暮らしが息づく街の、夫婦で営む法律事務所。依頼者とともに考え、相続トラブルを解決に導きます
福岡県福岡市早良区で「ふじさき法律事務所」を経営する安孫子健輔弁護士(福岡県弁護士会所属)に、相続案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みなどを聞きました。地域にひらかれた法律事務所を理念に、2019年から夫婦で事務所を営む安孫子弁護士。相談しやすさ、立ち寄りやすさを意識した事務所作りを実践しています。「わからないという状態は不安やストレスにつながる。少しでも疑問があれば相談を」と呼びかけます。
インタビュー
悩んだときにフラッと立ち寄れる、身近な事務所です
これまでの経歴について教えてください。
出身は山形で、一橋大学法学部・九州大学法科大学院(ロースクール)を卒業しました。2009年に弁護士になり、福岡市内の法律事務所に所属した後、2019年に妻である安孫子真理子弁護士と当事務所を開設しました。現在も変わらず、夫婦で事務所を営んでいます。
どのような想いから事務所を設立されたのですか。
私も妻も相続や離婚といった家事事件に力を入れてきたので、それらの案件を中心に扱う事務所を設立しようと考えました。藤崎で開業したのは、以前から馴染みがあり、商店街などもあって、暮らしが息づく街であることに魅力を感じたからです。繁華街より住宅街のほうが、個人の方が相談に来やすいという考えもありました。
事務所の理念を教えてください。
「地域にひらく。」ということと、「答えを示す。一緒に悩む。」ということを理念にしています。
法律は、皆さんの権利を守るためにあります。その法律の担い手である弁護士は、皆さんの暮らしとともにあるべきという想いから、「地域にひらく。」という理念を掲げました。
また弁護士に求められるのは、第一に専門家として答えを示すことです。とはいえ、特に相続のように感情が大きく絡む問題では、「頭ではわかっていても気持ちが割り切れない」ということは非常に多いです。
ですから当事務所は、その割り切れない気持ちに寄り添いながら一緒に悩むプロセスを大切にしたいということで、「答えを示す。一緒に悩む。」という理念を掲げました。
「地域にひらく。」という理念を実現するために、取り組んでいることはありますか。
まず事務所の作りから意識しました。当事務所は建物の一階にあって、ガラス越しに中が見えるようになっています。商店のようにガラガラっと扉を開けて「こんにちは」と訪れていただけるような作りにしました。もちろん相談室は個室になっていてプライバシーが守られますのでご安心ください。
事務所の内装も広々とした作りで、木製の家具などを使っています。小さなお子さんがいらっしゃる方も多いので、キッズスペースも作りました。
多くの法律事務所はビルの中に入っていて、フラッと立ち寄るにはハードルが高いと思います。その点当事務所は、「わざわざ弁護士のところに行く」のではなく、普段の生活の中に弁護士がいるという環境作りを意識しています。実際、自転車で来られる方や買い物の帰りに寄ってくださる方も多いんですよ。
「答えを示す。一緒に悩む。」という理念についてはいかがでしょうか。
いかに依頼者のお話を聴くかということを意識しています。法律相談や打ち合わせでは、弁護士が知りたいことを次々質問していくような形になりがちです。そうではなく、依頼者の声に耳を傾けて、その方が抱える色々な思いをしっかり受け止めるようにしています。
依頼者のお話をよく聴くことで、適切な解決策を提案できますし、ご本人としても納得して解決に向かえると思っています。
見通しの正確さや解決方法の豊富さが強み。遺言作成にも力を入れています
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いは何ですか。
「地域にひらく。」という理念にもつながりますが、相談しやすいところは強みです。事務所の作りもそうですし、夫婦で営んでいることもあり、ビジネスライクではなく身近に感じていただけると思います。
弁護士としても長年の経験があり、相続に関しては弁護士登録当初から取り扱ってきました。多くの相続トラブルを解決してきた分、見通しの正確さや解決方法の豊富さも強みです。
また私は社会福祉士の資格も持っているのですが、弁護士の中では珍しいです。高齢の方とのコミュニケーションの取り方や、被相続人の生前の認知能力が問題になるケースなどで、医療・介護に関する知識を活かしています。
相続分野に注力している理由を教えてください。
相続は、単に遺産を分ければよいという単純な話ではありません。遺産がどこにあるのか、不動産の評価をどうするか、介護などの努力をどう評価するか、連絡が取れない相続人とどうやって連絡を取るかといった様々な問題があります。そもそも法律や手続き自体が難しいので、その分弁護士がサポートできる部分も大きいんです。
そして相続は誰にでも起こりますから、こうして街の弁護士として仕事をする以上、しっかり力を入れたいというのが大きな理由です。
相続について、どういったご相談が多いですか。
遺産分割、遺言書作成、相続放棄が多いですが、相続全般についてご相談いただいています。
遺産分割については、感情的な対立があって話し合いが前に進まない、調停を申し立てられて困っている、不動産の評価額や処分が問題になっているなど、様々なケースがあります。
遺言書作成についてはいかがですか。
配偶者や子どもがいる方からご相談いただくことも多いですが、おひとりさまからご相談いただくことが増えてきました。自分が他界したら遺産を寄付したいという方や、お墓や家の片付けについてもきちんと決めておきたいという方が多いです。
遺言書を作りたいけれど、内容が決まっていないという状態でも相談してよいのでしょうか。
もちろんです。むしろ自分で全て決めるのは難しいです。どういう内容にするかということも含めて一緒に考えていきますので、少しでも作ろうと思われたら一度ご相談ください。
自分で書く方もいらっしゃいますが、遺言書は法律上の要件を満たしていないと無効になります。不完全な遺言書が原因で相続人同士がもめるケースもありますので、正しい遺言書を作るためにも、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
依頼者の価値観や気持ちに沿った解決をはかります
案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
ご依頼いただく以上は、スッキリ解決して、不安なくその後の人生を歩んでほしいと思っています。相続に限らず、どのような案件を手がける際にも、依頼者の価値観や気持ちを理解して、それに沿った解決をはかることを心がけています。
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
法律のルールがわかることは大きなメリットです。法律がどうなっているかわからないまま相続人同士で話し合うと、知らない間に不公平な条件を受け入れてしまうこともあります。法律上、どのくらいの財産を受け取る権利があるのか、といったことをきちんと理解した上で、どうするかを決めるべきだと思います。
遺産分割協議書の案ができた段階でご相談いただいて、内容を見てみると、依頼者にとって不利な内容になっていたことも何度かあります。ところがご本人は気付いていなかったんです。それがわかったのも、弁護士に相談したからこそです。
早めに相談するメリットを教えてください。
一度決めたことを、後からなかったことにするのは難しいです。早めにご相談いただくことで、取り返しのつかない事態を防ぐことができます。もちろんどのような段階でご相談いただいても、できる限りのことはします。ただ、早ければ早いほど選択肢が多く、ご自身の意向に近い形で解決できる可能性が高いです。
相続について悩み、弁護士への相談を検討している方に向けてメッセージをお願いします。
法律問題は、一人で考えてもなかなか答えが出ません。ところが専門家である弁護士に相談すれば、一発で答えがわかることが非常に多いです。わからないという状態は不安やストレスにもつながりますので、少しでも疑問があれば迷わず相談していただくことをお勧めします。