の立場から話合いを取り仕切ることで、対立が落ち着き、スムーズな協議成立が期待できます。

弁護士への相談は早い方がいいのでしょうか。

はい。相続は長引けば長引くほど問題が増えていきます。まずは相談だけでもかまいませんので、相続について不安や疑問を抱えた段階ですぐに弁護士にアクセスし、今後の見通しや適切な対応についてアドバイスを受けることをお勧めします。

弁護士に依頼せず当事者だけで対処しようとする方もいますが、話し合ううちに感情的にヒートアップし、収拾がつかなくなる可能性があります。また、過去には、相続の手続きを放置していたら別の親族が亡くなり、新たに相続が発生したことでさらに遺産分割が複雑になってしまった、という事例もありました。

スムーズに相続の手続きを進めていくためには、状況が悪くなる前に弁護士を間に入れ、法律のルールに基づいて対応を進めることが重要です。

最後に、相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

誰しもトラブルとは無縁の生活を望んでいますが、予期せぬ問題が生じて平穏な日常が脅かされることは起こり得ます。

トラブルを抱えてしまったときに、まずすべきことは弁護士への相談です。1人で悩んでいると不安ばかりが募ってしまいます。弁護士に悩みを打ち明け、法律による解決方法をアドバイスしてもらうことで、精神的な負担がかなり軽くなるはずです。未来への不安から解放されるために、ぜひ弁護士のサポートを受けることをご検討ください。

弁護士と一口に言っても、経歴や得意分野、事件解決の方針などは1人ひとり異なります。インターネットでお近くの法律事務所を調べたり、弁護士の人となりを知れるインタビュー記事などを読んだりして、「この人なら信頼できそうだ」と思った弁護士のもとを訪ねてみてください。